映画通信シネマッシモ


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

ショーン・ペン

アイ・アム・サム

I am Sam/アイ・アム・サム [DVD]I am Sam/アイ・アム・サム [DVD]
◆プチレビュー◆
あまり似てない父娘だが、一緒にいるだけで幸せそう。実際はこんなに甘くない事は十分に承知だが、それでも二人を応援したくなる。

7歳の知能しか持たない知的障害者サムは、コーヒーショップで働きながら一人娘のルーシーを懸命に育てている。しかし、福祉局から親としての養育能力がないと判断され、ルーシーは施設で保護されることに。一緒に暮らしたい。ただそれだけを願うサムは、愛する娘を取り戻すため、裁判で闘うことを決意する…。

この映画は評価が分かれるだろう。批判的な意見が多いだろうことも簡単に想像がつく。知的障害、親子愛、無理やりひきさかれる展開に裁判と泣かせどころが満載なのも、見る人によってはあざといと感じるに違いない。父娘を演じる役者が上手すぎることも逆効果。物語を現実にあてはめると“こんなに上手くいくわけがない!”。

このテの映画の評価を分ける一番大きな要因は、観る人の映画に対するスタンスで、映画に現実を投影するか、夢を映し出すかの違い。同じ作品を観るのにも、そのときの自分の年齢や置かれた状況、社会情勢などによって全く感じ方が違ったりするし、当日の気持ちのコンディションにもよるところが大きい。

サムをとりまく人々はいい人ばかりだが、実は結構欠点もあり悩みを抱える普通の人。泣けることばかりが評判のこの作品の隠れたウリである笑いに気付かせてくれる。ミシェル・ファイファーのキレっぷりやサムの仲間の障害者グループのやりとりなど、遠慮せずに笑ってみよう。映画ネタも満載で、マニアックなファンサービスもある。ビートルズナンバーは全編に渡って重要な役割だ。

いつも一緒にいたいと純粋に願う親子と、仕事は出来るけど家庭内には問題がある女性弁護士、気のいい仲間に、これまた優しい里親。福祉局の言うことも筋が通っている。知的障害の親と人並み以上にしっかりした子供という設定で、なんとか成り立っているものの、この話は周囲の人の好意によって成立していることには変わりはない。いい人ばかりの登場人物に、実際の障害者の人生はこんなに甘くはないという声もあるはずだ。確かに知的障害を持つ親が親権を争うことが物語の軸になっていて、重すぎる設定であるだけに、そっちに目を奪われがち。でも、この映画の隠れたテーマはもっとシンプル。完全な親はいないし完全な子供もいないということ。こう考えると物語を観る目も変わってくるはずだ。

残念なのは、福祉局が一方的に悪者に描かれていること。できるだけ障害者も一般社会と関わりをという考え方があるからこそ、サムが周囲の人々の助けを借りながら生きていく“甘い結末”にも、好感が持てる。であれば、福祉局の役割も良い方向に向けることができたはず。自分の知能が父親を追い越してしまうのを恐れた娘が勉強を拒むのをみかねた福祉局が手をさしのべるのは、一般的には善行と映るし、そのほうが娘のためには幸せかも…と思った観客も多いはずだ。このあたりの脚本にもうひと工夫ほしかった。父娘を引き裂き対立するだけでなく、歩み寄る設定が展開できなかったのか。

サムとルーシーの父娘は、最後には社会の思いやりと周りの人の助けを素直に借りることで、観客が“こうであってほしい”と願う形そのままに生きていく。サムの真摯な愛情に、リタを初めとする周囲が自分の親子関係を見つめなおすのも、定番ながら好感がもてる展開。世の中の厳しさを十分すぎるほど知っている私たちは、この甘い結末と絵に描いたようなヒューマニズムの実在が難しいことをちゃんと知っている。超楽観的なハッピーエンドは、裏を返せば“こうはならない現代社会”への告発なのだ。だからこそ、このラストに満足して涙するのかもしれない。

