映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる映画 ◎
「あさひなぐ」「ナミヤ雑貨店の奇蹟」「プラネタリウム」「ユリゴコロ」etc.

キリアン・マーフィ

ダンケルク

DUNKIRK
1940年、英仏連合軍の兵士40万人が、ドイツ軍によってドーバー海峡に面したフランス北端の港町ダンケルクに追い詰められる。背後は海。陸も空も敵が迫っていた。若き兵士トミーとその仲間らはそれでも生き抜くことをあきらめてはいない。一方で、母国イギリスでは海を隔てた対岸の仲間の救出に、民間船までもが動員されることになり、船長のドーソンらは危険を顧みずダンケルクへと向かう。英空軍のパイロットのファリアもまた、圧倒的に形勢不利な状況の中、出撃。こうして、命懸けの救出作戦が始まった…。

第2次世界大戦中に約40万人もの兵士を救った史上最大の救出作戦を描く戦争スペクタクル「ダンケルク」。斬新な世界観で観客を魅了してきた俊英クリストファー・ノーラン監督が初めて実話の映画化に挑んだ力作だ。ダンケルクの撤退は、過去にも何度か映画化されていて、民間人が命がけで兵士を助けたということもあり、美談として語り継がれている。結果が分かっているスタンダードな史実だが、ノーラン監督の手にかかると、驚くほどの緊迫感で迫りくる戦争叙事詩となる。映画を見る観客は、そのまま曇天のダンケルクの戦場へと放り込まれ、すさまじい映像体験に圧倒されるはずだ。

ノーラン監督らしい演出は、時間と場所をシャッフルして描いたことだろう。陸・海・空の3つのパートに分かれているが、構成は極めて緻密だ。一見、3パートは同時進行しているように見えるが、ダンケルクの浜辺の陸上は1週間、民間船がダンケルクへと向かう海は1日、戦闘機が舞う空の戦いは1時間の出来事なのだ。その3つが最後には同じ瞬間に向かって収束していくストーリー展開は、見事というしかない。圧倒的な迫力の映像や、トム・ハーディやキリアン・マーフィ、ケネス・ブラナーら、名優たちの競演も素晴らしい。同時に、兵士のPTSD(心的外傷後ストレス障害)や仲間同士の諍いなどの極限状態のドラマも織り交ぜている。そんな中、マーク・ライランス演じる民間船の船長と息子の、毅然とした行動には心を打たれた。一致団結して戦った名もない人々の自己犠牲と勇気のおかげで、今の私たちがある。メッセージが明白だからこそ、華々しい勝利の戦いではなく、生き残りをかけた大撤退が、胸に迫ってくるのだ。くどくどと説明などせず映像で勝負する潔い演出で、上映時間はキリリと短い106分。無駄なシーンは何一つない。圧巻の臨場感を体験するためにも、ぜひ大スクリーンで見てほしい。
【90点】
(原題「DUNKIRK」)
(米・英・仏・オランダ/クリストファー・ノーラン監督/トム・ハーディ、キリアン・マーフィ、ケネス・ブラナー、他)
(愛国心度:★★★★☆)
チケットぴあ

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ←ランキング参加中です!

人気ブログランキング←この記事が気に入ったらポチッとクリックお願いします(^o^)

ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦

Anthropoid (Blu-ray + DVD + Digital HD)
第2次世界大戦下の1942年。ナチス高官でトップクラスの実力者ラインハルト・ハイドリヒは、ユダヤ人大量虐殺の実験を握り、その冷酷さから“金髪の野獣”と呼ばれていた。彼の暗殺を企てたイギリス政府とチェコスロバキア亡命政府は、ヨゼフやヤンら、暗殺部隊をチェコ領内に潜入させる。プラハの反ナチス組織や現地のレジスタンスと協力し、無謀ともいえる暗殺は実行されるが、ハイドリヒ暗殺に激怒したナチスは、壮絶で残虐な報復に乗り出した…。

ラインハルト・ハイドリヒ暗殺作戦とそのてん末を史実に基づいて描くサスペンス「ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦」。ナチスが欧州のほぼ全土を占領していた中、実行されたナチス高官ハイドリヒの暗殺は、エンスラポイド作戦の名で知られ、映画では「死刑執行人もまた死す」「暁の7人」の題材となったことで知られる。ナチスに立ち向かった若きエージェントやチェコスロバキア国内のレジスタンスのメンバーが命懸けで決行したミッションは、確かに英雄的な行為なのだが、その代償はあまりに大きかった。複数の村を完全に破壊し、立てこもった教会では激しい銃撃戦を行うなど、虐殺行為は常軌を逸するほどすさまじい。ハイドリヒ暗殺のせいで国内で多くの市民が犠牲になったのもまた事実なのだ。

映画は、雪深いプラハの森の寒々しい風景や、恐怖政治に怯える市民、ロンドンから送り込まれたエージェントたちと国内レジスタンスとの考え方や立場の違いなどを、緊張感あふれる演出で描いていく。結果は歴史が示しているので分かっているとはいえ、あまりの理不尽と残酷さに言葉を失ってしまった。ハイドリヒ暗殺はチェコ(スロバキア)史上、最も悲劇的な抵抗運動で、映画はその全貌を、冷酷なほど克明に描き切った。監督は英国人のショーン・エリス。「フローズン・タイム」や「ブロークン」など、おしゃれでスタイリッシュな作風が印象的な、ファッションフォトグラファー出身の監督だが、本作では民族の誇りと愛国心には、時に、多大な犠牲を必要とするという容赦ない歴史の真実を突きつけて、新境地を開いている。
【65点】
(原題「ANTHROPOID」)
(チェコ・英・仏/ショーン・エリス監督/キリアン・マーフィ、ジェイミー・ドーナン、シャルロット・ルボン、他)
(理不尽度:★★★★★)
チケットぴあ

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ←ランキング参加中です!

