映画通信シネマッシモ


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

ジェニファー・ローレンス

レッド・スパロー

Red Sparrow
怪我のためにボリショイ・バレエ団でのバレリーナの夢を絶たれたドミニカは、病気の母の治療費のため、叔父のすすめでロシアの諜報機関の訓練施設を訪れる。そこは肉体を武器にするハニートラップと心理操作を専門にしたスパイ、別名スパローの養成機関だった。その美貌と明晰な頭脳を武器に、ドミニカは望まないながらも一流のスパローとなっていく。彼女の最初のミッションは、アメリカのCIA局員ナッシュに近づき、ロシア政府内にひそむスパイの名を聞き出すこと。ブダペストで出会った二人は、やがて惹かれあうが、ロシアと米国両方の危険な駆け引きに巻き込まれ、ドミニカは想像を超える運命に巻き込まれていく…。

肉体と美貌、心理操作で情報を盗む女スパイの危険な運命を描くスパイ・サスペンス「レッド・スパロー」。原作は、元CIAエージェントの作家、ジェイソン・マシューズの小説だ。若きオスカー女優のジェニファー・ローレンスが、ヌードも辞さない体当たりの演技を披露していることでも話題のセクシーなサスペンスで、二転三転するストーリーや、思いがけない敵の存在などにハラハラさせられる。だが、見終わって印象に残ったのは、人間性が欠落した国家のシステムの中で、もがきながら生き抜くヒロインの強い意志だ。ハニートラップ専門のスパイ養成学校の描写や、残酷な拷問シーンなどで、女性が受けるパワハラ、セクハラという視点が生かされ、図らずもタイムリーな作品になっている。

ジェニファー・ローレンスは、タフでセクシー、最終的には自分を陥れた相手にしっかりと償わせる策略家の女スパイを熱演して絶妙だ。国家に絶対的な忠誠を誓う女教官を、かつて「愛の嵐」で究極の愛を体現したシャーロット・ランプリング、バレリーナ時代のドミニカの相手役を天才ダンサーのセルゲイ・ポルーニンが務めるなど、何気なく豪華キャストを配しているのも見所。それにしてもハニートラップ専門のスパイとは恐れ入るが、ソ連時代には実在した国家諜報機関だそう。今も昔もロシアという国は底知れない。そんな伏魔殿のような国で、サバイバルする美しき女スパイ。なかなか興味をそそるスパイ映画だ。
【60点】
(原題「RED SPARROW」)
(アメリカ/フランシス・ローレンス監督/ジェニファー・ローレンス、ジョエル・エドガートン、シャーロット・ランプリング、他)
(体当たり度:★★★★★)


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パッセンジャー

パッセンジャー [Blu-ray]
近未来。新たな居住地を目指す“人類移住プロジェクト”として、5000人の乗客(パッセンジャー)を乗せた豪華宇宙船アヴァロン号が地球を出発する。到着までの120年間を冬眠装置で眠るはずが、エンジニアのジムと作家のオーロラだけが予定よりも90年も早く目覚めてしまう。絶望と孤独の中、何とか生き延びようとする二人は、次第に惹かれあっていくが、予期せぬ困難が彼らの前に立ちはだかる…。

宇宙空間を舞台に目的地到着より前に目覚めてしまった男女の運命を描くSFアドベンチャー「パッセンジャー」。宇宙空間での孤独とサバイバルを描いた作品には「オデッセイ」や「月に囚われた男」などがあって、なかなかの秀作が多い。前2作がひとりぼっちだったのに対し、本作はふたりぼっち、しかも男女。当然生まれるのはロマンスということになる。物語は、最初に目覚めたジムの、ある行為と秘密が重大なキーポイントになっていて、命がけのサバイバルや壮絶な心理戦になってもおかしくない設定なのだが、見終わってみれば単なるラブ・ストーリーに仕上がっていて、ちょっと力が抜けた。だが、そんな内容でもほぼ強引に楽しませるのは、これが第一級のスター映画だからである。オスカー女優で売れっ子の美女ジェニファー・ローレンスと、どこか間が抜けたルックスながらナイスガイのクリス・プラットという旬の二人の共演は、華やかでスクリーン映えする。膨大な製作費のほとんどがこの二人のギャラだというのもあながち嘘ではなさそうだ。ツッコミどころの多いストーリーはあくまでも薄味だが、宇宙船内のクールで壮麗なデザイン、無重力プールやバーテンダー・ロボの役割など、そう遠くない未来の姿を思わせる設定が楽しかった。
【50点】
(原題「PASSENGERS」)
(アメリカ/モルテン・ティルドゥム監督/ジェニファー・ローレンス、クリス・プラット、マイケル・シーン、他)
(ラブストーリー度:★★★★★)
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パッセンジャー|映画情報のぴあ映画生活

