映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる映画 ◎
「ジャスティス・リーグ」「火花」「ギフテッド」「光」etc.

ジェイミー・ドーナン

ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦

Anthropoid (Blu-ray + DVD + Digital HD)
第2次世界大戦下の1942年。ナチス高官でトップクラスの実力者ラインハルト・ハイドリヒは、ユダヤ人大量虐殺の実験を握り、その冷酷さから“金髪の野獣”と呼ばれていた。彼の暗殺を企てたイギリス政府とチェコスロバキア亡命政府は、ヨゼフやヤンら、暗殺部隊をチェコ領内に潜入させる。プラハの反ナチス組織や現地のレジスタンスと協力し、無謀ともいえる暗殺は実行されるが、ハイドリヒ暗殺に激怒したナチスは、壮絶で残虐な報復に乗り出した…。

ラインハルト・ハイドリヒ暗殺作戦とそのてん末を史実に基づいて描くサスペンス「ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦」。ナチスが欧州のほぼ全土を占領していた中、実行されたナチス高官ハイドリヒの暗殺は、エンスラポイド作戦の名で知られ、映画では「死刑執行人もまた死す」「暁の7人」の題材となったことで知られる。ナチスに立ち向かった若きエージェントやチェコスロバキア国内のレジスタンスのメンバーが命懸けで決行したミッションは、確かに英雄的な行為なのだが、その代償はあまりに大きかった。複数の村を完全に破壊し、立てこもった教会では激しい銃撃戦を行うなど、虐殺行為は常軌を逸するほどすさまじい。ハイドリヒ暗殺のせいで国内で多くの市民が犠牲になったのもまた事実なのだ。

映画は、雪深いプラハの森の寒々しい風景や、恐怖政治に怯える市民、ロンドンから送り込まれたエージェントたちと国内レジスタンスとの考え方や立場の違いなどを、緊張感あふれる演出で描いていく。結果は歴史が示しているので分かっているとはいえ、あまりの理不尽と残酷さに言葉を失ってしまった。ハイドリヒ暗殺はチェコ(スロバキア)史上、最も悲劇的な抵抗運動で、映画はその全貌を、冷酷なほど克明に描き切った。監督は英国人のショーン・エリス。「フローズン・タイム」や「ブロークン」など、おしゃれでスタイリッシュな作風が印象的な、ファッションフォトグラファー出身の監督だが、本作では民族の誇りと愛国心には、時に、多大な犠牲を必要とするという容赦ない歴史の真実を突きつけて、新境地を開いている。
【65点】
(原題「ANTHROPOID」)
(チェコ・英・仏/ショーン・エリス監督/キリアン・マーフィ、ジェイミー・ドーナン、シャルロット・ルボン、他)
(理不尽度:★★★★★)
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フィフティ・シェイズ・ダーカー

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恋愛未経験で純粋な女子大生だったアナは、大企業の若きCEOで大富豪のクリスチャン・グレイと出会い、互いに強く惹かれあうが、アナはクリスチャンの歪んだ愛を受け入れられず、別れを告げる。卒業して出版社に勤務するアナは新生活を始めるが、彼女の前にクリスチャンが現れ関係の修復を望む。密かにクリスチャンを想い続けていたアナは喜びをかみしめながらも、ある条件を要求する。再び刺激的な日々が始まるが、二人の前に、その恋を邪魔する人物が現れる…。

