映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週末の公開映画から オススメの1本! ◎
チリ他合作映画「ナチュラルウーマン」

サム・ロックウェル

スリー・ビルボード

スリー・ビルボード
ミズーリ州の田舎町。数ヶ月前に何者かに娘を殺された女性ミルドレッドは、犯人がつかまらず警察の捜査が一向に進展しないことに腹を立て、3枚の巨大な看板に広告を出す。そこには警察署長ウィロビーへの非難の言葉が書かれていた。署長を敬愛するディクソン巡査のいやがらせや、町の人々からの抗議、一人息子からの反発を受けても、ミルドレッドはまったく引かないばかりか、ますます過激な行動で小さな町に波紋を広げていく。ミルドレッドが孤立無援に陥る中、事態は予想もしなかった方向へと動き出すのだが…。

田舎町に出現した3つの看板を巡り人々の思惑が交錯する物語「スリー・ビルボード」。娘を無残なレイプ殺人事件で失った母親が犯人逮捕を望んで過激な行動を起こすことが事件の発端だが、この物語は単純なサスペンスではない。看板を出した母親ミルドレッドは口も態度も悪く、時には法にも触れるような過激な行動を繰り返す。警察署長ウィロビーは知的で温和な人物で、事件こそ解決していないが真摯に捜査を続け町の人々から慕われている。ウィロビーを父のように慕うディクソン巡査は、暴力的な差別主義者な上、マザコンのダメ男なので、この愚か者が敵役なのかと思ったら、そうはならない。何より、犯人捜しがこの物語の主目的にはなっていないのだ。善悪では割り切れない型破りなキャラクターと、先が読めず、見るものの予想をどんどん裏切る展開に、思わず釘付けになる。

ではこの映画のテーマとは? それは“許すこと”である。人はなぜ憎み合い、いがみあうのか。そんな深淵な問いを、物語は、ブラック・ユーモアや滑稽さを交えて少しずつ解きほぐしていく。娘を守れなかった後悔と自分への怒りや孤独を全方位にぶつけるミルドレッドを演じるのは、名女優フランシス・マクドーマンド。大きな変化と成長を見せるキーパーソンのディクソンを演じるサム・ロックウェルや慈愛に満ちたウィロビー役のウディ・ハレルソンもベスト・パフォーマンスを披露している。監督・脚本は俊英のマーティン・マクドナー。一筋縄ではいかない群像劇を、怒りや憎しみから思いがけない方法で救い出すクレバーな演出は、目の肥えた映画ファンを虜にするだろう。クライム・サスペンスかと思わせておいて、見事なヒューマン・ドラマへと昇華する本作は、憎しみの連鎖を断ち切るひとつの答えを提示してくれる。柔らかな光が差すラストシーンに、極上の逸品を味わった時だけに感じる満足感を覚えた。
【90点】
(原題「Three Billboards Outside Ebbing, Missouri」)
(アメリカ/マーティン・マクドナー監督/フランシス・マクドーマンド、ウディ・ハレルソン、サム・ロックウェル、他)
(先読み不能度:★★★★★)


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バッド・バディ! 私と彼の暗殺デート

バッド・バディ! 私とカレの暗殺デート [Blu-ray]
なぜかダメ男とばかりつきあい失恋を繰り返す少し変わった女の子・マーサは、ある日、理想の男性フランシスと出会い、互いに運命的な恋に落ちる。だが彼の正体は、伝説の殺し屋で、しかも人殺しが許せず、依頼主を殺すという一風変わったヒットマン。おかげで彼は世界中の殺し屋やFBIから命を狙われていた。そんなフランシスと一緒にいるうちに、マーサの中で眠っていた暗殺能力が覚醒し、最強の殺し屋としての素質に目覚めていく…。

