映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる映画 ◎
「アサシン・クリード」「ラビング」「お嬢さん」etc.

ジェイク・ギレンホール

雨の日は会えない、晴れた日は君を想う



エリート銀行員ディヴィスは、富も社会的地位も手に入れ何不自由ない人生を送っていた。だがいつも通り仕事へ向かう朝、突然事故に遭い、妻が他界してしまう。ところがディヴィスは妻が死んだというのに、涙どころか悲しみの感情も感じない。自分はいったいどうしてしまったのか。彼は義父であり会社のボスでもあるフィルのある言葉をきっかけに、パソコンや冷蔵庫、会社のトイレまで、身近なものを次々に壊し始める…。

妻を亡くしたのに悲しみを感じない男が、自分の周りのものを破壊することで再生への道を探る人間ドラマ「雨の日は会えない、晴れた日は君を想う」。妻の死を悲しめない男という設定は西川美和監督の「永い言い訳」とよく似ている。だが、本作の主人公ディヴィスは、それまで無自覚だっただけに自分自身の空虚さを自覚した時のショックは計り知れない。人間性を取り戻すための行為が、物理的な破壊というのもまた興味深い。破壊行為は、義父の「心の修理も車の修理と同じこと。まず解体し隅々まで点検して組み立て直すんだ」との言葉がきっかけだ。一方で、シングルマザーとその問題児の息子との出会いからも、少しずつ人生を取り戻していくことになる。「ナイトクローラー」以降、狂気をはらんだ人物を演じて抜群の上手さを見せるジェイク・ギレンホールが、本作でも、ひたすらモノを“ぶっ壊す”ことで、同時に自分の心を一度壊して再構築する現代人を怪演している。風変わりな邦題は、どこかふんわりとした詩のような雰囲気だが、原題はストレートに“破壊、解体”の意味。主人公が次々にモノを破壊しいったいこの男はどうなってしまうのか…と心配になるのと同様、この物語がどう決着するのかがなかなか読めないので、ある意味、スリリングだ。そして、今まで知らなかった事実を知ってはじめて感じた妻への思いや、自分がいったい何を求めているのかが、ラストに明かされるとき、自己修復という“旅”が終わる。味わいのある作品だが、内容が伝わりにくい邦題がちょっと惜しい。
【65点】
(原題「DEMOLITON」)
(アメリカ/ジャン=マルク・ヴァレ監督/ディヴィス: ジェイク・ギレンホール、ナオミ・ワッツ、クリス・クーパー、他)
(再生度:★★★★★)
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サウスポー

サウスポー Blu-ray コレクターズ・エディション(スチールブック仕様・日本オリジナルデザイン)
ボクシングの世界チャンピオン、ビリー・ホープは、怒りをエネルギーに相手を倒すスタイルで戦っている。そんなビリーを妻モーリーンと娘のレイラはいつも心配していた。ある時、ライバルから挑発されたビリーは怒りを抑えきれず乱闘に。そのトラブルの最中に起きた発砲事件でモーリーンが命を落とす。生きる気力を失ったビリーは荒れた生活を送り、全財産と住む家、チャンピオンの座まで失い、とりまきは皆離れていった。娘の親権まで奪われ、すべてを失ったビリーは、かつて唯一恐れたボクサーを育てたトレーナー、ティックを訪ねるが…。

全てを失ったボクサーが自らの誇りと愛する娘のため再起を図るボクシング映画「サウスポー」。ファイティング・ムービー、とりわけボクシング映画には名作が多く、そのほとんどがどん底から這い上がるハングリーな戦いに末のつかむ栄光で感動を呼ぶストーリーだ。本作もまたその系譜につながる映画だが、主演のジェイク・ギレンホールの名演と存在感、深い家族愛、ボクシングを知的戦術でとらえるスタンスなど、かなり洗練されている。監督のアントワーン・フークアは、男のドラマを得意とするが、本作でも父性を全面に打ち出している。仕事のことや生活のことは妻にまかせきり、自分はボクシングだけという主人公は、あきらかに不完全な存在だ。だが彼は最愛の妻を失い、すべてを奪われて初めて自分自身をみつめることになる。防御は軽視していたビリーが“守る”意味を知ったとき、右利きのビリーはサウスポーの真意をつかむのだ。「ナイトクローラー」で薄気味悪いほど激ヤセをみせたギレンホールだが、本作では圧倒的な肉体改造でボクサーの身体を作り上げ、試合シーンをすべて本人が演じるという役者魂をみせている。さらに娘レイラを演じる天才子役ウーナ・ローレンスは、最初は幼い少女、クライマックスには父と共に成長し、驚くほど大人びた表情をみせてくれた。ボクシングというスポーツそのものの感動、家族のドラマ、再起と栄光のストーリー。この映画には、男性も女性も魅了されるはずだ。
【70点】
(原題「SOUTHPAW」)
(アメリカ/アントワーン・フークア監督/ジェイク・ギレンホール、フォレスト・ウィテカー、ナオミ・ハリス、他)
(父性愛度:★★★★★)
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サウスポー|映画情報のぴあ映画生活

