映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週末の公開映画から オススメの1本! ◎
チリ他合作映画「ナチュラルウーマン」

クリストファー・プラマー

手紙は憶えている

手紙は憶えている [Blu-ray]
老人介護施設で暮らす90歳のゼヴは、最愛の妻ルースが死んだことさえ忘れてしまうほど、認知症が進行していた。ある日、同じ施設にいる友人マックスから手紙を託される。そこには、ゼヴとマックスが果たすべき約束が書かれていた。二人はアウシュビッツ収容所の生存者で、大切な家族をナチスの兵士に殺されていた。そしてその兵士オットーは、身分を偽りルディ・コランダーという偽名で今も生きているという。体の不自由なマックスにかわって、ゼヴは復讐を決意。託された手紙とかすかな記憶だけを頼りに単身で旅立つが、彼を待ち受けていたのは人生を覆すほどの衝撃の真実だった…。

アウシュビッツの生存者が家族を殺した兵士に復讐するためにたどる旅とその顛末を描く人間ドラマ「手紙は憶えている」。90歳の認知症の老人ゼヴが復讐の旅に出るが、前日のことも忘れている彼は、その度にマックスからの手紙をみないと自分が何をすべきかがわからないという、かなり危機的な状況の旅だ。それでもゼヴは、復讐の相手の同名の人物を4人にまで絞り込んだ手紙を頼りに、一人一人訪ねていく。元軍人やネオナチなど、ナチスの亡霊のような人物と出会うそのプロセスは、戦後、何十年たとうと、ヨーロッパからどれほど遠く離れようと、ホロコーストは終わっていないということを告げているようだ。この物語が特筆なのは、ナチスの蛮行をテーマにしながら、過去はいっさい描かず回想シーンも使っていないということである。現代のみを背景に歴史の暗部をたどるその手法がアウシュビッツの生存者たちのリアルをあぶり出して、巧みだ。そしてついにたどりついた宿敵の前で知らされる衝撃の事実と復讐の意味を知って、言葉を失う。ところどころに出てくる、ピアノ曲や終盤に登場するワーグナーなど、音楽の使い方が効果的だ。人間は誰もが老いる。記憶はどこまで自分と寄り添ってくれるのか。カナダの巨匠アトム・エゴヤンが描く、静かだが戦慄のロードムービーは、クリストファー・プラマー、マーティン・ランドー、ブルーノ・ガンツら、ベテランの名優たちの厚みのある演技で忘れがたい作品に仕上がっている。
【70点】
(原題「REMEMBER」)
(カナダ・ドイツ/アトム・エゴヤン監督/クリストファー・プラマー、ブルーノ・ガンツ、ユルゲン・プロホノフ、他)
(衝撃度:★★★★☆)
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トレヴィの泉で二度目の恋を

トレヴィの泉で二度目の恋を [DVD]
正反対の性格の老齢の男女が恋に落ちる恋愛映画「トレヴィの泉で二度目の恋を」。主役二人の貫禄でもっている作品。

妻を亡くし新しいアパートに引っ越してきた80歳のフレッドは、隣に住む陽気でおしゃべり好きな老女エルサと出会う。最初の印象は最悪だったが、虚言癖のあるエルサは、無口で不愛想なフレッドの優しさに気付き、おしゃべりや散歩、ダンスなどに誘うのだった。互いをやっかいな相手だと思っていた2人は次第に惹かれ合っていく。ローマのトレヴィの泉に行くのが長年の夢だと語るエルサだったが、実は彼女には秘密があった…。

日本では若い男女の青春ラブロマンスが好まれるが、欧米には大人の恋を描く映画が根強い人気だ。しかもシャーリー・マクレーン、クリストファー・プラマーという2大オスカー俳優たちが、肩の力を抜いてサラリと小粋に演じてくれるのだから、うらやましい。本作のオリジナルはアルゼンチン・スペイン合作の「エルサ&フレッド」。「イル・ポスティーノ」の名匠マイケル・ラドフォード監督は、フェリニーニの名作「甘い生活」を大切なキーワードとして何度も登場させる。陽気なエルサの話はほとんどがホラ話だということは、頑固ジイさんのフレッドは薄々感じていたはずだが、みじめだった自分の人生の終盤に現われて「生きる意味を教えてあげたい。まず一歩踏み出すの」と背中を押してくれたエルサに恋せずにはいられなかったのだ。ローマへの冒険の旅、エルサの秘密、嘘の中にそっと隠していた真実。「甘い生活」の再現シーンは、正直、見ていて気恥ずかしいものがあったが、マクレーンとプラマーの熟練の前では、許せてしまうのだ。いくつになっても恋と駆け引きをするエルサとフレッドを見ていると、人は最後まで輝くことを止めてはいけないのだと教えられた。
【65点】
(原題「ELSA&FRED」)
(アメリカ/マイケル・ラドフォード監督/シャーリー・マクレーン、クリストファー・プラマー、マーシャ・ゲイ・ハーデン、他)
(熟練度:★★★★☆)
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人生はビギナーズ

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人生に臆病な主人公が知る“始まり”を描く秀作「人生はビギナーズ」。愛犬アーサーが超がつくほど最高!!

