映画通信シネマッシモ


映画通信シネマッシモは、2018年4月をもって、終了しました。

ブログ終了にあたり、たくさんのあたたかいコメントをお寄せいただき、本当にありがとうございました。
皆さまの映画ライフに少しでもお役に立てたならこれほど嬉しいことはありません。
長い間のご愛顧に心より感謝いたします。

クロエ・グレース・モレッツ

彼女が目覚めるその日まで



憧れのNYで働く21歳の若手新聞記者スザンナは、公私ともに充実した毎日を送っていた。だが突如、物忘れがひどくなり、仕事でも大失態、精神状態も極度に不安定になる。幻覚、幻聴、不眠、悪態に痙攣など、激しい発作を繰り返すが、病院で検査をしても原因が分からず、スザンナは精神病院に送られそうになる。両親や恋人のスティーブは何かが違うと疑問を持ち、医師に訴え続けるが…。

原因不明の病に苦しんだ女性記者の壮絶な闘病と、彼女を支えた家族や恋人の絆を描く「彼女が目覚めるその日まで」。描かれる病気の名前は、抗NMDA受容体脳炎。急性脳炎の一種だそうだ。ニューヨーク・ポスト紙で働くスザンナ・キャハランがこの原因不明の難病にかかり、実態を解明するまでは、精神病や悪魔憑きだと考えられ、ホラー映画の傑作「エクソシスト」の元ネタになった病気だというから、興味深い題材である。知的で明るかったスザンナが、極端なそうとうつを繰り返し、人間性が崩壊したかのような悪態をついて、周囲を困惑させる様は、まるでドキュメンタリーのようにリアルで痛々しい。

闘病の実態とヒロインを支え続けた家族・恋人の姿を事実に基づいて追っていくので、大事件が起こるわけではないドラマは少々盛り上がりに欠けるのは事実。だが過剰なお涙頂戴や感動の押し売りをしない演出は、むしろ好印象を持った。家族や恋人が、精神病なんかじゃない、何かが違うと信じ続け、あきらめずに闘う信念は、愛ゆえだろう。ミュージシャンの卵で何だか頼りなく見えた恋人のスティーブンが、意外なほどの粘り強さと思いやりでスザンナを支え続けるのが頼もしい。スティーブンのスザンナへの愛情に共感できるため、彼が言う何気ない一言が事態を好転させるのも納得だ。壮絶な闘病の末についに人生を取り戻したスザンナを演じるクロエ・グレース・モレッツが熱演だが、周囲の人々の心情も丁寧に描かれている。何より、日本でも年間に1000人が発症しているというこの抗NMDA受容体脳炎の認知に、本作が貢献したことを評価したい。
【60点】
(原題「BRAIN ON FIRE」)
(カナダ、アイルランド/ジェラルド・バレット監督/クロエ・グレース・モレッツ、トーマス・マン、キャリー=アン・モス、他)
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フィフス・ウェイブ

フィフス・ウェイブ(初回生産限定) [Blu-ray]
圧倒的知能を持つ謎の生命体“アザーズ”によって、4度に渡る攻撃を受け壊滅状態となった地球。人類のほとんどが死滅した中、生き残った女子高生のキャシーは、離れ離れになった弟を救うため、子供たちが拉致された基地へと向かう。だがアザーズは人間に紛れ込み、誰が敵か味方か分からない。おびえながら旅を続けるキャシーは、ベンと名乗る青年に命を助けられる。ベンに惹かれながらも、彼を完全に信頼できずにいたキャシーだったが…。

