映画通信シネマッシモ


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

ジム・スタージェス

ジオストーム

Geostorm - O.S.T.
近未来。天候を制御する宇宙ステーションが開発され、地球の大規模自然災害は過去のものとなっていた。ところが運用開始から2年後、宇宙ステーションがウイルス感染して大暴走を始め、各地で同時多発的な異常気象・ジオストームが発生。宇宙ステーションの開発者ジェイクと、何かとジェイクと対立してきた弟マックスは、地球と人類の滅亡の危機を食い止めるため、立ち上がる…。

地球の天候を制御する気象宇宙ステーションがウィルス感染により暴走するパニック・アクション大作「ジオストーム」。映画の中の地球破壊のレベルはどんどん増し、ついに宇宙規模の大ぶち壊し大会へと到達したか…と思わずため息がでるディザスター・ムービーだが、パニックをひたすら詰め込んだ進化形だと割り切れば、なかなか楽しめる作品だ。中東の砂漠は氷結、ムンバイでは巨大竜巻、東京には激しい雹が降り注ぐ。リオの浜辺では常夏のはずの海が氷り、ドバイではすべてを飲み込む大洪水…と、もはや天変地異の品評会のような映像の連打に、しばし唖然。宇宙ステーション暴走の裏側には、政治的な陰謀があったり、わだかまりを抱えた兄弟のドラマが一応盛り込まれてはいるもの、何といってもド派手なVFX映像こそが見所なので、何も考えずひたすらスペクタクルに身を委ねるのが、正しいお作法だ。

天才科学技術者がジェラルド・バトラーというところで思わず吹き出しそうになるが、実はこのマッチョなスコットランド人俳優は、役者になる前は弁護士だったのだから、隠れ知性派なのである。人は見かけによらないという言葉は、ストーリーの中でも再確認することになる。落とした卵が瞬時に目玉焼きになるほどの高温地熱の香港の道路に平気で人が立ってることも、「アルマゲドン」や「カリフォルニア・ダウン」、秀作「ゼロ・グラビティ」まで総動員した既視感満載の映像にも、決してツッコんではいけない。この凶暴なディザスター映画、ひょっとして監督は“破壊大好き”ローランド・エメリッヒなのか?!と思ったら、当たらずとも遠からず。エメリッヒの相棒的存在のディーン・デヴリンだった。長編監督デビュー作でこれだけ大暴れしたら、次はどうするの? …というのは余計な心配か。
【55点】
(原題「GEOSTORM」)
(アメリカ/ディーン・デヴリン監督/ジェラルド・バトラー、ジム・スタージェス、アビー・コーニッシュ、他)
(厄災てんこもり度:★★★★★)


にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ←ランキング参加中です!

人気ブログランキング←この記事が気に入ったらポチッとクリックお願いします(^o^)

ハイネケン誘拐の代償

ハイネケン誘拐の代償 [Blu-ray]
オランダで実際に起こった大富豪誘拐事件を描く「ハイネケン誘拐の代償」。レクター博士が人質じゃ、かなわない!

1983年、世界有数のビールメーカー、ハイネケンの経営者で大富豪のアルフレッド・ハイネケンが何者かに誘拐され、高額の身代金が要求される。警察は巨大組織による犯行と考えていたが、実際の犯人は犯罪経験のない幼なじみ5人の青年たちだった。計画は順調に思えたが、人質であるハイネケンの威圧的な態度に圧倒され、徐々に計画に狂いが生じ始める…。

1983年にオランダで実際に起こった大富豪誘拐事件の顛末を描く「ハイネケン誘拐の代償」。エミー賞受賞の犯罪ジャーナリスト、ピーター・R・デ・ブリーズのベストセラーを基に、実話を映画化した作品だが、身代金の行方など、今も多くの謎が残る事件なのだそうだ。事件の真偽はさておき、映画は、誘拐する側“素人集団”と誘拐される側“百戦錬磨の経営者”という対立の構図と、老獪な人質のペースに犯人が徐々に飲み込まれていく過程を重視している。何と言ってもハイネケンを演じるのはレクター博士ことアンソニー・ホプキンスなので、そこにいるだけで威圧されるのも無理はない。だが犯人と人質の息詰まる心理戦というほどの会話劇にはなっていない。むしろ、犯人グループ5人の奇妙な友情やわだかまり、犯罪に加担した負い目など、自滅に近い展開だ。印象に残るのは人質であるハイネケンが、犯人を素人の友人グループと見透かして言うセリフ。「裕福には二通りある。大金を手にするか、大勢の友人を持つかだ。両方はありえない」。これは自身の体験からの言葉だろうか。かけがえのない友情を手にしているのにそれに気付かない愚かな若者たちへの指針にも思える。やはり器が違うのだ。それにしても、エンドロールに流れる、その後の犯人グループの運命が興味深い。
【60点】
(原題「KIDNAPPING MR. HEINEKEN」)
(ベルギー・英・オランダ/ダニエル・アルフレッドソン監督/アンソニー・ホプキンス、ジム・スタージェス、サム・ワーシントン、他)
(心理戦度:★★☆☆☆)
チケットぴあ

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ←ランキング参加中です!

