映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる映画 ◎
「ドリーム」「亜人」「僕のワンダフルライフ」etc.

ジャッキー・チェン

スキップ・トレース

SKIPTRACE
香港のベテラン刑事ベニー・チャンは、相棒を殺した犯罪王ヴィクター・ウォンを9年間追い続けていた。ベニーは亡き相棒から娘サマンサを託され、大切に育ててきたが、彼女がヴィクターの犯罪に巻き込まれてしまう。過激な捜査で停職中の身のベニーだったが、サマンサを救うために、ヴィクターの犯罪現場を目撃していた詐欺師のコナー・ワッツを追ってロシアに向かうことに。ロシアン・マフィアに拘束されていたコナーを無事救出し、連れ戻そうとしたベニーだったが、なぜか二人とも追われる身になってしまう…。

香港の刑事とアメリカ人の詐欺師が逃亡劇を繰り広げるアクション・コメディー「スキップ・トレース」。ジャッキー・チェンが生真面目な刑事に扮し、悪徳犯罪王をとらえるため奮闘するアクション映画だが、物語はロード・ムービーの形をとっている。香港、マカオから始まる物語は、ロシアから、広大なモンゴルの草原を抜け、中国へ。遊牧民族や少数民族と触れ合い、彼らの文化や祭り、暮らしぶりを見ながら、美しい自然も堪能できる。ロシアン・マフィアとは何度も激しいバトルを繰り広げるが、どこかコミカルな掛け合いで、笑わせてくれるのも楽しい。ジャッキーのアクションと言えば、その時に身近にあるものや日常生活の小道具を使った創意工夫ある動きが特徴。本作ではそれもたっぷり見せてくれるが、ロシアの人形・マトリョーショカを使ったシークエンスは見事だった。ジャッキーは確かに歳を重ねたが、長年鍛えた身体は今もしっかり動くし、何より観客を楽しませる術(すべ)を良く知っている。

監督はフィンランド出身でハリウッドで大作映画を手掛けてきたレニー・ハーリン。なんとしばらく中国を拠点に映画を撮るそうで、アジアへ出稼ぎか?!と心の中でツッコんだ。それはさておき、ジャッキーの良さを十分に活かし、誰もが楽しめる娯楽活劇に仕上げた腕前はさすがだ。もの静かなジャッキーとお調子者のジョニー・ノックスヴィルのバディ・ムービーとしても相性がいいし、ファン・ビンビンは相変わらずの美女で目の保養である。そして犯罪王を追い詰めたクライマックスには、どんでん返しまで用意されているのだ。安心してみていられるのがジャッキー映画の良さで、ファンもそれを求めている。ジャッキー・チェンには、やっぱりこういうコミカルなアクション映画がよく似合う。
【60点】
(原題「SKIPTRACE」)
(米・中・香港/レニー・ハーリン監督/ジャッキー・チェン、ジョニー・ノックスヴィル、ファン・ビンビン、他)
(安心感度:★★★★★)
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ドラゴン・ブレイド

ドラゴン・ブレイド [Blu-ray]
紀元前50年、前漢時代の中国。シルクロードでは36の部族が抗争を繰り広げていた。前漢西域警備隊でその地の平和を守る司令官フォ・アンは、金貨密輸の濡れ衣で反逆者の汚名を着せられ、部下とともに西域辺境の雁門関に送られる。彼が部下と共に雁門関に流されてから数日後、将軍ルシウス率いるローマ帝国軍が現れる。ルシウスは、執政官の長男ティベリウスから命を狙われているティベリウスの弟を守っていた。フォ・アンとルシウスは、国や民族の違いを超えて友情を深め合うが、ティベリウスは中国侵略を目論んでいた…。