リック・ヤンシーによるヤングアダルト小説(以下、YA)を原作とするSFミステリー「フィフス・ウェイブ」。地球外生命体の襲撃で壊滅的な状態になった地球の描写が痛ましいということで、熊本地震の被災者の方々に与える影響を考慮して、九州地区では公開が延期になっていた作品だが、6月末以降、ようやくすべての地域で公開されるようになった。物語は、YAらしく薄味で、主人公の成長や恋愛に重点を置く軽い作りだ。そもそも地球外生命体アザーズが、地球を滅ぼすのに、どーしてこうまで回りくどい段階を踏むのか理解に苦しむ。アザーズは人知を超えた知能を誇る生命体という設定だが、普通の生命体である私でも、もっと簡単で確実で効率のいい方法があるのでは?と分かるというのに。アザーズ出現の日から、暗黒(電源シャットアウト)、崩壊(天災)、感染、侵略と、不条理な地球侵略のスケールは無駄に大きいのに、闘うヒロイン・キャシーはいたってフツーの女の子だ。途中、ラブがらみの協力者ベンが登場してキャシーを助けるが、彼の正体に少しひねりがあるとはいえ、どうにも勝てる気がしない。未来を担うべき若者が体制にもの申すのは「ハンガーゲーム」や「ダイバージェント」と同じだが、敵を地球外生命体としたところは新鮮。珍作SFながらも、災害、テロ、威圧的な軍隊と現実を照射しているような不気味な設定の中、等身大のヒロインを魅力的に演じるクロエ・グレース・モレッツの存在のみが救いだ。ヒロインは、致命的となる第5の波“フィフス・ウェイブ”を止めることができるのか? とりあえず映画を見て確かめてもらおう。
【30点】
(原題「THE 5TH WAVE」)
(アメリカ/J・ブレイクソン監督/クロエ・グレース・モレッツ、ニック・ロビンソン、アレックス・ロウ、他)
(不条理度:★★★★☆)
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フィフス・ウェイブ@ぴあ映画生活

ダーク・プレイス

ダーク・プレイス [Blu-ray]
1985年、一家惨殺事件で生き残った8歳の末娘リビーは、15歳の兄ベンの犯行だと証言。ベンは逮捕され終身刑を言い渡された。事件から28年後、荒んだ生活を送っていたリビーは、過去の有名な殺人事件を検証する「殺人クラブ」のメンバーのライルが申し出た、事件について証言してくれれば謝礼金を出すという言葉と報酬に目がくらみ、嫌々ながらクラブの会合に出席。事件について調べ始めたリビーは、徐々に記憶がよみがえる。あの夜、いったい何が起こったのか。当時のベンの恋人ディオンドラの存在、たびたび金の無心にきていた父親、殺された姉の日記…。過去と向き合うリビーは、やがて衝撃の事実へとたどりつく…。

「ゴーン・ガール」の原作者ギリアン・フリンによるミステリー小説「冥闇」を映画化したサスペンス「ダーク・プレイス」。31歳になったリビーが事件の記憶をたどる姿と、事件当時の映像を交錯させながら描く。あの日、見たものとは? いや、見なかったものとは? 定職もなく、支援金も底をついたことでやむを得ず当時の関係者を訪ね歩くリビーの歩みは、いわば、過去の呪縛からの解放の旅だ。心に深い傷を負ったヒロインは、終始、仏頂面で、態度も投げやり、粗末な服装で化粧っ気もない。社会に適応する努力さえしない、孤独で後ろ向きの人間を、とびきりの美女であるセロンが演じているのが興味深い。実は、幼い頃のトラウマという点では、この主人公と主演のシャーリーズ・セロンには共通点がある。何しろセロンは15歳で、アルコール依存症で暴力をふるう実父を実母が射殺するという衝撃的な事件を体験しているのだ。映画は、ミステリーなので詳細は明かさないが、アメリカ南部で流行した悪魔崇拝、大不況と生活苦がキーポイントであるとだけ言っておこう。不自由な刑務所にいる兄ベンは、妹リビーに対して恨み言ひとつ言わず、誇り高さと諦念が同居する。一方、自由なはずのリビーはずっと過去に囚われたかのような人生を生きてきた。彼らが再び前を向くには、どんなにつらくてもあの事件をたどって咀嚼し、乗り越えていくしかなかったのだ。ラスト、リビーは忌まわしい生家を再び訪ねるが、そこに住む少女に小さく手をふる姿に、かすかな希望と未来を感じる。D.フィンチャー監督の「ゴーン・ガール」のような衝撃はない。だが「サラの鍵」でユダヤ人迫害の真相を描いたジル・パケ=ブランネール監督は、最後に、ずっと暗い場所にいたヒロインにあたたかい光を投げかけている。見ているこちらも救われた気がした。
【70点】
(原題「DARK PLACES」)
(英・仏・米/ジル・パケ=ブランネール監督/シャーリーズ・セロン、ニコラス・ホルト、クロエ・グレース・モレッツ、他)
(呪縛度:★★★★☆)
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ダーク・プレイス|映画情報のぴあ映画生活