官能ラブ・ストーリー「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」の続編「フィフティ・シェイズ・ダーカー」では、再会したアナとクリスチャンは、新たなルールでの恋愛をスタートする。二人の恋の障害となる男女といえば、クリスチャンの過去の“服従者”の女性はまるで幽霊のようだし、アナに執拗に接近する上司はストーカー状態と、かなり戯画化されている。そこに「ナインハーフ」で官能的な役を魅力的に演じたキム・ベイシンガーが登場。クリスチャンをSMの世界へと誘った年上の美女役で、時代の流れを感じさせる。それにしても問題はアナのキャラクターだ。「今度は私のルールで恋愛を進める!」と要求を出しておきながら、あまりにも受動的。公私ともに問題山積だが、それをすべて解決してくれるのは、クリスチャンの財力なのだから、失笑してしまう。クリスチャン・グレイがアナのどこに惹かれたのかをもっとしっかり描くべきなのではないのか? ただ、ダコタ・ジョンソン、ジェイミー・ドーナンの二人は相変わらずビジュアル的に完璧だ。特にドン・ジョンソンとメラニー・グリフィスの間の娘であるダコタ・ジョンソンは、いつもは少女のようにあどけないのに、黒やシルバーのドレスでドレスアップすると、目を見張るほどゴージャスに変身。スレンダーなボディは、大胆できわどいシーンを演じてもちっとも下品にならず、美しいからさすがだ。どうやら、次回作もあるようなのでファンには喜ばしいことだろう。“ハンサムでリッチ、心に傷を抱えたイケメン男性の運命の女性はこの私”。今さら感が漂うこの妄想ストーリーは、それでもハリウッドが作れば、薄っぺらいお話もゴージャスな雰囲気に仕上がるという好例だ。
【50点】
(原題「FIFTY SHADES DARKER」)
(アメリカ/ジェームズ・フォーリー監督/ダコタ・ジョンソン、ジェイミー・ドーナン、キム・ベイシンガー、他)
(障害度:★★★★☆)
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フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ

フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ ブルーレイ+DVDセット [Blu-ray]
特異な性癖を持つ若きCEOと恋愛経験のない女子大生の官能的な恋を描く「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」。巨大な黒丸が一番の存在感。

地味で平凡な女子大生アナは、学生新聞の取材で、若くして大成功を収めた巨大企業CEOグレイを訪ねる。会話するうちに親密になった2人だが、グレイは「恋愛はしない。私に近づくな」と突き放す。実はグレイは過去のある経験から女性を愛することができず、他人とは違う性癖を持っていたのだ。危険な香りを漂わせるグレイは初めて男性を愛したアナに契約書を渡し、ルールに従って自分に従うように要求する…。

ロンドン在住の一般女性が趣味でネットに投稿した官能小説が世界的な大ヒット。これぞサクセス・ストーリーだが、本作は3部作のうちの序章を映画化したものだ。アメリカでは倫理団体から猛抗議があったそうだが、騒ぐほどのモンじゃないというのが正直な感想である。若くてハンサムで大金持ちの男性クリスチャン・グレイが、地味でドジで奥手な女の子アナを見染めて、官能的な禁断の世界へと誘うストーリーは、いわば、おしゃれなソフトSM。アナが、初めての愛した男性を必死に理解しようと奮闘する一方で、支配者と従属者という特異な関係でしか女性を愛せないグレイはアナに対して今までにない感情が沸き起こり苦悩するという展開だ。支配者はグレイ、従属者はアナという形から、次第にアナがやんわりと主導権を握っていく。官能の世界に目覚めるアナは、なるほど魅力的だし、素朴で内気なアナを演じるダコタ・ジョンソンの脱ぎっぷりも潔い。しかし!この程度の官能ドラマは、ネット時代の今ではむしろ純愛ものの範疇ではないだろうか。ルールや契約書で愛を定義するグレイがあっさりとルールを破り、性格がブレまくるのがどうにも気になる。それ以上に気になるのは、今どき珍しいボカシの入れ方だ。21世紀のこのご時世に、真っ黒でドでかい黒塗り修正ってどういう感覚なのか。ときにはグレイ氏の顔や身体がすっぽり隠れてしまうほどの黒丸が、終わってみれば一番記憶に残るという珍作になってしまった。
【50点】
(原題「FIFTY SHADES OF GREY」)
(アメリカ/サム・テイラー=ジョンソン監督/ジェイミー・ドーナン、ダコタ・ジョンソン、ジェニファー・イーリー、他)
(禁断の愛度:★★☆☆☆)
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フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ@ぴあ映画生活
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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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