ジャッキー・チェンが平和を願いながら闘いに身を投じる男を演じる歴史スペクタクル・アクション「ドラゴン・ブレイド」。60歳を超えたジャッキーが、映画人生をかけて作り上げたスケールの大きい歴史劇は、ハリウッドとのコラボで、少し不思議な味わいになった。ゲームのようなタイトルがついているが、映画は、シルクロードで、2000年前に、中国とローマ帝国が戦ったという史実をモチーフにしている。戦闘シーンが見せ場ということもあり、かなり血生臭い描写も盛り込まれているのが、ジャッキー作品らしくない点だが、それだけリアルにこだわったのだろう。中国側が、カンフーに代表される個人技の武術で戦うのに対し、ローマ軍は集団の戦術に長けている。さらに土木技術などの文明の点でもローマは優れていた。しかし、常に領土拡大と征服を目指すローマ帝国に対し、フォ・アンに代表される中国は、できるだけ争いを避け平和を模索しようとする。現代の世界情勢の中の中国の立ち位置を考えると、素直に納得できない設定なのだが、そこは製作、アクション監督、主演を兼務したジャッキー・チェンの気概に免じて目をつぶるしかない。ストーリーは大味だし、フォ・アンとルシウスの友情も表層的。そんな中、悪役ティベリウスを怪演するエイドリアン・ブロディは、異様な存在感だった。名もないヒーローが歴史を作る。ジャッキー・チェンという人は、個の善性をどこまでも信じてるのだ。
【50点】
(原題「DRAGON BLADE」)
(中国・香港/ダニエル・リー監督/ジャッキー・チェン、ジョン・キューザック、エイドリアン・ブロディ、他)
(スペクタクル度:★★★★☆)
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ポリス・ストーリー/レジェンド

ポリス・ストーリー/レジェンド [Blu-ray]
ベテラン刑事が娘との確執を抱えながら、謎の監禁事件に挑む「ポリス・ストーリー/レジェンド」。アクション引退宣言はしたが、やっぱり頑張るジャッキーに拍手。

ベテラン刑事のジョンは、半年ぶりに一人娘のミャオと会うため、北京の繁華街にあるナイトクラブ“ウー・バー”にやってくる。ミャオはクラブの経営者で年長のウーを恋人だと紹介する。とまどうジョンだったが、突如後ろから殴られて気を失い、拘束されてしまう。クラブの入り口は封鎖され、ジョン親子を含む客が人質となり、警察も手出しできない中、この監禁事件の犯人であるウーは、ある囚人の解放を要求。ウーには綿密な復讐計画があり、それにはかつてジョンもかかわった過去の事件が関係していた…。

アクション引退を宣言はしたものの、やっぱりファンが望むのは“動くジャッキー”だ。その意向を組んだのか、本作はあくまでも人間ドラマ中心のサスペンスではあるが、随所に激しいアクションが用意されている。物語は、ナイトクラブという密室で、監禁された登場人物たちが過去を語り、犯人のウーの復讐計画が遂行されるというもの。かつてジョンも関わったある事件の真相を、一人ずつ違う視点で語るたびに、意外な真実が発覚するという、羅生門形式のようなサスペンスである。中には不自然だったり、唐突なエピソードもあるが、映画冒頭に、目に涙をためたジャッキーが自分のこめかみに銃を押し当てるその理由が明かされていくプロセスは、なかなかスリリングだ。それにしても還暦を迎えたジャッキーの頑張りには感激してしまう。さすがに往年のキレはないが、ムエタイ戦士相手に、ボロボロになりながら何度も立ち上がって戦う姿など、加齢という悩みを抱えた人間臭い“本物のジャッキー”を見るよう。ポリス・ストーリーは香港を舞台にスタートしたが、本作は完全な中国映画で舞台も北京。アクションスターから演技派への脱皮を切望するジャッキーの、大陸進出というターニングポイントになる作品になりそうだ。
【65点】
(原題「POLICE STORY 2013」)
(中国/ディン・シェン監督/ジャッキー・チェン、リウ・イエ、ジン・ティエン、他)
(ドラマ度:★★★★☆)
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ライジング・ドラゴン

ジャッキー・チェンが世界中を飛びまわるトレジャーハンターに扮したアドベンチャー活劇「ライジング・ドラゴン」。これが最後のアクション映画ってホント?!

腕利きトレジャー・ハンターのJCは、アンティーク・ディーラーのMP社から、19世紀に諸外国から略奪された、十二支の動物にまつわる秘宝“十二生肖”を探すよう、高額の報酬で依頼を受ける。JCはサイモンら信頼できるメンバーと共にチームを結成。仏貴族の末裔のキャサリンや、盗品の文化財を本国に戻す活動をする中国人女子学生ココらも巻き込み、作戦を開始する。パリ、南太平洋などを飛びまわり、一つ、また一つと像を集めるが、どうしてもみつからないドラゴンの像には、思いもよらない陰謀が隠されていた…。

