映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
毎日のレビューは分かりやすく簡潔な寸評で、週1本の長文映画レビューでは作品をディープに掘り下げます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる公開作品 ◎
「ファミリー・ツリー」「ダーク・シャドウ」「サニー」

ジェームズ・マカヴォイ

アーサー・クリスマスの大冒険

アーサー・クリスマスの大冒険アーサー・クリスマスの大冒険
サンタのプレゼント集配の秘密を解き明かす“イマドキ”仕様のクリスマス・ファンタジー「アーサー・クリスマスの大冒険」。欠点だらけのサンタ家族が微笑ましい。

北極の氷の下には、サンタの国の巨大なオペレーション・センターがあり、超ハイテクで画期的な集配システムによって600万人の子どもたちにプレゼントを配っていた。サンタ、サンタの息子でエリートの長男スティーブ、100万人の妖精(エルフ)は、世界中の子どもにプレゼントを配り終えたが、イギリスに住む女の子グエンへのプレゼントを配達し損ねてしまう。サンタとスティーブは“仕方ないミス“と諦めるが、お手紙係の末っ子アーサーは納得できない。クリスマスの夜が明けるまであと2時間。祖父のグランドサンタの助けを借りて、アーサーは何としてでも最後のプレゼントを届けようと大空へ飛び出すが…。

アニメーション制作はイギリスの名門アードマン・アニメーションズ。隅々まで作り込んだ映像やクリスマス・カラーでまとめられた色彩設計の素晴らしさは言うまでもないが、何しろお話が面白い。冒頭、古典的なキャラのサンタクロースが、目を見張るハイテク・システムでプレゼントを配っているという現代的でスピードディなシークエンスがまず見事だ。宇宙船型そりや、ハイテク七つ道具を使っての愉快な配送システムにワクワクする。物語はたった一つ配り忘れたプレゼントを、気弱でドジだが心優しい、クリスマス家の末っ子アーサーが、勇気を出して届けるという冒険物語。ストーリーの中には、任務が慢性化し“やっつけ仕事”になっていることへの批判、あるいは、人間が未知の存在を怖がり攻撃する不寛容など、現代社会への目配せがある。旧式のそりに乗ったはいいが、方向オンチで世界中を放浪するアーサーとグランドサンタ、ラッピングの天才の妖精や老齢トナカイの一行の珍道中に、ハラハラ、ドキドキ。半人前のアーサーはもちろん、現役サンタ、エリートの長男、祖父のグランドサンタらは、それぞれコンプレックスを抱えているのが“人間”くさくていい。だからこそ全員で団結して大切なミッションをやり遂げるラストに感動がある。ヘタレの主人公が繰り広げる手に汗握るアクションと、ワールド・ワイドな冒険、そしてエモーショナルな家族のドラマは、父と子のバトン・リレーのよう。心温まる秀作アニメーションに仕上がった。
【75点】
(原題「ARTHUR CHRISTMAS」)
(アメリカ/バリー・クック、サラ・スミス監督/(声)ビル・ナイ、ジェームズ・マカヴォイ、ヒュー・ローリー、他)
(ハートウォーミング度:★★★★★)
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アーサー・クリスマスの大冒険@ぴあ映画生活

X-MEN:ファースト・ジェネレーション

X-MEN:ファースト・ジェネレーション 2枚組DVD&ブルーレイ&デジタルコピー(DVDケース)〔初回生産限定〕X-MEN:ファースト・ジェネレーション 2枚組DVD&ブルーレイ&デジタルコピー(DVDケース)〔初回生産限定〕
人気SFシリーズ「X-MEN」の起源をひも解く物語は、非常に内容が濃く満足感が味わえる。超絶アクションでありながら、同時に心を打つドラマ性も兼ね備えた秀作だ。