人気ブログランキング←この記事が気に入ったらポチッとクリックお願いします(^o^)
ハイネケン誘拐の代償@ぴあ映画生活

鑑定士と顔のない依頼人

鑑定士と顔のない依頼人 [Blu-ray]
天才鑑定士が姿を見せない女依頼人に魅入られていくミステリー「鑑定士と顔のない依頼人」。美女との恋で破滅するファム・ファタールもの。

ヴァージル・オールドマンは美術オークション界では名が通った一流のオークショニア。病的なまでに潔癖症で尊大な性格のヴァージルは高級ホテル風の部屋に一人で暮らしている。唯一の楽しみは、隠し部屋に飾った膨大な数の女性の肖像画を眺めること。そんなヴァージルにクレアという女性から、美術品を査定してほしいという依頼が入る。だが依頼人は何度訪ねても決して姿を見せようとしない。屋敷に、本物なら大変な価値がある18世紀に作られた機械人形の一部が落ちているのを発見したヴァージルは、謎めいた依頼人に次第に興味を惹かれ、のめりこんでいく…。

「ニュー・シネマ・パラダイス」のジュゼッペ・トルナトーレ監督は、ノスタルジックな物語を得意とするが、時として、主人公にとんでもなく残酷な運命を用意する作品も生み出す名匠だ。天才鑑定士ヴァージルは傲慢で偏屈な男。相棒のビリーが名画を格安で落札するよう仕向け、秘密の肖像画コレクションに加えて悦に入るという、屈折した趣味を持つ。ヴァージルという男は、生身の女性には興味がなく肖像画の美女だけに関心を示すような人嫌いなのだ。そんな彼が生身の女性クレアに恋するのは、歴史的に価値のある美術品をみつけたからだけでなく、屋敷から出ることを怖がる美しいクレアに自分と同じ屈折した美意識を感じたからに違いない。ヴァージルは天才修復士でプレイボーイの若者ロバートに恋の指南を受けながらクレアにのめりこむが、その先にはヴァージルが予想さえもしない罠が仕掛けられていて…という展開だ。華麗な美術品、肖像画で埋め尽くされた隠し部屋、薄気味悪い機械人形に記憶力に長けた小人の女性。すべてが謎の伏線になっていて、観客は破滅へと一歩一歩近付くヴァージルがいつ転げ落ちるのかを見守ることになる。そのどんでん返しはある種の復讐なのだが、その怨恨がちょっと弱く感じるのは、協力者たちにさしたる動機がないからだろう。潔癖症で傲慢、時に滑稽にさえ見える主人公を名優ジェフリー・ラッシュが怪演に近い名演で演じるが、美女クレア役のシルヴィア・フークスがほとんど無名でインパクトが薄いのが惜しい。だがこの匿名性さえも物語の“小道具”なのだ。埋もれた本物を見分ける鑑定士がたった一度見誤った美しい偽者。実にアイロニカルな物語だ。エンニオ・モリコーネの音楽が饒舌で効いている。
【65点】
(原題「La migliore offerta」)
(イタリア/ジュゼッペ・トルナトーレ監督/ジェフリー・ラッシュ、ジム・スタージェス、シルヴィア・フークス、他)
(ミステリアス度:★★★★☆)
チケットぴあ

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ←ランキング参加中です!

