映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
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(点数は100点が、★は5つが満点)
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◎ 今週末の公開映画から オススメの1本! ◎
チリ他合作映画「ナチュラルウーマン」

ケイト・ブランシェット

映画レビュー「エリザベス:ゴールデン・エイジ」

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◆プチレビュー◆
エリザベス1世の心の葛藤を描く華麗な歴史劇。存在感のある演技を披露するブランシェットが魅力的だ。 【75点】

 16世紀末の英国。プロテスタントの女王エリザベス1世は、カトリックの強国スペインとの勢力争いの渦中にいた。国内外の陰謀が渦巻く中、エリザベスは新大陸から帰国した探検家ウォルター・ローリーに惹かれていく…。

 25歳で即位したエリザベスが、いかにして内憂外患を振り払いながら黄金時代(ゴールデン・エイジ)の礎を築いたか。前作から9年後の続編である本作は、本物の歴史建造物や華麗な衣装などで彩られた重厚な歴史劇だが、内容はラブストーリー寄りの人間ドラマの色合いが濃い。一人の人間としてのエリザベスの心の揺れをきめ細かく描いて、遠い中世英国の偉大な女王と、現代社会との共通項を探っている。

 時代は、カトリックVSプロテスタントの争いで大揺れだ。当時の弱小国英国のエリザベスは、女王に忠誠を誓うのなら信仰は自由という政教分離を謳う現代的な君主として描かれている。対するのはカトリック原理主義的なスペインのフェリペ2世。多くの観客が、スペイン王にイスラム原理主義の妄信を、エリザベスには寛容な自由の空気を感じるはずだ。欧州は、新大陸への野望にあふれ、勢力地図が流動的な大変革期である。命がけで生き抜くエリザベスは、大国スペイン相手にも大胆だった。

 フェリペ2世と対立した原因の一つに、英国がスペイン船への海賊行為を黙認したことがある。本作で女王の心をつかむのは、そんな海賊稼業も得意な冒険家ウォルター・ローリー卿だ。映画では、女王はストイックな姿で描かれるが、実際には何人かの愛人がいた。中でもローリーは豪放かつ知的で、実に魅力がある。詩人でもあった彼は、女王が歩く地面の水たまりに惜しげもなく自分のマントを置いてみせる、ちょっと粋な男だ。女はこういう行為に弱い。新世界を知る彼は、女王とは無縁の自由の香りがしたのだろう。それは彼女が“こうありたい”と願う姿だったに違いない。

 ローリーをめぐって侍女のベスと微妙な三角関係になるが、このときのケイト・ブランシェットの演技は必見だ。嫉妬や不安といった脆さを、気品を損なうことなく熱演。やっぱりこの女優は上手い。さらにブランシェット演じるエリザベスには、ローリーになりたいと憧れる反面、彼に素直に愛されるベスでもありたいと願う複雑な感情が透けて見えるのだ。女王の中には男女二人の人間がいて、それがどこか中性的なブランシェットの中でせめぎ合う。男の仕事である君主を務め、ジェンダーフリーの存在だったこと。これがエリザベスという名君を今も輝かせている理由ではないか。

 ままならぬ恋愛で小さくなりかけたドラマに物足りなさを感じる頃、絶妙なタイミングで無敵艦隊が攻めてくる。映画は、一気に壮大な歴史絵巻に突入し、中世の海原へ。世界史でお馴染みのアルマダの海戦が物語のクライマックスだ。絶対に不利だった英国艦隊の奇策には、まさしく歴史の風が吹く。私的な感情を封印し、君主の威厳を取り戻したエリザベス。勝負服である甲冑に身を包む女王に、もう迷いはない。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)絢爛豪華度:★★★★★

□2007年 イギリス映画 原題「ELIZABETH:THE GOLDEN AGE」
□監督:シェカール・カプール
□出演:ケイト・ブランシェット、ジェフリー・ラッシュ、クライヴ・オーウェン、他

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あるスキャンダルの覚え書き

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女の孤独を描いた上質の心理スリラー。好きなタイプの映画じゃないが、2大オスカー女優があまりに上手いので目が釘付けで、かなしばり状態だ。15歳の教え子と不倫関係にある若い女教師に近づくオールドミスの屈折した心を表現するデンチが迫力。ラストはまるでホラー映画並に怖い。
【80点】
(原題「NOTES ON A SCANDAL」)
(イギリス/リチャード・エアー監督/ジュディ・デンチ、ケイト・ブランシェット、ビル・ナイ、他)
(女は怖い度:★★★★☆)

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コーヒー&シガレッツ

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◆プチレビュー◆
まさに“おしゃれな映画”と形容したい。11編の中では「カリフォルニアのどこかで」と「いとこ同士」がお気に入り。

11本のオムニバス作品の共通のテーマは、タバコとコーヒー(時には紅茶)とさりげないおしゃべり。どこか居心地悪そうなロベルトとスティーブン。双子は変な店員に付きまとわれる。禁煙を破る勝手な説を唱えるイギーとトム。「問題なし」の押し問答や、ヘンテコな共鳴体の実験、カフェでバイト中のビル・マーレイ…。クセがあって、どこかかみ合わない会話が、多くの男女によってカフェで淡々と繰り返される。

モノクロ映像でつづる11編は“物語”と呼ぶのもためらわれるような、何気ないひとこまだ。特にオチがあるわけでもなく、教訓めいた含みがあるわけでもない。だが、これがオムニバスの名手のジム・ジャームッシュの手にかかると、何ともイイ感じにまとまってしまうから不思議。まったり、ゆったり、リラックス。カフェインとニコチン並みに、病みつきになる。

日本公開は05年だが、これらの作品はジャームッシュが18年かけて少しずつ撮り貯めていたもの。サイド・ワークとしてコツコツと築いてきた愛しい作品たちだ。中には世界の有名映画祭での受賞作もあり、短いながらにジャームッシュの美意識と実力が反映されている。ケイト・ブランシェットやアルフレッド・モリーナなど、出演俳優も豪華で、その俳優たちのほとんどが本人の役をやっているのが妙に笑える。

無関係なようでいて、11本がちょっとずつ係わりをもっていることや、過去の作品にも目配せしていることに、ファンならきっと気付くだろう。明確なストーリーらしきものがないので、時には退屈するかも。だが、このグルーヴ感がジャームッシュ独特の空気なのだ。人に勧めるのは難しい。でも自分さえこの映画の素晴らしさを堪能できればそれでいい。そんな身勝手な気持ちになるほど、最高に気に入っている。

□2004年 アメリカ映画  原題「Coffee & Cigarettes」
□監督:ジム・ジャームッシュ
□出演:ロベルト・ベニーニ、ケイト・ブランシェット、ビル・マーレイ、他

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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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