映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる映画 ◎
「カフェ・ソサエティ」「ノーエスケイプ」「追憶」「赤毛のアン」etc.

ショーン・ペン

ザ・ガンマン

ザ・ガンマン [Blu-ray]
元特殊部隊の凄腕スナイパーのジムは、アフリカのコンゴで鉱山利権に絡む極秘の大臣暗殺作戦に参加し、完璧に任務を遂行する。だがジムはその後、愛する恋人アニーも何もかも捨てて姿を消した。血塗られた過去を贖うようにひっそりと暮らしていたジムだったが、数年後、何者かに命を狙われる。コンゴでの暗殺作戦に参加したかつての仲間たちが次々に殺されていることを知ったジムは、敵の正体を突き止め、生き残るために過去と向き合い、再び銃を手に取るのだが…。

過去を捨てたスナイパーが命を狙われたことで再び戦いに身を投じていくサスペンス・アクション「ザ・ガンマン」。昨今、演技派と言われる俳優が、中年(老年?)を迎えて、アクションに挑戦する姿をよく目にする。「96時間」シリーズのリーアム・ニーソンしかり、「キングスマン」のコリン・ファースしかり。お次は、50代半ばの名優ショーン・ペン。しかも監督は「96時間」のピエール・モレルときた。これはひょっとしたら…と期待したのだが、かなり残念な出来栄えである。繊細な心理描写や苦悩する表情が十八番のペンは製作にも名を連ねているが、彼がまずミスキャスト。派手な銃撃戦の中、小柄な体をはって頑張っているのは認める。ある意味、本作最大の見せ場ともいえる、筋肉ムキムキのペンがあまりにも違和感満載だ。役作りなのだろうが、ステロイドという言葉しか頭に浮かばないルックスでは、見ているこちらが困ってしまう。ストーリーの詳細は明かさないが、政治的陰謀や恋愛と、散漫になってしまって、アクション映画の魅力であるカタルシスをほとんど感じないのだ。相変わらず狂気じみた悪役がハマッているハビエル・バルデムや実力派のイドリス・エルバ、レイ・ウィンストンといった贅沢なキャストを揃えながら、この内容ではあまりに悲しい。ポスタービジュアルがまんま96時間なのだから、あれくらいのムチャぶりと爽快感を狙うべきだろう。「96時間」の面白さとリーアム・ニーソンの素晴らしさを再認識して、ため息をついてしまった。
【40点】
(原題「THE GUNMAN」)
(米・西・英・仏/ピエール・モレル監督/ショーン・ペン、イドリス・エルバ、ハビエル・バルデム、他)
(マッチョ度:★★★★☆)
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ザ・ガンマン@ぴあ映画生活

LIFE!

LIFE!/ライフ 2枚組ブルーレイ&DVD (初回生産限定) [Blu-ray]
空想癖のある平凡な男が思いがけず冒険の旅に出るヒューマン・ドラマ「LIFE!」。一番の冒険は自分の可能性を知ることかもしれない。

雑誌「LIFE」の写真管理部で働くウォルターは、地味な仕事をコツコツとこなす真面目だが不器用な男。奥手の彼は同僚の女性シェリルに思いを伝えることもできない。そんな彼の唯一の特技は現実逃避のため空想をすることだった。ある日、廃刊が決まった「LIFE」の最終号の表紙に使う写真のネガがないことに気付いたウォルターは、ネガを持っているであろう著名な冒険家でカメラマンのショーンを探す旅に出る。NYで代わり映えのしない毎日を送っていたウォルターは、グリーンランド、アイスランド、ヒマラヤと、奇想天外な旅で、人生を変える体験を続けていく…。