風変わりな女の子が伝説のヒットマンと恋に落ちたことから暗殺能力に目覚めていくアクション・ラブコメディ「バッド・バディ! 私と彼の暗殺デート」。うだつのあがらない主人公が実は凄腕で…というラブコメはどこかで見たような…と思ったら、快作「エージェント・ウルトラ」と同じ脚本家だった。どうりでまるで姉妹編のようなノリである。どこにでもいる、でもちょっぴり変わった女の子のマーサが凄腕の殺し屋として覚醒するという、ありえないドタバタ劇なのだが、これが予想外に楽しいのだ。笑わせるのは、フランシスがダンス好きの“踊る殺し屋”という点で、なるほど、相手の力を利用する格闘能力は、ダンスのよう。そんな彼を理想の男性と思ってしまうヒロインは、中身はピュアだが暴走気味の失恋女子で、ある意味、殺し屋よりアブナイ性格である。割れ鍋に綴じ蓋といったところだが、このカップルが実にキュートなのだ。そう見えるのは、演じるアナ・ケンドリックとサム・ロックウェルの好演があるからこそ。特に猫耳をつけたケンドリックの笑顔が可愛すぎる。ガール・ミーツ・ボーイならぬ、失恋女子・ミーツ・ヒットマン。ティム・ロスの怪演もひそかな見所だし、マーサの能力をフランシスが引き出すナイフのシークエンスは、痛快だ。クレイジーなのに笑えるというギャップが楽しい、憎めない1本である。
【60点】
(原題「MR.RIGHT」)
(アメリカ/パコ・カベサス監督/サム・ロックウェル、アナ・ケンドリック、ティム・ロス、他)
(クレイジー度:★★★★☆)
チケットぴあ

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セブン・サイコパス

セブン・サイコパス Blu-ray
悩める脚本家がクレイジーな事態に巻き込まれるクライム・サスペンス「セブン・サイコパス」。クセ者揃いの俳優の中でもウサギを抱っこしたトム・ウェイツが最高。

脚本家のマーティは新作映画「セブン・サイコパス」の脚本が進まずに悩んでいた。見かねた親友の俳優ビリーが、ネタ集めのために、マーティに無断で“サイコパス(イカレた奴)大募集”の広告を出す。やって来たのは、ウサギを抱えた正義の殺人犯。さらに、犬を溺愛するマフィアのボス、復讐を誓った非暴力のクエーカー教徒らが次々に現れる。気が付けばマーティの周りにはサイコパスだらけに。脚本のアイデアは溢れているものの、マーティは彼らが巻き起こす命がけのトラブルに翻弄されていく…。

監督のマーティン・マクドナーは劇作家出身。きっと彼自身も常にアイデアに詰まりながら傑作を生み出しているのだろう。本作は、筆が進まない脚本家がトラブルの連鎖に巻き込まれる物語。監督デビュー作「ヒットマン・レクイエム」で組んだコリン・ファレル演じる主人公マーティが巻き込まれる犯罪劇は、虚実が激しく錯綜して、トンデモない事態に陥る。何しろ7人ものサイコパスが手を変え品を変えて主人公を翻弄するのだから、イカレっぷりも一筋縄ではいかず、何が現実で何か空想なのかが曖昧になるという仕掛けだ。ジワジワと執拗に追い詰める心理戦があるかと思えば、流血の殺人にサラッといたるものまで、まったくもって先読み不能である。サイコパスをどう描けばいいのか分からず行き詰っていたマーティは、あっという間に過激なネタに囲まれるのだが、脚本の完成より生き延びる方が先決だ。静かな狂気をかもし出すクリストファー・ウォーケンの怪演が出色だが、個人的には疲れきった死神のような“正義の殺人犯・ザカリア”を演じたトム・ウェイツがイチおしだ。すべてが終わった後、ザカリアがマーティに言う「おまえ何だか変わったな」とのセリフが、脱力系の笑いを誘う。これは悩める脚本家の成長物語だったのか。それとも、壮大な人生訓か。いやいや、やっぱり映画愛からくる笑いと暴力の寓話に違いない。いずれにせよ、物語を作るとは、こんなにも大変なコトなのだ。豪華キャストがヘンテコな役を楽しそうに演じていて見ているこちらも愉快になる佳作だ。
【65点】
(原題「SEVEN PSYCHOPATHS」)
(イギリス/マーティン・マクドナー監督/コリン・ファレル、サム・ロックウェル、ウディ・ハレルソン、他)
(シニカル度:★★★★☆)
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セブン・サイコパス@ぴあ映画生活

月に囚われた男

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ひらめきを感じる映画で、最小限の素材で最大の効果を上げることに成功している。近未来。サムは、地球で必要なエネルギー源を採掘するために、たった一人で月の基地に滞在している。地球との直接通信はできず、話し相手は人工知能を持ったコンピューターのガーティだけという孤独な任務だ。会社からの契約期間は3年で、あと2週間で任務を終えて家族が待つ地球に帰ろうという時、頭痛や体調不良に襲われ、ついに基地の外で作業中に事故に遭ってしまう。なぜか基地の中の診療室で目覚めるサム。さらに、自分とガーティしかいないはずの基地内で自分そっくりの男に遭遇し驚愕する。これは幻覚なのか?