スタントマン出身の世界的なアクション俳優、ジャッキー・チェンは現在59歳。大スターになった今も、出来るだけ自分自身でアクションをこなす彼は長年の仕事で身体はボロボロだ。そのせいだろうか、近年の作品ではアクションは控えめで、師匠のような役柄が多かった気がする。だが監督・製作・脚本・主演を兼ねた本作は本気度マックス、スケール倍増、完全に“復活”を印象付けた。ただしストーリーは大雑把でご都合主義の連打。美術品の贋作という興味深いプロットも極めて雑に扱われる。さらに「これは本来、私のモノ」と主張する中国の姿は、政治的にあまりに微妙だ。まぁ、それはさておき、アクション重視でストーリー軽視のバランスは、往年の香港映画の愛すべきデタラメさを彷彿とさせてどこか懐かしくもある。冒頭、ローラーブレード・スーツに身を包み、驚きのカーチェイスを披露してからは、まさにノンストップ状態だ。中でもライバルのトレジャーハンターと、ソファーから離れずに闘うというとぼけた制約の中でみせるカンフーアクションは、ジャッキーらしいコミカルさと身近なものを上手く使う創意工夫に満ちた動きで、見ていて実に楽しい。クライマックスは、なんと燃え盛る火山に向かってスカイダイビングアクションという危険きわまりないもの。よくぞここまでやってくれたと感心するが、それもそのはず、これはジャッキー・チェンの“最後のアクション超大作”。ご丁寧にも、エンディングでジャッキー本人のナレーションでわざわざ明言するから、どうやらホントらしい。これが見納め? だとしたら、こんなにアクション映画愛を炸裂するスターには二度とお目にはかかれないだろう。そう思うと、過去のジャッキー映画が一気に脳裏を駆け巡って、感慨深かった。
【65点】
(原題「十二生肖」)
(香港・中国/ジャッキー・チェン監督/ジャッキー・チェン、クォン・サンウ、ジャン・ランシン、他)
(超絶アクション度:★★★★☆)
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女ドラゴンと怒りの未亡人軍団

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“製作ジャッキー・チェン”の肩書きをひっさげ、トンデモない物語がスクリーンに炸裂する「女ドラゴンと怒りの未亡人軍団」。底抜け超大作とのキャッチに心底笑った。

11世紀の中国、悪政が蔓延する宋の時代。国境を守る名門武家・楊家の楊宗保将軍と一族の男たちは西夏王朝の侵攻を受け、全滅してしまう。一族でたった一人の男子である文広にまで無謀な戦いを強いる朝廷に、夫・宗保を失った妻の桂英の怒りが爆発。一族の未亡人12人を引き連れて、戦場へ乗り込んでいくのだが…。

物語は、中国では誰もが知る実話で、古典文学や京劇などでも知られる物語「楊門女将」をベースにした歴史アクション。まずはこのB級臭ムンムンの邦題にヤラれ、続いて、奇想天外なアクションとストーリーのムチャぶりに、久しぶりに茫然自失状態になってしまった。とはいえ、70年代にブームになった香港のB級アクションのテイストをきっちり抑える律儀さは、映画ファンにはちょっと嬉しかったりもする。登場人物が異常に多いため楊家の未亡人を見分けるのは早々にリタイア。飛躍と矛盾の多いストーリーを追うこともあっさりとあきらめた。ツッコミどころに至っては、多すぎて、どこから手をつけていいのか分からない。大真面目に作りながら、とことん残念な結果になる、このずっこけぶり。なんとも愛らしく困った映画なのだが、意外なほど見所はある。6億という巨費をかけた「レッドクリフ」ばりの迫力の戦闘シーンと、そこで繰り広げられる、唐辛子爆弾や人間つり橋などの戦法のバカバカしさの対比の妙は、この目で見ないことには味わえない衝撃だ。無謀なワイヤーアクションにも果敢に挑む女優たちは皆美しく、彼女たちが一同に並ぶだけでもゴージャス。その中に、何と日本人で国際派アクション女優・大島由加里がいるのが注目だ。呆気にとられっぱなしのトンデモ歴史大作は、2012年中国のラジー賞ゴールデンプラム(金のほうき)賞を華々しく受賞。ドラゴンといえばブルース・リーで、彼の映画に共通する“戦いは虚しい”というメッセージを、とりあえず受け取っておく。
【30点】
(原題「LEGENDARY AMAZONS/楊門女将之軍令如山」)
(中国/フランキー・チェン監督/セシリア・チャン、リッチー・レン、リウ・シャオチン、他)
(大笑い度:★★★★☆)
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女ドラゴンと怒りの未亡人軍団@ぴあ映画生活

