映画通信シネマッシモ


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

サム・ワーシントン

ハイネケン誘拐の代償

ハイネケン誘拐の代償 [Blu-ray]
オランダで実際に起こった大富豪誘拐事件を描く「ハイネケン誘拐の代償」。レクター博士が人質じゃ、かなわない!

1983年、世界有数のビールメーカー、ハイネケンの経営者で大富豪のアルフレッド・ハイネケンが何者かに誘拐され、高額の身代金が要求される。警察は巨大組織による犯行と考えていたが、実際の犯人は犯罪経験のない幼なじみ5人の青年たちだった。計画は順調に思えたが、人質であるハイネケンの威圧的な態度に圧倒され、徐々に計画に狂いが生じ始める…。

1983年にオランダで実際に起こった大富豪誘拐事件の顛末を描く「ハイネケン誘拐の代償」。エミー賞受賞の犯罪ジャーナリスト、ピーター・R・デ・ブリーズのベストセラーを基に、実話を映画化した作品だが、身代金の行方など、今も多くの謎が残る事件なのだそうだ。事件の真偽はさておき、映画は、誘拐する側“素人集団”と誘拐される側“百戦錬磨の経営者”という対立の構図と、老獪な人質のペースに犯人が徐々に飲み込まれていく過程を重視している。何と言ってもハイネケンを演じるのはレクター博士ことアンソニー・ホプキンスなので、そこにいるだけで威圧されるのも無理はない。だが犯人と人質の息詰まる心理戦というほどの会話劇にはなっていない。むしろ、犯人グループ5人の奇妙な友情やわだかまり、犯罪に加担した負い目など、自滅に近い展開だ。印象に残るのは人質であるハイネケンが、犯人を素人の友人グループと見透かして言うセリフ。「裕福には二通りある。大金を手にするか、大勢の友人を持つかだ。両方はありえない」。これは自身の体験からの言葉だろうか。かけがえのない友情を手にしているのにそれに気付かない愚かな若者たちへの指針にも思える。やはり器が違うのだ。それにしても、エンドロールに流れる、その後の犯人グループの運命が興味深い。
【60点】
(原題「KIDNAPPING MR. HEINEKEN」)
(ベルギー・英・オランダ/ダニエル・アルフレッドソン監督/アンソニー・ホプキンス、ジム・スタージェス、サム・ワーシントン、他)
(心理戦度:★★☆☆☆)
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サボタージュ

サボタージュ [Blu-ray]
最強の麻薬取締局特殊部隊のメンバーが次々に消されていく謎を描くサスペンス・アクション「サボタージュ」。トラウマ持ちのシュワが新鮮だが、話に深みがない。

麻薬取締局の特殊部隊のリーダーで破壊屋の異名をとるジョンは、部下と共に麻薬カルテルのアジトへの奇襲を実行し、見事な作戦で制圧する。だが一味が隠していた1000万ドルが現場から忽然と消えてしまう。さらにそれ以降、部隊のメンバーがひとりまたひとりと惨殺されていく不可解な事件が発生。ジョンは地元の女性刑事と共に捜査に当たるが、犯人像もその目的も不明のままだった。ジョンが過去にかかわった犯罪の関係者が疑われるが、事件は思いもよらない展開を見せ始める…。

アーノルド・シュワルツェネッガーといえば、ハリウッドを代表するアクション俳優で、演じるのは問答無用のヒーローだった。だが本作で演じるキャラは、かなりダークである。最強の捜査官たちが犯罪組織の隠し金の一部を横領したりする悪徳もさることながら、過去に妻子が惨殺された事件が強烈なトラウマになっていて、今も主人公を苦しめているという設定は、シュワとしては珍しい役でちょっと新鮮だ。だが何しろ話にまとまりがない。消えた大金の行方、復讐、惨殺、チームの内部崩壊と疑心暗鬼。どれもが中途半場ではっきりしない。物語は、終盤に意外な展開を見せるが、なんでそういう行動に?!と首をかしげたくなる。しかも、そのタイミングで「金を取ったのは俺」って言われても。冒頭に主人公が見る拷問シーンや、敵とのバトルは、強烈なバイオレンス描写で、グロテスクと言ってもいいほど。サム・ワーシントンやテレンス・ハワードなど、キャストは悪くないのに、この残念な出来は何なんだ?!何ともB級臭い映画に仕上がってしまって、シュワの落日を思わせる哀愁が漂っていた。
【45点】
(原題「SABOTAGE」)
(アメリカ/デヴィッド・エアー監督/アーノルド・シュワルツェネッガー、サム・ワーシントン、テレンス・ハワード、他)
(B級映画度:★★★★☆)
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崖っぷちの男

