映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週末の公開映画から オススメの1本! ◎
チリ他合作映画「ナチュラルウーマン」

シアーシャ・ローナン

ブルックリン

ブルックリン 2枚組ブルーレイ&DVD(初回生産限定) [Blu-ray]
1950年代。アイルランドの小さな町で暮らすエイリッシュは、ニューヨークへ渡米することを決める。内気な妹を心配し将来を案じた姉のすすめだった。だが大都会ニューヨークは静かなアイルランドとはあまりに違う世界。エイリッシュは、高級デパートの仕事にも慣れず、激しいホームシックに陥ってしまう。そんな彼女を心配した同郷の神父のすすめで大学の会計士コースを受講するようになったことと、パーティーで知り合ったイタリア系の青年トニーと恋に落ちたことで、エイリッシュは少しずつ前向きになり、洗練されていく。そんな時、アイルランドから悲報が届き、帰郷することになるが、そこには、もうひとつの幸せな人生があった…。

アイルランド移民のヒロインがとまどいながらも美しく成長していくドラマ「ブルックリン」。1950年代の女性の話だが、故郷を離れ、新しい人生を切り開くヒロインの生き様は、現代でも十分共感を得ることができる。穏やかだが閉塞的なアイルランド、多様性を許し努力次第でなりたいものになれるニューヨーク。ステレオタイプの田舎と都会の描き方に思えるが、実はそうではない。エイリッシュは、学ぶことの喜びと誠実な青年トニーとの恋で、みるみる前向きになり美しく変わっていく。それは間違いなくニューヨークの力だが、姉の死という悲報を受けて帰郷したアイルランドでも、恋と仕事が存在する。この映画の個性は、50年代という保守的な時代を背景にしながら、ヒロインに選択権があるということなのだ。実際、エイリッシュがどちらの国、どちらの恋を選ぶのかは、サスペンスのようなドキドキ感がある。だからこそ、彼女自身が強い意志で選択する未来に、大きな希望を感じるのだ。子役から活躍するシアーシャ・ローナンの繊細な演技が素晴らしい。シャイで泣いてばかりいたエイリッシュが、生き生きと洗練されていく変化のプロセス、さらには、ニューヨークのエネルギーを知ったからこそ分かるアイルランドの素朴な美しさを実感する場面など、言葉ではなく仕草や表情で情感豊かに演じ分け、引きこまれる。映画全編に、アイルランドのナショナルカラーである緑が効果的に使われているのが印象的だ。故郷を離れるときに来ている濃い緑色のコート、トニーと一緒に海水浴に行くときの鮮やかなグリーンの水着。終盤に壁にもたれてまっすぐに前を向くエイリッシュが着ているのは、ナチュラルな緑色のカーディガン。アイルランド魂を忘れずに生きる意志の象徴に思えた。
【80点】
(原題「BROOKLYN」)
(アイルランド・イギリス・カナダ/ジョン・クローリー監督/シアーシャ・ローナン、ジュリー・ウォルターズ、ドーナル・グリーソン、他)
(成長物語度:★★★★★)
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ブルックリン|映画情報のぴあ映画生活

わたしは生きていける

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思春期の少女が終末的戦争の時代で成長を遂げる「わたしは生きていける」。サバイバル・アクションやヒーローものではなく、切ない青春ラブ・ストーリーだ。

複雑な家庭環境で育った16歳のデイジーは、初対面の従兄弟たちとひと夏を過ごすため、NYからロンドン郊外の田舎へとやってくる。最初は何かと反抗的なデイジーだったが、人なつこく純真な従兄弟たちと生活するうちに、頑なな心がほぐれていき、長兄のエディと初めての恋に落ちる。そんなある日、ロンドンで核爆発が発生し、第三次世界大戦が勃発する。軍による戒厳令が敷かれ、デイジーたちは離れ離れになってしまう…。

メグ・ローゾフのベストセラー小説の映画化だが、核爆発による世界戦争の中、16歳のヒロインのサバイバルが始まる。だが彼女は、特別な能力もないし、選ばれしものでもない。ましてや世界を救うヒーローでもない。離れ離れになった恋人と再会するため、ひたすら自然の中を歩く普通の女の子なのだ。思春期のデイジーは最初は見ているこちらがイラつくほど横柄で反抗的。だが、恋を知り、自分より年下の子供に頼られ、何より自分の身は自分で守ると決めてからは、少しずつ、でも確実に成長していく。デイジーが歩く丘陵や森の緑や光などの自然描写が美しければ美しいほど、戦争の悲劇や人間の醜さがより際立ち、世界の素晴らしさと残酷さを同時に感じさせてくれる映像に魅了される。寂しげなのに芯の強さを感じさせる表情のシアーシャ・ローナンがヒロインを演じるが、ティーンエイジャーならではの繊細さ、力強さを見事に演じていて素晴らしい。特に絶望的な世界を通過してたどりついたその場所で希望を見出そうとする姿は感動的だ。「ブラック・セプテンバー」でオスカーを受賞したケヴィン・マクドナルド監督は、社会派のイメージが強いが、山岳映画や伝記映画など手がけるジャンルは多彩にして硬派。青春映画で、少女の心の移ろいをこんなにも繊細に描ける監督だったとは、うれしい驚きだ。
【70点】
(原題「HOW I LIVE NOW」)
(英/ケヴィン・マクドナルド監督/シアーシャ・ローナン、ジョージ・マッケイ、トム・ホランド、他)
(成長度:★★★★☆)
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ビザンチウム