新少林寺/SHAOLIN

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カンフー映画の金字塔が再びスクリーンに蘇った歴史アクション大作「新少林寺/SHAOLIN」。ジャッキー・チェンが厨房係ならではのコミカルな技で武道をアレンジする場面が楽しい。

辛亥革命の時代の中国。全土で覇権を巡る争いが絶えず、国は混乱に陥っていた。そんな中、登封市にある少林寺の僧侶たちは、戦争で亡くなった遺体を弔い、家を失くし傷ついた民衆の救済に全力を挙げていた。粗暴な将軍・候杰(こうけつ)は、そんな少林寺に逃げ込んだ敵を殺し、寺そのものを愚弄して去っていく。だが、戦いと策略の中、候杰は部下・曹蛮(そうばん)に裏切られ、最愛の娘を失った上、自身はお尋ね者として追われる身に。すべてを失った候杰は、少林寺の厨房係の悟道(ごどう)にかくまってもらい、やがて出家を決意する…。

リー・リンチェイ、後のジェット・リーをスターダムに押し上げたのが1982年の映画「少林寺」。カンフー映画の代名詞でもあるこの映画で、少林寺と少林武術は世界中にその名を轟かせ、多くのファンを生み出した。本作は、少林寺の全面協力による大掛かりな歴史大作で、アジア各国のスターが集結した豪華な作品。何しろジャッキー・チェンが脇役に徹していることからも、その分厚い魅力が伺える。傲慢な武将が、少林寺のストイックな暮らしと高潔な教えによって悟りを開くという軸になるストーリーはあるものの、主人公を演じるアンディ・ラウは元来、ジェット・リーのような武道系のアクション・スターではない。ということで、個人が突出するカンフー映画としてよりも、少林寺そのものを主役に、人々が命がけで守る“禅武”を描く物語になっている。禅武とは、武をもって禅を極めること。クライマックス、約2億4千万円という巨費を投じて作った同寸の少林寺のセットが炎上するシーンは大迫力だ。近代兵器と伝統的な武術が混在する時代を背景にしたのも、新味がある。アクションよりも人間ドラマに比重を置き、少林寺を題材にした今までのカンフー映画とは一味違う、人間性を感じる作品に仕上がった。
【65点】
(原題「新少林寺/SHAOLIN」)
(香港・中国/ベニー・チャン監督/アンディ・ラウ、ニコラス・ツェー、ファン・ビンビン、ジャッキー・チェン、他)
(ストイック度:★★★★☆)
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1911

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時代のうねりの中で生き、散っていった男たちの物語「1911」。ジャッキー・チェンの記念すべき映画出演100作品目の超大作だ。

1911年、中国。欧米列強の脅威にさらされ、清王朝は衰退の一途をたどっていた。このままでは国は滅びると憂いた孫文と仲間たちは、新たな国家を作るため、立ち上がる。革命軍の司令官で孫文の右腕である黄興(こうこう)は、総督府を占拠するべく攻め込むが、清朝軍の反撃に遭い敗退。自身も深手を負うが、何よりも激しい市街戦で多くの部下を失ったことが黄興にはショックだった。悲しみに打ちひしがれ、戦意を喪失した彼を励ましたのは、共に戦ううちに互いに惹かれていった女性革命家の徐宗漢(じょそうかん)だ。彼女の支えもあり、黄興は、崩壊寸前の祖国を守るため、また孫文と語り合った理想を勝ち取るため、再び立ち上がる…。

