映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週末の公開映画から オススメの1本! ◎
チリ他合作映画「ナチュラルウーマン」

ジャスティン・ティンバーレイク

映画レビュー「人生の特等席」

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◆プチレビュー◆
頑固な父と不器用な娘の和解を描く「人生の特等席」。ストーリーは平凡だが、イーストウッドの存在感で魅せる映画。 【75点】

 メジャーリーグの伝説的スカウトマンのガスは、最近は、年齢による衰えを隠しきれない。フロント側は彼を引退させようとし、ガスは苦しい立場に追い込まれる。そんなガスに手を差し伸べたのは疎遠な関係の娘ミッキーだった…。

 イーストウッドは渾身作「グラン・トリノ」で実質的な俳優引退宣言をしたが、彼が“唯一の弟子”と認めるロバート・ロレンツが監督デビューするとあっては出演しないわけにはいかない。役柄は老いたスカウトマン。キャリアの終焉と父娘の関係修復を2つの軸に、再生のドラマが端正な筆致で語られる。

 主人公ガスは己の目と耳で才能ある新人を嗅ぎ分ける力があり、スカウトした選手が不調になれば、彼の家族を呼び寄せ心を落ち着かせるという“情”に寄ったオールドスタイルの人間だ。そんな男には、必ず味方がいる。

 ガスの味方とは、長年の友で、スカウト主任のピートであり、ガスに見出された元投手で、今はライバルチームのスカウトをしている青年ジョニーだ。何より、敏腕弁護士ながら、父と同じ野球愛というDNAを持つ娘のミッキーが誰よりも強い味方となるのは、予想通りである。

 無論、疎遠だった父娘の関係にも変化が。父が娘と距離を置いたその理由を聞けば、ガスが誰よりもミッキーを愛していることが分かる。「おまえに苦労させたくなかった、こんな三等席の人生で」とつぶやく父に、ミッキーはきっぱりと言うのだ。「三等席じゃない。目覚めるといつもパパの野球を見て…。人生の特等席だった」。心はちゃんとつながっていたのだ。

 ベテランの底力と親子の和解。手垢のついた物語なのだが、ウェルメイドな安心感がある。その最大の理由は、しわだらけの顔にしゃがれた声の老優イーストウッドの魅力につきる。この映画のイーストウッドは渋い。冒頭からおしっこが出ず、ブツブツと文句を言い、視力が衰え、パソコンも使わない(使えない)にも係わらず、渋い。酒場で娘にからんだ男をぶっ飛ばす時の鋭い表情は、誰にもマネできないだろう。

 データ野球で新時代の扉を開いた「マネーボール」とは真逆のこの物語は、出来すぎなほどハッピーな結末を迎える。意外性はないし、この厳しい時代に、それでは甘いという意見もあろう。だが、それでいいじゃないか。“君は僕の輝く太陽。僕を幸せにしてくれる”。劇中に登場する名曲「ユー・アー・マイ・サンシャイン」の最も有名な一節だが、この曲の歌詞はフルバージョンで聞くとなかなか切ない。酸いも甘いも知りつくした老スカウトマンのラストには、球場を見渡せる特等席からの穏やかな陽射しがふさわしい。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)安心感度:★★★★★

□2012年 アメリカ映画 □原題「Trouble with The Curve」
□監督:ロバート・ロレンツ
□出演:クリント・イーストウッド、エイミー・アダムス、ジャスティン・ティンバーレイク、他
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人生の特等席@ぴあ映画生活

TIME/タイム

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時間が通貨になった世界で繰り広げられるスタイリッシュなSF逃走劇「TIME/タイム」。義母、妻、娘が同じ年恰好で並ぶシーンが笑える。

画期的な科学の進歩によって老化現象が解決した近未来。人々は、25歳になった瞬間から生体の成長がストップする。この世界で唯一の通貨は、時間。それを買うことができる富裕ゾーンの住人は永遠の命を無駄に浪費し、スラムゾーンに住む貧しい人々は時間を買うために奴隷のように働かねばならない。究極の格差社会の中、スラム出身の青年ウィルは、ある男から莫大な時間を譲り受けたことから殺人容疑をかけられる。ウィルは真実を暴くために富裕ゾーンへと侵入するが…。

