映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
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(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週末の公開映画から オススメの1本! ◎
英・仏合作映画「パディントン2」

ゲイリー・オールドマン

ロボコップ

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ポール・バーホーベン監督による大人気SFアクションのリメイク「ロボコップ」。語り部役のジャーナリストが一番アブない。

世界各地の軍備のロボット化が進む2028年。アメリカの巨大企業オムニコープ社は、ロボット・テクノロジーを牛耳ろうと画策していた。そんな時、デトロイトで愛する家族とともに暮らす勤勉な警官アレックス・マーフィーが、車の爆破に巻きこまれ、身体の大部分を再生不可能なほどに損傷してしまう。だがオムニコープ社の最先端のテクノロジーは、そんなアレックスを“ロボコップ”として再生する。驚異的な犯罪捜査能力を持って次々に凶悪犯罪を解決するロボコップに、世論はロボット擁護に傾いた。だが、アレックスは、失われていく記憶の中で、オムニコープ社の陰謀を知る…。

1987年製作の「ロボコップ」は低予算のカルト的SFアクションだが、バーホーベンの下世話な演出が功を奏して思いがけず大ヒット、2本の続編やTVシリーズも作られた人気作だった。その作品が第1作から約30年の時を経てリメイクされたのが本作。監督は熾烈なポリス・アクション「エリート・スクワッド」が世界中で高く評価されたブラジル人監督のジョゼ・パジーリャだ。ロボコップとなって蘇った主人公がその圧倒的な力で暴れまわることや、自分は人間なのか機械なのかとアイデンティティーを模索して苦悩するのは同じだが、バーホーベン風の確信犯的下品な演出は封印し、ビジュアルもアクションもスタイリッシュなSFアクションに仕上がっている。何しろ、全身ブラックのスーツと赤い光を放つフェイス・バイザーを身にまとったビジュアルがクールでいい。主役を演じるスウェーデン人俳優のジョエル・キナマンは少々地味なのだが、このルックスなら問答無用のヒーローだ。漆黒の大型バイクを駆る姿はさながらバッドマンのようだが、出演者にマイケル・キートンとゲイリー・オールドマンがいるところを見ると、狙った演出に違いない。オリジナルへの敬意を感じるのはバーホーベン映画を思わせる下品でブチ切れたキャラを演じるサミュエル・L・ジャクソンの存在だ。ロボットとオムニコープ社を露骨に支援する過激なジャーナリスト役はとびきりイカレていて、全編を貫くムチャな展開をブラック・ユーモアでしっかりと支えている。
【60点】
(原題「ROBOCOP」)
(アメリカ/ジョゼ・パジーリャ監督/ジョエル・キナマン、ゲイリー・オールドマン、マイケル・キートン、他)
(スタイリッシュ度:★★★★☆)
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映画レビュー「裏切りのサーカス」

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◆プチレビュー◆
地味だが渋く、複雑だが緻密な“大人仕様”のスパイ映画「裏切りのサーカス」。ゲイリー・オールドマンがいぶし銀の演技を見せる。 【70点】

 1980年代の東西冷戦下、英国諜報部“サーカス”の元スパイ、スマイリーは、新たな指令を受ける。それは組織の中枢に20年も潜入しているソ連の二重スパイを捜し始末せよ、というものだった。4人の幹部組織の男たちに標的を絞り、容疑者を洗い出していくスマイリーは、やがて意外な真実にたどり着く…。

 派手な銃撃戦に、最新鋭の武器、華麗な立ち回りと美女たち。英国諜報部のスパイというと、どうしても007が思い浮かぶため、ついつい華やかなイメージを抱いてしまう。だが、実際のスパイというのは、ずいぶん地味で勤勉である。神経をすり減らす情報戦の中、登場人物の誰もが疲労感たっぷりなのも頷ける。

 原作は、元・英国情報局MI6諜報員の経歴を持つ作家で、スパイ小説の大家ジョン・ル・カレの代表作「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」。彼がMI6在職中に、実際に起こった大事件を基にしているという。

 二重スパイ“モグラ”を探る初老の元幹部スマイリーが、容疑者と目星をつけたのは、組織幹部ティンカー(鍵師)、テイラー(仕立屋)、ソルジャー(兵士)、プアマン(貧者)。東西冷戦期は、情報こそが最大の武器で、そこに権力闘争がからみ、さらにその先には、男たちの野心と哀愁、悲しい愛と理想の影が浮かぶのだ。

 主人公スマイリーを演じるのは、英国の名優ゲイリー・オールドマンだ。悪役もこなせる彼は、かつてはロックスターのシド・ヴィシャスや吸血鬼ドラキュラを演じるなど、尖がった役を得意とした個性派である。その幅広い演技力はそのままに、本作では、不実な妻を愛し抜きながら、冷静な洞察力と静かな行動力で、二重スパイを洗い出す内向的な老スパイを演じ、見る者を魅了する。ほとんど表情を変えないこの主人公の、非情な世界で生きる決意と秘めた正義感が胸を打つ。

 70年代に名優アレック・ギネス主演で約5時間のTVシリーズになったこの物語は、登場人物が多く、設定もかなり複雑で、一度で細部まで理解するのは骨が折れる。物語は遅々として進まないが、一気に謎が氷解するクライマックスの演出が見事だ。シャンソンの名曲「ラ・メール」のメロディにのって、真相がくっきりと姿を現す。そこにはあまりに哀しいロマンスがあった。残ったのは涙の形の銃痕。これこそ大人のためにある渋いミステリーである。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)いぶし銀度:★★★★★

□2011年 英・仏・独合作映画 □原題「TINKER TAILOR SOLDIER SPY」
□監督:トーマス・アレフレッドソン
□出演:ゲイリー・オールドマン、コリン・ファース、マーク・ストロング、他
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レイン・フォール/雨の牙

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原作はベストセラーの人気シリーズだが、映画はチマチマしたサスペンスという印象だ。物語は、大都市・東京を舞台に、日系アメリカ人で凄腕の殺し屋ジョン・レインが政権汚職と国家間の陰謀に巻き込まれるハード・ボイルド・アクション。ニッポン勘違いや観光案内風な映像は皆無で、せっかくまともな日本描写なのに、物語がそれに応えてくれない。ITや人からの情報、武器の入手などの描写がこう乏しくては、本当に凄腕暗殺者で、本当に国家の危機なのかと疑いたくなる。特に終盤の雑な展開がいただけない。原作者は日本滞在歴も長いという元CIA工作員。なんでもない路地やさびれたアパートなど、どこか無国籍なムードが漂うカメラワークが面白かった。
【55点】
(原題「Rain Fall」)
(日本/マックス・マニックス監督/椎名桔平、長谷川京子、ゲイリー・オールドマン、他)
(迫力度:★★☆☆☆)

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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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