ハンガー・ゲーム FINAL:レボリューション

ハンガー・ゲーム FINAL:レボリューション(初回生産限定) [Blu-ray]
カットニス率いる第13地区の反乱軍はついに、スノー大統領が支配する独裁国家との最終戦争に突入する。ゲイル、フィニック、そして助け出したピータを従え、カットニスは、スノー大統領暗殺作戦を決行。しかし、スノーはそれを見越して反乱軍に死のトラップを仕掛けていた。カットニスは、これまでのどのゲームの戦闘よりも困難で非道徳的な決断を迫られるが…。

スーザン・コリンズのベストセラー小説を映画化した人気シリーズ最終章の後編「ハンガー・ゲーム FINAL:レボリューション」。ついに物語が完結する。だがこのシリーズ、FINALが最もテンションが低いという実に珍しい作品なのだ。前作「レジスタンス」がいまいち盛り上がらないのは、すべてはこの完結編「レボリューション」に向け、V字曲線を描くためだと思っていたのに、最後もまたまた低体温のような展開とは。というのも、物語を牽引してきた狂気のようなハンガー・ゲームがないのだから、やむを得ないというものである。つまり、カットニスが独裁者スノー暗殺のため敵地に乗り込む行為そのものが、今までのどのゲームより過酷な“ハンガー・ゲーム”なのだということらしい。カットニスを広告塔として利用する反乱軍のリーダーのコイン首相の真意、洗脳され記憶が混濁すピータの苦悩、さらに幼馴染のゲイルと偽りの恋人同士を演じてきたピータとの間で揺れ動くカットニスの心情…。すべてに答が用意され、思いがけないどんでん返しも待っている。結末は映画を見て確かめてほしいが、それにしてもこのサバイバル・アドベンチャーシリーズのラストは異色だ。ゆったりと自然に溶け合うような豊かさは、テンションこそ下がるが、じんわりと胸に染みて忘れがたい。若きオスカー女優・ジェニファー・ローレンスの出世作であること、今は亡き名優フィリップ・シーモア・ホフマンの在りし日の姿など、映画の外側にある事実にも、感慨無量になってしまった。
【60点】
(原題「THE HUNGER GAMES: MOCKINGJAY PART2」)
(アメリカ/フランシス・ローレンス監督/ジェニファー・ローレンス、ジョシュ・ハッチャーソン、リアム・ヘムズワース、他)
(テンション度:★★★☆☆)
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ハンガー・ゲーム FINAL:レボリューション@ぴあ映画生活

ハンガー・ゲーム FINAL:レジスタンス

ハンガー・ゲーム FINAL:レジスタンス(初回限定版) [Blu-ray]
戦う宿命を背負った少女のサバイバルを描いた人気シリーズ最終章の前編「ハンガー・ゲーム FINAL:レジスタンス」。本当のファイナルの前のウォーミングアップ。

ハンガーゲームの歴代勝者を戦わせる記念大会の闘技場から危機一髪で救出されたカットニスは、コイン首相率いる反乱軍の秘密基地に収容される。そこでは、スノー大統領が君臨する独裁国家パネムを倒し、自由で平等な新国家を建設するための戦いの準備が進められていた。カットニスは、革命のシンボルとなり反乱軍と共に戦うことを決意。しかし狡猾なスノー大統領は、ピータを人質にし、彼をプロパガンダに利用する。カットニスと反乱軍はピータ救出作戦を実行するが、その先にはさらなる過酷な運命が待ち構えていた…。