人気ブログランキング←この記事が気に入ったらポチッとクリックお願いします(^o^)

鑑定士と顔のない依頼人@ぴあ映画生活

アップサイドダウン 重力の恋人

アップサイドダウン 重力の恋人 Blu-ray
上下別々の星で暮らす男女の運命的な恋を描くSFラブファンタジー「アップサイドダウン 重力の恋人」。摩訶不思議な映像の中にロミオとジュリエットがいる。

二重引力が存在する双子惑星。富裕層が暮らす上の星と貧困層が暮らす下の星が、上下で接近して引き合っていた。下の世界に住む貧しい若者アダムは、上の世界のエデンと許されない恋に落ちる。何度も密会を重ねる二人だが、ある時、星の境界の警備隊に見つかり、引き離される。その時頭を強打したエデンは記憶を失くしてしまう。それから10年後、エデンが生きていることを知ったアダムは、二つの世界をつなぐ唯一の企業トランスワールド社へ入社し、エデンに会うために特殊な装置をつけて命がけで“上の世界”に潜入するが…。

究極の格差社会は、世界を上下に分けてしまうのか。SF作品で、富裕層と貧困層が分かれて暮らす設定は珍しくないが、その2つの世界が、上下逆さまになりながら真反対に引力が作用している図は初めてだ。互いに引き合っているのは、お互いの存在がなくてはならないものであることを意味して興味深い。劇中では、富裕層は貧困層の世界から燃料を不当に搾取することで、豊かな暮らしを維持しているのだ。何しろ、すべてのものが上下に存在する幻想的で摩訶不思議なヴィジュアルが素晴らしく美しくて、精緻に構築されている世界観に魅了される。アダムはかつて愛し合ったエデンが記憶を失くしていることを知りショックを受けるが、それでも彼女を忘れられず、反対世界の“逆物質”を身に着けて、命がけでエデンに会いに行く。引力と身分格差という大きな障害が恋人たちの前にたちはだかっているのだ。上下に分かれた“ロミオとジュリエット”を助ける友人ボブ、逆物質の進化形、二つの世界の両方で生きるピンク・ミツバチ。それらすべてが運命に抗う恋人たちを応援している。色彩はブルーとオレンジが中心でスタイリッシュだ。上下に分かれながらも整然としたオフィス風景や、アダムとエデンがデートするノスタルジックなカフェ、二つの世界が接近する山頂の寒々とした風景などが、特に印象深い。監督のフアン・ソラナスは、男が山頂にいて、もう一方の山頂にいる女性を見上げる夢を見て、逆さまの構図というワン・アイデアからこの物語を思いついたという。元カメラマンらしい映像的なひらめきである。身分違いの恋という古典的ラブストーリーと、誰も見たことがないドラマチックな映像の組み合わせが斬新な1本だ。
【65点】
(原題「Upside Down」)
(カナダ・フランス/フアン・ソラナス監督/ジム・スタージェス、キルステン・ダンスト、ティモシー・スポール、他)
(独創的度:★★★★☆)
チケットぴあ

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ←ランキング参加中です!

人気ブログランキング←この記事が気に入ったらポチッとクリックお願いします(^o^)

アップサイドダウン 重力の恋人@ぴあ映画生活

ワン・デイ 23年間のラブストーリー

ワン・デイ 23年のラブストーリー ブルーレイ [Blu-ray]ワン・デイ 23年のラブストーリー ブルーレイ [Blu-ray]
クチコミを見る
23年間に渡り、7月15日だけを切り取って綴る異色の恋愛映画「ワン・デイ 23年間のラブストーリー」。スクリーンに描かれない余白を想像する作品。

1988年のスコットランド。真面目でしっかり者のエマと、自由奔放なデクスターは、大学の卒業式の日に勢いでベッドを共にする。互いに惹かれあいながらも、二人は恋人よりも親友であることを選び、友達として旅行に行ったり、ケンカしたり、悩みを打ち明けあったりと、長い年月、毎年“7月15日”を過ごすことに。デクスターへの恋心を言い出せないエマだったが、ある年の7月15日に、デクスターから結婚することを告げられる…。

ずっと想いを秘めながら年月を過ごす男女を描く物語は珍しくないが、この作品の個性は、7月15日という特定の1日だけを描いて23年間のラブストーリーを綴るというスタイル。23年とは、これまたずいぶんと気の長い話だ。原作小説の作者のデビッド・ニコルズが自ら脚本に参加している。ちなみに、7月15日というのは、イギリスでは聖スウィジンの祝日だそう。物語は、1年のうち、そのたった1日だけを描き、残りの364日は、観客の想像にまかせることで、余白の味わいを醸し出した。その個性的な語り口は、何か違和感や物足りなさを感じさせると同時に、不思議なロマンチシズムも漂わせている。エマはよく言えば堅実だが、悪くいえば、おくびょうな性格。一方、デクスターは、酒癖、女癖は悪い反面、夢見がちなロマンチスト。あまりに違う個性のため、エマはデクスターに恋することを恐れ、好きでもない男性と何となくつきあうなど、共感できない部分も多いのだが、自分の気持ちに素直になれないでいると、その結果、ほろ苦い後悔を生むことになるという教訓にも思える。監督は「17歳の肖像」の女性監督ロネ・シェルフィグ。23年間の間に変化するファッションや音楽が見所だが、役者本人たちの顔は、さしたる老けメイクもなくあまり変わりばえしないのはちょっと残念。だが、ラストに漂う切なさも含めて、ハリウッドとは一味違う、個性的な恋愛映画に仕上がった。ロンドン、パリと華やかな都市が描かれるが、ブルターニュやエジンバラなど、豊かな自然を切り取ったカメラワークがとてもいい。
【60点】
(原題「One Day」)
(アメリカ/ロネ・シェルフィグ監督/アン・ハサウェイ、ジム・スタージェス、パトリシア・クラークソン、他)
(不器用度:★★★★☆)
チケットぴあ