崖っぷちの男 ブルーレイ+DVDセット [Blu-ray]崖っぷちの男 ブルーレイ+DVDセット [Blu-ray]
飛び降り自殺志願の男の意外な目的をノンストップで描くサスペンス「崖っぷちの男」。見終わった後の爽快感がいい。

NYの高層ビル・ルーズベルトホテルの窓枠に一人の男が立っている。飛び降り自殺志願のこの男ニックは、実は元刑事で、ダイヤモンド強奪事件の犯人として収監されていたが、脱獄、ある思惑を秘めてこの場所に立っていた。飛び降り自殺と聞いて、集まるマスコミや野次馬で道路は封鎖。ニックは、最近仕事に失敗した女性刑事リディアを交渉人に指名する。警察は自殺を思いとどまらせようと彼を説得するが、ニックの自殺騒ぎの裏側では、ある別の計画が進行していた…。

大作、インディーズを問わずひっぱりだこの売れっ子俳優サム・ワーシントンは、本当に高所恐怖症だそうで、実際にルーズベルトホテルの高さ60メートル、幅35センチの“崖っぷち”に立って演じたという。おかげでリアルな恐怖感がひしひしと伝わってくる前代未聞のサスペンスが出来上がった。物語は、自殺志願のニックと交渉人リディアの駆け引きと、ニックの弟とその恋人がニックの指示に従って実行するある計画とが同時進行するスリリングな構成だ。最初は経歴を隠し、少しずつ交渉人に知らせることによって、ニックが誠実な人物であることを分からせ、どうやら、ダイヤ強奪事件には裏があり、彼は濡れ衣を着せられているのだとわかるプロセスが上手い。裏側で進行するビル侵入計画も、小道具や爆発音、さりげない会話で説得力を持たせ、なかなか巧みだ。観客はいつしか、ニックの無実をはらし、彼を何としても助けたいと願うようになる。老獪な実業家でダイヤモンド王を演じるエド・ハリス、過去に交渉に失敗したことを悔いる女性刑事のエリザベス・バンクス、明るい性格の弟役のジェイミー・ベルなど、俳優たちは皆、好演。だが大胆にして綿密なこの計画、最後の最後の、肝心な部分が、ほとんど運まかせなのだ。そこを偶然に頼っていいのか?!と突っ込みたくなるが、それは言わぬが花。何しろ、奇抜なアイデアと手に汗握るアクション、貫かれる正義は、観客が最も望むストーリーなのだ。スカッとさせる後味は、正直、悪くない。この映画、製作段階でさまざまなトラブルを経てようやく完成にこぎつけた経緯があるが、おそらく最初は「高層ビルの窓の外に立つ男」というアイデア一発の企画だったのではあるまいか。だがそれを見事にアクション娯楽作に仕上げてしまうから、やっぱりハリウッドの映画人はしたたかだ。
【65点】
(原題「MAN ON A LEDGE」)
(アメリカ/アスガー・レス監督/サム・ワーシントン、エリザベス・バンクス、エド・ハリス、他)
(綿密度:★★★☆☆)
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キリング・フィールズ 失踪地帯

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実在する犯罪多発地区を舞台にしたクライム・サスペンス「キリング・フィールズ 失踪地帯」。作品は地味だが、旬の俳優たちが豪華競演している。