人気シリーズもいよいよファイナルへ突入。とはいえ、本作はファイナル2部作の前編にあたるので、アクションという意味では地味な作りだ。大きな進展や派手な戦闘はなく、むしろ、犠牲者を出しながら戦うことや革命のシンボルに祭り上げられる自分に対して葛藤するヒロイン・カットニスの心理ドラマに比重が置かれている。そうは言ってもティーン向けアクション映画なので、ドラマはあまりウジウジもしていられない。独裁国家も反乱軍も、大人たちが重視するのはイメージ戦略という点が共通なのが面白い。特に、撮影されるカットニスの姿に迫力がないと言って、本物の戦闘で彼女の気持ちを高めるなど、カリスマを作りだすためには、残酷なまでのリアルな演出が求められているのだ。反乱軍のリーダー役でオスカー女優のジュリアン・ムーアが新たに参戦し、存在感を示している。反撃の準備は整った。どれほど弾圧されようとも、自由への渇望は奪えない。本作で意識的に下がったテンションを、ファイナル後編でどれほど爆発させられるかが決め手となる。期待しよう。
【60点】
(原題「THE HUNGER GAMES: MOCKINGJAY - PART 1」)
(アメリカ/フランシス・ローレンス監督/ジェニファー・ローレンス、ジョシュ・ハッチャーソン、リアム・ヘムズワース、他)
(アクション度:★★☆☆☆)
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ハンガー・ゲーム FINAL:レジスタンス@ぴあ映画生活

アメリカン・ハッスル

アメリカン・ハッスル コレクターズ・エディション [Blu-ray]
詐欺師とFBIが組んでおとり捜査作戦を遂行するエンタメ・サスペンス「アメリカン・ハッスル」。出演俳優の演技のアンサンブルが最高だ。

1979年、アメリカのアトランティック・シティ。天才詐欺師アーヴィンと相棒で愛人のシドニーは、FBI捜査官リッチーに逮捕されてしまうが、自由と引き換えにFBIのおとり捜査に協力するように命じられる。カジノの利権に群がる政治家とマフィアを罠にハメるその作戦で、ターゲットになったのはカーマイン市長。それはやがてアメリカを揺るがす汚職スキャンダル“アブスキャム事件”へと発展していくのだが、アーヴィンの妻のロザリンが、嫉妬から捜査のじゃまをする動きをみせ、事態は混乱していく…。

FBI捜査官が詐欺師と組んで汚職を暴く。ウソみたいなホントの話が“アブスキャム事件”だが、アメリカにはこの手のトンデモ話は数多い。物語はもちろんデフォルメして語られるのだが、何しろ俳優たちの変わりように目を見張る。ハゲでメタボな詐欺師C.ベイル、詐欺師の相棒で姉御気質のA.アダムスは胸元も露なセクシーな愛人、野心家でキレやすいFBI捜査官B.クーパーは直毛をわざわざ巻いたカーリーヘア姿だし、情緒不安定な詐欺師の妻J.ローレンスは美人でゴージャスなのに疲れきった人妻というルックスだ。オスカー俳優、ノミネート俳優がズラリと揃うこの映画、70年代ファッションでキメたそれぞれのキャラが立ちまくっている。大物ロバート・デ・ニーロも含めて、全員が揃うとその相性が絶妙で、倫理観や正義感とは無縁の男女たちがなぜか憎めなくなるのだ。偽のアラブの大富豪をダシにして市長やマフィアをハメる作戦は、やが全米を揺るがす一大政治スキャンダルへと発展するが、物語は社会派的な香りよりも、ダメ人間たちのいびつなラブ・ストーリーの趣が強い。デヴィッド・O・ラッセル監督は“人間を描く”ことにかけては一級の腕を見せてくれる。見た目のスゴさでは一九分けでポッコリおなかのベイルがダントツだが、キャラの面白さは、自由奔放にして情緒不安定な人妻役のローレンスが群を抜く。今見ると愛おしくもダサい70年代ファッションと、響き的には死語に近い“ハッスル”という言葉、ラストに用意されたドンデン返し。あらゆる意味で目が釘付けになる痛快エンタテインメントだ。
【75点】
(原題「AMERICAN HUSTLE」)
(アメリカ/デヴィッド・O・ラッセル 監督/クリスチャン・ベイル、ブラッドリー・クーパー、エイミー・アダムス、他)
(豪華キャスト度:★★★★★)
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アメリカン・ハッスル@ぴあ映画生活

