映画通信シネマッシモ


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

ジェームズ・マカヴォイ

ジェイン・オースティン 秘められた恋

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「高慢と偏見」や「エマ」など、著作の映画化も多い英国の女流作家ジェイン・オースティン。今なお人気の作家だが、封建的な環境で結婚をハッピーエンドととらえる彼女の物語は、時に古臭く思えたものだ。だが本作では、そんなジェイン本人の、生涯唯一の激しい恋の顛末を描いて、思いがけず引き込まれる。1795年の英国。女性の地位は低く、恋愛結婚は愚かなことで、裕福な相手との結婚でなければ不幸せと思われていた時代。オースティン家の次女で小説家を目指すジェインは、両親が望む地元の名士との結婚をしぶしぶ検討していたが、ロンドンから来た法律を学ぶアイルランド人青年トム・ルフロイと出会い、運命的な恋に落ちる。

アン・ハサウェイという女優は、見るたびに上手くなる。最初は、たぬき顔の美人でロマ・コメが得意の女優という程度の、薄い印象だったが、はつらつとした雰囲気はそのままに、陰影のある演技を披露するようになった。この物語のハサウェイも、実在の作家ジェインの一世一代の恋と、当時のしきたりや価値観を尊重しながらも、新しい時代を生きていこうと奮闘する、知的で意志の強い女性を演じきり、感動を呼ぶ。自由に生きたくても社会がそれを阻む時代の恋は、情熱と分別の折り合いが難しい。ジェームズ・マカヴォイ演じる青年トムも、古い慣習や貧しさゆえにしばられるキャラだが、一見遊び人風だが実は…という興味深い人物なのだ。美しい衣装だけが見所のような、底の浅いコスチューム劇かと思っていたら、とんでもない。映画は、残された資料をもとに史実を検証しつつ、空白の部分を豊かに想像して、魅力的なエピソードで構成されている。この秘めた恋物語を見れば、お堅い中年の独身女性との印象のオースティンと、彼女の小説への見方が変わりそうだ。もちろん良い方向に、である。
【70点】
(原題「Becoming Jane」)
(イギリス/ジュリアン・ジャロルド監督/アン・ハサウェイ、ジェームズ・マカヴォイ、ジュリー・ウォルターズ、他)
(自立心度:★★★★★)

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映画レビュー「ウォンテッド」

ウォンテッド リミテッド・バージョン [DVD]ウォンテッド リミテッド・バージョン [DVD]
◆プチレビュー◆
脳髄を刺激するダイナミックな映像が快感。ハリウッドに進出した暴走系ロシア人監督に大注目だ。 【75点】

 仕事も恋も生活もストレスだらけの気弱な青年ウェスリーは、突如現れた謎の美女フォックスから、自分は凄腕暗殺者の血を引く人間だと知らされ驚愕する。世界の秩序を守る暗殺組織フラタニティにスカウトされた彼だったが…。

 ティムール・ベクマンベトフ。発音すると粘着質な感があるが、この俊英監督が放つ映像は、驚くほどクールでドライだ。米映画とはひと味違う、荒々しい手触りを持つ彼の才覚は、鮮烈な嵐となってハリウッドに降臨する。監督は、カザフスタン生まれで独特のVFXの使い手。役者はハリウッドの有名スターに欧州の気鋭俳優。原作は大人気グラフィック・ノベル。異なる要素が激しくもファンキーな化学反応を起こした。ただごとではない気配とともに。

 太古から続く暗殺組織フラタニティのモットーは“1を殺して1000を救う”なのだが、いくら正義のためとはいえ人殺しには変わりない。だが、この映画は、そんなモラルなど知ったことかと言わんばかりだ。居直り同然の超絶的な設定が、独特のおかし味を持つ世界観へとつながる。限りなくありえない物語の主人公ウェスリーは「アイム・ソーリー」が口癖の“M”なヘタレ君だ。彼が次第に覚醒し、優秀な暗殺者に変貌する様が見るものにカタルシスを与える。ウェスリーを鍛えるのが“超ド級のS”キャラがハマるアンジェリーナ・ジョリーだから、これまた説得力がある。眉間だけでなく鼻の下まで皺を寄せながら発砲する物凄い形相にはちょっぴり引いたが、しなやかな身体の動きはアクション映画に優美なエロスを持ち込んだ。女性も憧れるパワフルな美女アンジーが、本作の大きな魅力であることは間違いない。

 加えて楽しいのは、マンガ的アイデア満載のユニークな映像の数々。曲がる弾道、アクロバティックなカーチェイス、クローズアップでとらえられた工芸品のような弾丸など、シュールな映像に息つく暇もない。特に細かく割れたガラスのモザイクから人物が飛び出す場面はこの映画の白眉だ。さらにスピード感あふれる展開の中に、絶妙に組み込まれるスローモーションがたまらない。かつてサム・ペキンパーは“死の舞踏”と呼ばれるスローモーションを駆使したが、さしずめ本作はリアリティを度外視した“死のオペラ”。時間を自由に引き延ばすそのセンスがあまりにエレガントで、シビれてしまう。 