テキサス州テキサスシティの殺人課の刑事マイクは、短気だが正義感が強い。NYから転属してきた相棒のブライアンは信心深く仕事熱心。そんな二人が担当するのは、少女失踪事件だ。懸命な捜査にもかかわらず手掛かりがつかめずにいたが、マイクの同僚で元妻が追う事件と彼らの事件が絡み合う。やがて新たに少女が犠牲になる事件が発生。さらに、ブライアンが気にかけ面倒を見ていた、保護観察中の少女アンが事件に巻き込まれてしまう…。

タイトルのキリング・フィールズとは、米国・テキサスに実在する犯罪多発地帯のこと。監督は、「インサイダー」や「ヒート」など、骨太の傑作で知られる巨匠マイケル・マンの実の娘アミ・カナーン・マンで、これが初長編監督作となる。ドライなタッチと重厚な演出は、徹底した作品世界構築で知られる父マイケル譲りだ。テキサスのさびれた田舎町や、湿地帯は、昼でもどこか薄暗く、そんな場所で暮らす少女たちが歌う縄跳び歌の歌詞は「油断するとゴブリン(鬼)に捕まるよ」と、何とも不気味。アンの母親は娼婦で、兄やその仲間も怪しげだ。母が商売をしている間はアンは家から追い出され、危険地帯をさまようしかない。犯人の目星が早々についてしまうことや、登場人物のキャラクター描写があいまいなこと、終盤に物語がバタバタと駆け足になることなど、不満はある。だが実際に60年前に起こった事件とは、このように矛盾をはらんだものだったのかもしれない。テキサスに実在する荒廃した犯罪多発地区の不穏な空気は、この暗いサスペンスの最大の持ち味になっている。「アバター」のサム・ワーシントン、「ツリー・オブ・ライフ」のジェシカ・チャスティンと、豪華なキャストが揃うが、何といっても、当時13歳だったクロエ・グレース・モレッツがいい。傷つきやすく、それでいてふてぶてしい表情が素晴らしく、作品毎にまったく違った顔を見せる彼女は多彩かつ多才。やはりただものではない。
【60点】
(原題「TEXAS KILLING FIELDS」)
(アメリカ/アミ・カナーン・マン監督/サム・ワーシントン、クロエ・グレース・モレッツ、ジェフリー・ディーン・モーガン、他)
(ダーク度:★★★★☆)
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タイタンの逆襲

【初回限定生産】タイタンの戦い&タイタンの逆襲 ブルーレイ ツインパック(2枚組) [Blu-ray]【初回限定生産】タイタンの戦い&タイタンの逆襲 ブルーレイ ツインパック(2枚組) [Blu-ray]
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ギリシャ神話の世界を舞台に、前作から10年後を描くアクション超大作「タイタンの逆襲」。とにかく魔物がデカイのなんの!

魔物クラーケンを倒して英雄となってから10年後。神々の王ゼウスと人間の間に生まれたデミゴッド(半神)のペルセウスは、父ゼウスがその兄で冥界の王ハデスの策略で囚われの身となったことを知る。今や人間は神を敬わず、神々の力は弱体化。そのすきにタイタン(巨人)族が力をつけるが、中でもゼウスらの親であるタイタンの王クロノスが解き放たれれば、世界は終わりとなる。ハデスはクロノスと取引し、神々と人類は滅亡の危機に。ペルセウスは、海神ポセイドンの半神の息子アゲノルと、人間の女王アンドロメダと共に、ゼウスが囚われた冥界へと旅立つのだが…。