原作はジェームズ・サーバーによる名短編小説で、かつてダニー・ケイ主演で「虹を掴む男」として映画化された。本作はそのリメイクだがかなり現代的になっている。地味で臆病な主人公が、冒険によって成長し、意中の女性をゲットする。ストーリーの骨格は、手垢がついたものなのだが、それでもこの映画は、何とも憎めない。暗くて狭いオフィスと北極圏のワイルドな風景との対比や、携帯さえ持たない伝説のカメラマンの手掛かりを探すミステリアスな展開、さらには空想の世界へとスイッチが入った時の主人公のヒーローぶりなど、演出には、細かな工夫とユーモアが仕込まれている。離陸するヘリコプターに飛び乗ったその瞬間こそ冒険のスタートだが、主人公は、荒れ狂う海に飛びこんだり、噴火する火山から逃げたりと、命懸けの体験を積み重ねて、自分自身を解放し、自らの可能性に気付く。ちょっと都合が良すぎる展開はあるものの、あきらめかけていた人生を見つめ直し、主人公の内面がポジティブに変化するプロセスは見ていて心地良い。ストーリーの端々に出てくる出会い系サイトの担当者とのやりとりが笑いを誘うが、彼とのからみにも上手いオチをつけている。旅や冒険は人を変える。だがこの物語の核心は、どんなに平凡でつまらないと思える人間にも、ちゃんと役割があって必要としてくれる誰かがいるという、日常に軸足を置いた真実なのだ。名優ショーン・ペンがついに登場する場面には心踊るが、ペン演じるカメラマンが表紙にと用意した写真の中身には静かな感動が用意されている。伝統ある雑誌がなくなりネット配信になる設定はインターネットでグローバル化した世界を象徴するが、パソコンの世界ではなく、自らの足で世界を見てほしいとのメッセージもまた、見逃せない。
【65点】
(原題「THE SECRET LIFE OF WALTER MITTY」)
(アメリカ/ベン・スティラー監督/ベン・スティラー、ショーン・ペン、クリステン・ウィグ、他)
(冒険度:★★★★☆)
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LIFE!@ぴあ映画生活

L.A.ギャングストーリー

L.A.ギャングストーリー ブルーレイ&DVDセット(初回限定生産) [Blu-ray]
ロス市警の極秘チームと大物ギャングの“仁義なき戦い”を描く「L.A.ギャングストーリー」。暴力には暴力をという発想がアメリカらしい。

1949年のロサンゼルス(L.A.)。巨大犯罪組織のボス、ミッキー・コーエンは、警察や政治家までも支配下に置き、麻薬、銃、売春とあらゆる悪事で町を牛耳っていた。長年コーエンの犯罪を見過ごしてきたロス市警は、ついに彼の支配に終止符を打つため立ち上がる。ジョン・オマラ巡査部長をはじめ、少数精鋭6人による最強部隊を組織し、警察官の身分を隠して、時には犯罪者顔負けの違法手段を用いてコーエンとその組織を追い詰めていくが…。

ギャング映画には数多くの傑作があるが、共通するのはクールでスタイリッシュなこと。そのために一番重要なのはキャスティングだ。本作ではジョシュ・ブローリン、ライアン・ゴズリングら旬の俳優たちに、オスカー俳優ショーン・ペンをぶつけて、激渋の雰囲気を醸し出している。大物ギャング、ミッキー・コーエンを倒したL.A.市警の極秘チーム“ギャングスター・スクワッド”のメンバーは、正義感はあるが警察内部のはぐれ者ばかり。コーエンとの戦いに勝っても身分を隠した彼らに賞賛はない。それでも戦うからこそ男の美学が際立つのだ。警察官であることを捨てて戦う彼らはギャング顔負けに荒っぽい。劇中、コーエンが「L.A.という街はメキシコ人が先住民から奪い、さらに白人が奪った。今度は俺が奪う」と豪語する。この台詞が極めてアメリカ的で、結局、今のアメリカにある正義も腐敗も、血まみれの歴史の上に成り立っているということだ。コーエンを演じるショーン・ペンの怪演はさすがの迫力で、クライマックスにはオマラとの殴り合いという無駄なサービスまで用意されている。監督がオフビートなコメディを作ってきたルーベン・フライシャーというのが少し意外だが、ここでは得意の笑いは封印し、実録ギャング映画をアクション・エンターテインメントとして仕上げている。ちなみにコーエンが逮捕された後の裏社会の混乱を描いたのが映画「L.A.コンフィデンシャル」。こちらはフィクションだが、続けて見ると面白いだろう。警察とギャングの癒着と死闘に終わりなどないのだ。
【70点】
(原題「GANGSTER SQUAD」)
(アメリカ/ルーベン・フライシャー監督/ジョシュ・ブローリン、ライアン・ゴズリング、ショーン・ペン、他)
(クール度:★★★★☆)
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L.A. ギャング ストーリー@ぴあ映画生活

きっと ここが帰る場所

きっと ここが帰る場所 [DVD]きっと ここが帰る場所 [DVD]
ショーン・ペンの怪演と意外性たっぷりのストーリーで綴るロードムービー「きっと ここが帰る場所」。パオロ・ソレンティーノ監督、ただものではない。