辛亥革命を成し遂げた革命の父・孫文は、中国史上でも有名な偉人だ。だが彼の右腕として実際に多くの戦場で戦った黄興という人物は、日本ではほとんど知られておらず、映画で描かれることも少ない。世界的なアクション・スターであるジャッキー・チェンが自身の映画出演100本目に選んだのは、そんな歴史の陰に隠れた真の英雄の物語である。中国から国外退去せざるを得なかった孫文が頭脳だとすれば、黄興は実際に火の粉をかぶる肉体。二つのうちどちらが欠けても革命は成立しない。ラストエンペラーの時代は、ただでさえ激動の時代で、列強の思惑が入り乱れる上に、国内の勢力図も頻繁に変化する。そんな中、清朝側でありながら、狡猾に立ち回る袁世凱の存在が目を引いた。名と実の両方を得ようとする彼こそが本当のリアリストだったのかもしれない。それに対して黄興は、一途な革命家で盟友・孫文を常に支えながら、勇気ある行動を取る、豪傑だ。ジャッキー得意のアクションは最小限に抑え、歴史大作にふさわしい重厚な物語に仕上がっている。ついに清朝最後の皇帝・溥儀を退位に追い込み、革命政府が樹立されるのだが、そこまでの道のりにあるのは、数え切れないほどの屍の山。ラストに革命に身を投じた若者たちの笑顔が登場するが、革命とは、多くの尊い命を犠牲にして成し得るものだということを痛切に思い知る。
【60点】
(原題「辛亥革命/1911」)
(中国・香港/チャン・リー監督/ジャッキー・チェン、ウインストン・チャオ、リー・ビンビン、他)
(重厚度:★★★★☆)
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映画レビュー「カンフー・パンダ2」

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大ヒットしたCGアクション・アニメの第2弾は、ポーの出生の秘密が明らかに。スピード感と立体感が同居した見事な映像が楽しめる。 【75点】

 小心者で食いしん坊ながらカンフーの達人となったパンダのポーは、仲間であるマスター・ファイブたちと平和の谷を守っていた。だが、そこに孔雀のシェン大老が現れる。シェン大老は、花火を改良した強力な武器を操り、カンフーを脅かす邪悪な強敵だ。しかも、ポーの出生の秘密を握っている様子。ポーたちは中国征服を企むシェン大老の野望を打ち砕くため、戦いを決意する…。

 太った身体にとぼけた性格、コミカルなイメージのパンダがカンフーの達人になるという意外性がウケて、大ヒットとなった前作から、大きく進化したのは、超高速カンフーと3Dが導入された点だ。激しいアクションとユルいギャグが絶妙に交じり合い、実にリズムがいい。ハイテクの武器を持つ敵に対し、仲間との結束で立ち向かうストーリーは、鉄板の展開。そこに武侠アクションの定番である出生の秘密がからむ。

 物語と映像が、大人も子供も同時に満足させるクオリティであるのは、前作と同様だ。民衆が恐怖に支配されているという設定は、中国の政治を暗に批判しているのは明らかだが、同時に圧倒的な物量で相手をねじふせようとするのは、世界中でアメリカがやっている民主化という名の“支配”をも連想させる。このアニメは敵を深読みすればするほど、現代の米中関係が透けて見えて興味深い。とはいえ、物語は、友情と親子愛、主人公の成長に正義の戦いと、きわめてクラシックな展開で安心できる。

 アクションの動きは明らかに前作より進化した。動物特有の動きを考慮しながら、動と静の動きが見事にキマる。特に、孔雀のシェン大老が華麗に羽を広げ、鋭い技を繰り出す美しさはアニメーションならではで、思わず目を見張った。それからこのシリーズの特筆は、背景が超絶的に美しいこと。アジア的な優雅さとでも言うべき渋い色彩に、中国の文化や歴史を感じさせるリアルな街並み、もちろん動物たちの衣装や表情など、すみずみまで目が行き届いている。キャラクターの個性、魅力的なストーリー、最先端のテクノロジーと、三拍子揃った秀作活劇だ。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)映像美度:★★★★★

□2011年 アメリカ映画  原題「KUNG FU PANDA 2」
□監督:ジェニファー・ユー
□出演:(声)ジャック・ブラック、ダスティン・ホフマン、アンジェリーナ・ジョリー、ジャッキー・チェン、他



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カンフー・パンダ2@ぴあ映画生活

ラスト・ソルジャー

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ジャッキー・チェンらしいコミカルな味わいが楽しめる歴史アクションで、よく出来たロード・ムービーだ。戦国時代の中国。“梁”の名もない兵士は、戦場でも死んだふりをしながら、生き延びるしぶとい男。“衛”との激戦の後、両軍とも全滅した戦場で、ひょんなことから負傷した敵の若き将軍を捕虜にする。将軍を連れ帰り役人に差し出せば、報酬がもらえることから、敵同士、しかも一介の兵士と将軍という身分違いの男2人のやっかいな旅が始まった。道中には、山賊や野生の熊、さらには将軍を暗殺しようとする衛の捜索隊まで現れる。兵士と将軍は、時に協力し、時に互いを出し抜きながら、旅をすることになるのだが…。