ギリシャ神話の英雄の冒険を描いた「タイタンの戦い」の続編にあたる本作は、主人公ペルセウスが、世界を救うため、懲りずに壮絶な戦いに身を投じる。前作同様、物語は単純で、手抜きと言ってもいいくらいのご都合主義だ。しかし、こういうお話はシンプルが一番で、いまさら欠点とはいえないだろう。半神のペルセウスを含め、神、人間、魔物が三つ巴で大暴れする話は、一見すさまじいスケールなのだが、落ち着いて考えると、家族同士の大喧嘩。案外小さい話なのだが、何しろ神だけに、そのケンカは、世界滅亡へとつながってしまうので迷惑な話ではある。ただし、映像は文句なしのド迫力だ。もともと2Dで撮ったものを3Dに変換した前作と違い、今回は最初から3D仕様。本気度マックスで描く魔物たちはとにかくデカい。空飛ぶ凶暴な双頭獣・キメラ、二刀流ならぬ四刀流で超高速の戦闘の鬼・マカイ、頭は牛で身体は人間の怪力・ミノタウロスらが暴れまくる。中でも、タイタンの王クロノスの巨大さといったらほとんどルール違反だ。全長500メートルのその巨体は神史上最大の破壊力。燃える溶岩流の塊のようなクロノスが破壊の限りをつくす映像は、スクリーンの大画面で見るにふさわしい。また、神さえも気が狂うという“タルタロスの迷宮”の奥行きと広がりには3Dの魅力がつまっていた。ひたすら肉弾戦を楽しむ、こんな“大暴れ映画”もまた、映画の醍醐味のひとつといえよう。
【55点】
(原題「WRATH OF THE TITANS」)
(アメリカ/ジョナサン・リーベスマン監督/サム・ワーシントン、レイフ・ファインズ、リーアム・ニーソン、他)
(ぶち壊し度:★★★★★)
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マンイーター

マンイーター アンレイテッド・バージョン [Blu-ray]マンイーター アンレイテッド・バージョン [Blu-ray]
世界遺産を舞台に巨大ワニが大暴れするモンスターパニック「マンイーター」。環境保護などのヘタなメッセージがないところが潔い。

旅行ライターのピートはオーストラリア北部にある国内屈指の観光地カカドゥ国立公園へ取材にやってくる。ガイドのケイトが操る小型船で、他の観光客と一緒に、人気のリバークルーズに出かけるが、突如水中から何かが現れ、船に激突、船体に穴を開ける。川の中央にある小島に何とか避難するが、船は沈没してしまう。水中にはなんと体長8mほどもある巨大で凶暴な人喰いワニの姿が。満潮になれば島は沈み、逃げ場がなくなる。ひとり、またひとりと貪欲な牙のえじきとなる中、乗客たちは必死で脱出をはかるのだが…。

かすかなさざ波の中、いきなり水牛に襲いかかる大ワニの映像に唖然呆然。ワニ映画にはずれなし!と、モンスターパニックによくあるキャッチを思いだす。しかも本作では、美しい世界遺産のカカドゥ国立公園が地獄の修羅場と化すからたまらない。野生化し知恵をつけたワニは巨大化し、人喰いモンスターへと変貌するが、ワニらしさは残っていて、ゆっくりと音もなく獲物に近付き、一瞬にして襲ったかと思ったらすでにその姿はない。これは怖い。船の中にいる人物は、浮かれ気分の観光客に、余命いくばくもない妻を含めた家族、カメラマニア、愛妻の遺灰をまくのが目的の初老の男性など。絶体絶命の状況は、精一杯の勇気を示すものや、恐怖で身動きできないもの、さらに自分だけ助かろうとエゴ丸出しのものなど、それぞれの性格を浮き彫りにすることに。だが巨大ワニにとっては、そんなことはどうでもいいことなのだ。自分のテリトリーに入ってくるものはすべて敵。大アゴで容赦なく喰い殺す様は、世界遺産の環境保護もへったくれもない。助かる道はワニのいる川を渡ってロープをはり、対岸にたどり着くことのみ。人間たちの決死の行動を、水中スレスレのワニの視線でとらえたカメラワークが効果的だ。2006年の作品が今頃日本公開されているのが不思議だが、おかげで「アバター」のサム・ワーシントンや「アリス・イン・ワンダーランド」のミア・ワシコウスカなど、今のハリウッドの若手売れっ子のブレイク前の姿が拝めるのが楽しい。
【50点】
(原題「ROGUE」)
(米・オーストラリア/グレッグ・マクリーン監督/ラダ・ミッチェル、マイケル・ヴァルタン、サム・ワーシントン、ミア・ワシコウスカ、他)
(ワニ目線度:★★★★☆)
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マンイーター@ぴあ映画生活

