映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週末の公開映画から オススメの1本! ◎
チリ他合作映画「ナチュラルウーマン」

ジュノ

メモリーズ 追憶の剣

メモリーズ 追憶の剣 豪華版 Blu-ray BOX
高麗王朝末期、ユベク、ウォルソ、プンチョンの3人の剣士は最強の3本の剣を手に、世を変えるべく反乱を起こす。ユベク、ウォルソは愛し合う恋人同士だった。だが権力に目がくらんだユベクの裏切りによって反乱は失敗する。ウォルソは、命を落としたプンチョンの子を連れて姿を消した。18年後、大きな権力を手にしたユベクは、自ら主催した武術大会でウォルソにそっくりな剣さばきの少女を見つけ、彼女の後を追う。やがてばらばらになった3本の剣が再び揃い、全ての真実が明かされる…。

高麗末期を舞台に、愛と復讐に翻弄される4人の男女を描く歴史アクション「メモリーズ 追憶の剣」。国際的に活躍するイ・ビョンホン、チョン・ドヨンに加え、人気グループ2PMのジュノらが共演する華麗な歴史ものだ。ユベクの恋人でその後姿をくらましたウォルソの行動がひねりすぎなので、自分からコトを複雑にしている気がしないでもない。実はウォルソには秘密があるのだが、自ら剣を持って戦うほうが納得できる。だが仲間であるプンチョンの死に責任を感じている彼女は、自らを罰するかのように、より過酷な運命を選び取ったのだろう。このあたり、韓国文化によく登場する恨(ハン)なのだろうか。恨(ハン)という言葉の本質は、深すぎてわかりにくいが、恨むという感情だけでなく、そこには無念さや悲哀、無常観もあるという。ウォルソの行動は、自分に対する恨(ハン)なのかもしれない。ラストのユベクとウォルソの運命は、究極の愛だ。韓国映画のソード・アクションは、本物の武術家が演じることが多い中国映画のそれに比べて、見劣りがするのだが、本作のアクションは、舞踏から生まれたアクション演出だそうで、なかなか見応えがある。盲目となったウォルソを演じるチョン・ドヨンは、演技力に加え、剣さばきや茶を入れる所作の美しさが際立っていた。
【55点】
(原題「Memories of the Sword」)
(韓国/パク・フンシク監督/イ・ビョンホン、チョン・ドヨン、キム・ゴウン、ジュノ、他)
(映像美度:★★★★☆)
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メモリーズ 追憶の剣@ぴあ映画生活

二十歳 ハタチ

二十歳 豪華版 スペシャル Blu-ray BOX(初回限定版)
絵が得意な高校生ドンウは、クラスメートの少女ソミンにひそかに思いを寄せていた。ある日、プレイボーイのチホがソミンの胸を触ったことから大ゲンカに。2人のケンカを止めたのが秀才のギョンジェ。この出来事がきっかけで3人は固い絆で結ばれた親友になることに。やがて高校を卒業して20歳になった3人は、人生の岐路に立つことになる…。

20歳を大人と子供の間と位置付けて、男の子同士の友情を描く韓国映画の青春ストーリー「二十歳 ハタチ」。高校時代のバカな思い出は、人生の最も恥ずかしい時代でもあり、そんな時間を共有した友はかけがえのない親友になる。名作映画「チング」は、痛々しいまでにシリアスな友情を描いたが、こちらはひょうひょうとして明るくイマドキ感がたっぷりだ。現代が舞台ということで、セリフも、韓国映画の友情ものにありがちな大げさなものでなく、軽やかでテンポがいい。なんといっても3人のキャラがバツグンに立ってる。高校時代から女たらしのチホは人気俳優だがほとんと何もしていない失業者に近いフリーター状態。純情なドンウは、漫画家になることを夢見ていて頑張っていて、生活力はあるが通帳残高はいつもマイナス。秀才の優等生だったギョンジェは、大企業に入ることを目標にして徹底した自己管理を課しているが、酒が入るとキャラが激変する。どうだ、このメリハリ!女、金、仕事と、役割分担がはっきりしていて分かりやすいではないか。人気アイドル2PMのジュノの、本格的初主演という触れ込みで一部のファン向けの作品に思えるが、実は普遍的な友情物語だ。ただし、あくまでもライト感覚なので、そこはサラリと割り切ろう。
【50点】
(原題「TWENTY」)
(韓国/イ・ビョンホン監督/ジュノ、キム・ウビン、カン・ハヌル、他)
(友情度:★★★★☆)
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二十歳@ぴあ映画生活