アクトレス 女たちの舞台

アクトレス ~女たちの舞台~ [Blu-ray]
大女優マリアは、有能な女性マネージャーのヴァレンティンと共に仕事に励んでいた。ある時、マリアは、自分が出演し出世作となった20年前の舞台劇のリメイクをオファーされる。だがマリアの役はかつて演じた小悪魔的な若き美女ではなく、ヒロインに振り回される中年女性の役。リメイク版の主役には、ハリウッドの新進女優ジョアンが抜擢されていた。迷ったあげく役を引き受けたマリアは、ヴァレンティンを相手に台本の読み合わせを開始するが、現実と役柄が混濁しマリアは深みにはまっていく…。

年齢を重ねた大女優が老いにおびえ焦燥する姿を描く「アクトレス 女たちの舞台」は、「クリーン」などで人間の複雑な内面を描いてきたオリヴィエ・アサイヤス監督の新作だ。俳優が新作舞台を控え、孤独と焦燥感に苛まされる…と聞くと「バードマン」を思い浮かべるが、なるほど虚実が入り混じるなど、共通項は多い。ただ、本作はスイスの山岳地帯を舞台にしているためか、不思議な開放感がある。女優の葛藤は、一般人には無縁だが、老いに対する不安は、人間、特に多くの女性は共感できるはず。マリアは、かつては人を翻弄する側だったのに、いつしか翻弄される側に。そこには残酷なまでの時の流れがある。マリアとヴァンティンが読み合わせする台本の会話は、現実と重なり、若手女優ジョアンとマリアが演じる舞台もまた現実を映す鏡のよう。二重、三重になった物語構造が、映画を深淵なものにしている。大女優を演じるビノシュの複雑な表情、若手女優を演じるモレッツの輝きと、女優陣は皆、好演だが、何と言っても達観した位置にいながら愛憎を内包するヴァレンティンを演じたクリステン・スチュワートの演技が見事に際立った。劇中に登場する、アルプスの自然現象“マローヤの蛇”とは、奇妙で美しい動きをする雲海の名称。流れるべきところを流れ、そして去っていくマローヤの蛇は、雲の中にいれば混乱してしまっても、遠くから眺めれば神秘的で美しい。主人公マリアの心情と共に、映画の大きなテーマである“時の流れ”を象徴するかのようだった。
【70点】
(原題「SILS MARIA」)
(仏・独・スイス/オリヴィエ・アサイヤス監督/ジュリエット・ビノシュ、クリステン・スチュワート、クロエ・グレース・モレッツ、他)
(葛藤度:★★★★☆)
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アクトレス〜女たちの舞台〜@ぴあ映画生活

イコライザー

イコライザー(アンレイテッド・バージョン) (初回限定版) [Blu-ray]
昼と夜の2つの顔を使い分ける元CIAの男がロシアン・マフィアと対峙するアクション「イコライザー」。かなりムチャぶりなのだがデンゼルならば許す!

