映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週末の公開映画から オススメの1本! ◎
チリ他合作映画「ナチュラルウーマン」

ジェラール・ドパルデュー

しあわせの雨傘

しあわせの雨傘 コレクターズ・エディション<2枚組> [DVD]しあわせの雨傘 コレクターズ・エディション<2枚組> [DVD]
オゾン流の女性讃歌のこの映画、エレガントなイメージのカトリーヌ・ドヌーヴのジャージ姿が見ものだが、それ以上に、平凡な主婦だと思っていたヒロインの意外な奔放さと底力にワクワクする。スザンヌは、ジョギングと詩作が日課のブルジョア主婦。雨傘工場を経営する夫ロベールは、妻は美しく着飾って家にいればいいんだ!という典型的な亭主関白だ。夫の浮気を知っても見て見ぬふりをする母に対し、娘ジョエルは「ママみたいになりたくない」と非難する。そんなある日、ロベールが心臓発作で倒れ、やむをえずスザンヌが雨傘工場を切り盛りすることに。ここから、スザンヌの秘めた本能が目覚め始める…。

カラフルな雨傘が揺れると、思わず若きドヌーヴの代表作「シェルブールの雨傘」を思い出してしまう。だが、悲恋に耐えた可憐な娘は、いつしかたくましく、それでいて天然の可愛らしさを忘れない、愛すべきおばさんに成長していた。何しろ、三本ラインもりりしいジャージ姿でスクリーンに登場するドヌーヴなど初めて見る。ブルジョア主婦ならではのおおらかさで、ストライキで息まく労働者たちをなだめ、芸術家志望の息子ローランに傘のデザインをまかせて雨傘工場を見る見る立て直していくプロセスは、100パーセント楽観主義だ。亭主の浮気相手の秘書までも正妻スザンヌの魅力の虜になってしまうのだから可笑しい。ストーリーは、意外にも先読みを許さない展開で、労働者階級出身の市長とスザンヌの過去の関係に驚くのは序の口。ローランの出生の秘密や、工場経営者からなんと政治の世界へと踏み出す、飛躍した展開は、ミュージカルも顔負けのハイテンポだ。最後にはドヌーヴは歌まで披露してくれる。1943年生まれのこの大女優、全盛期と思われる時代は何度もあったが、ここにきて女優人生のハイライトが訪れているかのように、生き生きとしてみえる。フランソワ・オゾンという監督は、今の仏映画界を代表する俊英だが、規制の枠にとらわれず、硬軟を使い分けるセンスでいつも映画ファンを驚かせてくれる。70年代を背景したことで、フェミニズムへの気配りをチラリと見せるあたりもニクい。原題は仏語で「飾り壺」の意味。ロベールが言う「彼女は飾り壺さ。でも空(カラ)じゃない」とのセリフが効いていた。
【65点】
(原題「POTICHE」)
(フランス/フランソワ・オゾン監督/カトリーヌ・ドヌーヴ、ジェラール・ドパルデュー、ファブリス・ルキーニ、他)
(ポップ度:★★★★☆)

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ジャック・メスリーヌ フランスで社会の敵(バプリック・エネミー)No.1と呼ばれた男 Part1 ノワール編

ジャック・メスリーヌ / パブリック・エネミーNo.1 Part.1 [DVD]ジャック・メスリーヌ / パブリック・エネミーNo.1 Part.1 [DVD]
フランスに実在した伝説のギャング、ジャック・メスリーヌの壮絶な半生を2部構成で描く大作。Part1 ノワール編では、1959年、ジャック・メスリーヌが、アルジェリア戦争で非情な戦場の実態を体験し、60年代、パリに帰還後、幼馴染に誘われて次第に悪事に手を染め、若いチンピラからいっぱしのギャングになって犯罪に手を染めていく様子を描く。

冒頭にメスリーヌの最期を映すことから、観客は彼の運命を最初から知ることになる。長い映画は、そのままメスリーヌの死へのカウントダウンだ。最初は強盗から始まったメスリーヌの犯罪は、どこかトボけたところもあって明るさが漂う。海外逃亡の末にカナダで捕まるが、やがて脱獄。映画はメスリーヌを義賊のようなイメージで描いているのが興味深い。実際、一度脱獄した刑務所を、仲間を解放するために危険をおかして襲う様子は、痛快ですらある。自分なりのルールに従って罪を重ねて生きる男が、破滅に向かうと分かっていながら犯罪の世界で覚醒していくのがノワール編だ。初体験の相手である娼婦サラの敵討ちをしたり、スペイン人の妻ソフィアを熱愛したり、愛人で相棒のジャンヌと運命的に惹かれあったりと、女性関係は常に華やかで、メスリーヌの不思議な魅力を裏付けている。32回の銀行強盗、4回の脱獄を繰り返した実在の犯罪者をドライなタッチで描くが、悪だけでは語れない複雑な人物像が面白い。
【70点】
(原題「MESRINE:PART 1 - L'INSTINCT DE MORT」)
(フランス/ジャン=フランソワ・リシェ監督/ヴァンサン・カッセル、セシル・ド・フランス、ジェラール・ドパルデュー、他)
(覚醒度:★★★★☆)