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ←ランキング参加中です!

人気ブログランキング←この記事が気に入ったらポチッとクリックお願いします(^o^)
ワン・デイ 23年のラブストーリー@ぴあ映画生活

ガフールの伝説

ガフールの伝説 3D&2D ブルーレイセット(2枚組) [Blu-ray]ガフールの伝説 3D&2D ブルーレイセット(2枚組) [Blu-ray]
黄昏時の茜と夜の闇の漆黒。大人びた色彩の映像世界には、えも言われぬ趣がある。物語は、フクロウたちが高度な文明を築いている世界が舞台だ。若いフクロウ・ソーレンは、悪の集団“純血団”から世界を救うべく戦いに挑んだ「ガフールの勇者たち」の物語に夢中だ。そんなソーレンを兄クラッドは「純血団もガフールの勇者も作り話」とせせら笑う。ある時、飛ぶ練習をしていた兄弟は木の上の巣から落ちてしまい、純血団にさらわれる。そこは子供のフクロウを奴隷のように扱う孤児院があり、世界征服を企むメタルビークら悪の集団がいた。勇気ある友の助けを借りて、身体の小さなサボテンフクロウのジルフィーとともに孤児院から脱出したソーレンは、純血団の陰謀を阻止するため、伝説の地でガフールの勇者が住むという“神木”を探しに冒険の旅に出る…。

さすがは「300」のザック・スナイダー監督、主人公はフクロウだが、お得意のけれん味たっぷりの映像で自身初挑戦になる3Dというツールを最大限に活用してみせた。3Dが最も映えるのは飛翔。飛ぶと言えばストレートに鳥という発想も、原初的で良い。物語は英雄伝説と成長物語のミックスで、ペルシャとスパルタもびっくりの激しい戦闘が繰り広げられる。そもそもフクロウにこれほど沢山の種類があることを初めて知ったが、主人公ソーレンはメンフクロウという種類。どうやら特権的な種のようで、これまた貴種を尊んだスパルタを思い出させる。映像はあきれるほど凝っていて、羽の1本1本のそよぎ、ハート型に縁取られた顔の産毛の柔らかい質感など、細かい部分まで丁寧に作りこまれている。飛ぶシーンはどれも爽快で、急降下や突進のようなスピーディーな動きもいいが、風にのってゆったりと漂うシーンがいい。フクロウという生き物、可愛いのかキモいのかビミョーなのだが、夜型の鳥だけあって、全体的にダークでクールな映像で構成されていて、動物アニメながら大人のムードが漂っているのがユニークだ。色彩設計がこれまた見事で、夕暮れから夜へと移行する色調の変化など、ほれぼれする。特に、ついに“心で飛ぶ”術を身につけたソーレンが、海上の嵐の中、水しぶきを浴びて飛翔するシーン、さらに終盤、火事の炎の中を果敢に突き進むシーンは、壮麗で息をのむ。

原作は、「ニューヨーク・タイムズ」のベストセラー・リストにランクインした、ミリオンセラーで、キャスリン・ラスキーのファンタジー小説。ストーリーは、フクロウたちがまったく和解の道を模索せず、ひたすら好戦的なのが少々気になる。だが種族への誇りと、勇者の伝説を信じることで自分自身が本物の勇者になっていく成長物語に、この激しい3Dアクションはなんとフィットしていることか。“物語はシンプルに”が3Dの基本。なにより生臭い人間をいっさい登場させない潔さが、美しい映像を際立たせている。
【60点】
(原題「LEGEND OF THE GUARDIANS: THE OWLS OF GA'HOOLE」)
(アメリカ/ザック・スナイダー監督/(声)エミリー・バークレー、ジム・スタージェス、ライアン・クワンテン、他)
(映像美度:★★★★★)