ハンガー・ゲーム2

ハンガー・ゲーム2 プレミアム・エディション(Blu-ray3枚、DVD2枚の5枚組)(初回限定生産)
大人気サバイバル・アクションシリーズ第2弾「ハンガー・ゲーム2」。歴代優勝者による生き残りゲームはより高度に進化している。

近未来。独裁国家パネムが毎年開催する少年少女たちが互いに殺しあう“ハンガー・ゲーム”で生き残った少女カットニスは、見せ掛けの恋人ピータと共に英雄として帰還する。彼女の奮闘は、虐げられた人々の希望となっていたが、それを懸念したスノー大統領は、歴代勝者結集の記念大会のハンガー・ゲームを開催することを決め、カットニス抹殺を計画する。再び死のサバイバル・ゲームに参加せざるを得なくなったカットニスだったが…。

スーザン・コリンズの人気小説を原作とする物語はアメリカ版「バトル・ロワイヤル」ともいうべき過激なサバイバルだが、映画はどうやら3部作(3作目は2部構成)になるようで、本作はその2作目に当たる。3部作の真ん中は通常テンションが下がるが、本作に関してはその傾向は見られない。むしろ、ヒロインのカットニスの救世主としての自覚や、さらに洗練されたサバイバルなど、そつのない作りで、シリーズ2作目をきっちりと盛り上げている。何しろ、今回の脚本は「フル・モンティ」や「スラムドッグ$ミリオネア」のサイモン・ビューフォイと、「リトル・ミス・サンシャイン」のマイケル・アーントという才人2人なのだから、内容が充実しているのも頷ける。前作で勝利した“炎の少女”ことカットニスは、決して望んで戦っているわけではないが、持てる技術をすべて出し切って戦う彼女の姿に、希望を失くして生きる人々は勇気付けられ、それはやがて国家に対する革命への動きとなる。歴代優勝者が集うチャンピオン大会では、誰と同盟を結び誰を倒すかの判断や、観察力、駆け引き、殺戮の創意工夫などすべてがハイレベルである。今回登場する謎の悪役フィリップ・シーモア・ホフマンの役割がラストに明かされ、本作がやがてくる革命の火蓋を切る役割を担っているのが分かるのだから、次回作への期待度もグンと上がるという仕掛けだ。今やオスカー女優で超売れっ子のジェニファー・ローレンスは、相変わらず達者な演技で、悩みながら戦うヒロインを熱演。この人はまだ若いがハリウッド大作からインディーズ作品まで縦横無尽に活躍し、作品ごとにまったく違うキャラになりきるからさすがだ。今、最も旬の若手女優がシリーズを力強く牽引しているのは間違いない。
【65点】
(原題「THE HUNGER GAMES: CATCHING FIRE」)
(アメリカ/フランシス・ローレンス監督/ジェニファー・ローレンス、ジョシュ・ハッチャーソン、リアム・ヘムズワース、他)
(サバイバル度:★★★★☆)
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ハンガー・ゲーム2@ぴあ映画生活

映画レビュー「世界にひとつのプレイブック」

世界にひとつのプレイブック Blu-rayコレクターズ・エディション世界にひとつのプレイブック Blu-rayコレクターズ・エディション [Blu-ray]
◆プチレビュー◆
心を病んだ男女の出会いと再生の物語「世界にひとつのプレイブック」。シリアスな題材を、笑いでくるんだ演出に魅せられる。 【80点】

 妻の浮気が原因で精神のバランスを崩したパットは、仕事も家庭も全て失って実家で両親と同居しながらリハビリ中。魅力的な女性ティファニーと出会うが、彼女もまた最愛の夫を亡くし立ち直れずにいた。心に傷を抱えた二人は、人生を取り戻すためにダンスコンテスト出場を決意するが…。

 心を病んだ男女が再生しようと懸命にもがく。こう聞くとシリアスなドラマになりそうだが、本作はそんな予想を軽やかに裏切ってくれた。まじめに悩めば悩むほど笑いを誘うパットの存在は、時に世間に迷惑を及ぼすが、彼の周囲の人間は誰もがパットが大好きで、彼の再起を願っている。この物語は、登場人物たちの非常識な言動で笑わせながら、いつしか、本当に幸せに生きるために必要なものとは何か?という人生の真のテーマへと導いていく。

