映画通信シネマッシモ


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

サリー・ホーキンス

しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス

Maudie / [DVD] [Import]
カナダ東部の田舎町に住むモードは、絵を描くことが大好きな女性。厳格な叔母と暮らす息苦しい生活から抜け出すために、何とか自立しようと考えたモードは、魚の行商をしているエベレットの家で住み込みの家政婦として働き始める。リウマチのため足が不自由なモードと、幼い頃より養護施設で育った粗野なエベレットは、最初はぎくしゃくしたが、やがて心を通わせ、結婚することに。そんなある日、モードが描いた絵に才能を見出す女性が現れ、絵は瞬く間に評判を呼んでいく…。

カナダを代表する女性画家モード・ルイスの生涯を描いた伝記ドラマ「しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス」。絵を描くことが何よりも好きだったモード・ルイスは、フォーク・アート(土地固有の文化から生まれた素朴なアート)を代表する画家である。だが、アメリカ大統領から注文が入るほどの人気画家になっても、わずか4メートル四方の小さな家に住み、変わらない暮らしを続けた慎ましい人だった。描き続けたのは、人々の素朴な暮らし、愛らしい動物や美しい草花などで、日常に対する温かいまなざしは、そのまま作品のぬくもりとなっている。

映画は、モード・ルイスの伝記だが、彼女の画風や才能を伝えるだけでなく、互いに寄り添いながら生きた不器用な夫婦の物語として描いているところがいい。夫のエヴェレットは、無骨で保守的なところがあって、最初はどうにも好きになれないのだが、長い年月のうちにモードと彼女の絵の優しさがしみ込んだかのように、ゆっくりと温かい人物へと変化する。終盤、ある悲しい秘密を抱えたモードに対してみせる優しさといい、死の床にある妻への感謝の言葉といい、演じるイーサン・ホークの静かな演技が光った。モード・ルイスを演じるのは、サリー・ホーキンス。身体が不自由なこと、孤独なこと、内に秘めた優しさや強さを持つことなど、このヒロインはまるで「シェイプ・オブ・ウォーター」の主人公の分身のように見える。あどけないけど、不思議な色気もある、無垢な女性を演じきったサリー・ホーキンスの名演が心に残る佳作だ。
【65点】
(原題「MAUDIE」)
(カナダ、アイルランド/アシュリング・ウォルシュ監督/サリー・ホーキンス、イーサン・ホーク、カリ・マチェット、他)
(夫婦愛度:★★★★☆)


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シェイプ・オブ・ウォーター

シェイプ・オブ・ウォーター(オリジナル・サウンドトラック)
1962年、ソビエトとの冷戦時代のアメリカ。清掃員として政府の極秘研究所で働く口の不自由なイライザは、密かに運び込まれた不思議な生き物の姿を見て心を奪われる。孤独なイライザは、周囲の目を盗んで、アマゾンで神のように崇められていたという“彼”に会いに行き、手話や音楽、ダンスなどで彼とコミュニケーションをとる。やがて二人の心は通いあうが、威圧的な軍人ストリックランドは彼を虐待し実験の犠牲にしようとしていた。それを知ったイライザは、同僚のゼルダや隣人の画家ジャイルズらを巻き込み、彼を研究所から救出しようと試みる…。

不思議な生き物と孤独な女性との種族を超えたラブロマンス「シェイプ・オブ・ウォーター」。童話の人魚姫から、「シザー・ハンズ」「美女と野獣」に至るまで、私たちは種を超えたラブストーリーに常に魅了されてきた。本作もまたしかり。しかもこの作品はファンタジーや恋愛劇といったジャンルにはとうてい収まらない広がりと深みがある。「大アマゾンの半魚人」にオマージュを捧げたモンスター映画、冷戦下の政治サスペンス、さらにはマイノリティ讃歌のドラマなど、多面性を備え、時にミュージカルやバイオレンス、ユーモアをも織り込みながら、最終的には愛の寓話へと昇華していく。異形のものへの愛は「パンズ・ラビリンス」の頃と変わらない。本作はまさしくデロ・トロ映画というジャンルなのだ。