国際情勢が緊迫する1960年代。強力な精神遠隔感応(テレパシー)を持つ青年チャールズは、金属を自在に操る磁力念動を持つ青年エリックと出会う。友情を育んだ二人は、世界各地のミュータントを探して仲間に迎え入れていく。一方で、元ナチスの科学者でエリックの母親を殺したショウが、邪悪なミュータント集団を結成、恐ろしい計画を実行に移していた…。

恐れられ蔑まれたミュータントの深い傷やコンプレックスが、強大なパワーとなって炸裂した結果、怒涛のアクションへとつながるというアイロニカルな展開がこのシリーズの最も味わい深いところ。さらには、異形のものを認めない人間の狭量がミュータントを分裂させていく悲劇は、歴史とも深くリンクしていて考えさせられる。「イージー・ライダー」の中に「人は、個人の自由には賛成するが、自由な個人の存在を怖がる」とのセリフがある。それはそのままミュータントが信じられず排除しようとする本作の人間たちの姿に重なって見える。

後にプロフェッサーXとなるチャールズと、マグニートーになるエリックは、まるでコインの表と裏のよう。名門出身のチャールズは、人の心を読むことでその悲しみや痛みを知り、人類との戦いを避けようとする。一方、ナチスから母を殺され復讐だけを支えに生き抜いてきたエリックは、人間を支配する武器を操り力を誇示する能力を持っていた。人類から迫害されるミュータントを救うという目的は同じでも、道がまったく違ってしまったのは、出自の違いと共に、授かった能力の差異でもあった。時代背景に米ソ冷戦やキューバ危機という史実を違和感なくからませたストーリーが見事で、一瞬も飽きさせない。同時に、後の三部作に登場する魅力的なキャラクターたちの誕生秘話もしっかり描いていて、あのウルヴァリンもチラリと顔を見せてくれるから嬉しい。プロフェッサーXが車椅子の身になった理由、ヘルメットを被るマグニートーの姿、ミュータントたちの分裂の謎。それらに鮮やかに答えてくれる本作は、若きミュータントたちの青春群像でもある。アメコミの映画化は数多いが、現時点では「X-MEN」が最高峰だと思っている。共に最上級の能力を認め合いながらも決裂せざるをえなかった若者二人の運命をドラマチックに描いた本作を見て、それは確信へと変わった。
【85点】
(原題「X-MEN: FIRST CLASS」)
(アメリカ/マシュー・ヴォーン監督/ジェームズ・マカヴォイ、マイケル・ファスベンダー、ケヴィン・ベーコン、他)
(ドラマチック度:★★★★★)
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X-MEN:ファースト・ジェネレーション@ぴあ映画生活

終着駅 トルストイ最後の旅

終着駅 トルストイ最後の旅 [DVD]終着駅 トルストイ最後の旅 [DVD]
ロシアの文豪トルストイ夫妻の晩年の愛憎を、トルストイの秘書である青年ワレンチンの目を通して語る異色の伝記映画だ。さまざまな確執を経てもなお、強く結ばれるトルストイとソフィヤの深い愛情に感動を覚える。世界中から尊敬される文豪トルストイには長年連れ添った妻ソフィヤがいた。だがトルストイは晩年に、平和と平等、非暴力と道徳を説く“トルストイ主義”を提唱。教義に心酔する一番弟子のチェルトコフから、民衆のために著作権を放棄するように迫られる。激怒した妻ソフィヤは子供たちのために財産を守ろうとし、夫婦の間に大きな亀裂が入る。激しく言い争いながらも、深く愛し合う二人だったが、ついにトルストイはすべての解決を放棄するかのように家出してしまう…。