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宮廷料理人ヴァテール

宮廷料理人ヴァテール
17世紀フランスに実在した天才料理人フランソワ・ヴァテールが、ルイ14世のために捧げた3日3晩の大饗宴とその舞台裏を、豪華絢爛に描いた歴史スペクタクル。フランス映画史上空前の40億円の巨費を投じて作られたこの作品は、キャスト、美術、衣装、音楽とすべてが豪華絢爛だ。

17世紀フランス。国王ルイ14世をもてなすために料理人ヴァテールは3日間に及ぶ大宴会を取り仕切るよう命令される。舞台裏での愛と陰謀とは裏腹に、芸術性の高い究極の料理と目を見はる華麗なショーは、国王を多いに満足させるのだが…。

映画の中で、大宴会の準備をするヴァテールは、食材の不足や費用のやりくり、放蕩貴族のわがままなど、次々に降りかかる難題を、持ち前の才気で切り抜ける。その中で、カスタードクリーム用の卵が腐って使えなくなる非常事態が発生。ヴァテールはとっさに、クリームに砂糖を放り込んで、泡立てる。これがホイップ・クリーム(クレーム・シャンティ)の誕生の瞬間だった。この映画の主人公で実在の料理人フランソワ・ヴァテールが発案したとして、料理史にその名前を刻んでいる。今では当たり前のようなクリームは、このような苦肉の策で誕生したのかと思うと面白い。映画に描かれるすべてが史実ではないにしても、料理というのは、アイデア、言い換えれば想像力で作り出される芸術品なのだ。

映画は、重責を負いつつ料理という芸術に邁進する天才料理人のプライドが絢爛豪華な映像の中で描かれた。かなわぬ恋に身をこがすという設定が物語の流れに上手くマッチしていないのが残念だが、歴史考証家マリ=フランス・ノエルによって、再現された当時のレシピと次々に登場する料理が素晴らしい。

出演は、ジェラール・ドパルデュー、ユマ・サーマン、ティム・ロスなど。

(2000年/英・仏/ローランド・ジョフィ監督/原題「VATEL」)

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あるいは裏切りという名の犬

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原題の「オルフェーヴル河岸36」とは、パリのシテ島にあるパリ警視庁の住所。この映画は、かつて全盛だった仏発のフィルム・ノワールの正統な継承作と言える。ラストの決着のつけ方が、いかにも仏映画らしくて気に入った。懐かしいミレーユ・ドモンジョの顔が見えるのが嬉しい。
【65点】
(仏語原題「36 QUAI DES ORFEVRES」)
(フランス/オリヴィエ・マルシャル監督/ダニエル・オートゥイユ、ジェラール・ドパルデュー、ヴァレリア・ゴリノ、他)
(フィルム・ノワール度:★★★★☆)

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ヴィドック

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◆プチレビュー◆
愛だ恋だとボソボソやってるだけが仏映画じゃない。しかし、ドパルデューは太りすぎだ。

19世紀のパリ。警察承認の人気探偵ヴィドックが殺されたというニュースがパリ中を駆け巡る。ヴィドックから伝記執筆を頼まれていた作家エチエンヌはその真相を追うことに。ヴィドックが最後に追っていた男は鏡の顔を持つ男。若き作家は、次第に恐怖の謎を解き明かす真相に近づいていくが…。

話そのものは単なる推理モノだが、あまりにもスゴイ映像に釘付けになる。見事でシュールなヴィジュアル・ムービーなのだ。監督のピトフは、CMやミュージックビデオ出身なだけあって、ハイセンスな映像はお手のもの。全体的に暗めで不思議感覚の画面はかなり独特だ。

完全に異空間と化した19世紀のパリの街並みをオドロオドロしい雰囲気で描く一方、ダークな色調の中で際立つ極彩色。やたらとクローズアップを多用した迫力の画面、顔のアップの後ろに極端なまでの遠近法で描く背景はまるでダリの絵のようなシュールさに溢れていて、アヤシイ雰囲気てんこもりだ。歴史モノは、最新技術のCGによって更に可能性が広がった。ヴィドックはフランスに実在した人物で、凶悪犯あがりながら、警察容認の人気探偵。世界で初めて私立探偵という商売を始めた人で、仏では知らない人がいないほどいうくらいの豪傑だ。稲妻で燃え上がる武器商人や伝記作家のエチエンヌ、警視総監に美貌の踊り子、はたまたヴィドックの相棒のニミエなどの登場人物が入り乱れ、みんな怪しい。おまけに、19世紀のヨーロッパらしく、錬金術や不老不死、処女の生き血などのそれらしいテイストを盛り込みながら、鏡の顔を持つ男の真意に迫る。

ラスト30分はまさにゲーム感覚!スピーディな展開とアクション、劇画タッチのカット割と目がくらみそうだ。凝りに凝った映像で、時にはワザに溺れるのもまた快感。世界初、全編デジタルカメラHD24pを使って撮影されたことでも話題。会話中心でシニカルな結末というイメージの仏映画を、今まで敬遠していた人には、認識を新たにする意味でお勧めだ。

□2001年 フランス映画 原題「Vidocq」
□監督:ピトフ(本名ジャン=クリストフ・コマー)
□出演:ジェラール・ドパルデュー、他

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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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