昼はホームセンターで真面目に働くマッコールは、かつてはCIAのトップエージェントだったが、今は過去と決別し、静かに暮らしている。不眠症の彼は深夜カフェで読書をするのが日課だが、そこで知り合った娼婦のテリーと他愛のない会話をかわすうちに、彼女がロシアン・マフィアから酷い仕打ちを受けていることを知る。マッコールは、かつての殺傷能力を活かしてテリーを痛めつけたマフィアを一掃するが、その“仕事”がきっかけとなり、ロシアン・マフィア最凶の殺し屋ニコライが執拗に彼を追いつめていく…。

昼はホームセンターの正社員、夜は腐敗した警察や悪人を成敗する闇の仕事人“イコライザー”。この“必殺仕事人”のベースは80年代のTVドラマだそうだが、どうりで細部が大雑把だ。主人公のマッコールは、日本の仕事人とは違い、金銭を受け取ったり契約を交わしたりはしない。正義感と善意だけで悪人を葬るのだから、何とも欲のない話だ。ホームセンターに押し入った強盗も、売上金を巻き上げる悪徳警官も、マッコールにかかれば瞬殺で倒される。いくらなんでも強すぎ!なのだが、そんなスーパーヒーロー並の能力を納得させてしまうのが、名優デンゼル・ワシントンなのだ。実際、本作は彼の存在感だけで成り立っているようなものだが、ロシアン・マフィア最強の殺し屋ニコライは、実はマッコールと互角に戦う力量がある敵役。もう少し2人のバトルに工夫がほしかったところだ。面白さは、銃を使わず、身の回りにあるものすべてを武器に変えて敵を殺傷する主人公の殺しのテクニックにある。クライマックスは深夜のホームセンター内でのバトル。砂、鉄線、金槌、電動ドリルなど、DIYな殺しっぷりはかなりエグいので要注意だ。それにしても娼婦役を演じるクロエ・グレース・モレッツは、まだ大人の女性になる前の少女特有の、危うい色っぽさがある。ずっと素性を隠して暮らしていた主人公を正義に目覚めさせるほど、セクシーなのだ。
【60点】
(原題「THE EQUALIZER」)
(アメリカ/アントワン・フークア監督/デンゼル・ワシントン、マートン・ソーカス、クロエ・グレース・モレッツ、他)
(スーパーヒーロー度:★★★★☆)
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イコライザー@ぴあ映画生活

イフ・アイ・ステイ 愛が還る場所

イフ・アイ・ステイ 愛が還る場所(初回生産限定) [Blu-ray]
事故で昏睡状態に陥ったヒロインが生死の決断を迫られる異色の青春映画「イフ・アイ・ステイ 愛が還る場所」。珍しく等身大の女の子を演じるクロエの魅力が全開。

チェロ奏者を夢見る17歳の少女ミアは、恋人や親友に愛され、優しい家族と共に幸せに暮らしていたが、ある雪の日、家族と一緒に乗った車で交通事故に遭い、昏睡状態に陥る。目覚めても愛する家族はもういない。そんな中、なぜかミアの魂は瀕死の自分に寄り添い、生死の決断は彼女自身に委ねられた。17年間の幸福な人生を思い出すミアだったが…。

原作はゲイル・フォアマンのベストセラー小説。ティーンエイジャーが自らの進路に悩み、初恋にとまどい成長していく展開は新味はないが、この物語のひねりは、ヒロインが生死の境をさまよって、魂が語り部となっているというファンタジックな設定だ。ちょっと内気な美少女ミアは、チェロの才能にあふれている。ロックミュージシャンの恋人アダムに愛され、何でも話せる親友がいて、家族は優しくて…という環境は、今までクロエ・グレース・モレッツが演じてきたヒロインとは明らかに異なる“普通の女の子”の幸福だ。これは役と同じ17歳のクロエが、子役から大人の女優として成長する過程で巡り合った、貴重な等身大の役柄なのである。ストーリーは基本的にメロドラマだが、クロエの繊細な演技は、ヤングアダルト小説らしい甘さという欠点を補って余りある。昏睡から目覚めればつらすぎる現実が待っている。このまま家族と一緒に逝くか、踏ん張って生きるべきか。そこに病院側の制止を振り切って恋人アダムが駆けつける…と、泣ける展開もきっちり押えているが、光るのは寡黙な祖父を演じるステイシー・キーチだ。意識不明で横たわる最愛の孫娘に「辛いなら頑張らなくてもいい」と語りかけるおじいちゃんの優しさに、思わず涙ぐんだ。チェロを弾く主人公の端正なたたずまいや、雪景色、家族が集うあたたかな家など、映像はすみずみまで気配りが効いていて美しい。クラシックとロックが混在する音楽も魅力的だ。
【65点】
(原題「IF I STAY」)
(アメリカ/R・J・カトラー監督/クロエ・グレース・モレッツ、ミレイユ・イーノス、ジョシュア・レナード、他)
(メロドラマ度:★★★★☆)
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イフ・アイ・ステイ 愛が還る場所@ぴあ映画生活