25歳を過ぎたら左腕に埋め込まれたボディ・クロックが自動的に起動し、余命をデジタル表示する。その数字が意味するのは財産。時間、すなわち金は、手をつなぐことによって与えることもできれば奪うこともできる。物語は、スラムゾーンで生まれ育った青年ウィルが、すべてが時間に支配された理不尽な社会システムの謎を解明しながら、大富豪の令嬢シルビアと共に、スリリングな逃避行を繰り広げる様を描いていく。「ガタカ」のアンドリュー・ニコル監督らしい、クールでスタイリッシュな設定のSF劇だが、不老不死を切望する人類の変わらぬ願いを、皮肉たっぷりな設定で実現してみせたところが面白い。時間の秩序を守るタイムキーパー(時間監視局員)やギャングに追われながら、格差カップルの熱い恋あり、時間に支配された世界に隠された謎ありと、アクション満載で展開するので楽しめる。ただ、シルビアの父が関与するシステムのからくりの謎解きは中途半端だし、恋人たちが“ボニーとクライド”化するラストもご都合主義。それでも、今のハリウッドを代表する若手スターのジャスティン・ティンバーレイクとアマンダ・サイフリッドのコンビの相性がいいのか、作品に勢いがある。時間とお金のどちらが大切か?その二つが同じであれば、一瞬一瞬を必死に生き抜くしかないのだ。
【60点】
(原題「IN TIME」)
(アメリカ/アンドリュー・ニコル監督/ジャスティン・ティンバーレイク、アマンダ・サイフリッド、キリアン・マーフィ、他)
(斬新度:★★★★☆)
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ステイ・フレンズ

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友情、恋愛、セックスの本音が満載の“セフレムービー”。おなじみの題材だが、旬の俳優たちによって現代風にアレンジされている。

NYに住むやり手の女性ヘッドハンター、ジェイミーは、LA在住の腕利きアート・ディレクター、ディランを転職させるため、彼をNYに招待する。親しく話をするうちに互いの恋愛観が似ていることに気付き、恋愛感情抜きで肉体関係を持つセックス・フレンドになろうと提案する…。

原題の「FRIENDS WITH BENEFITS」は、直訳すると“利益ある友人”。男女間の友情は成立するかを問う「恋人たちの予感」や、肉体関係のみを求める「抱きたいカンケイ」などより、この映画にはよりドライで契約的要素が感じられる。お互いの最も気持ちイイ部分を言い合って徹底的にセックスを楽しむのは、相手のより細かい要求に答えて、それぞれの利益へとつなげる“業務提携”のようだ。共に仕事ができるジェイミーとディランだが、恋愛を楽しめなくなっているばかりか、恋そのものに臆病になっているのだ。だけど心のどこかでは本当に愛したい、愛されたいという願望があって。そんな忙しい現代人の恋愛観に、NYとLAの文化の違いを盛り込んで、イマドキの恋愛事情を語るのは面白い。かなりキワドイ題材と露骨なセリフが満載なのに、下品にならないのは、ジャスティン・ティンバーレイクとミラ・クニスいう旬な二人の共演でコミカルな味が加味されているから。セックス・フレンドになる約束を、聖書のアプリで誓ったり、ハドソン川に着陸した機長をネタにしたりと、時代の空気を上手く盛り込んでいるのも上手い。物語は、割り切った関係のつもりが、いつしか互いを大切に思う気持ちに気付き、やがて本物の愛情が芽生えるという“安心できる”展開へ。インターネットを通じて広く呼びかけられた群集が公共の場に終結し 、あらかじめ申し合わせた行動を取る即興の集会“フラッシュモブ”が、効果的に使われるなど、映像センスの良さが光った。
【60点】
(原題「FRIENDS WITH BENEFITS」)
(アメリカ/ウィル・グラック監督/ジャスティン・ティンバーレイク、ミラ・クニス、パトリシア・クラークソン、他)
(本音トーク度:★★★★☆)



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ステイ・フレンズ@ぴあ映画生活

映画レビュー「ソーシャル・ネットワーク」

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◆プチレビュー◆
世界中の人間とつながりながら、大切な人との絆は失う皮肉。フェイスブック誕生に現代の価値観が透けて見える。 【85点】