クリーチャーは言うまでもなく、口がきけないイライザ、黒人の同僚ゼルダ、同性愛者のジャイルズなど、登場人物のほとんどは社会からはみだしたアウトサイダーばかり。彼らが緻密かつ大胆な作戦で“正義”を行う後半は一級のサスペンスで、愛の逃避行の行く先は、予想をはるかに超えた幻想譚だった。せりふがない難役を熱演するサリー・ホーキンスと、残忍な軍人の狂気を体現したマイケル・シャノンの名演は見るものの心をつかんで離さないだろう。ロマンチックな音楽や、水をイメージした流麗な映像も秀逸で心に残る。種や美醜を超えて響いてくる妖艶なラブ・ファンタジーは、アメリカが最も不安におびえていた冷戦時代が背景なのに、驚くほど現代社会を射抜いている。天才ギレルモ・デル・トロの特別な芸術作品だ。
【95点】
(原題「THE SHAPE OF WATER」)
(アメリカ/ギレルモ・デル・トロ監督/サリー・ホーキンス、オクタヴィア・スペンサー、リチャード・ジェンキンス、他)
(ファンタジー度:★★★★☆)


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ブルージャスミン

ブルージャスミン [Blu-ray]
セレブから転落したヒロインが精神を病む悲喜劇「ブルージャスミン」。ケイト・ブランシェットのなりきり演技がすごすぎる!

ジャスミンは資産家の夫とNYでセレブ生活を送っていたが、結婚生活も資産もすべて失い、サンフランシスコに住む妹ジンジャーの家に身を寄せる。庶民的な妹とは対照的にセレブ気分が抜けないジャスミンは、慣れない生活と仕事で次第に精神のバランスを崩していく。そんな時、あるパーティで裕福な独身男性ドワイトと出会い、彼こそが自分をもう一度上流階級に引き戻してくれると信じ込んだジャスミンは、虚栄と現実逃避から自分の身の上について嘘をついてしまう…。

1年1本の新作をコンスタントに作る巨匠ウディ・アレン。本作は、近年の、ちょっぴり能天気なラブ・コメから一転し、転落人生の中でもがく主人公をシビアに描いている。過去の栄光にすがり精神を病むヒロインの物語と言えば「サンセット大通り」や「欲望という名の電車」がすぐに思い浮かぶが、本作のケイト・ブランシェットの鬼気迫る演技は、グロリア・スワンソンやヴィヴィアン・リーと肩を並べるほどの熱演で、観客は圧倒されるはずだ。無一文のくせにブランドものに身を包み、華やかなセレブ・ライフが忘れられないヒロイン・ジャスミンの行動は、すべてがちぐはぐで、その言動はあまりにイタい。だが本人は真剣そのもので、そこがまたイタい笑いを誘うのだ。自分のことしか考えないヒロインの悲劇を、どこかコミカルに描いてしまうのがいかにもアレンらしい。さらに、ジャスミンが暮らしていた、優雅だがモラルに欠ける上流階級も、妹が所属する、現実的だが品位に欠ける庶民階級も、両方を冷徹に観察し、そのイヤらしい部分をシニカルな会話で描くのもアレン流だ。悲惨さと滑稽さが同居する難役をケイト・ブランシェットがさすがの演技力で演じていて、オスカー受賞も納得の熱演。名曲「ブルー・ムーン」のメロディが忘れがたい余韻を残してくれる人間ドラマだ。
【80点】
(原題「BLUE JASMINE」)
(アメリカ/ウディ・アレン監督/ケイト・ブランシェット、サリー・ホーキンス、ピーター・サースガード、他)
(虚栄心度:★★★★★)
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