□2001年 アメリカ映画 原題「I Am Sam」
□監督:ジェシー・ネルソン
□出演:ショーン・ペン、ミシェル・ファイファー、ダコタ・ファニング、他

人気ブログランキング用バナー

←この記事が気に入ったら、ポチッとクリックしてもらえると嬉しいです\(^o^)/

ギター弾きの恋

ギター弾きの恋 [DVD]ギター弾きの恋 [DVD]
◆プチレビュー◆
派手な衣装と軽みのある演技が絶妙のショーン・ペン。アレン映画は古き良き時代を背景にすると好感度が上がる。

実在の、そして自分の好きな人物を描くのは難しい。たいていの場合、その人物に思い入れがありすぎて、監督のひとりよがりに走ってしまいがちだが、この作品はそのあたりを逆にうまく利用している。実話とフィクション、逸話や噂話にいたるまで、ユーモアあふれるストーリーに仕立てている。ウッディ・アレン監督の記念すべき30作目だ。

1930年代、ジャズ黄金期のアメリカ。身勝手で派手好きなエメット・レイは、「世界で2番目」を自称する天才ギタリスト。ギターの才能は天才的だけど、飲んだくれで、女遊びが大好き、演奏をすっぽかすのは毎度のこと。自由なアーティストを気取って自堕落な生活をおくっている。そんな彼がふと知り合った口のきけない純真な女性ハッティ。横暴なエメットに献身的につくす彼女に、やがて心をひかれ、一緒に暮らすようになる。しかし、束縛を嫌い、気ままな生活を求めるエメットはハッティを捨て、上流階級出身の女性ブランチと衝動的に結婚。が、共通点は派手な服の趣味だけという、二人の結婚生活はやがて破局を迎え、再びエメットはもとの気まぐれな暮らしに逆戻りする。虚ろな日々で思い出すのは、ハッティの笑顔。もしや自分は大切なものを失ってしまったのかと、気づくのだが…。

冒頭からジプシージャズが流れ、テンポ良くストーリーが進むのが心地よい。ウッディ・アレン特有の洪水のようなセリフの多さがないのは、音楽がもうひとつの主役であることと、ハッティが口がきけないという設定のせいだろう。役柄上セリフはなく、その分、表情やしぐさだけで、感情を見事に表すサマンサ・モートンは、実は英国の演技派女優で、ショーン・ペンと並んで、この作品でアカデミー賞にノミネートされていた。ウッデイ・アレンは1930年代がお気に入りのようで古き良き時代を背景に描く彼の作品は面白いものが多い。

笑えるシーンもたくさんあるけど、ラストは切ない。才能に溢れていても、社会的には不器用な男と純真な心をもった女との恋の行違いを、ジャズの音色にのせて描くこの映画。約1時間半でさらりと終わるのもいい感じだ。

身勝手な男と、彼につくす女の献身的な姿。なくしてしまって初めて気付く大切な愛。ん?このパターンどこかで…。あぁ、往年のイタリア映画の名作「道」と同じか!頭が弱く純真なジェルソミーナを道端におきざりにし、数年後、彼女の死を知って、自分の孤独に、浜辺でむせび泣くザンパノの姿。このパターン、人生の定番なのだ。後悔は先に立たず。今を大切に生きよう。

□1999年アメリカ映画 原題「Sweet and Lowdown」
□監督:ウッディ・アレン
□主演:ショーン・ペン、サマンサ・モートン、ユマ・サーマン、他

人気ブログランキング用バナー

←この記事が気に入ったら、ポチッとクリックしてもらえると嬉しいです\(^o^)/

おすすめ情報
最新コメント
作品検索はこちら
Google
WWW を検索
このブログ内を検索
映画レビュー(長文)索引

    
    
    
    
    
    
    
  
    

A−Z
0−9
おすすめ情報
おすすめ情報

おすすめ情報

楽天市場
おすすめ情報

  • ライブドアブログ