キック・アス ジャスティス・フォーエバー

キック・アス ジャスティス・フォーエバー [Blu-ray]
コスプレ姿で戦う高校生と美少女暗殺者がコンビを組んで巨悪と戦うアクション映画の続編「キック・アス ジャスティス・フォーエバー」。あまりに血生臭くてドン引き。

キック・アスことデイヴとヒット・バールことミンディは、ヒーローの姿を捨て、ごくごく平凡な学園生活を送っていた。しかし卒業を間近に控え将来に悩むデイヴは、元ギャングで運動家のスターズ・アンド・ストライプ大佐の呼びかけで、世界初のヒーロー軍団“ジャスティス・フォーエバー”を結成し、街の平和を守ることを決意する。一方、普通の女の子として生きようとするミンディは、ヒット・ガールを封印していた。そこに、キック・アスに復讐を誓うレッド・ミストがマザー・ファッカーと名前を変え、悪党軍団を引き連れて姿を現す…。

通販で買ったコスチュームに身を包んだへっぽこヒーローと、父親から戦闘技術を叩き込まれた少女が、覆面を付けて、巨悪と戦うという異色アクション「キック・アス」は、大ヒットを記録した。何の特殊能力もない等身大ヒーローが街の人気ものになる展開もさることながら、まだ幼い少女ヒット・ガールが、その可愛らしいルックスとは真逆の悪態とバイオレンスアクションで悪をなぎ倒すギャップが大反響を呼んだ。「キック・アス」は今や売れっ子のクロエ・グレース・モレッツの出世作なのである。というわけで続編が作られ、パワーアップして登場したのだが、これがなんともノレない作りだ。序盤に登場するチンピラ退治や、因縁深いマザー・ファッカーとのバトルでは、流血と残酷シーンで思わず目を覆いたくなるし、キック・アスの恋愛も中途半端だ。ヒーロー軍団、悪党軍団ともにおかしなキャラのオンパレードだが、シリアスなのかコミカルなのかはっきりせず、モヤモヤ感だけが残ってしまう。せっかく出てきたジム・ジャリーもパッとしない有様だ。前作の突き抜け感がまったく感じられず、不満だらけの続編だが、見所がないわけではない。少し大人っぽくなったモレッツと平行して、ヒット・ガールもまたちょっぴり大人に。ティーン・エイジャーならではの悩みや不安を描いて、女子力がUPしている。もっとも、いじわるな美女グループに強烈なしっぺ返しをする場面は、まぎれもなくヒット・ガール。やっぱりファンはヒット・ガールの鮮やかな活躍を見たいのだ。
【50点】
(原題「KICK-ASS 2」)
(イギリス/ジェフ・ワドロウ監督/アーロン・テイラー=ジョンソン、クリストファー・ミンツ=プラッセ、クロエ・グレース・モレッツ、他)
(突き抜け度:★☆☆☆☆)
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キック・アス/ジャスティス・フォーエバー@ぴあ映画生活