アイルランド・ダブリンの豪邸で、妻と共にひっそりと暮らす元ロック・スターのシャイアンは、30年以上音信不通の父の危篤の報を受けアメリカへ渡る。臨終には間に合わなかったが、ホロコーストを生き延びたユダヤ人の父が、元ナチス親衛隊員のランゲを探すことに、生涯をかけて執念を燃やしていたことを知る。シャイアンは、わずかな手掛かりを頼りに、ランゲを探してアメリカ横断の旅に出るのだが…。

「“これ”とは言えないけど、何かがヘンだ」が口癖のシャイアンは、引退したロック界の元スーパースターだ。長い間音楽からは遠ざかっているが、株で大儲けしながら豪邸で静かに過ごし、ごく限られた親しい人だけと接しながら、自分の世界で暮らす、初老の引きこもりである。彼の風体は、ゴス・ファッションに、ボサボサの逆毛、濃いアイラインに真っ赤な口紅という異様なもの。中身はいえば、どこか大人になりきれないアンバランスな人間なのだ。こんなつかみどころがない元ロック・スターが、広大なアメリカ大陸の原風景の中を、ゴロゴロとキャリーバッグを引きずりながら、ナチの残党狩りに赴くなどというストーリーを思いつくだけでも、天才的だと感心してしまう。監督のパオロ・ソレンティーノは、ショーン・ペンがカンヌ映画祭で審査委員長を務めた時に“発見した”逸材だが、なるほど、この浮遊感といい、オリジナリティといい、ただものではない。計算された構図の映像や音楽のセンスの良さ、オスカー俳優ショーン・ペンを見事に変身させただけでなく、実力派の名優たちを絶妙に使うキャスティングにも驚かされる。ミステリアスな人探しの旅と、とぼけたエピソードの数々を通して描くのは、父と子の時空を超えた和解。さらには、自分自身に向き合うことだ。シャイアンのハイセンスな復讐と、ラストにみせる素顔の穏やかさには、完全にヤラれてしまった。タイトルはトーキング・ヘッズの名曲から。デヴィッド・バーンのライブが挿入されるというあまりに贅沢な演出には、映画ファンと共に音楽ファンも驚くだろう。類まれな物語とキャラクターの個性に魅了されるオフビートな復讐劇。久しぶりに、新鮮な驚きを感じる映画だった。
【85点】
(原題「THIS MUST BE THE PLACE」)
(伊・仏・アイルランド/パオロ・ソレンティーノ監督/ショーン・ペン、フランシス・マクドーマンド、ジャド・ハーシュ、他)
(オフビート度:★★★★☆)
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フェア・ゲーム

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イラク戦争の舞台裏とCIA諜報員の実情を分かりやすく描くポリティカル・スリラー「フェア・ゲーム」。政治ドラマであり、夫婦愛の物語でもある。

CIA秘密諜報員のヴァレリー・プレイムは、捜査の結果、イラクには核開発計画はないと政府に報告する。だが、ブッシュ政権は報告を無視し、2003年、ついにイラクに宣戦布告した。夫で元ニジェール大使のジョー・ウィルソンは真実を世間に公表するために、NYタイムズに記事を寄稿するが、夫妻はアメリカ政府の激しい報復に遭う。ヴァレリーは、CIAの秘密諜報員であることを公表され、スパイの二重生活を送っていた彼女は世間から非難を浴びて孤立無援に陥る…。

映画の中のスパイは、国家に尽くし感謝されているが、実際の諜報活動員とは、こんなにも無慈悲に国家から裏切られるものなのか。ヴァレリー・プライスは、実在の優秀な諜報員で、イラク戦争を最後まで阻止しようと奮闘した正義感の強い人物だ。だがブッシュ政権は、イラクと開戦するためには、ねつ造してでも理由が必要だった。今では、大量破壊兵器はなかったというのは周知の事実だが、この映画で描くのは、真実を述べたがために国家から報復され、事実上抹殺されかかった諜報員の苦難の日々だ。巨大な権力と歴史のうねりに翻弄されるヒロインの物語は、政治ドラマとして単純化されているが、「ボーン」シリーズのダグ・リーマン監督の演出は、スリリングでテンポがよく、分かりやすい。政府の思惑やスパイたちの立場を描く一方で、幼い双子の母親であり妻でもある女性が、巨大な権力に対して、懸命に闘う姿を描く。一度は意見が対立した夫との絆を取り戻すシーンは、無駄に“泣きが入る”演出は避け、静かだが強い夫婦愛が伝わってきて感動的だ。理不尽極まりない実話だが、夫婦の絆が正義への戦いの原動力だったという位置づけが救いである。国家からスケープゴートにされながら、家族のために果敢に闘うヒロインを、ナオミ・ワッツが熱演。エンドロールに登場するヴァレリー本人に、敬意を表したい。
【65点】
(原題「FAIR GAME」)
(アメリカ/ダグ・リーマン監督/ナオミ・ワッツ、ショーン・ペン、サム・シェパード、他)
(スリリング度:★★★★☆)