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人間からも吸血鬼からも疎まれる女性ヴァンパイアの運命を描く「ビザンチウム」。永遠の思春期を生きるヒロインのはかなさが印象的だ。

英国の港町に流れ着いた16歳の少女エレノアと8歳年上のクララ。二人は200年以上もひそかに生き永らえてきたヴァンパイアの母娘だ。二人は“ビザンチウム”という名のホテルで暮らしはじめる。難病で余命わずかな孤独な青年フランクと知り合ったエレノアは恋に落ちるが、それはヴァンパイアの掟にそむく行為だった。自分たちの秘密をフランクに話したエレノアに、クララは、彼を殺すしかないと言い放つが、一方で、エレノアとクララの二人には、遠い過去からの追跡者が迫っていた…。

ニール・ジョーダン監督がヴァンパイアを描くのは「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」以来のことだ。永遠の命に苦しむヴァンパイアと人間の恋というホラー・ファンタジーにして禁断のラブ・ストーリーは、実はフェミニズム映画でもある。19世紀初頭、クララはまだ少女だった頃に、悪い男に騙され娼婦に身を堕とすが、ある時、機転で謎の地図を奪い、孤島での儀式を経てヴァンパイアになった。実はこのヴァンパイア集団は秘密組織で、その同盟には男しか入会できないというルールが。この差別的な設定はありそうでなかったもので、妙に新鮮である。女の身でヴァンパイアになったクララは最下層として虐げられ、やがて組織から追われる身になる。人間からは異形として恐れられ、同属のヴァンパイアからは女だからと虐げられる。クララが生に執着するのは女としての精一杯の抵抗でもあるのだ。一方、クララは自分の子であるエレノアにも秘密裏に儀式を受けさせ、逃避行を続けながら、母娘で永遠の時を生きている。だがエレノアそんな自分自身の存在に良心の呵責を感じているのだ。だからこそ、掟を破ってまで、フランクに自分の物語を語ってしまう。彼女の罪悪感は、鋭い牙で血を吸うのではなく、親指の爪で余命わずかな人間の喉をそっと切り「私がすることを許して」といいながら血をすする描写からも見て取れる。人間以上に繊細で傷つきやすい少女の恋の行く末は、意外な方向へ。そこには切ない愛と、はかない希望が待っている。ビザンチウムの点滅する黄色いネオン、灰色によどんだ浜辺、漆黒の闇と鮮血の儀式。現実と幻想を織り交ぜた、ニール・ジョーダンらしいスタイリッシュな映像が見所だ。
【65点】
(原題「BYZANTIUM」)
(英・アイルランド/ニール・ジョーダン監督/シアーシャ・ローナン、ジェマ・アータートン、サム・ライリー、他)
(女性映画度:★★★★☆)
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ビザンチウム@ぴあ映画生活

ハンナ

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愛らしい少女が恐るべきリーサル・ウェポンという設定は魅力的。キャストはいいのだが、根本的な設定があいまいでディテールが甘い。

フィンランドの山奥で、元CIAの父親から徹底した戦闘能力や語学、教養を叩き込まれた少女ハンナ。16歳になった彼女はついに父の元を離れ、初めて外の世界へと旅立つ。彼女の目的は、父の同僚であったCIA捜査官マリッサを殺すことだったが、強敵マリッサはハンナが行く先々で追っ手を差し向ける…。

「つぐない」のジョー・ライト監督が、バイオレンス・アクションを撮る。文芸ものが得意な監督なので、かなり意外なのだが、本作は全編にグリム童話への目配せがあり、広義での文学系と言えなくもない。ハンナの出生にはある衝撃的な秘密があり、それは科学と軍事力をからませた恐ろしい企てのなれの果てだ。だが、ハンナを助け育てる父親の立ち位置がはっきりしない。闘わせたいのか、守りたいのか、いったいハンナにどうなってほしいのかが、あいまいなのだ。一方で、芸達者なケイト・ブランシェット演じる悪役マリッサは、なかなか強烈なキャラで“悪い魔女”のイメージをしっかり連想させて面白い。流血しながらの歯磨きには、思わず笑いさえ出る。ハンナとマリッサは、まるで相似形のように似ていて、もしや二人には血のつながりが…と勝手に想像をふくらませたが、その“凡庸な”予想はあっさりとはずれ、童話の世界そのもののような場所でクライマックスを迎える。その対決は、さしずめ、森ガールVS悪い魔女で、妙にハラハラさせられた。ハンナが心臓を狙うことに固執するのが興味深い。童話とは本来残酷なものだということをふと思い起こさせる。
【55点】
(原題「HANNA」)
(アメリカ/ジョー・ライト監督/シアーシャ・ローナン、エリック・バナ、ケイト・ブランシェット、他)
(アクション度:★★★☆☆)



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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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