その一挙手一投足が話題になる大作家トルストイが、80歳を過ぎてから突如家出する。これだけでも十分にスキャンダラスだが、高齢な上に病気がちだった彼は名も無い駅で寝込んでしまい、そのまま多くの取り巻きや記者に囲まれながら息を引き取る。これはかなり異様な臨終だといえる。こうなるに至るトルストイ最晩年に焦点を当てて、世界中が注目していた夫婦喧嘩を“愛”というキーワードで読み解いてみせるのが本作だ。そもそもトルストイという人物は矛盾だらけである。トルストイ主義はなるほど立派だが、性欲を否定しながら彼の子供は13人、世界平和と民衆の幸福、農奴解放を目指しながら、貴族出身の彼は贅沢に暮らし、家庭の平和ひとつ実現できない。財産と著作権放棄の件も、妻と弟子の間で右往左往する。あげくの果てに何もかも放り投げて家出ときた。「戦争と平和」「アンナ・カレーニナ」を生み出したこの文豪、残した文学は偉大だが、決して仰ぎ見る偉人ではなく、煩悩と矛盾だらけ、ずるさも弱さも抱える一人の老人にすぎない。そんな彼にとってソフィヤは似合いの相手だ。なるほどソフィヤは時にヒステリックに騒ぎ夫を困らせるが、二人を結びつける絆は夫婦愛そのもの。それを他人が“裁く”こと事態が大きな間違いではないか。単純な理想主義だけでは人は幸せにはなれないものだ。まして夫婦の間には苦楽を共にした歴史があった。そのことを若いワレンチンが汲み取って人間的に成長するという設定が意義深い。

ヘレン・ミレンとクリストファー・ブラマーという名優二人がこの困った夫婦を格調高く、それでいて少しコミカルに、愛情深く演じていて、素晴らしい。ソフィヤは、音楽家モーツァルトの妻コンツタンツェや哲学者ソクラテスの妻クサンチッペと共に世界三大悪妻と呼ばれているが、3組とも実は「割れ鍋に綴じ蓋」。トルストイとソフィヤは案外似合いの夫婦だったのかもしれない。
【70点】
(原題「THE LAST STATION」)
(ドイツ・ロシア/マイケル・ホフマン監督/クリストファー・プラマー、ヘレン・ミレン、ジェームズ・マカヴォイ、他)
(夫婦愛度:★★★★★)

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ジェイン・オースティン 秘められた恋

ジェイン・オースティン 秘められた恋 [DVD]ジェイン・オースティン 秘められた恋 [DVD]
「高慢と偏見」や「エマ」など、著作の映画化も多い英国の女流作家ジェイン・オースティン。今なお人気の作家だが、封建的な環境で結婚をハッピーエンドととらえる彼女の物語は、時に古臭く思えたものだ。だが本作では、そんなジェイン本人の、生涯唯一の激しい恋の顛末を描いて、思いがけず引き込まれる。1795年の英国。女性の地位は低く、恋愛結婚は愚かなことで、裕福な相手との結婚でなければ不幸せと思われていた時代。オースティン家の次女で小説家を目指すジェインは、両親が望む地元の名士との結婚をしぶしぶ検討していたが、ロンドンから来た法律を学ぶアイルランド人青年トム・ルフロイと出会い、運命的な恋に落ちる。

アン・ハサウェイという女優は、見るたびに上手くなる。最初は、たぬき顔の美人でロマ・コメが得意の女優という程度の、薄い印象だったが、はつらつとした雰囲気はそのままに、陰影のある演技を披露するようになった。この物語のハサウェイも、実在の作家ジェインの一世一代の恋と、当時のしきたりや価値観を尊重しながらも、新しい時代を生きていこうと奮闘する、知的で意志の強い女性を演じきり、感動を呼ぶ。自由に生きたくても社会がそれを阻む時代の恋は、情熱と分別の折り合いが難しい。ジェームズ・マカヴォイ演じる青年トムも、古い慣習や貧しさゆえにしばられるキャラだが、一見遊び人風だが実は…という興味深い人物なのだ。美しい衣装だけが見所のような、底の浅いコスチューム劇かと思っていたら、とんでもない。映画は、残された資料をもとに史実を検証しつつ、空白の部分を豊かに想像して、魅力的なエピソードで構成されている。この秘めた恋物語を見れば、お堅い中年の独身女性との印象のオースティンと、彼女の小説への見方が変わりそうだ。もちろん良い方向に、である。
【70点】
(原題「Becoming Jane」)
(イギリス/ジュリアン・ジャロルド監督/アン・ハサウェイ、ジェームズ・マカヴォイ、ジュリー・ウォルターズ、他)
(自立心度:★★★★★)