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フェア・ゲーム@ぴあ映画生活

映画レビュー「ツリー・オブ・ライフ」

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◆プチレビュー◆
伝説の監督テレンス・マリックの世界観が炸裂する映像詩。家族とその存在意義を地球の起源まで遡って問いかける。 【70点】

 1950年代のテキサス。オブライエン家の両親と3人の兄弟は、慎ましくも幸せに暮らしていた。だが、長男ジャックは、力こそすべてと考え世俗的な成功を求める厳格な父と、自然を愛し子供たちに精一杯の愛情を注ぐ優しい母の狭間で葛藤し、次第に父への反感を募らせていく。やがて大人になり“成功”したジャックは、深い喪失感の中で、少年時代に思いを巡らせるのだが…。

 人間を大自然の中の一部としてとらえるのは、寡作の映像作家テレンス・マリックの一貫したヴィジョンだ。本作では、家族や信仰、あるいは生と死の意味を、地球や生命の誕生という宇宙的な空間にまで遡って、検証しようと試みる。この実験的なスタイルに唐突感は否めないものの、圧倒的な映像美に包まれれば、いつしかマリックの心象風景に同化していく自分がいた。

 物語の軸となるのは、父と息子の葛藤という、アメリカ映画が繰り返し取り上げてきた深いテーマだ。そこに、ジャックが抱える、父親の音楽の才能と母親の優しい感受性を受け継いだ弟への複雑な感情が混じる。その弟の早すぎた死は、ジャックに生涯消えない絶望感をもたらすのだが、中年期になった彼の記憶の海では、父も母も弟たちも穏やかに存在していた。その場所こそ、過去から未来へと命の絆を受け継ぐ“約束の地”なのだ。

 悩み、迷いながら生きていくしかない人間を見つめるカメラワークは、まさに神の視点。ブラッド・ピットとショーン・ペンという2大スターを得た本作は、決して分かりやすい物語ではない。キューブリックの「2001年宇宙の旅」にも似て、哲学的な物語とめくるめく映像美の間に、生きるとは何かという問いが封じ込められている。混迷する現代に生きる観客それぞれの心の中に浮かび上がってくるのは、その問いの答えではなく、より良い人間でありたいという祈りなのかもしれない。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)映像美度:★★★★☆

□2011年 アメリカ映画 原題「THE TREE OF LIFE」
□監督:テレンス・マリック
□出演:ブラッド・ピット、ショーン・ペン、ジェシカ・チャスティン、他


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ツリー・オブ・ライフ@ぴあ映画生活

ミルク

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この映画のショーン・ペンは、今まで見たことがないほど可愛らしくて繊細だ。彼は時に過剰なほど凄味のある演技が持ち味だが、軽さや愛嬌がこの俳優をとても魅力的にすると知った。70年代のサンフランシスコで、同性愛であることを公表しながら公職に就き、真正面から政治活動を行なったハーヴィー・ミルクの半生を描く物語は、彼の遺書作りから始まり、やがてくる悲劇へ向かって一歩一歩近づくように進行する。

男同士のラブシーンに最初はとまどうかもしれないが、人生を楽しむミルクの快活な姿や、自由とは他者との違いを認めることという信念で活動する強い意志、時に命の危険にさらされながらも決してひるまない彼の勇気が、見るものにポジティブな感動をもたらしてくれる。そんなミルクの人となりを、久しぶりに王道の映画作りで、丁寧に分かりやすく描いたガス・ヴァン・サント。てらいのない演出は、より多くの人にこの映画を届けたいという決意の表れだ。偏見と戦ったマイノリティを描いたこの作品の訴求力は、初の黒人大統領が誕生した今、決して小さくないだろう。
【75点】
(原題「MILK」)
(アメリカ/ガス・ヴァン・サント監督/ショーン・ペン、エミール・ハーシュ、ジョシュ・ブローリン、他)
(変革度:★★★★☆)