 そんな意外にも奥深い本作の魅力は、抜群に立ったキャラにある。何しろ誰もが素敵に“イカれている”のだ。寝取られ男のパットは根拠のない復縁を信じているし、ティファニーは夫と死別したショックで、会社の同僚11人と寝たという過激な美女。パットの父親は超が付くアメフト狂だし、息子と夫を溺愛する母親はどこまでも天然である。誰もがイタいキャラでありながら、集まるとナンとも愛おしい。もちろん個性的な男女は反発しながらも惹かれあう。無論ダンスコンテストだって、優勝などという“ありふれた”オチにはならない。

 イケメンだがどこか印象が薄かったブラッドリー・クーパーと、逆境に負けないタフな美少女役が定番だったジェニファー・ローレンス。今、最も旬な二人が、それぞれ今までとは少し違う雰囲気の演技を披露し、実に魅力的だ。ロマンティック・コメディの枠内で、心を病む不安定な男女という役は決して簡単ではない。軽くて、イタくて、愛らしい。さりげない名演とはこのことだ。

 監督のデヴィッド・O・ラッセルは「ザ・ファイター」で知名度を上げた人。もともとこの物語は、今は亡き二人の名匠、シドニー・ポラックとアンソニー・ミンゲラが映画化権を取得していたそう。ラッセル監督は、笑いと涙をブレンドした絶妙の演出で、巨匠たちの意思を見事に継いでくれた。

 タイトルにある“プレイブック”とは、アメフト用語で、チームの作戦すべてが書かれた戦術指示書を指す。だが、どんなプレイブックにも、人生のハプニングへの対処法は記されていないのだ。予定した戦術がすべてじゃない。思いもかけない出会いと、過去を否定せずに前を向く勇気こそが、必勝のフォーメーションを生み出すのだ。希望にあふれたラストを見れば良く分かる。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)ユニーク度:★★★★☆

□2012年 アメリカ映画 □原題「Silver Linings Playbook」
□監督:デヴィッド・O・ラッセル
□出演:ブラッドリー・クーパー、ジェニファー・ローレンス、ロバート・デ・ニーロ、他
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世界にひとつのプレイブック@ぴあ映画生活

ハンガー・ゲーム

ハンガー・ゲーム (2枚組)初回限定仕様: スペシャル・アウターケース付き [Blu-ray]ハンガー・ゲーム (2枚組)初回限定仕様: スペシャル・アウターケース付き [Blu-ray]
極限状態のゲームで生き抜く若者たちのサバイバルを描く「ハンガー・ゲーム」。無愛想だがりりしいヒロインがいい。

文明崩壊後のアメリカ。そこはパネムという名の独裁国家となり、首都キャピトルに住む一握りの富裕層が、首都の周りの12区に分かれて住む民衆を支配している。冷酷な政府は、毎年、各地区から12才から18才までの男女を選出し、森の中で互いを殺しあう“ハンガー・ゲーム”を開催していた。最後まで生き残った一人には、莫大な富が与えられる。プレイヤー選出の日、12区に住む少女カットニスは選ばれた幼い妹の身代わりを申し出る。壮絶なゲームの中、得意の弓矢と鋭い勘で、強豪プレイヤーを打ち倒していくカットニスだったが…。

