映画通信シネマッシモ


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

ジェイク・ギレンホール

マイ・ブラザー

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戦争がもたらす癒えない傷と、兵士を支える家族という普遍的なテーマを扱う人間ドラマである。米軍海兵隊の大尉サムは学生時代から優秀な青年だ。一方、サムの弟のトミーは問題ばかりおこし、今も刑務所に服役中。だが兄弟はとても仲が良かった。弟の出所と入れ替わるように兄はアフガニスタンに旅立つが、ある時、サムの訃報が妻グレースのもとに届く。絶望の淵に沈むグレースと二人の幼い娘たちを支えたのは、厄介者だったはずのトミーだった。グレースとトミーの距離が確実に縮まったその時、死んだはずのサムが生還する。グレースは喜ぶが、戻ってきたサムは驚くほど別人になっていた…。

優しかったサムの身にいったい何が起こったのか。その謎がストーリーを引っ張るが、本作はリメイクなので、オリジナルのデンマーク映画「ある愛の風景」を既見の人は、戦場でサムに起きた衝撃的な事件を分かった上で見ることになる。だがそれでもなお、この物語が胸を打つのは、今も兵士を戦場に送り続けるアメリカの現実があるからだ。本作はオリジナルよりも、すさまじい体験を経たサムと家族が、本当の絆を見出すホームドラマの要素に重点を置いている。疎遠だった弟が不在の兄の“存在”を通して、父の愛を知り、義姉へのほのかな想いを募らせるのは責められないことだ。映画は、戦争や戦場を直接的に描かないことで、悲劇はどんな人間にも起こりうると感じさせる。と同時に、どれほどのダメージからも生まれ出る希望があり、必ず帰る場所があるのだと、ジム・シェリダンは訴えているのだ。ハリウッドの若手実力派俳優が演じることで、兵士のPTSDと戦場の狂気、兵士だけでなく銃後の家族にまで波及する悲劇を改めて多くの人々が知るだろう。抑圧された狂気を演じるトビー・マグワイアが上手さを見せるが、ナタリー・ポートマンの硬質な表情は、いつ訃報を聞くかもしれないとおびえながら気丈に家庭を守る兵士の妻役にフィットしていた。
【60点】
(原題「BROTHERS」)
(アメリカ/ジム・シェリダン監督/トビー・マグワイア、ジェイク・ギレンホール、ナタリー・ポートマン、他)
(反戦映画度:★★★★☆)

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映画レビュー「プリンス・オブ・ペルシャ 時間の砂」

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◆プチレビュー◆
古代ペルシャ版「グリーン・ゾーン」はド派手なアクション・アドベンチャー。ギレンホールの肉体改造が見ものだ。 【55点】

 孤児のダスタンはその度胸を見込まれペルシャ帝国の王の養子となる。勇猛な若者に成長したダスタンは、叔父と二人の義兄と共に聖地アラムートを制圧。だが進軍は父王の怒りを買った上、王が毒殺されダスタンが疑われてしまう…。

 やんちゃだが誰よりも勇敢なダスタンが、父王殺しの真実を暴く旅に出ることから冒険がスタートする。彼が攻め落としたアラムートの姫で、伝説の“時間の砂”の守護者の末裔のタミーナも旅に同行。目的は、ダスタンが戦利品として持つ、時間の砂を収めた短剣を守ることだ。時間の砂を使えば、時を戻して過去を変え、強大な力を得ることが可能になる。誰が何のために時間の砂を狙うのかは、すぐに察しがつくだろう。物語は、さしずめダスタンとタミーナの丁々発止のバディ・ムービーで、無論そこにはロマンスの気配も漂っている。
 
 そんなお気楽なファンタジーのくせに、妙に生臭いのは、事の発端の聖地アラムート侵攻のいきさつが、あまりに現実にリンクしているためだ。何しろ、敵国へ武器を供給しているらしいという未確認情報だけで、大国が小都市に攻め入るのだ。武器提供の真偽を知るものも知らないものも、聖地を踏みにじることに変わりはない。これは誰が見ても、大量破壊兵器がある!と言い張って米国が強行した、イラク侵攻そのものだから苦笑するしかない。

 こんな内容をゴリ押しのように埋め込んで、ド派手なCGてんこ盛りの娯楽映画を作ってしまうとは。大量破壊兵器のガセネタで世界を混乱させた失態を、エンタメ映画で遊び倒す手腕は、商魂たくましいハリウッドの真骨頂だ。ベースがアクション・ゲームというだけあり、物語のスピード感はジェットコースター並み。冒険、ロマンス、謎の伝説。観客を一瞬たりとも飽きさせない展開は、過去のジェリー・ブラカイマー作品を総動員したかのようである。コミカルなダチョウレースに不気味な暗殺軍団との死闘など、アクションも満載だ。過剰なまでのサービス精神でラストまで突っ走る。
 
 それにしてもジェイク・ギレンホールの変貌ぶりはどうしたことか。ナイーブで繊細なイメージをかなぐり捨てて、マッチョな肉体派に大変身。ビルドアップした肉体は、最初は違和感があるが、映画が終わる頃にはすっかり見慣れた。だが、役者の華やかさは今一つ。原因は、勝気な美女タミーナを演じるジェマ・アータートンのオーラ不足だ。エキゾチックな冒険ものはハリウッドの古典ジャンル。ここはもうワンランク上の女優が欲しかったところである。

