映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる映画 ◎
「ジャスティス・リーグ」「火花」「ギフテッド」「光」etc.

シャルロット・ゲンズブール

サンバ

サンバ [Blu-ray]
移民問題を独特のユーモアで活写するヒューマン・ドラマ「サンバ」。「最強のふたり」的なほのぼのより、辛辣さが目立つ。

アフリカからフランスに来て10年になる料理人見習いのサンバは、うっかりビザの更新を怠ってしまい、国外退去を命じられてしまう。職場を追われたサンバは、窮地を打開するため移民支援協会を訪れ、燃え尽き症候群となり大企業を休職中のボランティアのアリスと出会う。厳しい状況でも明るく希望を失わないサンバの周囲には、面倒見のいい陽気なブラジル移民ウィルソンや破天荒な法学生マニュなど、個性的な人々が集まってくる…。

スマッシュ・ヒットを記録した「最強のふたり」の監督と主演の2人が再びタッグを組むと聞いて、いわゆる“イイお話”を期待してしまうと、ちょっと肩すかしをクラう。主人公サンバを演じるオマール・シーの笑顔は魅力的だが、さまざまな問題をはらむ移民問題がテーマだけに、リアルでシビアな側面もあり、ほのぼのばかりもしていられないのだ。そもそもビザのうっかり失効は本人の自業自得だし、ビザなし金なし住所なしでは、法も味方してくれないのも当然だろう。それでもサンバをいつしか応援してしまうのは、自分の方が悲惨な状況なのに、大企業の仕事に疲れ切って精神的にマイッているアリスを「元気?」と気遣ったりする、本能的な優しさがあるからだ。ふだんはボーッとしているのにキレやすい中年女性を演じるシャルロット・ゲンズブールが新鮮だが、問題がある者同士、次第に惹かれ合っていくという展開は、ちょっと安易な気がする。そもそも移民問題と、燃え尽き症候群は、まったく別問題ではないのか? なんだか中途半端な印象が否めない作品だが、ともすれば社会派に傾きがちなテーマを、あえて軽く仕上げた個性は評価したい。
【55点】
(原題「SAMBA」)
(フランス/エリック・トレダノ、オリヴィエ・ナカシュ監督/オマール・シー、シャルロット・ゲンズブール、タハール・ラヒム、他)
(楽観性度:★★★★☆)
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サンバ@ぴあ映画生活

パパの木

パパの木 [DVD]
大木に家族の再生を託した「パパの木」。シャルロット・ゲンズブールはいくつになっても少女のように魅力的だ。

仲睦まじい夫婦ドーンとピーターは、豪州の片田舎で暮らしながら4人の子を育てていた。だがピーターがある日突然、心臓発作で亡くなってしまう。庭の大きなイチジクの大木に父親の魂を感じた8歳の娘シモーンは、父親は木の中で生きていると信じていた。失意のあまり日常生活さえままならなかった母親のドーンも、木に語りかけることで落ち着きを取り戻し、やがて自分で働き口を探してくる。だがシモーンは、雇い主のジョージと親密になった母を許せない。やがて庭の大木が意思を持つかのように一家にトラブルを巻き起こす。激しい嵐の日、とうとう事件が起きるのだが…。

オーストラリアの豊かな大自然の中でもひときわ美しいイチジクの木。そこに大好きだったパパの魂が宿っていると、幼いシモーンが信じるのも頷けるほど、その大木の存在感は際立っている。娘と母親は木によって父の死というショックから癒されたかに見えたが、その木は、残された家族に次々に選択を強いる。庭から隣家にはびこりトラブルを起こしたり、排水溝をつまらせたり、ついには大木の古い枝を折って、ドーンの寝室を直撃。一歩間違えば、ホラー映画のようで、母が新しい恋をする“女”であることにシモーンが反発したように、亡き父親の執念が木に宿っているかに見えてしまう。突然の死も、自然が引き起こす大災害も、人間の理解の範疇を超え、誰のせいにもできないこと。自分たちでそれらに折り合いを付けるしかないと、その木は諭しているのだ。これは一家の大黒柱を失って途方にくれる家族の失意と再生の物語だが、一本の大木が一家を見守り、叱咤し、新しい未来へと目を向けさせる、そんなファンタジーでもある。ただ、不安定な母親の心理や、父と娘の特別な絆は、あっさりと描かれるだけで、人間描写は物足りないので、物語に深く共感するのが難しい。それでもあどけなさと大人びた表情が混在する幼いシモーンを演じたモルガナ・デイビスちゃんの自然な演技や、シャルロット・ゲンズブールの少女のような魅力には引きこまれる。何より、悲しみを超えてそれぞれの未来に向き合う家族を描いたこの小品には、優しさがあふれている。
【55点】
(原題「THE TREE」)
(仏・豪/ジュリー・ベルトゥチェリ監督/シャルロット・ゲンズブール、マートン・ソーカス、モルガナ・デイヴィス、他)
(スピリチュアル度:★★★★☆)
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パパの木@ぴあ映画生活

メランコリア

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ラース・フォン・トリアーが描く美しくもユニークな終末映画「メランコリア」。冒頭8分間の、プロローグの映像美に酔いしれる。

ジャスティンは、姉クレアとその夫ジョンが所有する大邸宅で盛大な結婚披露宴をあげていた。だが、幸せなはずの彼女は激しく情緒不安定で、常軌を逸した行動を繰り返す。披露宴を取り仕切る姉夫妻はそんな妹を気遣う。同じ頃、巨大惑星メランコリアが地球に異常接近していた…。