キャリー

キャリー 2枚組ブルーレイ&DVD (初回生産限定)
いじめられっ子の復讐劇を描いた傑作ホラーのリメイク「キャリー」。オカルト・ホラーというより青春映画の様相。

高校生のキャリーは地味で内気な女の子。学校ではいじめられ、家では狂信的な母親に支配されて、不幸な毎日を送っていた。実は彼女は、激しい興奮状態に陥ると物を動かせる念動力という超能力を秘めていたが、母親はそれを悪魔の仕業と決め付けていた。ある日、同級生からのいじめ事件をきっかけに、女生徒のあこがれの的であるトミーとプロムのパーティに出席することになる。母親の反対を押し切り、手作りのドレスに身を包んだキャリーは幸福を感じるが、その裏では、キャリーに対する残酷ないたずらが計画されていた。全身に真っ赤な血を浴びたキャリーは怒りが頂点に達し、パーティ会場と町は、壮絶な惨劇へと向かうのだった…。

70年代のオカルトホラーブームの中でも大ヒットを記録した映画「キャリー」は、ブランアン・デ・パルマ監督による傑作ホラーだ。それを今、蘇らせる試みは、いじめというあまりにも現代的なテーマを考えると必至の出来事かもしれない。過去作との比較は避けられないが、デ・パルマ版のキャリー役シシー・スペイセクが、オドオドと鬱屈していて見ているこちらまでイライラさせられるほどのキャラだったのに対し、モレッツ版キャリーは、どうみても可愛く健康的。なぜこの子がいじめられっ子に?この子ならプロムに誘ってもよさそうなのでは? と疑問に思うほど愛らしい。ヒロインのルックスの良さはさておき、今回のキャリーは現代っ子らしく積極的だ。自分の持つ力におびえるだけでなく、ネットで超能力について詳細に調べ、図書館で本を読破し、同じような能力の仲間がいることを突き止めるという行動力が目を引く。もっともそれを活かす応用力はないので、やっぱりいじめられてしまうのだが。怖さや陰湿さではデ・パルマ版には及ばないものの、スクール・カーストの最下部に位置する若者の一発逆転の復讐劇である青春映画としてみると、爽快感さえ感じてしまう。他者とは違う自分を肯定し暴走はするもののやられっぱなしではないキャリーは、間違いなく21世紀の女の子なのだ。オリジナルを知る映画ファンには、母親に突き刺さる刃物や頭から浴びせられる豚の血など、繰り返されるモチーフを確認できる。さて、ラスト、公開当時、劇場内を阿鼻叫喚で包んだという有名なあのショックシーンは用意されているのか? それは見てのお楽しみだ。
【60点】
(原題「CARRIE」)
(アメリカ/キンバリー・ピアース監督/クロエ・グレース・モレッツ、ジュリアン・ムーア、ジュディー・グリア、他)
(現代性度:★★★★☆)
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キャリー@ぴあ映画生活

HICK-ルリ13歳の旅

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家出少女が旅の中でさまざまな出来事に遭遇するロードムービー「HICK-ルリ13歳の旅」。作品の出来はよくないが、クロエ・グレース・モレッツのファンにはお勧め。

アメリカ中西部ネブラスカの農村地帯に住む13歳のルリは、両親が立て続けに蒸発し一人取り残されてしまう。友達もいない孤独なルリは、こんな生活はもうイヤ!とばかり、夢のラスベガスを目指してヒッチハイクの旅に出た。まずは、足が悪い、流れ者の青年エディと出会い、車に乗せてもらう。最初は優しかったエディだが、彼の態度が少しずつ変化し、不安になったルリは口論の末に車を降りることに。次に出会ったセクシーな女性グレンダは、ルリを何かと気にかけてくれるが、グレンダの恋人の家でエディと再会すると、状況は一変する…。