38歳独身のアートディレクターのオリヴァーは、臆病な性格のため恋人もおらず、“友人”は仕事と犬だけだ。そんなオリヴァーの父で末期ガンの宣告を受けたハルが、突如「自分はゲイだ」とカミングアウトする。病に侵されながらも残りの人生を楽しむ父の姿を見て、次第にオリヴァーも心を開き始める。やがて訪れる父の最期。傷心のオリヴァーは、風変わりな女性アナと知り合い恋に落ちるのだが…。

文学の世界に私小説というものがある。ならば私映画というものがあったっていい。これは監督のマイク・ミルズが自らの体験を映画にした、とびきり素敵なプライベート・ストーリーだ。父のカミングアウトによって主人公の心にさまざまな葛藤が生まれる。「75歳で余命僅かの父に若い男の恋人?!」「両親は本当に愛し合っていたのか?」「ふたりの間に生まれた自分って?!」。だが自分らしく生きると決めた父の潔さは、何よりもオリヴァーの背中を押してくれた。実体験に基づいているだけに、ディテールが非常にリアル。それでいて絶妙なユーモアが漂う。父と暮らした日々、恋人アナとの現在、父やオリヴァー自身の過去という異なった時制を行き来しながら物語ることで、肉親の死という重すぎる事実と喪失感を少しずつ軽くしていく演出も上手かった。優柔不断で臆病者のオリヴァーを演じるユアン・マクレガーが適役だが、何といっても父ハルを温かく魅力的に演じきった名優クリストファー・プラマーが素晴らしい。マイク・ミルズ監督初のオリジナル脚本によるストーリーは、主人公が勇気を持って殻を破り一歩踏み出す瞬間を辛抱強く見守っている。その優しさを一番よく知っているのは、オリヴァーの愛犬でジャックラッセル・テリアのアーサーだ。アーサーのウィットに富んだ心の声が字幕というのがこれまた良い。さらにさらに!最高なのはこの映画のラストである。“The End”や“Continue”ではなく、表れる文字は原題でもある“Beginners”。これを見た瞬間、この映画は宝物になった。
【75点】
(原題「BEGINNERS」)
(アメリカ/マイク・ミルズ監督/ユアン・マクレガー、クリストファー・プラマー、メラニー・ロラン、他)
(人生讃歌度:★★★★★)
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終着駅 トルストイ最後の旅

終着駅 トルストイ最後の旅 [DVD]終着駅 トルストイ最後の旅 [DVD]
ロシアの文豪トルストイ夫妻の晩年の愛憎を、トルストイの秘書である青年ワレンチンの目を通して語る異色の伝記映画だ。さまざまな確執を経てもなお、強く結ばれるトルストイとソフィヤの深い愛情に感動を覚える。世界中から尊敬される文豪トルストイには長年連れ添った妻ソフィヤがいた。だがトルストイは晩年に、平和と平等、非暴力と道徳を説く“トルストイ主義”を提唱。教義に心酔する一番弟子のチェルトコフから、民衆のために著作権を放棄するように迫られる。激怒した妻ソフィヤは子供たちのために財産を守ろうとし、夫婦の間に大きな亀裂が入る。激しく言い争いながらも、深く愛し合う二人だったが、ついにトルストイはすべての解決を放棄するかのように家出してしまう…。

その一挙手一投足が話題になる大作家トルストイが、80歳を過ぎてから突如家出する。これだけでも十分にスキャンダラスだが、高齢な上に病気がちだった彼は名も無い駅で寝込んでしまい、そのまま多くの取り巻きや記者に囲まれながら息を引き取る。これはかなり異様な臨終だといえる。こうなるに至るトルストイ最晩年に焦点を当てて、世界中が注目していた夫婦喧嘩を“愛”というキーワードで読み解いてみせるのが本作だ。そもそもトルストイという人物は矛盾だらけである。トルストイ主義はなるほど立派だが、性欲を否定しながら彼の子供は13人、世界平和と民衆の幸福、農奴解放を目指しながら、貴族出身の彼は贅沢に暮らし、家庭の平和ひとつ実現できない。財産と著作権放棄の件も、妻と弟子の間で右往左往する。あげくの果てに何もかも放り投げて家出ときた。「戦争と平和」「アンナ・カレーニナ」を生み出したこの文豪、残した文学は偉大だが、決して仰ぎ見る偉人ではなく、煩悩と矛盾だらけ、ずるさも弱さも抱える一人の老人にすぎない。そんな彼にとってソフィヤは似合いの相手だ。なるほどソフィヤは時にヒステリックに騒ぎ夫を困らせるが、二人を結びつける絆は夫婦愛そのもの。それを他人が“裁く”こと事態が大きな間違いではないか。単純な理想主義だけでは人は幸せにはなれないものだ。まして夫婦の間には苦楽を共にした歴史があった。そのことを若いワレンチンが汲み取って人間的に成長するという設定が意義深い。

ヘレン・ミレンとクリストファー・ブラマーという名優二人がこの困った夫婦を格調高く、それでいて少しコミカルに、愛情深く演じていて、素晴らしい。ソフィヤは、音楽家モーツァルトの妻コンツタンツェや哲学者ソクラテスの妻クサンチッペと共に世界三大悪妻と呼ばれているが、3組とも実は「割れ鍋に綴じ蓋」。トルストイとソフィヤは案外似合いの夫婦だったのかもしれない。
【70点】
(原題「THE LAST STATION」)
(ドイツ・ロシア/マイケル・ホフマン監督/クリストファー・プラマー、ヘレン・ミレン、ジェームズ・マカヴォイ、他)
(夫婦愛度:★★★★★)

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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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