監督のダンカン・ジョーンズは、伝説的なロックスターであるデヴィッド・ボウイの息子である。音楽界ではなく映画の世界でこの人が発揮した才能は、親の七光りとは無縁の鋭い映像センスと独創性だ。それでも、どこか感覚を麻痺させるようなBGMや、モーツァルトの美しい楽曲の盛り込み方に、父譲りの音楽センスを感じてしまう。演技派のサム・ロックウェルが一人芝居という難役をこなせば、名優ケビン・スペイシーのベルベットのような美声が物語に深みを与える。頭痛や幻覚、幻聴をきたすほど孤独な任務は、主人公サムの精神を蝕んでいくが、確かに存在しているもう一人の自分とは会話も出来るし共に仕事も可能。ミステリアスな任務の実態が、サムの心象風景と共に解き明かされていくプロセスが、実に上手い。SF好きの人ならこの謎の正体は察しがつくはずだ。

SF映画の成功の鍵は、現在をどう拡大投影するかの技にある。ミッションの全貌を知ったサムの選択は、たとえどんな状況にあろうともアイデンティティーを守ろうとする本能は奪えないという決意だ。さらに企業の非情なまでの利潤追求の姿勢への痛烈な批判でもある。ハリウッドの大掛かりなSFとは明らかに違う手触りの小規模・低予算の映画だが、アメリカ映画を含めた名作SFへのオマージュが垣間見えて、監督のSFへの愛情が伝わってくるようだ。山椒は小粒でもピリリと辛い。サスペンスフルでありながら哀しくて優雅な英国映画の佳作だ。
【75点】
(原題「MOON」)
(イギリス/ダンカン・ジョーンズ監督/サム・ロックウェル、ケヴィン・スペイシー(声)、他)
(オリジナリティ度:★★★★☆)

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銀河ヒッチハイク・ガイド

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◆プチレビュー◆
名作へのオマージュがたっぷりで、映画好きにはたまらないだろう。「さようなら、今までたくさんのお魚をありがとう」。あぁ、冒頭のイルカの歌が耳にこびりついて離れない…。

太陽系の銀河バイパス建設のため、障害となる地球は、あっさりと爆破されて跡形もなくなる。ひょんなことから地球人最後の生き残りになってしまった平凡な英国青年アーサーは、15年来の友人だが実は異星人だったフォードとともに、大ベストセラーの「銀河ヒッチハイク・ガイド」を片手に広大な宇宙へと冒険の旅に出る…。

アメリカ映画ではあるが、テイストは完全にイギリスのそれだ。皮肉なユーモアと風刺に富んだ内容は、幻のSF小説と呼ばれた同名小説の映画化。全編、ナンセンスな設定だが、不思議と哲学的な内容にも思える。

常識では考えられないキャラクターは、銀河系で最も無責任な大統領や、うつ病を患うロボット、限りなくお役所的で融通が利かないヴォゴン星人など、数え切れない。昔、ロンドンのパーティで知り合ったもののフラれてしまった美女トリシアまで加わって、謎に満ちた「42」の真実を求めて波瀾万丈の旅が続く。

主役級の俳優は、ほとんど無名なのに、脇役はアラン・リックマンやジョン・マルコビッチなど超豪華。全世界が長年の悲願であった小説の映画化だけに、すみずみまで気合が入っている。ものすごく才能がある人たちが、超バカバカしいことに、大真面目に取り組むと、こんな愉快な映画が出来るのだ。大作ぞろいの2005年のSF映画群の中で、ひときわ輝いている1本だと思う。

□2005年 アメリカ映画 原題「THE HITCHHIKER'S GUIDE TO THE GALAXY」
□監督:ガーズ・ジェニングス
□出演:サム・ロックウェル、モス・デフ、ズーイー・デシャネル、他

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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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