 クライマックスは、CG技術では水と並んで最も高度とされる砂の乱舞の描写で、見応えがある。だが残念ながら、現実世界には時を戻す魔法の砂は存在しない。取り返しのつかない過ちは、過去に戻るのではなく、未来できっちり清算するしかないのだ。時間の砂のオチはご都合主義だが、「もし…だったら」を具現化できるのが映画の特権だ。人間ドラマの名手マイク・ニューウェルが監督する作品かどうかはさておき、この物語のカタルシスは、映画ならではの、時間と空間を操るヴィジョンにあるといえようか。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)アクション度:★★★★★

□2010年 アメリカ映画 原題「PRINCE OF PERSIA:THE SANDS OF TIME」
□監督:マイク・ニューウェル
□出演:ジェイク・ギレンホール、ジェマ・アータートン、ベン・キングスレー、他

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ゾディアック

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薄気味悪い普遍性が漂うダーク・エンタテインメント。メディアを利用した劇場型犯罪は現代にも通じる怖さがある。米国で実際に起きた未解決の事件の犯人を追う4人の男たちが人生を狂わせる物語だ。D.フィンチャーの新作は、地味だがサスペンスとしても人間ドラマとしても見応えあり。
【85点】
(原題「ZODIAC」)
(アメリカ/デビッド・フィンチャー監督/ジェイク・ギレンホール、マーク・ラファロ、クロエ・セヴィニー、他)
(スッキリ度:★★☆☆☆)

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ブロークバック・マウンテン

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◆プチレビュー◆
アン・リーのフィルモグラフィーの一貫性のなさが、何よりも興味津津。ヒース・レジャーのモゴモゴした口調がマーロン・ブランドのようで、ちょっと苦笑いした。

60年代のワイオミング州ブロークバック・マウンテン。季節労働者として働くカウボーイのイニスとジャックは、羊の放牧という過酷な労働の中で、いつしか精神的にも肉体的にも結ばれる。妻と子を得ても互いを忘れられない二人は、年に数回の秘密の逢瀬を20年以上続けるが、それは決して許されることのない愛だった…。

同性愛のカウボーイの不倫話。一歩間違えるときわものになってしまうこの題材を、台湾出身のアン・リーが手がけたことにまず驚く。見事な秀作に仕上がっていて再び驚嘆。さらに、大本命と言われながら今年のオスカー作品賞を逃すという事態も加わり、とことん観客を驚かせてくれる作品になった。出来ばえは見事のひと言。そもそもゲイのカウボーイの話がなぜこんなに胸を打つのだろうか。

妻たちの立場になれば、主人公を全面的に肯定できない人もいるだろう。だが、保守的な時代と男らしさが尊ばれるカウボーイの世界で、異端の愛情を貫きとおすことがどれほど困難か。どんな障害に行く手を阻まれても、自分を貫く二人の生き方は、ある意味でアメリカ人の理想とするところだ。美しい大自然を詩情豊かに描写したカメラが素晴らしく、こちらもアメリカの魂のような風景。同性愛という少数派の生き様が見る人全ての心に響くのは、この映画が、理想の中で生まれる暴力と悲劇の実態を品格を持って描いているからだ。

ブロークバック・マウンテンとは、理想郷の象徴。そこには二度と戻れないことを二人は知っている。唐突にやってくる永遠の別れから、イニスとジャックのシャツが重なり二度と離れないと誓うラストまで、静かな感動は一気に頂点へ。寄り添うように流れるギターのメロディが物語を忘れられないものにしている。

□2005年 アメリカ映画 原題「BROKEBACK MOUNTAIN」
□監督:アン・リー
□出演:ヒース・レジャー、ジェイク・ギレンホール、ミシェル・ウィリアムズ、他

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ジャーヘッド

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◆プチレビュー◆
湾岸戦争という“地味”な戦争を素材に、近代戦の盲点を突くストーリーがすばらしい。ノリにノる俳優ジェイク・ギレンホールがいい味を出している。

海兵隊員に憧れる若者スオフォードは、厳しい訓練に耐えた末に、狙撃兵として湾岸戦争に従軍する。希望に燃えて砂漠地帯にやってはきたが、そこには銃を向けるべき敵がいない。当面の任務は、油田を守るという名目の“待つ”任務だった…。

湾岸戦争を背景にした元兵士の回顧録を映画化したこの映画は、極めてユニークな戦争映画だ。狙撃兵となった主人公は、遂に最後まで誰も殺さない。こんな戦争映画、今までに見たことがない。どこか滑稽な戦争の結末も、かつてない演出だ。

湾岸戦争を扱った映画には「スリー・キングス」があるが、本作と共通する演出はMTV的感覚にあふれたグルーヴ感。人命を奪う感覚は極めて薄い。一方、世界中の人々は遠い安全な場所にいながら、テレビで常に流される戦闘を見続ける“観客”だ。生と死を実感できなくなってゆくことに、本当の恐ろしさがある。

イラクのクウェート侵攻は、アメリカにとってハイテク戦争の始まりの合図だった。石油産出地帯に強引に乗り込む米国軍という構図は国家間のかけひき。だが、底辺には名もない兵士たちの真実がある。退屈と孤独が狂気を生み、底知れない虚無へとつながる。人間性を破壊された主人公は、戦争が終わっても決して戦地から逃れられない。誰も殺していない。だが自分自身を殺してしまっていたのだ。

□2005年 アメリカ映画 原題「Jarhead」
□監督:サム・メンデス
□出演:ジェイク・ギレンホール、ピーター・サースガード、ジェイミー・フォックス、他

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