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イントゥ・ザ・ワイルド

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若者が欲するピュアな孤独を描いた秀作。大学卒業と同時に家族や金銭、車を捨てて、真の自由を求めてアラスカの荒野を目指す青年クリスが、彷徨の果てに悲劇的な最期を迎えるまでを静かにつづる。一歩間違えば甘ったれた青年のドジな物語なのだが、若さとはいつも必要以上に純粋なもの。主人公は自然そのものに精神の自由を見た。ただ、文明を否定する彼が、日記や写真という記録を残す行為で文明化されたのは皮肉に思える。ストイックな視点と苦味が強く超低温な演出が監督ショーン・ペンの持ち味だ。これは彼の理想で、今も追い求めているスピリッツなのだろう。
【75点】
(原題「INTO THE WILD」)
(アメリカ/ショーン・ペン監督/エミール・ハーシュ、マーシャ・ゲイ・ハーデン、ウィリアム・ハート、他)
(映像美度:★★★★☆)

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オール・ザ・キングスメン

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たたきあげの熱血政治家が権力を手にした途端に汚職にまみれる辛口政治ドラマ。オスカー受賞の名作のリメイクで、実力派俳優揃いだが、出来はいまいち。全ての敗因はショーン・ペンのオーバーアクションにある。オリジナル映画を知るきっかけとしてはいい。
【30点】
(原題「All the King's Men 」)
(アメリカ/スティーヴン・ゼイリアン監督/ショーン・ペン、ジュード・ロウ、ケイト・ウィンスレット、他)
(無駄に豪華キャスト度:★★★★☆)

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ミスティック・リバー

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◆プチレビュー◆
悪役が似合うK.ベーコンを刑事役に据えたのがおもしろい。巧みな演出は素晴らしいが、何しろ後味が悪いのが難点。

小さな食料品店を営むジミーの娘が惨殺される。事件をきっかけに、幼なじみの3人の男が25年ぶりに再会することに。ジミーは被害者の父、デイブは容疑者、さらにショーンは刑事として。彼らは、幼い頃、路上で見知らぬ男たちに声をかけられ、デイブ一人が連れ去られて性的暴行を受けるという過去を共有していた…。

クリント・イーストウッドが監督した作品は、これで24本目。そんなにあったのかと正直驚いているが、彼が“出演しない”作品となると、本作を含めて4本しかない。圧倒的に自分が出演してしまう俳優監督で、その最高峰はオスカーにも輝いた「許されざる者」だ。一方、彼が出ない作品としては、本作が間違いなく最上のものになるだろうと確信する。

少年期の性的暴行に直接的な描写はない。ショーン・ペン演じるジミーが犯罪の世界に身を置いていた過去もストレートには描かれない。暴力を直に描写しないことで、かえって残虐性を際立たせる老練な演出だ。ミステリーの形をとってはいるが、イーストウッド監督は、犯人探しよりも3人の男たちの人間ドラマに焦点をあてている。彼らの心の奥に付けられた古い傷跡が新たな悲劇を生みだすのがやりきれない。

マッチョでアクション派スターのイーストウッドだが、彼の出演作で評価が高いものを見ると善悪を併せ持つキャラクターが多いことに気付く。勧善懲悪を好むアメリカ映画の中では異色なのだ。それは、彼がセルジオ・レオーネ監督により俳優として飛躍したことと無関係ではない。このイタリア人の寡作監督は、常に悪の中の善、善の中の悪を描き続けた。イーストウッドのスター性と、暗くよどんだ複雑な物語。アンバランスさもこの映画の大きな魅力だ。

意外な犯人と、新たに生まれた悲劇の衝撃。悲痛な思いがラストにじわりと広がり、消せない染みとなる。そこで観客ははじめて、脇役かと思われていた二人の女性、家族思いのジミーの妻と、脆い精神を持つデイブの妻が重要な役割であることを発見するだろう。男性中心のイーストウッド作品で、新しい試みのようで目を引いた。3人の男性キャストは、いずれも実力派揃い。それぞれの役を取り替えても、興味深いものになりそうだ。この映画の完成度は、深い人間ドラマと共に、キャストのアンサンブルの勝利でもある。

□2003年 アメリカ映画  原題「Mystic River」
□監督:クリント・イーストウッド
□出演:ショーン・ペン、ティム・ロビンス、ケビン・ベーコン、他

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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
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新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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