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映画レビュー「ウォンテッド」

ウォンテッド リミテッド・バージョン [DVD]ウォンテッド リミテッド・バージョン [DVD]
◆プチレビュー◆
脳髄を刺激するダイナミックな映像が快感。ハリウッドに進出した暴走系ロシア人監督に大注目だ。 【75点】

 仕事も恋も生活もストレスだらけの気弱な青年ウェスリーは、突如現れた謎の美女フォックスから、自分は凄腕暗殺者の血を引く人間だと知らされ驚愕する。世界の秩序を守る暗殺組織フラタニティにスカウトされた彼だったが…。

 ティムール・ベクマンベトフ。発音すると粘着質な感があるが、この俊英監督が放つ映像は、驚くほどクールでドライだ。米映画とはひと味違う、荒々しい手触りを持つ彼の才覚は、鮮烈な嵐となってハリウッドに降臨する。監督は、カザフスタン生まれで独特のVFXの使い手。役者はハリウッドの有名スターに欧州の気鋭俳優。原作は大人気グラフィック・ノベル。異なる要素が激しくもファンキーな化学反応を起こした。ただごとではない気配とともに。

 太古から続く暗殺組織フラタニティのモットーは“1を殺して1000を救う”なのだが、いくら正義のためとはいえ人殺しには変わりない。だが、この映画は、そんなモラルなど知ったことかと言わんばかりだ。居直り同然の超絶的な設定が、独特のおかし味を持つ世界観へとつながる。限りなくありえない物語の主人公ウェスリーは「アイム・ソーリー」が口癖の“M”なヘタレ君だ。彼が次第に覚醒し、優秀な暗殺者に変貌する様が見るものにカタルシスを与える。ウェスリーを鍛えるのが“超ド級のS”キャラがハマるアンジェリーナ・ジョリーだから、これまた説得力がある。眉間だけでなく鼻の下まで皺を寄せながら発砲する物凄い形相にはちょっぴり引いたが、しなやかな身体の動きはアクション映画に優美なエロスを持ち込んだ。女性も憧れるパワフルな美女アンジーが、本作の大きな魅力であることは間違いない。

 加えて楽しいのは、マンガ的アイデア満載のユニークな映像の数々。曲がる弾道、アクロバティックなカーチェイス、クローズアップでとらえられた工芸品のような弾丸など、シュールな映像に息つく暇もない。特に細かく割れたガラスのモザイクから人物が飛び出す場面はこの映画の白眉だ。さらにスピード感あふれる展開の中に、絶妙に組み込まれるスローモーションがたまらない。かつてサム・ペキンパーは“死の舞踏”と呼ばれるスローモーションを駆使したが、さしずめ本作はリアリティを度外視した“死のオペラ”。時間を自由に引き延ばすそのセンスがあまりにエレガントで、シビれてしまう。 

 運命を変えられると信じ、今とは違う自分を想像するのは、人間なら誰でも見る夢だ。イヤミな上司に啖呵を切り、恋人を寝取った友人を張り倒す。美女と熱く抱き合い、必殺技で悪人の息の根を止める。リンチすれすれの猛特訓はさておき、もしこうだったら…と憧れることばかりではないか。後半にはウェスリーの意外な秘密を用意し、さらに過激なアクションが観客を待ち受ける。ターゲットは“運命のはたおり機”が教えてくれるという、暗殺の中核をなす部分が、もっともうさんくさいところがミソだ。主人公と父親の絆が弱いのは気になるが、そんな不満はラストの決意の弾丸が打ち砕いてくれる。粗野でありながら洗練されているという、ベクマンベトフ監督の矛盾した才能が、新次元のエンタテインメントを誕生させた。この映画、興奮必至である。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)ありえない!度:★★★★★

