映画通信シネマッシモ


映画通信シネマッシモは、2018年4月をもって、終了しました。

ブログ終了にあたり、たくさんのあたたかいコメントをお寄せいただき、本当にありがとうございました。
皆さまの映画ライフに少しでもお役に立てたならこれほど嬉しいことはありません。
長い間のご愛顧に心より感謝いたします。

クリスティン・スコット・トーマス

フランス組曲

フランス組曲 [DVD]
第2次世界大戦中の1940年6月、ドイツ占領下のフランスの田舎町。厳格な義母と暮らす美しい人妻リュシルは、戦地へ赴いた夫を待ちながら暮らしていた。ある日、町にナチス・ドイツ軍がやってきて、リュシルが住む屋敷に、ドイツ軍将校のブルーノが住むことになる。占領国の男と被占領国の女、さらに人妻という立場ながら、共に愛する音楽を通じて、リュシルとブルーノは次第に惹かれあっていく…。
アウシュヴィッツで亡くなった作家イレーヌ・ネミロフスキーの小説をもとにしたラブストーリー「フランス組曲」。仏女性と独軍将校との愛を軸にして、占領下のフランスに住む人々の日常がこまやかに描かれる。ナチス・ドイツに対する姿勢はそれぞれで、媚びへつらう者もいれば沈黙する者もいる。誰もが必死に生きのびようとした時代には、正義感にかられて抵抗運動(レジスタンス)をしないからといって責められない。そんな厳しい時代を背景にしてはいるが、本作は基本的にメロドラマだ。ただ、自分が住む町で義母のいいなりになって暮らすだけだったヒロインのリュシルが、許されない愛にとまどいながらも、やがて、広い世界を知ろうと変化していく様は、普遍的な成長のドラマになっている。原作となったネミロフスキーの小説は未完の遺稿だったが、実娘が出版したその小説はたちまちベストセラーになったそう。ホロコーストというこれ以上ない過酷な状況下で書きためたのが、繊細で抒情的なラブストーリーだったというのが、思いがけず新鮮だ。厳格で嫌味な義母の意外な側面や、敵側のドイツ軍兵士の感情も描くなど、複雑な人間ドラマとしても見応えがある。もろいようでいてしたたかに生きるヒロインを、ミシェル・ウィリアムズが好演。タイトルのフランス組曲とは、ブルーノがピアノで奏でる楽曲名のことで、その哀しく美しいメロディーが心に残る。
【65点】
(原題「SUITE FRANCAICE」)
(英・仏・ベルギー/ソウル・ディブ監督/ミシェル・ウィリアムズ、クリスティン・スコット・トーマス、マティアス・スーナールツ、他)
(抒情度:★★★★☆)
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フランス組曲@ぴあ映画生活

オンリー・ゴッド

オンリー・ゴッド スペシャル・コレクターズ・エディション [Blu-ray]
賛否両論を巻き起こしたバイオレンス満載の復讐劇「オンリー・ゴッド」。話は不可解だが、強烈な色彩の映像に目が釘付けになる。

ジュリアンは、アメリカを追われ、タイのバンコクでボクシングジムを経営しながら裏で麻薬密売に手を染めている。ある日、兄のビリーが娼婦を殺した罪で、惨殺される。アメリカで巨大な犯罪組織を牛耳る母親のクリスタルは、溺愛するビリーの死を知って駆けつけ、怒りのあまりジュリアンに復讐を命じる。仲間とともに 復讐に動きだしたジュリアンだったが、彼らの前に、元警官で今はバンコクの裏社会を取り仕切っている謎の男チャンが立ちはだかる…。

「ドライヴ」のニコラス・ウィンディング・レフン監督の新作のテーマは神との対峙。だがその語り口は異様にして不可解だ。兄ビリーは娼婦をなぶり殺しにした罪で処刑される。ジュリアンは兄のしたことを知りそれもやむなしと考えている。兄弟の母親で凶暴なクリスタルはジュリアンを支配下におき復讐を厳命する。一方で、元警官のチャンは、背中に刀を隠し持ち、悪を成敗する獰猛な“神”なのだ。こんな異様なキャラクターばかりで、誰にも感情移入できないまま、ストーリーは進んでいく。毒々しい夜のネオンのように極彩色の映像が延々と続いて、見ているこちらの感覚はいつしか麻痺してしまうのだ。しかも、静かな狂気を漂わせるジュリアンが、壮絶な復讐劇を繰り広げるのかと思ったら、相手のチャンの前でさっぱり歯がたたず、返り討ちにもならない始末。いったいこれを復讐と呼んでいいものなのかどうか首をかしげる。チャンは荒ぶる神で、神の前では人間など何の力もないということなのだと納得するしかない。じっくりと描く拷問、突如歌う神、刀で一刀両断にするバイオレンス。何から何まで理解不能だが、それを凌駕してしまうのが、赤と青の強烈な色彩の映像の力だ。抑えた演技で熱演するライアン・ゴズリングは「ドライヴ」に続いてレフン監督とのコンビだが、宗教とも神話ともつかないストーリーの中で、無気力に漂うかのような浮遊感を醸し出している。
【50点】
(原題「ONLY GOD FORGIVES」)
(デンマーク・仏/ニコラス・ウィンディング・レフン監督/ライアン・ゴズリング、クリスティン・スコット・トーマス、ヴィタヤ・パンスリンガム、他)
(バイオレンス度:★★★★☆)
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オンリー・ゴッド@ぴあ映画生活