人気ブログランキング←この記事が気に入ったらポチッとクリックお願いします(^o^)

フリー・ファイヤー

Free Fire
1978年のボストン。銃密売取引のため、場末の倉庫に2組のギャングがやってくる。簡単な取引かと思われたが、チンピラ同士のいざこざから交渉がこじれ、口論の末、壮絶な銃撃戦が始まってしまう。クセ者ばかりの悪党たちは、全員が瀕死の傷を負い、罵声とうめき声が飛び交う発狂状態の中、銃を撃ちまくる。双方の思惑、仲間割れ、謎のスナイパーの出現…。最後まで生き残るのは一体誰なのか?!

武器取引の交渉が決裂し壮絶な銃撃戦となるバイオレンス映画「フリー・ファイヤー」。上映時間はわずか90分だが、映画の8割は銃撃戦という異色作だ。倉庫という密室空間の中で、2組のギャングが全員参加で延々と撃ちまくる。だが、雨あられの発砲で傷だらけになるのに、登場人物たちはなかなか死なないのだ。射撃の腕が悪いのか、はたまた銃の精度が低いのか、さっぱり致命傷を与えられない。足や肩、脇腹や太腿のようなハンパな部位に当たっては、痛みでうめきながら身体ごとズルズルとひきずって物陰に隠れるというトホホな状況なのだ。考えてみれば、西部劇の凄腕ガンマンや、訓練を積んだスナイパーじゃあるまいし、フツーのギャングたちが撃っても、こめかみや心臓に簡単に当たるはずがない。いつまでも生きているため会話も弾み(?)、そこには思わぬ本音や腹の探り合いがあって、次第にそれぞれの欲望が露わになる。死ねない、殺せないで、物語はウダウダしたカオス状態が続き、スピード感には欠けるのだが、その分、奇妙な緊張感があって先読みできない面白さも。70年代への偏愛、激しい暴力描写、クセモノ揃いのキャラ、とぼけたユーモアや無為な会話と、これはもう完全に初期のタランティーノ作品と同じテイストだ。俳優たちは皆好演だが、とりわけ、紅一点の女ギャングを演じるオスカー女優のブリー・ラーソンがいい。銃撃戦の激しさと、車の中から流れるジョン・デンバーのさわやかすぎるメロディーの対比には唸った。冒頭にベン・ウィートリー監督の注釈ともいえる字幕が入る。「CIAの資料を山ほど呼んだが、人は銃で撃たれても、かなりの時間、生きている」。人間はそう簡単には死なないのだ。ウン、これがこの怪作のテーマに違いない。
【70点】
(原題「FREE FIRE」)
(英・仏/ベン・ウィートリー監督/ブリー・ラーソン、アーミー・ハマー、キリアン・マーフィ、他)
(カオス度:★★★★★)
チケットぴあ

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ←ランキング参加中です!

人気ブログランキング←この記事が気に入ったらポチッとクリックお願いします(^o^)
フリー・ファイヤー|映画情報のぴあ映画生活

サンシャイン2057

サンシャイン2057 [DVD]サンシャイン2057 [DVD]
太陽の消滅を防ぐため宇宙船に乗ったクルーたちのドラマを描く異色SF。船長カネダ役で真田広之が出演している。ダニー・ボイルの映画に出るなんてシブい!しかし、今からたったの50年後には太陽さえ瀕死なのか?と思うと気が滅入る。目が疲れる映像に注意。
【60点】
(原題「SUNSHINE」)
(イギリス/ダニー・ボイル監督/キリアン・マーフィ、ミシェル・ヨー、真田広之、他)
(眼性疲労度:★★★★☆)

人気ブログランキング用バナー

←この記事が気に入ったら、ポチッとクリックしてもらえると嬉しいです\(^o^)/

シネマッシモにようこそ
◇ シネマッシモについて ◇

このブログが気に入ったら、ポチッとクリックお願いします♪
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ

映画レビュー用BRバナー
インフォメーション


映画ライター渡まち子が運営するセカンド・ブログ「映画の中に猫がいる」もよろしく!【猫目線】で語る映画評で、のんびり、まったり運営中です(笑)。 猫好きの方、映画好きの方、ぜひ遊びにきてください。相互リンクも募集中!
こちらからどうぞ!
おすすめ情報
作品検索はこちら
Google
WWW を検索
このブログ内を検索
コメント(承認済)
映画レビュー(長文)索引

    
    
    
    
    
    
    
  
    

A−Z
0−9
カテゴリ
お仕事受注
映画評やコラムの執筆、講演など、映画に関する仕事を承ります。連絡はメールでお気軽にどうぞ。

 メールはこちらから↓
cinemassimo555★jcom.home.ne.jp
(★を@に変更して下さい)

執筆やラジオ出演など、メールと電話で対応可能な場合は、全国から仕事を受注していますので、まずはお問合せください。
プロフィール
プロフィール more
◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
おすすめ情報
おすすめ情報

おすすめ情報

楽天市場
おすすめ情報

Archives
相互リンクについて
相互リンクについて

  ↑ 必ずお読みください。
タグクラウド
  • ライブドアブログ