ナイトクローラー

ナイトクローラー [Blu-ray]
報道パパラッチとなった孤独な男の狂気を描く問題作「ナイトクローラー」。激ヤセのジェイク・ギレンホールの怪演が見もの。

学歴もコネもなく仕事にあぶれた孤独な男ルーは、ある時、事故や事件の凄惨な映像を撮ってはテレビ局に売る映像パパラッチ、通称“ナイトクローラー”という稼業を知る。ルーはすぐさまカメラと無線傍受器を手に入れ、事件現場、事故現場に駆け付けては映像を撮影するようになる。やがて、彼の過激な映像は、高値でテレビ局に買い取られるようになるが、視聴率を求めるテレビ局の要求はエスカレート。それに応えるルーの行動は常軌を逸していく…。

視聴率を取るためより刺激的な映像を求めるテレビ局が倫理を逸脱するなら、それに応えるパパラッチもまた一線を超えるしかない。いや、何よりも扇情的な映像を求める大衆の欲望こそ罪深いのか。このクライム・サスペンスはジャーナリズムの倫理観を揺さぶるものだが、主人公ルーを演じるジェイク・ギレンホールの、薄気味悪い熱演がすさまじく、次第にルーは歪んだ現代社会が生んだアンチヒーローに見えてくる。社会的には負け犬だがプライドだけは高いルーは、母親ほどの女性ディレクターを口説いたり、同業者を罠にハメたりと、すべての言動が異様なのだが、それにいちいちもっともらしい理屈をつけて、自己を肯定し肥大化するのが何とも不気味だ。彼にこきつかわれて反撃しようとしたアシスタントの顛末をみれが、ルーがもはやモンスターと化していることがよくわかるだろう。優しげな好青年というルックスのギレンホールが、役作りで激ヤセし、ギョロリとした目をギラつかせる様は、まさにサイコパス。彼の演技が「タクシードライバー」のデ・ニーロのようだと賞賛されたのも納得だ。ハイエナのように夜のLAを駆けずり回る男の物語は、どす黒いハッピーエンドで幕を閉じる。過激な競争社会と他人の不幸を追い求める現代社会の病巣の実態を、冷徹に切り取ったダン・ギルロイ監督の手腕に脱帽した。
【75点】
(原題「NIGHTCRAWLER」)
(アメリカ/ダン・ギルロイ監督/ジェイク・ギレンホール、レネ・ルッソ、ビル・パクストン、他)
(怪演度:★★★★★)
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ナイトクローラー@ぴあ映画生活

複製された男

複製された男 (日本語、吹替用字幕付き) [Blu-ray]
自分にそっくりな男と出会った男性が体験する悪夢のような出来事を描く異色のミステリー「複製された男」。現実と妄想世界が混濁するストーリーの答は、一つではなさそうだ。

平凡な大学教授のアダムは、ある日、何気なく見ていた映画の中に、自分とそっくりの人間をみつけて驚く。その俳優アンソニーについて住所や電話など徹底的に調べあげたアダムは、しばらく彼を監視していたが、ついに直接彼と対面する。顔、声、体型、生年月日も体にある傷痕までも同じだと分かり、2人は激しく混乱する。なぜこんな人物が存在するのか。自分は本当にオリジナルなのか。アダムとアンソニーは、それぞれの妻と恋人を巻き込みながら、極限状態へと陥っていく…。