原作はスーザン・コリンズの大ベストセラー小説。「バトル・ロワイヤル」にも似て、若者たちが互いを殺しあうサバイバル・ゲームは、次世代の若手スターを集め、細部まで作りこんだ世界観で、独特のエンタテインメント作品になっている。独裁者がハンガー・ゲームを催すのは、人々を抑圧するため。少年少女が殺しあうゲームの一部始終は娯楽として生中継され、ポイントが加算されればスポンサーが付き、戦いに有利な武器や知識が与えられるという設定は、ゲーム世代の若者たちにはなじみが深いものだ。ゲームに参加するまでのトレーニング期間が長く、導入部が少々モタつくのが惜しいが、ここで、コスプレやパフォーマンスなど、華やかな催しがあり、ビジュアルとしては面白い。ヒロインのカットニスは、無愛想で勝ち気だが、本当は家族思いの優しい少女だ。彼女がドレスアップすればその美しさにハッとするが、映画のほとんどは森の中での泥だらけのサバイバル。ここで、弓矢が得意で狩猟で家族を養ってきた彼女の知識と知恵が生きてくる。彼女の多彩な生き残り術と、ラストに待つ思いがけないルールとその顛末が見ものだ。故郷に残した恋人への思いを抱えながら、視聴者の人気を得るために、同じ区から選ばれた少年ピータと“悲劇的な恋人同士を演じる”苦悩があったりと、恋愛も一筋縄ではいかない。この映画が、アメリカで熱狂的に支持されたのは、ヒロインの反骨精神に深く共感するためだろう。若手演技派のジェニファー・ローレンスが、戦うヒロインを好演。弓を使ったアクションもさることながら、絶望的な状況から驚くべき生存本能を発揮する主人公の成長を、繊細な表情で表現して、女性の持つ強さを感じさせる。
【65点】
(原題「THE HUNGER GAMES」)
(アメリカ/ゲイリー・ロス監督/ジェニファー・ローレンス、ジョシュ・ハッチャーソン、リーアム・ヘムズワース、他)
(サバイバル度:★★★★★)
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ハンガー・ゲーム@ぴあ映画生活

映画レビュー「ウィンターズ・ボーン」

ウィンターズ・ボーン スペシャル・エディション [Blu-ray]ウィンターズ・ボーン スペシャル・エディション [Blu-ray]
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◆プチレビュー◆
父を探す少女の過酷な旅を描く秀作「ウィンターズ・ボーン」。ジェニファー・ローレンスが圧倒的に素晴らしい。 【85点】

 ミズーリ州の貧しい山村に住む少女リーは、心を病んだ母と幼い弟妹の面倒を見ながら、その日暮らしで懸命に生きていた。しかし、逮捕された父が裁判を放棄して失踪したことから家と土地を失う危機に。立ち退くまで残された期間は1週間。家族を守るため、リーは父を探す過酷な旅に出る…。

 寒々しく荒涼とした風土、貧困と薬物中毒の蔓延、独特の掟に縛られた閉鎖的な山岳文化。ここは、本当に“豊かな”アメリカなのかと目を疑う。そんな土地で生きるヒロインは17歳。青春真っ只中で、本来は大人に守られるべき存在だが、父は失踪、母は廃人同様、弟妹はまだ幼く、食べるものにも事欠く暮らしの彼女の環境は、甘い幻想を許さない。

 「私が父を探す。絶対に見つけてみせる」。どん底の生活の中で、必死に一家を支えるのは、命を懸けても守りたい家族があるからだ。ドラッグディーラーだった父が、地域共同体のルールを破ったらしいことが薄々わかってくるが、大人たちがひるんで見て見ぬふりをする裏社会の掟の前でも、リーは決して引き下がらない。何の武器も持たない彼女が、次第に凛々しい戦士に見えてくる。

 やがて父の死が現実的になり、死亡した証拠を見つけることが、唯一、家族を守る手段となる。探すのは父ではなく、父の骨。この時リーは、旅が自分を闇の中の真実へと導く地獄巡りだったことを知る。すべてを知る女たちが提示した解決策は、直視できないほど残酷なものだ。これは、十分すぎるほど家族を守っていた少女に与えられた、さらにハードな通過儀礼なのだ。

 主人公リーを演じるジェニファー・ローレンスは、まだどこかあどけない表情を持つ美少女だが、決してへこたれないタフなヒロインを演じて、圧倒的な力強さがある。どんなに悲惨な状況でも、誰かに助けを求めるのではなく、自分の手でケリをつける。この物語は、わずか17歳の少女が、アメリカ伝統の自立自助のスピリットを、満身創痍になりながら体現してみせた魂の旅路だ。あきらめることに慣れた大人の想像を超えた勇気。それが、閉塞感に満ちたアメリカ社会の希望と重なってみえることが、感動の震源となっている。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)力強さ度:★★★★☆

□2010年 アメリカ映画 原題「WINTER'S BONE」
□監督:デブラ・グラニック
□出演:ジェニファー・ローレンス、ジョン・ホークス、ケヴィン・ブレズナハン、他



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