人気ブログランキング←この記事が気に入ったらポチッとクリックお願いします(^o^)

正義のゆくえ I.C.E.特別捜査官

正義のゆくえ I.C.E.特別捜査官 [DVD]正義のゆくえ I.C.E.特別捜査官 [DVD]
9.11以降、米国の移民を描く作品には強い問題意識がある。そこには自由の国であるための不自由があり、移民で構成された国ゆえの苦悩が見えるかのようだ。LA移民局のベテラン捜査官マックスは、不法滞在の移民たちを取り締まる立場だが、彼らの境遇に同情的だった。そんな中、マックスの同僚で、イラン系アメリカ人ハミードの妹が殺され、遺品の中から偽造グリーンカードが見つかる。同僚がからむ秘密を感じたマックスは、独自に捜査を始める。

アメリカの移民制度は複雑で、分かりにくい。近年ではテロを恐れるあまり不寛容に陥ったアメリカを危惧する作品が多いが、この映画で描かれるのは、グリーンカードを手にしてアメリカに留まる者も、強制的に出国させられる者も、実態は紙一重だという危うさだ。不法就労者、女優志願、永住権を望む一家、孤児などの事情が描かれるが、今のアメリカは彼らに対して固く扉を閉ざした状態で、偶然開いたわずかな隙間から中に入るしか方法はない。中でも9.11テロの首謀者についてレポートを書いたイスラム教徒の少女がたどる運命は、考えさせられる。危険人物とみなされれば、個人や家族の幸せは国が考える正義の前で無残に踏み潰されていく。それを象徴するのが、国境という見えない線なのだ。ハリソン・フォードはすっかり老け込んでしまったが、正義と職務の間で苦悩する主人公を誠実に演じている。
【70点】
(原題「CROSSING OVER」)
(アメリカ/ウェイン・クラマー監督/ハリソン・フォード、アシュレイ・ジャッド、ジム・スタージェス、他)
(社会派度:★★★★☆)

人気ブログランキング←この記事が気に入ったらポチッとクリックお願いします(^o^)

アクロス・ザ・ユニバース

アクロス・ザ・ユニバース デラックス・コレクターズ・エディションアクロス・ザ・ユニバース デラックス・コレクターズ・エディション
ミュージカルが苦手な人もこんな風に歌がドラマに溶け込んでいれば大丈夫。60年代、リバプール出身の青年ジュードは、父を探して渡った米国でルーシーと恋に落ちる。既成の曲だけを使うジュークボックス・ミュージカルだが、全編をビートルズの名曲で構成する贅沢さ。しかも、その曲をそう使うか?!という驚きに満ちている。ジュリー・テイモアのシュールなセンス炸裂だ。字幕のおかげで歌詞を堪能できるが、ビートルズの曲がいかに現代とリンクするかがよく分かる。ナース姿のサルマ・ハエックがセクシーで可愛い。
【70点】
(原題「Across The Universe」)
(アメリカ/ジュリー・テイモア監督/エヴァン・レイチェル・ウッド、ジム・スタージェス、ジョー・アンダーソン、他)
(ユニーク度:★★★★★)

人気ブログランキング用バナー

←この記事が気に入ったら、ポチッとクリックしてもらえると嬉しいです\(^o^)/

ラスベガスをぶっつぶせ

ラスベガスをぶっつぶせ
最近もっぱら流行の理科系男子を主人公にした痛快な青春映画は、貧乏な天才学生がラスベガスのカジノで荒稼ぎした実話が基。主役のスタージェスをはじめ、チームを組むMITの学生を演じる俳優たちが秀才に見えないのは難点だが、キャラクターの個性やノリの良さは楽しい。何より、ただお勉強ができるだけではダメという米国の教育の価値観は見習いたいもの。難解なカード・カウンティングが分かった気になるから不思議だ。
【65点】
(原題「21」)
(アメリカ/ロバート・ルケティック監督/ジム・スタージェス、ケイト・ボスワース、ローレンス・フィッシュバーン、他)
(スピード感度:★★★★☆)

人気ブログランキング用バナー

←この記事が気に入ったら、ポチッとクリックしてもらえると嬉しいです\(^o^)/

おすすめ情報
最新コメント
作品検索はこちら
Google
WWW を検索
このブログ内を検索
映画レビュー(長文)索引

    
    
    
    
    
    
    
  
    

A−Z
0−9
おすすめ情報
おすすめ情報

おすすめ情報

楽天市場
おすすめ情報

  • ライブドアブログ