原作はポルトガルのノーベル文学賞作家ジョゼ・サラマーゴの小説。自分と瓜二つの人間というと、分身、ドッペルゲンガーなどがすぐに思い浮かぶ。出会うと死ぬ、この世にはそっくりな人間が3人いて…などなど、まことしやかな都市伝説もあるようだ。実際に確認された事例もあり、研究も盛んだそうが、視覚的な面白さがあり、非常に映画的な魅力的な題材でもある。本作では、瓜二つの存在と出会い、実際に対面し、互いに触れるという現実的な展開が興味深いが、劇中にさまざまな謎めいたモチーフが散りばめられていて、謎が謎を呼ぶ仕掛けだ。妊娠している妻、繰り返し登場する蜘蛛、なぜかこだわるブルーベリー…。終盤になればなるほど非現実的でシュールな映像が挿入され、観客を激しい混乱に導いていく。要するに「?」な映画なのだが、カナダの鬼才で、今、最注目のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の手にかかると、そのワケのわからなさが、自己確立という深淵なテーマ性を持って立ち上がってくる。前作「プリズナーズ」でも組んだジェイク・ギレンホールが、一人二役を意図的に曖昧に演じ分けていて、上手い。普通に解釈すれば、2人は同一人物で、意識下での分裂で、その原因はどうやら浮気で…と、生臭い答にたどりつくのだが、個人的には、カフカ的な不条理劇と思いたい。だって、ラストショットが“あれ”だもの。
【65点】
(原題「ENEMY」)
(カナダ・スペイン/ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督/ジェイク・ギレンホール、メラニー・ロラン、サラ・ガドン、他)
(シュール度:★★★★☆)
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複製された男@ぴあ映画生活

プリズナーズ

プリズナーズ [Blu-ray]
愛する娘を誘拐された父が狂気に陥るサスペンス・スリラー「プリズナーズ」。アメリカの田舎には底知れない闇が潜んでいる。

誰もが家族と和やかに過ごす感謝祭。マサチューセッツ州の平穏な田舎町で幼い少女が失踪する事件が起こる。刑事ロキが捜査に当たるが手がかりは少なく、父親のケラーは第一容疑者アレックスを犯人と確信。だがアレックスは10歳程度の知能しかなく犯行は不可能として釈放される。警察をあてにできないと判断したケラーは自力で娘を取り戻す決意をし、アレックスを拉致。決して超えてはいけない一線を超えてしまう…。

「灼熱の魂」が全世界で高く評価されたドゥニ・ヴィルヌーブ監督のハリウッド・デビュー作だ。完全オリジナルのストーリーで勝負し、並々ならぬ気合いを感じる秀作に仕上がった。二転三転するストーリー、濃厚な心理描写と容赦ないバイオレンス。そんな陰鬱な物語にハリウッドスターが加わって、実に興味深い味を出している。もしも自分が最愛のわが子を奪われたらどうするか。映画はまずこの問いを観客に投げかける。壮絶な暴力をふるうケラーと、彼の行為に否定的なのに中途半端な立ち位置の友人。この状況では我が子を思う親の悲しみや怒りに目がいくだろう。だがストーリーは意外な方向へと転がっていく。事件を冷静に調べる刑事ロキは、現場で大量の血痕や謎めいた記号を発見。さらに何の繋がりもないような幼児失踪事件が思いがけない形でからんでくる。ミステリーなので詳細は明かせないが、広大なアメリカ大陸には、華やかな都会とは正反対の、閉鎖的で鬱屈した田舎町があり、そこに狂気や闇が潜んでいるということだ。「悪魔のいけにえ」を例に出すのは極端すぎるが、何の罪もない子供が犠牲になる事件の多発は、神の不在さえ感じさせるほど重苦しい。ヒュー・ジャックマン、ジェイク・ギレンホールの入魂の演技は胸を打つ。何よりもドゥニ・ヴィルヌーヴという俊英監督の重厚な演出力とストーリーテリングの才能に、映画から一瞬も目が離せなかった。
【80点】
(原題「PRISONERS」)
(アメリカ/ドゥニ・ヴィルヌーブ監督/ヒュー・ジャックマン、ジェイク・ギレンホール、ビオラ・デイビス、他)
(二転三転度:★★★★☆)
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プリズナーズ@ぴあ映画生活

エンド・オブ・ウォッチ

エンド・オブ・ウォッチ スチールブック仕様 [4,000個 初回数量限定生産] [Blu-ray]
制服警官の強い絆とLA犯罪多発地区の実態を描くクライム・アクション「エンド・オブ・ウォッチ」。ドキュメンタリーのようにリアルで緊張感が途切れない。

ロサンゼルスの犯罪多発地区サウス・セントラルを担当するテイラーとザヴァラは、同地区でも指折りの犯罪検挙率を誇る警官コンビだ。二人は、いつものようにパトロール中に通報を受けて、ある一軒家に踏み込むが、そこで図らずもメキシコ麻薬カルテルの秘密に触れてしまう。組織の怒りを買った二人は、メキシコ系ギャングから命を狙われるハメになるのだが…。