 運命を変えられると信じ、今とは違う自分を想像するのは、人間なら誰でも見る夢だ。イヤミな上司に啖呵を切り、恋人を寝取った友人を張り倒す。美女と熱く抱き合い、必殺技で悪人の息の根を止める。リンチすれすれの猛特訓はさておき、もしこうだったら…と憧れることばかりではないか。後半にはウェスリーの意外な秘密を用意し、さらに過激なアクションが観客を待ち受ける。ターゲットは“運命のはたおり機”が教えてくれるという、暗殺の中核をなす部分が、もっともうさんくさいところがミソだ。主人公と父親の絆が弱いのは気になるが、そんな不満はラストの決意の弾丸が打ち砕いてくれる。粗野でありながら洗練されているという、ベクマンベトフ監督の矛盾した才能が、新次元のエンタテインメントを誕生させた。この映画、興奮必至である。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)ありえない!度:★★★★★

□2008年 アメリカ映画 原題「Wanted」
□監督:ティムール・ベクマンベトフ
□出演:アンジェリーナ・ジョリー、ジェームズ・マカヴォイ、モーガン・フリーマン、他

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映画レビュー「ペネロピ」

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◆プチレビュー◆
風変わりなおとぎ話でキュートなラブロマンスは、豚の鼻を持った女の子が主人公。ポップな映像が楽しい。 【65点】

 裕福な名家に生まれながら、先祖がかけられた呪いのせいで、豚の鼻と耳を持って生まれたペネロピ。何とか結婚させて呪いを解こうとする両親の奮闘も空しく、お相手は彼女の顔を見た途端、皆、窓を破って逃げ出してしまう。唯一逃げなかった青年マックスの不実を知ったペネロピは、ついに家出を決意するが…。

 寓話的なストーリーに、過剰なほど作りこんだドール・ハウスのような映像世界は好みが分かれそうだ。女性はOK、男性はNGと大雑把に予想する。だが、シニカルな味を加味したおとぎ話の出来は決して悪くない。呪いという現実離れした設定も、ポップでシュールな映像も、超個性派女優クリスティーナ・リッチの存在感で、すんなり受け入れることができる。豚鼻の女の子などというトンデモナイ役を引き受ける勇気に驚くが、ファニーな付け鼻が不思議なほどよく似合うのでこれまたビックリだ。マフラーで隠した顔からのぞく彼女の大きな瞳と、独特の可愛さに改めて惚れ直す。

 豚の耳はロングヘアで隠せても豚の鼻は隠せない。そこで両親は彼女を世間の好奇の目から隠すため、とりあえず死んだことにした上で、屋敷に閉じ込めて育てた。ひとりぼっちで成長し、年頃になってお見合いに失敗しまくる。こんな人生だったら、普通はグレるか、変人になってしまいそうなもの。だが、この愛すべきヒロインはまったくスレたところがない。ピュアな赤ん坊みたいな不思議ちゃんなのである。性格美人とはまさにペネロピのことで、彼女は、自分の不運な境遇に恨み言ひとつ言わない。それどころか繊細で知的で優しいので、豚の鼻さえキュートに見えてくる。

 だからこそ、心優しいペネロピが傷つく場面は見ていてつらい。お見合い相手のドラ息子とゴシップ記者の陰謀で送り込まれたマックスの優しさに触れた分、彼の裏切りを知ったペネロピのショックは千回分の失恋にも匹敵するのだ。実は、マックスもペネロピに惹かれているのだが、それよりも彼にはより重大な秘密があった。その事を知らない傷心のペネロピは、家出してロンドンの街へ。ここから彼女の運命は、急激に転がり始める。初めての友達、世間へのカミングアウト、考えた末についに花嫁に。呪いを解くには、ペネロピの仲間が彼女に愛を誓わねばならない。仲間とは、名家なのか、富豪なのか、大衆なのか。運命を切り開こうと必死で頑張るペネロピが何ともけなげだ。そして、物語は意外な方向へと向かう。

 人は外見じゃない、心なんだ!と口では言いながら、やっぱり容姿が気になるのが人間の悲しさだ。第一、女の子にルックスを気にするなという方が無理である。だが男性だって、顔付きや身長、毛髪の減少は気になるはず。結局、誰もがコンプレックスを持って生きているということだ。ほら、ヒロインがぐっと身近に思えてきた。はたしてこの物語は“めでたし、めでたし”になるのだろうか? 大丈夫、だってこれはおとぎ話だもの。王子様に愛されるよりも、まず自分を愛することが幸せになる第一歩なのである。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)ポジティブ度:★★★★★

□2006年 イギリス映画 原題「PENELOPE」
□監督:マーク・パランスキー
□出演:クリスティーナ・リッチ、ジェームズ・マカヴォイ、リース・ウィザースプーン、他

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