□2008年 アメリカ映画 原題「Wanted」
□監督:ティムール・ベクマンベトフ
□出演:アンジェリーナ・ジョリー、ジェームズ・マカヴォイ、モーガン・フリーマン、他

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映画レビュー「ペネロピ」

ペネロピ [DVD]ペネロピ [DVD]
◆プチレビュー◆
風変わりなおとぎ話でキュートなラブロマンスは、豚の鼻を持った女の子が主人公。ポップな映像が楽しい。 【65点】

 裕福な名家に生まれながら、先祖がかけられた呪いのせいで、豚の鼻と耳を持って生まれたペネロピ。何とか結婚させて呪いを解こうとする両親の奮闘も空しく、お相手は彼女の顔を見た途端、皆、窓を破って逃げ出してしまう。唯一逃げなかった青年マックスの不実を知ったペネロピは、ついに家出を決意するが…。

 寓話的なストーリーに、過剰なほど作りこんだドール・ハウスのような映像世界は好みが分かれそうだ。女性はOK、男性はNGと大雑把に予想する。だが、シニカルな味を加味したおとぎ話の出来は決して悪くない。呪いという現実離れした設定も、ポップでシュールな映像も、超個性派女優クリスティーナ・リッチの存在感で、すんなり受け入れることができる。豚鼻の女の子などというトンデモナイ役を引き受ける勇気に驚くが、ファニーな付け鼻が不思議なほどよく似合うのでこれまたビックリだ。マフラーで隠した顔からのぞく彼女の大きな瞳と、独特の可愛さに改めて惚れ直す。

 豚の耳はロングヘアで隠せても豚の鼻は隠せない。そこで両親は彼女を世間の好奇の目から隠すため、とりあえず死んだことにした上で、屋敷に閉じ込めて育てた。ひとりぼっちで成長し、年頃になってお見合いに失敗しまくる。こんな人生だったら、普通はグレるか、変人になってしまいそうなもの。だが、この愛すべきヒロインはまったくスレたところがない。ピュアな赤ん坊みたいな不思議ちゃんなのである。性格美人とはまさにペネロピのことで、彼女は、自分の不運な境遇に恨み言ひとつ言わない。それどころか繊細で知的で優しいので、豚の鼻さえキュートに見えてくる。

 だからこそ、心優しいペネロピが傷つく場面は見ていてつらい。お見合い相手のドラ息子とゴシップ記者の陰謀で送り込まれたマックスの優しさに触れた分、彼の裏切りを知ったペネロピのショックは千回分の失恋にも匹敵するのだ。実は、マックスもペネロピに惹かれているのだが、それよりも彼にはより重大な秘密があった。その事を知らない傷心のペネロピは、家出してロンドンの街へ。ここから彼女の運命は、急激に転がり始める。初めての友達、世間へのカミングアウト、考えた末についに花嫁に。呪いを解くには、ペネロピの仲間が彼女に愛を誓わねばならない。仲間とは、名家なのか、富豪なのか、大衆なのか。運命を切り開こうと必死で頑張るペネロピが何ともけなげだ。そして、物語は意外な方向へと向かう。

 人は外見じゃない、心なんだ!と口では言いながら、やっぱり容姿が気になるのが人間の悲しさだ。第一、女の子にルックスを気にするなという方が無理である。だが男性だって、顔付きや身長、毛髪の減少は気になるはず。結局、誰もがコンプレックスを持って生きているということだ。ほら、ヒロインがぐっと身近に思えてきた。はたしてこの物語は“めでたし、めでたし”になるのだろうか? 大丈夫、だってこれはおとぎ話だもの。王子様に愛されるよりも、まず自分を愛することが幸せになる第一歩なのである。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)ポジティブ度:★★★★★

□2006年 イギリス映画 原題「PENELOPE」
□監督:マーク・パランスキー
□出演:クリスティーナ・リッチ、ジェームズ・マカヴォイ、リース・ウィザースプーン、他

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◆映画ライター、映画評論家
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◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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