1992年のロサンゼルス暴動の口火を切った地区はサウス・セントラル地区だったと記憶しているが、この悪名高い犯罪多発地区は、黒人からヒスパニック系へと勢力図が変わりつつあるのだろうか。本作で大暴れするのは、黒人ギャングではなくヒスパニック系ストリート・ギャングである。人種間の対立がある一方で、警察学校の同期である、白人巡査テイラーとメキシコ系巡査サヴァラの間に兄弟以上の固い絆が生まれるなど、人種間の意識は一言では語りつくせない。ともあれ、主人公の二人は、映画でもしばしば登場する危険地帯サウス・セントラスを巡回して回るのが日課というタフな日常を生きている。特にテイラーは、大学法学部入学を目指し、入試課題に映像制作を選んでいるという設定で、会議中や移動中など公私共にさまざまなデジカムで、状況を記録している。そこに記録される多種多様な犯罪は、日々の任務が文字通り命がけであることを教えてくれる。ザラついた主観カメラの他に、監視カメラやニュース映像も使われるため、まるでドキュメタンタリーを見ているかのようにリアルなのだ。テイラーには恋人ジャネットが、サヴァラには妻のガビーがいて、時になごやかな雰囲気にもなるが、メキシコ麻薬カルテルから命を狙われるようになってからは、観客は、犯罪現場の壮絶な最前線へと放り込まれる。タイトルの“エンド・オブ・ウォッチ(EOW、勤務終了)”とは、警察官が1日の終わりにつける業務日誌の最後に記入する言葉。同時に警察内の隠語では、二度と家に戻れなくなるもうひとつのEOW(殉職)を意味するという。名もない警官たちの同士愛、そして生ぬるい日本の日常とはまったく次元が違う犯罪現場。いつ、何が起こるのかと終始緊張感が途切れない本作の真の主役は、ギャングも警官も命をはって生きることを強いる町サウス・セントラルそのものかもしれない。
【65点】
(原題「END OF WATCH」)
(アメリカ/デヴィッド・エアー監督/ジェイク・ギレンホール、マイケル・ペーニャ、アナ・ケンドリック、他)
(緊張感度:★★★★★)
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エンド・オブ・ウォッチ@ぴあ映画生活

ラブ&ドラッグ

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主演二人の見事な脱ぎっぷりが話題の「ラブ&ドラッグ」。コメディタッチの恋愛劇と難病ものがミックスしている。

90年代のピッツバーグ。プレイボーイでノリの良さがとりえのジェイミーは、大手製薬会社のセールスマン。営業先の病院で、若年性パーキンソン病を患うマギーと知り合い、セックスフレンドとして付き合うことに。やがて、ジェイミーの会社がバイアグラを開発し、ジェイミーは爆発的な営業成績を収めてトップセールスマンになる。マギーとの仲は順調に見えたが、彼女の病は次第に悪化していた…。

セックスフレンドからやがて真剣な愛へ。近年、映画で多く取り上げられる恋愛の形だが、本作は一味違う。物語の多くはエロティックなシーンだし、破天荒なラブ・コメに見えるが、女性は難病、しかも実話なのだ。「ブロークバック・マウンテン」で夫婦役を演じた、アン・ハサウェイとジェイク・ギレンホールが甲乙つけがたい脱ぎっぷりを披露しているが、明るい魅力のハサウェイのおかげか、下品にはならず、どこかコケティッシュ。病気という設定を除けば、本当は好きなのに意地っ張りの恋人同士のかけあいにも思えるほどだ。パーキンソン病といえば、俳優のマイケル・J・フォックスが患った難病。治療には、患者本人も家族も大変な犠牲を強いる病だ。劇中に、マギーを本気で好きになったジェイミーが、患者の会で「今すぐ別れて健康な女性を探せ」と、厳しくも現実的なアドバイスを受けるシーンが、実に重い。どんなに好きでも、彼女はやがて“マギーではなくなる”が、それでも彼はある決断をすることに。自己犠牲というよりも、自他共に認めるチャラ男だった彼の成長に思えるその行為は、実話ならではの感動がある。「ラスト サムライ」のエドワード・ズウィックが監督というのが意外だし、ラストも都合がいい時点で終わる。だが、難病ものにありがちなお涙ちょうだいを避けて、二人の変化に重心を置いた語り口は悪くない。
【55点】
(原題「Love and Drug」)
(アメリカ/エドワード・ズウィック監督/アン・ハサウェイ、ジェイク・ギレンホール、オリヴァー・プラット、他)
(セクシー度:★★★★☆)
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ラブ&ドラッグ@ぴあ映画生活