タイタンの戦い

タイタンの戦い Blu-ray & DVDセット(初回限定生産)タイタンの戦い Blu-ray & DVDセット(初回限定生産)
1981年の同名冒険映画を3Dでリメイクした作品だが、主人公が戦うモチベーションに違いがあるのが興味深い。ギリシャ神話の神が君臨していた時代。神々の王ゼウスの子として生まれながら人間として育った青年ペルセウスは、神の怒りを買ったアルゴス国と国民が滅ぼされるのを防ぐため、冥界の王ハデスと彼の手下の猛獣クラーケンを倒す旅に出る。ペルセウスとその一行の前には多くの困難が待ち受けるが…。

ギリシャ神話の英雄ペルセウスの物語では、既出の映画「パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々」が記憶に新しい。なぜか父が違うのが気になるがゼウスの息子であるとするのが一般的。だが親に反抗的なのはどちらも一緒だ。ギリシャの神々は非常に人間臭く、好き嫌いは激しいし、嫉妬深くて好色、おまけにノリやすくキレやすい。そんな彼らがみかじめる天上と人間界には多くの魔物がいるのだが、ほとんどが神々のとばっちりで生まれた鬼っ子だ。その代表がペルセウスの物語に必ず登場する魔女メドゥーサ。本作では神の側にも非があるとするスタンスだが、主人公の守護神イオがメドゥーサに同情的な発言をするのがその証拠だ。

オリジナルのペルセウスは神の子であることをあっさりと受け入れ、美しい王女アンドロメダを救うために戦う。だが本作では、育ての親を死に追いやったゼウスへの怒りと父子の確執が、戦うモチベーションにつながっていく。神の子として生きろと迫る父に逆らい、定められた運命に反抗し、人間として生きると言い張るペルセウスなのだが、神々が絶妙のタイミングで与えてくれた戦闘グッズを使ってピンチを切り抜ける展開は、お釈迦様の手の上で暴れる孫悟空の如しだ。とはいえ、自ら運命を切り開こうと奮闘する姿こそ21世紀の英雄像でもある。3Dの効果は期待したほどではなかったが、魔物クラーケンが現われる場面はさすがに圧巻だ。何より、特撮の名手レイ・ハリーハウゼンへのオマージュが感じられるところに好感が持てる。
【60点】
(原題「CLASH OF THE TITANS」)
(アメリカ/ルイ・レテリエ監督/サム・ワーシントン、リーアム・ニーソン、レイフ・ファインズ、他)
(アクション度:★★★★☆)

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映画レビュー「アバター」

アバター (ジェームズ・キャメロン 監督) [DVD]アバター (ジェームズ・キャメロン 監督) [DVD]
◆プチレビュー◆
深淵な世界観が見事なSF冒険物語。最新の3D技術で提供される美しい映像に思わず息を呑む。 【90点】

 22世紀。戦傷で下半身不随となった元海兵隊員のジェイクは、亡き兄に代わってアバター・プロジェクトに参加する。目的は、5光年離れた衛星パンドラに眠る貴重な鉱物を得るため、先住民を排除すること。分身“アバター”により、再び身体の自由を得たジェイクは、未知なる星パンドラで任務につくが…。

 「タイタニック」のジェームズ・キャメロンは、凝り性の完璧主義者として有名だ。彼はこの「アバター」の構想に14年、製作に4年を費やしたという。カメラやシステムすべてが新開発のデジタル3Dで撮影された驚愕の映像を見れば、それだけの時間を要したのが納得できる。従来の3D映画は前方に飛び出してビックリさせる見世物的要素が強かったが、本作の3Dは、奥行きと深みに主眼を置く。また、実写とCGを融合したパフォーマンス・キャプチャーをさらに進化させ、限りなく実写に接近するテクノロジーとして3Dを活用している。映像革命とのキャッチフレーズは、決して誇張ではないのだ。

 アバターとは、意識をリンクして得た分身のこと。パンドラは星全体が強い磁気を帯び、人類には有害な大気に包まれているため、そこで活動するには、人間と、パンドラに住む先住民ナヴィの遺伝子を組み合わせたアバターを遠隔操作せねばならない。本作は、車椅子の主人公が、アバターによって再び縦横無尽に駆け回るという設定がクレバーだ。これはそのまま、映画館の椅子に座る“身動きできない”観客が、スクリーンで味わう解放感にスライドしていく。