サラの鍵

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戦争中の悲劇をひも解く、ミステリー仕立ての社会派ドラマ「サラの鍵」。歴史告発というより、個人史として描いている。

パリで暮らすアメリカ人ジャーナリストのジュリアは、1942年に、ナチス占領下のパリで行われた、フランス警察によるユダヤ人迫害事件“ベルディヴ事件”を調べることになる。取材を重ねるうちに、ユダヤ人少女サラが、自分の幼い弟を自宅の納戸に隠し、その鍵を手にしたまま収容所に送られたことを知る。しかもサラの住んでいた家というのは、ジュリアと家族が今、住んでいるアパートだったのだ。収容所を脱走したサラの数奇な足跡をたどるジュリアは、彼女の悲劇を追体験していく…。

原作は、タチアナ・ド・ロネの同名ベストセラー小説。ベルディヴ事件は、近年では「黄色い星の子供たち」で詳細に描かれた、歴史の暗部だ。本作では、現代のジュリアの物語と、1942年を生きる少女サラの物語が並行して描かれ、少しずつ歩み寄っていく。サラが収容所で受ける激しい迫害もさることながら、納戸に閉じ込められた弟のもとへとひた走る逃走劇がドラマチックだ。イノセントな少女が、戦争という暴挙によって、心を粉々に打ち砕かれてしまう。サラは究極のトラウマを背負い、どこで誰と暮らそうとも悲しみから逃れることができなかった。一方で、ジュリアもまた、過去を知ることで揺さぶられていく。事実から目を背けずに受け止めることは、時に、ジュリア自身や周囲を傷付けるのだが、それでも知らねばならない真実があった。フランスからアメリカ、イタリアへ。まるでサラに導かれるように観客は旅をすることに。クリスティン・スコット・トーマスの抑制の効いた演技と共に、少女サラを演じたメリュジーヌ・マヤンスの迫真の演技に目を見張る。この物語は、ホロコーストを過去の“点”ではなく、現代へと続く線、あるいは面としてとらえることで、命は次世代に引き継がれ、未来への希望が生まれることを教えてくれる。ラストシーン、娘の名を聞かれたジュリアが答える場面では、胸いっぱいにあたたかい感動が広がった。
【70点】
(原題「ELLE S'APPELAIT SARAH」)
(フランス/ジル・パケ=ブレネール監督/クリスティン・スコット・トーマス、メリュジーヌ・マヤンス、ニエル・アレストラップ、他)
(悲痛度:★★★★☆)
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サラの鍵@ぴあ映画生活

ずっとあなたを愛してる

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心に抱いた悲しみを描く物語にふさわしい、抑制の効いた演出が光る佳作だ。15年の刑期をおえたジュリエットは、歳の離れた妹レアの家に身を寄せる。再会した姉妹は互いに遠慮して、打ち解けることができない。ジュリエットの犯した罪は、幼い我が子を殺したことだ。その理由を決して語ろうとせず、自分の殻に閉じこもる姉の心に、懸命に近づこうとするレア。妹や周囲の人々とのぎこちない触れ合いの中で、ジュリエットは少しずつ変化を見せ始める…。

硬質な表情のジュリエットの抱える孤独は、見ているこちらの体まで青く染めてしまいそうなほど、冷たく深い。妹のレアもまた、姉の罪ゆえか自分の子を産むことを恐れている。最初、けなげに姉を支えようとするレアの存在に、ジュリエットがとまどいと怒りを感じているのが分かる。自分の苦悩は誰にも分からないといわんばかりの頑なな態度は、自分で自分を罰しているかのようだ。印象的なのは姉妹の母親との再会の場面である。レアのことが娘と分からない認知症の母は、ジュリエットのことはすぐに彼女と分かる。母から自分の存在そのものを否定されていると思い込んでいたジュリエットには、母親の抱擁は激しいカンフル剤だ。どんな理由があるにせよ、母親の心から我が子を消し去ることなどできない。この物語の本質である、罪のつぐないと、自分自身の再生という問いの答えが、この母との再会から見えてくる。

物語は殺人の理由を終盤まで明かさずミステリアスに展開するが、ついにジュリエットが自分の罪を語るシークエンスに圧倒された。その激しさは、さざ波のような物語が一気に嵐に見舞われたかのよう。すべての感情をぶつけて激昂し涙を流すクリスティン・スコット・トーマスの演技は圧巻だ。初めて本気で向き合った姉妹が静かにみつめる雨が、心の浄化の見事なメタファーになっている。悲しみを受け止め痛みを分け合ったこの瞬間、姉妹は本当の再会を果たしたのだ。劇中に、ジュリエットと、彼女に好意を抱いているミシェルが並んで螺旋階段から下を見る図があるが、その上に、天使のオブジェがある場面の、アーティスティックな構図が素晴らしい。それは人間世界を見つめる赦しのまなざしだ。フィリップ・クローデル監督の本業は小説家だが、映像感覚もすばらしい人のようである。
【70点】
(原題「Il y a longtemps que je t’aime/I'VE LOVED YOU SO LONG」)
(仏・独/フィリップ・クローデル監督/クリスティン・スコット・トーマス、エルザ・ジルベルスタイン、他)
(再生度:★★★★☆)

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