ミッション:8ミニッツ

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時間のループの果てにある思いがけない秘密と切ないラストに驚く「ミッション:8ミニッツ」。ダンカン・ジョーンズ監督のセンスが活きたSF映画だ。

シカゴで乗客が全員死亡する列車爆破テロ事件が発生。次なるテロを防ぐため、政府の極秘ミッションが始動した。それは犠牲者の死の8分前の意識に入り込み、犯人を見つけ出すというもの。任務に当たった米軍のスティーブンス大尉は、犠牲者の最後の8分間を何度も擬似体験しながら、少しずつ真相に近づいていく。だが、やがて彼は、この極秘ミッションに隠された禁断の秘密を知る…。

時空を行き来しつつ事件を解決するというSF的な要素はあるものの、本作は、名匠ヒッチコックが得意とした、主人公が突然、特殊な状況に放り込まれるという巻き込まれ型サスペンスのスタイルだ。近未来に画期的なシステムが開発され、死亡した人の最後の8分間の記憶を利用して他人の意識に潜入できるというのが大前提。しかもそれは何度でも繰り返し可能だ。学習することはできるが、その“副作用”としてさまざまな苦悩を引き受けることになる。過去に戻っても過去そのものを変えることはできず、未来の可能性を引き出すだけ。だが、そこにスティーブンスと父とのわだかまりをからめて、起こった出来事は変えられなくても、愛する家族へ思いを伝えることができるという希望を加えたのは上手かった。終盤にはスティーブンスに関する驚くべき秘密と、さらなる真実が用意されている。そのオチは絶望的な現実にもうひとつの希望を見いだすもので、巧妙に練られたプロットは前作「月に囚われた男」でもみせたハイセンスなものだ。主人公がいる謎の空間、指示を出す政府の部屋、そして列車内と、基本的に閉塞的な空間で物語が進行するが、ハリウッドの潤沢な資金でアクション要素も加わった本作は、SF的設定の中に常に現実を見据えた人間ドラマを紡ぐダンカン・ジョーンズ監督の可能性をも広げてみせた。
【70点】
(原題「SOURCE CODE」)
(米・仏/ダンカン・ジョーンズ監督/ジェイク・ギレンホール、ミシェル・モナハン、ヴェラ・ファーミガ、他)
(切なさ度:★★★★☆)
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マイ・ブラザー

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戦争がもたらす癒えない傷と、兵士を支える家族という普遍的なテーマを扱う人間ドラマである。米軍海兵隊の大尉サムは学生時代から優秀な青年だ。一方、サムの弟のトミーは問題ばかりおこし、今も刑務所に服役中。だが兄弟はとても仲が良かった。弟の出所と入れ替わるように兄はアフガニスタンに旅立つが、ある時、サムの訃報が妻グレースのもとに届く。絶望の淵に沈むグレースと二人の幼い娘たちを支えたのは、厄介者だったはずのトミーだった。グレースとトミーの距離が確実に縮まったその時、死んだはずのサムが生還する。グレースは喜ぶが、戻ってきたサムは驚くほど別人になっていた…。

優しかったサムの身にいったい何が起こったのか。その謎がストーリーを引っ張るが、本作はリメイクなので、オリジナルのデンマーク映画「ある愛の風景」を既見の人は、戦場でサムに起きた衝撃的な事件を分かった上で見ることになる。だがそれでもなお、この物語が胸を打つのは、今も兵士を戦場に送り続けるアメリカの現実があるからだ。本作はオリジナルよりも、すさまじい体験を経たサムと家族が、本当の絆を見出すホームドラマの要素に重点を置いている。疎遠だった弟が不在の兄の“存在”を通して、父の愛を知り、義姉へのほのかな想いを募らせるのは責められないことだ。映画は、戦争や戦場を直接的に描かないことで、悲劇はどんな人間にも起こりうると感じさせる。と同時に、どれほどのダメージからも生まれ出る希望があり、必ず帰る場所があるのだと、ジム・シェリダンは訴えているのだ。ハリウッドの若手実力派俳優が演じることで、兵士のPTSDと戦場の狂気、兵士だけでなく銃後の家族にまで波及する悲劇を改めて多くの人々が知るだろう。抑圧された狂気を演じるトビー・マグワイアが上手さを見せるが、ナタリー・ポートマンの硬質な表情は、いつ訃報を聞くかもしれないとおびえながら気丈に家庭を守る兵士の妻役にフィットしていた。
【60点】
(原題「BROTHERS」)
(アメリカ/ジム・シェリダン監督/トビー・マグワイア、ジェイク・ギレンホール、ナタリー・ポートマン、他)
(反戦映画度:★★★★☆)