世界が認める武術の達人ジャッキー・チェンが構想に20年をかけ、原案、主演、製作、武術指導まで手掛けた力作だが、物語はあくまでもコミカルに進む。さすがにジャッキーは老いたが、それでも身近な道具を使ったアクションやユーモラスな演技は健在だ。物語は、立場は違えど、共に助け合いながら旅をする男2人の珍道中。戦場で雄々しく死ぬより、かっこ悪くても情けなくても、生きることを望むジャッキー扮する兵士は、今も昔も変わらないたくましい庶民を代表するキャラだ。その証拠に彼には名前さえ与えられない。台湾の人気歌手ワン・リーホンがりりしい将軍役で本格的なアクションを披露しているが、ジャッキーとの相性がなかなかいいのは、ジャッキー指導のアクションの質によるものだろう。そのアクション指導は、脇役やエキストラに至るまですべてジャッキーだというから、気合が入っている。男同士の波乱万丈の旅は、予想通り二人の距離を近づける。だが同時に、意外にも先が読めずハラハラさせられた。兵士と将軍は共に生き延びるのか、兵士は無事に故郷へ帰るのか、その時将軍を捕虜として差し出すのか。それは映画を見て確かめてほしいが、故郷で平和に暮らすことだけを夢みた主人公の男の顛末には、思わず泣けてきた。全編を通してチャランポランな兵士に思えた彼の胸に秘められた愛国心、長い旅の末にたどり着いた母国の変わり果てた姿。男が名誉や賞金などより、心の底から望んだものが平和な暮らしだったということを改めて思い出す。笑いとアクションだけでなく、最後に歴史ドラマとしてまとめたことで、締まった物語になった。
【65点】
(原題「大兵小将/Little Big Soldier」)
(中国・香港/ディン・シェン監督/ジャッキー・チェン、ワン・リーホン、ユ・スンジュン、他)
(友情度:★★★★☆)

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ベスト・キッド

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1985年の同名映画のリメイクだが、舞台を中国に、空手をカンフーに、主人公の年齢を高校生から小学生に変更し、師弟関係と少年の成長を描くカンフー・サクセス・ストーリーだ。アメリカから北京に引っ越してきた12歳の少年ドレは、言葉や文化の違いから新しい環境になじめず地元の少年たちからいじめに遭う。必死に仕返しをしてもさらに手痛いメに遭うドレ。ある日、一見冴えない中年男に見えたアパートの管理人ハンがドレの窮地を救う。カンフーの達人のハンは、なりゆきでドレが出場することになった武術大会に向けて猛特訓を始めるが…。

ラルフ・マッチオ演じる主人公がたくましく成長するオリジナル版同様、いじめられっ子のドレも内に秘めた力を開花させる。12歳という心身ともに成長期にある少年には、師の言動はそのまま父親のそれに匹敵するほどの影響力。ハンは悲しい過去から妻子を失い、父を亡くしたドレとは“失った家族”という共通項で結ばれている。最高の戦いは、戦わないこと。このセリフは、実際に武術の達人であるジャッキー・チェンが言うからこそ強い説得力を持つ。そして本気で戦うためには、基礎がいかに大切かを説くセリフもしかり。上着を落としては拾い、それをまた柱にひっかける。この単調な動作がやがてドレの日常生活まで変える場面は実に上手い。すべての動きにカンフーが宿るとはこういうことかと分かる見事なシーンだった。壮麗な中国の景色をバックに武道の修行に励む図はそれだけで美しい。ドレを演じるジェイデン・スミスはウィル・スミスの実子で父親譲りなのか動きがとてもリズミカルだ。「幸せのちから」では繊細な表情が印象的だったが、本作では淡い初恋と可愛らしいキスシーンもあって、微笑ましい。クライマックスのカンフー大会では、手に汗握るバトルが用意されている。正しい導きこそが子供たちを成長させるというメッセージは、大人にも強い自覚を促すものだ。本当の強さとは何かということが、主人公やいじめっ子も含めて子供たちが学ぶラストがさわやかだった。
【65点】
(原題「THE KARATE KID」)
(アメリカ・中国/ハラルド・ズワルト監督/ジェイデン・スミス、ジャッキー・チェン、他)
(成長物語度:★★★★★)

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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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