 名門ハーバード大学の学生マーク・ザッカーバーグは、失恋がきっかけで女子大生の品定めのサイトを作る。やがてそれが巨大なSNS「フェイスブック」へと成長、マークと親友エドゥアルドはたちまち時代の寵児になっていくが…。

 世界最大のソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)であるフェイスブック(Facebook)の生みの親、マーク・ザッカーバーグは、現役の実業家だ。そんな彼が主人公のこの物語には“今”の息吹を感じるが、ハイスピードで流れるネットの世界では、映画で描かれるストーリーすら遠い過去のこと。だからこそ、監督のデヴィッド・フィンチャーは、物語は、あくまでも映画の解釈だと宣言している。コンピューターの天才マークには、ネットで何か新しいことを生み出したいとの単純で強い欲求があった。一気に作ったシステムは、やがて巨大化。マークと周囲の若者たちは、その激流に飲み込まれていく。

 マークという人物は、正直、凡人には理解し難い。マシンガンのように早口で、コロコロと話題が変わる。その合間に、色々なことをひらめいてはアイデアを形にする彼は、かなり病的で変わっている。フェイスブックが結果として巨万の富を生み、彼が若き億万長者となった事実を私たちは知っているが、映画で描かれる主人公は、金儲けや売名に関心は薄い。それどころかドラッグや遊びさえ興味を示さず、常に勉強、あるいは仕事をする典型的なオタク青年だ。

 ガールフレンドを平気で傷つけ、女の子の品定めという下世話なマネを思いつくイヤな奴。ハッキングや他人のアイデアをちゃっかりいただいても罪悪感など感じない危ない奴。それがマークだ。同時に彼は、広告をダサいといやがり、ナップスターの創業者ショーン・パーカーの「The Facebookの“THE”をとって名前をシンプルにしろ」とのアドバイスに、自分と同じ臭いを感じ取る。利益優先の起業ではなく、ネットを使って、社会に新しいムーブメントを作りたいと夢見た。この価値観もまた彼の一面なのだ。

 映画冒頭、マークは、エリート学生のウィンクルボス兄弟から、また創業時の共同経営者で唯一の友エドゥアルドから、訴訟を起こされ、当事者全員がひとつの部屋で顔を突き合わせている。物語には3者の視点があり、フラッシュバックで、過去のフェイスブック誕生の経緯を語っていく。映画は、マークの行為の是非には言及しないが、バーチャルの世界で世界中の人間とつながるシステムを作った人間が、リアルの世界では、大切な友さえ失う皮肉を見ていると、主人公の、天才ゆえの孤独や傲慢が浮かび上がってくる。そんなネット世代の若者の実体を、若手俳優のジェシー・アイゼンバーグが見事に演じてみせた。某大な量のセリフの中に、他人の痛みに無頓着で、時に幼児性さえ感じさせる難役。今までインディーズ作品中心に活躍していたアイゼンバーグが、意外なほどの底力で主人公の屈折と悲哀を演じきる。

 監督のデビッド・フィンチャーは1962年生まれ。マーク・ザッカーバーグは1984年生まれ。この年齢差はそのまま時代の差異だ。インターネット世代の主人公を、フィンチャーは憐憫を持って描いたかに見える。バーチャルに依存し、リアルを疎かにした結果、成功と引き換えに孤独を得たのだと。だが本当にそれがこの映画のメッセージだろうか。ラストシーンで聞えるカチリという音は、マークがパソコンの画面を更新する音だ。彼が問いかけても、最もつながりたいその人からの返事はない。そこには確かに寂寞とした空気があるが、マークが更新しているのは同じサイトかどうかは本当のところ、分からないのだ。ネットの申し子の天才は、旧世代が心配する人間関係への疑念など微塵も気に掛けず、実はもう別の次元へと駒を進めているのではないのか。どんでん返しが十八番のフィンチャーだ。それくらいの“トリック”を仕込んでも不思議はない。確かなのは、21世紀の反体制は、ネットの海の中で誕生するということ。同時代性こそ、この映画最大の魅力である。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)知的エンタメ度:★★★★★

□2010年 アメリカ映画 原題「THE SOCIAL NETWORK」
□監督:デヴィッド・フィンチャー
□出演:ジェシー・アイゼンバーグ、アンドリュー・ガーフィールド、ジャスティン・ティンバーレイク、他


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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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