今のハリウッドで最も期待の若手女優がクロエ・グレース・モレッツである。どこか影があり、いびつなキャラクターを演じさせたら天下一品の彼女が今回演じるのは、いなか者(HICK)の家出少女だ。ろくでなしの両親から見捨てられ、誕生日パーティでもらった本物の銃をバッグにしのばせて旅に出る。ロードムービーのセオリーで旅の途中で出会うさまざまな人々や出来事で大きく成長し…と言いたいところだが、そうはならないのだ。牧歌的なロードムービーとしてスタートし、淡い恋になりそうでならない出会いを経て、サイコ・スリラーもどきの物語へと、コロコロと変わるのだから、目がテンになる。ルリとかかわる青年エディは実はトンデモない正体を隠しているのだが、グレンダとの過去のからみもあって、悲劇的な結末を迎えることに。この物語の原作者アンドレア・ポーテスの体験に基づいているそうなので、文句も言いにくいが、映画として、話があまりにまとまりがない。ルリの内面を深く描くこともなく、時折挿入されるスケッチも活かし切れず、彼女の変化も感じられない。せめて回想形式ならば成長や変化、人生への影響が実感できたのだが。ジュリエット・ルイスやアレック・ボールドウィンなど、意外なほど豪華キャストが揃うが、結局は、少女として女優として成長途中のクロエ嬢の魅力だけで持っているような作品だ。これでいいの?!のラストも含め、13歳の日々がやがて人生の大きな分岐点になる時がいずれ来るのだという未来の暗示なのだろう。「運命に逆らってやる」「私には無限の可能性がある」と強く信じるその前向きさに、アメリカ特有の自立精神を見るしかない。
【40点】
(原題「HICK」)
(アメリカ/デリック・マルティーニ監督/クロエ・グレース・モレッツ、エディ・レッドメイン、ジュリエット・ルイス、他)
(成長途中度:★★★★☆)
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HICK ルリ13歳の旅@ぴあ映画生活

キリング・フィールズ 失踪地帯

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実在する犯罪多発地区を舞台にしたクライム・サスペンス「キリング・フィールズ 失踪地帯」。作品は地味だが、旬の俳優たちが豪華競演している。

テキサス州テキサスシティの殺人課の刑事マイクは、短気だが正義感が強い。NYから転属してきた相棒のブライアンは信心深く仕事熱心。そんな二人が担当するのは、少女失踪事件だ。懸命な捜査にもかかわらず手掛かりがつかめずにいたが、マイクの同僚で元妻が追う事件と彼らの事件が絡み合う。やがて新たに少女が犠牲になる事件が発生。さらに、ブライアンが気にかけ面倒を見ていた、保護観察中の少女アンが事件に巻き込まれてしまう…。

タイトルのキリング・フィールズとは、米国・テキサスに実在する犯罪多発地帯のこと。監督は、「インサイダー」や「ヒート」など、骨太の傑作で知られる巨匠マイケル・マンの実の娘アミ・カナーン・マンで、これが初長編監督作となる。ドライなタッチと重厚な演出は、徹底した作品世界構築で知られる父マイケル譲りだ。テキサスのさびれた田舎町や、湿地帯は、昼でもどこか薄暗く、そんな場所で暮らす少女たちが歌う縄跳び歌の歌詞は「油断するとゴブリン(鬼)に捕まるよ」と、何とも不気味。アンの母親は娼婦で、兄やその仲間も怪しげだ。母が商売をしている間はアンは家から追い出され、危険地帯をさまようしかない。犯人の目星が早々についてしまうことや、登場人物のキャラクター描写があいまいなこと、終盤に物語がバタバタと駆け足になることなど、不満はある。だが実際に60年前に起こった事件とは、このように矛盾をはらんだものだったのかもしれない。テキサスに実在する荒廃した犯罪多発地区の不穏な空気は、この暗いサスペンスの最大の持ち味になっている。「アバター」のサム・ワーシントン、「ツリー・オブ・ライフ」のジェシカ・チャスティンと、豪華なキャストが揃うが、何といっても、当時13歳だったクロエ・グレース・モレッツがいい。傷つきやすく、それでいてふてぶてしい表情が素晴らしく、作品毎にまったく違った顔を見せる彼女は多彩かつ多才。やはりただものではない。
【60点】
(原題「TEXAS KILLING FIELDS」)
(アメリカ/アミ・カナーン・マン監督/サム・ワーシントン、クロエ・グレース・モレッツ、ジェフリー・ディーン・モーガン、他)
(ダーク度:★★★★☆)
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