 SF、ファンタジー、アクション、ラブストーリーといったジャンルの垣根を超える壮大な物語の前半は、パンドラの幻想的な光景に目を奪われる。熱帯雨林のような大自然、多様で未知の生物たち、翼竜が空を飛び、山々は宙に浮かぶ。細部まで作りこまれたそれは、緻密に構築された新世界だ。特に、夜になるとあらゆる植物が、青やピンクに発光する神秘的な光景には、恍惚感を覚える。聖なる木の精が浮遊する様は、夢を見ているかのようだ。ナヴィを立ち退かせるため、部族の特徴や弱点を探るはずのジェイクが、パンドラそのものに魅了されていくのが頷けた。やがてジェイクは、自然と調和し独自の文化を育むナヴィに溶け込み、族長の娘ネイティリと恋に落ちる。しかし、後半はロマンティックなトーンは一変。ジェイクは、人間のエゴと自分の任務に苦悩した末に、ある決断を下すことに。終盤の壮絶な戦いには心を揺さぶられる。

 物語は、人として成長するジェイクの心の旅だが、その裏側には、先住民を排除して築かれたアメリカの罪や、今なお資源を求めて、民主主義の名を借りて他国で争いを続ける現政権への批判が透けて見える。異文化との共存や環境保護を訴えること自体に新味はないが、ここまで先端的で美しい映像で語られたら、そのメッセージは否が応でも力強く響く。加えて、アバターの理念には、もはや肉体ではなく意識そのものが生命の絆だとする、一種の不死観がにじんでいた。パンドラの中心である母なる存在“エイワ”は、すべての生物の記憶を蓄積する。ならば次世代に伝えるべき記憶こそが生の証となろう。まるで太古の樹木の年輪のように、幾重にも重なる記憶。この映画で私たちは、今の自分の存在意義を改めて自問せねばならない。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)映像美度:★★★★★

□2009年 アメリカ映画 原題「AVATAR」
□監督:ジェームズ・キャメロン
□出演:サム・ワーシントン、シガニー・ウィーバー、ゾーイ・サルダナ、他


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ターミネーター4

ターミネーター4 コレクターズ・エディション [DVD]ターミネーター4 コレクターズ・エディション [DVD]
これはSFというより、もはや戦争映画。それほど戦いは熾烈で未来は荒廃している。スーパーコンピューター“スカイネット”が支配する2018年の地球で、わずかに生き残った人類は、ジョン・コナーを指導者として機械と戦っていた。そこに謎の男マーカスが、カイルという少年を救うべくコナーのもとへとたどり着く。カイルは後にジョンの父となるのだが、母サラが残した予言のテープと現実との差異がジョンを動揺させる。未来から過去へと移行する旧シリーズとは違い、この1本だけを見れば時間移動はない。加えて、旧作では重要な役割を果たしてきた個性的なターミネーターもいない。そこにはただ残忍な殺人マシーンがいるだけだ。「ターミネーター」のタイトルは不要なのではと思うほどなのだが、それでもジョンが言う懐かしいキメ台詞やシュワルツェネッガーの驚きの特別出演にはワクワクする。

シリーズ4作目にして新生3部作の始まりである本作の魅力は新キャラのマーカスに尽きる。人間と機械の両方の哀しみを知る彼が、ジョンと人類のために払う犠牲は涙なくしては見られない。「私はジョン・コナー」と何度も繰り返す主人公は、マーカスの人間性に支えられ“自分自身”になったといえよう。複雑な時間軸と変化する過去や未来に、凝った世界観がある。そこに人類を助ける特別な存在がいたという事実が、このダークな物語の希望の光だ。
【70点】
(原題「TERMINATOR SALVATION」)
(アメリカ/マックG監督/クリスチャン・ベイル、サム・ワーシントン、アントン・イェルチン、他)
(救世主度:★★★☆☆)

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