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映画レビュー「プリンス・オブ・ペルシャ 時間の砂」

プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂 [DVD]プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂 [DVD]
◆プチレビュー◆
古代ペルシャ版「グリーン・ゾーン」はド派手なアクション・アドベンチャー。ギレンホールの肉体改造が見ものだ。 【55点】

 孤児のダスタンはその度胸を見込まれペルシャ帝国の王の養子となる。勇猛な若者に成長したダスタンは、叔父と二人の義兄と共に聖地アラムートを制圧。だが進軍は父王の怒りを買った上、王が毒殺されダスタンが疑われてしまう…。

 やんちゃだが誰よりも勇敢なダスタンが、父王殺しの真実を暴く旅に出ることから冒険がスタートする。彼が攻め落としたアラムートの姫で、伝説の“時間の砂”の守護者の末裔のタミーナも旅に同行。目的は、ダスタンが戦利品として持つ、時間の砂を収めた短剣を守ることだ。時間の砂を使えば、時を戻して過去を変え、強大な力を得ることが可能になる。誰が何のために時間の砂を狙うのかは、すぐに察しがつくだろう。物語は、さしずめダスタンとタミーナの丁々発止のバディ・ムービーで、無論そこにはロマンスの気配も漂っている。
 
 そんなお気楽なファンタジーのくせに、妙に生臭いのは、事の発端の聖地アラムート侵攻のいきさつが、あまりに現実にリンクしているためだ。何しろ、敵国へ武器を供給しているらしいという未確認情報だけで、大国が小都市に攻め入るのだ。武器提供の真偽を知るものも知らないものも、聖地を踏みにじることに変わりはない。これは誰が見ても、大量破壊兵器がある!と言い張って米国が強行した、イラク侵攻そのものだから苦笑するしかない。

 こんな内容をゴリ押しのように埋め込んで、ド派手なCGてんこ盛りの娯楽映画を作ってしまうとは。大量破壊兵器のガセネタで世界を混乱させた失態を、エンタメ映画で遊び倒す手腕は、商魂たくましいハリウッドの真骨頂だ。ベースがアクション・ゲームというだけあり、物語のスピード感はジェットコースター並み。冒険、ロマンス、謎の伝説。観客を一瞬たりとも飽きさせない展開は、過去のジェリー・ブラカイマー作品を総動員したかのようである。コミカルなダチョウレースに不気味な暗殺軍団との死闘など、アクションも満載だ。過剰なまでのサービス精神でラストまで突っ走る。
 
 それにしてもジェイク・ギレンホールの変貌ぶりはどうしたことか。ナイーブで繊細なイメージをかなぐり捨てて、マッチョな肉体派に大変身。ビルドアップした肉体は、最初は違和感があるが、映画が終わる頃にはすっかり見慣れた。だが、役者の華やかさは今一つ。原因は、勝気な美女タミーナを演じるジェマ・アータートンのオーラ不足だ。エキゾチックな冒険ものはハリウッドの古典ジャンル。ここはもうワンランク上の女優が欲しかったところである。

 クライマックスは、CG技術では水と並んで最も高度とされる砂の乱舞の描写で、見応えがある。だが残念ながら、現実世界には時を戻す魔法の砂は存在しない。取り返しのつかない過ちは、過去に戻るのではなく、未来できっちり清算するしかないのだ。時間の砂のオチはご都合主義だが、「もし…だったら」を具現化できるのが映画の特権だ。人間ドラマの名手マイク・ニューウェルが監督する作品かどうかはさておき、この物語のカタルシスは、映画ならではの、時間と空間を操るヴィジョンにあるといえようか。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)アクション度:★★★★★

□2010年 アメリカ映画 原題「PRINCE OF PERSIA:THE SANDS OF TIME」
□監督:マイク・ニューウェル
□出演:ジェイク・ギレンホール、ジェマ・アータートン、ベン・キングスレー、他

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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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