ラース・フォン・トリアー監督は自ら「私は鬱(ウツ)だった」と告白していて、この映画は、一種の“体験談”だそうだ。幸せな結婚も、順調な仕事も、優しい家族も、いや、この世界そのものさえも、鬱を患う人にとってはすべてが厭わしいのだろうか。少なくともこの映画のヒロインの一人ジャスティンはそうだ。幸福の絶頂にあるはずなのに、式に遅刻、途中で抜け出し、居眠りしながら入浴、他の男とセックスする。延々と待たされる大勢の来賓と豪華なパーティは、白々しく、客の不協和音は激しくなるばかり。ただごとではない雰囲気は、巨大惑星メランコリア衝突の不安と重なっていく。SFの終焉映画なら今までも何度も見た。ただこのトリアー作品の個性は、世界の終わりを特別なことではなく日常の延長線上に置いたことと、惑星が接近するにつれ、姉のクレアが不安を増し、逆に妹のジャスティンが平穏を得るという風に対比させたことだ。最も恐れていることを心のどこかで待ち望む矛盾が、姉妹に投影されている。全編に流れるワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」の優雅なメロディや、絵画のようにシュールで美しい構図は、まさにアートと呼ぶにふさわしい。破壊的にもかかわらず、不思議な幸福感に包まれるラストもまた、印象に残る。もっとも話そのものはミもフタもない上に、2部構成で冗長。技巧的な語り口は面白いが、作品の評価は激しく分かれそうだ。
【65点】
(原題「MELANCHOLIA」)
(デンマーク・スウェーデン・仏・独・伊/ラース・フォン・トリアー監督/キルスティン・ダンスト、シャルロット・ゲンズブール 、キーファー・サザーランド、他)
(映像美度:★★★★★)
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メランコリア@ぴあ映画生活

アンチクライスト

アンチクライスト [DVD]アンチクライスト [DVD]
ほぼ二人芝居のこの物語は、自ら“うつを患った”と公言するラース・フォン・トリアー監督が、物議を醸すことを目的にしたかのような問題作だ。子供を失った夫婦が“地獄と化した楽園”からさえも追放される運命を、章立ての構成で冷徹に描いていく。愛し合っている最中に、幼い息子を事故で失くした夫婦。悲しみと自責の念から妻は精神を病んでしまい、セラピストの夫はなんとか妻を救おうと、「エデン」と名付けた森の中の山小屋にこもって心理療法を試みる…。

ハイスピード・カメラで撮られた冒頭のモノクロのシークエンスの、なんと美しいことだろう。だがその美しさゆえに、その後の地獄が際立って、見るものの神経を逆なでするから、上手いというより狡猾である。本来、セラピーは家族が行なうものではないとされていて、深く愛するがゆえに客観性を欠くというのがその理由なのだそう。子供を亡くしたのは妻も夫も同じなのだが、夫は自分ならば妻を救えると思っている。まずここに罪深い“傲慢”がある。だがなぜ妻だけが常軌を逸してしまうのか。自責の念や後悔は夫婦に共通だが、妻の心の奥底に眠っていたダークサイドが最愛の息子の死というショックによって目覚めてしまったと考えられる。屋根裏にあった妻の書きかけの論文は、魔女や拷問について考察した異様なもので、冒頭にサブリミナル・ショットのように一瞬映る歪んだ女の顔こそは、彼女のもうひとつの顔なのだ。夫の治療がますます妻の容態を悪化させ、完全に狂気を孕んだ妻の行動は、夫だけでなく自分自身をも痛めつけるもの。日本では映倫があるため、ショッキングなシーンにはぼかしが入るのだが、それでも、夫の足にドリルで穴をあけたり、女性器を切断するなどの、あきれるほど凄惨な“アクション”は、十分に見ていて痛い。エデンという楽園からの追放は、壮絶で衝撃的な結末を迎える。夫婦が愛し合う大木から伸びる無数の手、山にたたずむ夫の周囲の、大勢の顔の無い女たち。象徴性を持つ3種の獣。いったいどれほどの寓意が込められているのか、もはや計り知れないが、そこにあるのは間違いなく絶望だ。夫婦が再起を賭けたエデンに神はいなかった。神の不在をもって神を肯定するラース・フォン・トリアーのアンチテーゼは、放り出すかのようにあっけなく終わる。好き嫌いが激しく分かれそうな作品だが、正真正銘の問題作であるのは間違いない。
【60点】
(原題「ANTICHRIST」)
(デンマーク・独・仏他/ラース・フォン・トリアー監督/シャルロット・ゲンズブール/ウィレム・デフォー、他)
(壮絶度:★★★★★)


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アンチクライスト@ぴあ映画生活

恋愛睡眠のすすめ

恋愛睡眠のすすめ スペシャル・エディション [DVD]恋愛睡眠のすすめ スペシャル・エディション [DVD]
映像派のゴンドリーらしく、ファンタジックな物語にポップな映像、派手ではないが印象的で摩訶不思議な特撮でおくる恋愛物語。主人公は夢の中で恋の成就を願うが…。好みが分かれそうな作品だが私は好きだ。ロシア・アニメ風の映像が特に気に入っている。
【75点】
(原題「THE SCIENCE OF SLEEP/LA SCIENCE DES REVES」)
(フランス・イタリア/ミシェル・ゴンドリー監督/ガエル・ガルシア・ベルナル、シャルロット・ゲンズブール、アラン・シャバ、他)
(特撮のセンス度:★★★★)

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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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