映画レビュー「JUNO/ジュノ」

JUNO/ジュノ <特別編> [DVD]JUNO/ジュノ <特別編> [DVD]
◆プチレビュー◆
10代の少女の望まない妊娠を、微塵の暗さもなく描く快作。里親制度も含め、日本との違いが面白い。 【85点】

 興味本位のセックスで妊娠してしまった16歳のジュノ。中絶は思いとどまり、親友の力を借りて、養子を希望しているヴァネッサとマークという夫婦を見つけて里親の話をつける。それからジュノと周囲の人々の珍騒動が始まった…。

 望まない妊娠を描く映画は、シリアスになりがちだ。だが本作には、重苦しい空気はまったくない。風変わりな高校生ジュノのあっけらかんとした態度にとまどうやら笑うやら。でもそんな彼女の内面にも実は色々な葛藤があって…。この内側の悩みと外側の軽味の絶妙なバランスが、リズミカルで心地よい。

 何しろ、主人公ジュノが素晴らしくユニークで魅力的なキャラなのである。みんなと一緒が安心の没個性文化の日本では、なかなかこんな女の子には出会えない。妊娠という一大事に対するジュノのビジョンは「これは自分の責任」と腹をくくること。暴言すれすれの発言だって、彼女流のクールな決意表明なのだ。やせ我慢を含むにしても、相手に責任など求めず、泣き言も言わない。実に根性が座っている。娘の妊娠を知った両親が、彼女や相手を責めず、養子に出すという娘の決断を尊重する姿も、日本と違って大いに感心させられる。親と子の関係は、この映画を理解する重要アイテムだ。

 この物語には、いくつかの形の親が登場する。実の父と義理の母。二人は共に娘を愛している。さらにジュノが新聞広告で見つけた“親として理想的な”夫婦。里親制度の普及と利用法は、現実的でいかにもアメリカ風だ。弁護士立会いで書類を作り、テキパキと物事を決定する。とはいえ、すべてがドライに処理されるわけではない。理想的と思った夫婦の意外な姿が見えてくるあたりが、この作品の非凡なところだ。ホラー映画やパンクロックの話で盛り上がるマークとジュノの微妙な関係を見せつつ、子供を切望するヴァネッサの切なさを語ることも忘れない。ヴァネッサがジュノのおなかを触る場面は、女同士の母性のつながりを感じさせるものだ。それを伏線にジュノの勇気ある決断へとつなげていく巧みな展開にうなる。予定外のことが起こった時、何を最善とするか。観客も主人公と一緒に考えることになろう。

 簡単に先を読ませないヒネリの効いたストーリーを生み出したのは、新鋭脚本家ディアブロ・コーディ。元ストリッパーという超変わり種だ。主演のエレン・ペイジとジェイソン・ライトマン監督と共に、三位一体で観客の心をつかむ。センスのいい音楽やポップなアニメなど、魅力は尽きないが、サラリと描くのは、人が大人になる時に味わう痛みと優しさだ。見かけによらず懐が深い。

 最終的にはジュノの隣には誰がいるのだろうか。確かなのは、周囲の愛情と、やっと見えてきた本当の自分の気持ちだ。父親が言う「今度は自分のためにここ(産院)に来るんだよ」という言葉がグッとくる。もはや血縁だけでは家族を構成できなくなった米国社会。その片隅で奮闘する愛すべき女の子ジュノ。この物語は、そんな少女の心のアドベンチャーなのだ。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)音楽センス度:★★★★★

□2007年 アメリカ映画 原題「JUNO」
□監督:ジェイソン・ライトマン
□出演:エレン・ペイジ、マイケル・セラ、ジェニファー・ガーナー、他

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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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