映画通信シネマッシモ


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

ジュリアン・ムーア

ワンダーストラック

Wonderstruck /
1977年のミネソタ。事故で母を亡くした12歳のベンは、母の遺品から、会ったことのない父の手がかりを見つける。それは「ワンダーストラック」というニューヨーク自然誌博物館の本で、本に挟まっていた書店のしおりを頼りに、ベンは父のことを探し始める。1927年のニュージャージー。厳格な父に育てられたローズは生まれた時から耳が聞こえず、孤独を抱えていた。ある日、ふたりはそれぞれの思いを胸にニューヨークへと向かうが…。

時代も場所も異なるところで生きる少年と少女が不思議な運命で結びつく壮大でミステリアスな愛の物語「ワンダーストラック」。1977年のミネソタのベンは、会ったことがない父を探すうちに落雷に遭い、その影響で耳が聞こえなくなってしまう。1927年のニュージャージーのローズは、生まれた時から聴覚に障害があった。共に音を失くしているという設定は、脚本の上手さのおかげで、最小限のせりふと忘れがたい映像美を生み出し、観客を魅了する。とりわけローズの幼い頃を無声映画で表現した描写は効果的だ。ベンとローズは、不思議な絆に導かれ旅をすることになるが、行く先々で驚きと幸せに出会うことになる。

原作は「ヒューゴの不思議な発明」で知られるブライアン・セルズニック。ファンタジックな作風だけにトッド・ヘインズ監督との組み合わせは正直、意外だったが、ニューヨークの街の全貌や歴史を教えてくれるジオラマの使い方などを見れば、納得がいく。さらに、自分の居場所と愛する人を失くして彷徨いながら、自ら壁を乗り越えていくという主人公たちの生き様は、ヘインズ監督がこれまで「キャロル」や「エデンより彼方に」で描いてきたテーマと合致するものだ。孤独を抱えていたベンとローズの“冒険の旅”は、最後に思いがけない形でつながり、人生のきらめきを見せてくれる。自身も聴覚に障害を持ちながら圧倒的な存在感を示したローズ役の天才子役ミリセント・シモンズの演技が心に強く焼き付いた。
【75点】
(原題「WONDERSTRUCK」)
(アメリカ/トッド・ヘインズ監督/オークス・フェグリー、ジュリアン・ムーア、ミシェル・ウィリアムズ、他)
(ミステリアス度:★★★★☆)


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キングスマン:ゴールデン・サークル

Kingsman: the Golden Circle
ロンドンの高級スーツ店を隠れみのにしたスパイ機関“キングスマン”の拠点が、世界の麻薬市場を制覇する謎の敵“ゴールデン・サークル”の攻撃により壊滅してしまう。生き残ったのは、2年前にスカウトされて腕を磨いた若手スパイのエグジーと、教官でありメカ担当のマーリンだけだった。二人は敵を倒すため、アメリカにある同盟組織の“ステイツマン”の協力を求めてケンタッキーへ向かう。コテコテのアメリカ文化にとまどいつつ、エグジーらはステイツマンのメンバーたちと協力しながらゴールデン・サークルの陰謀に立ち向かうが…。

国家に所属しない粋なスパイ組織キングスマンの活躍を描いて大ヒットを記録したスパイ・アクションの続編「キングスマン:ゴールデン・サークル」。演技派コリン・ファースがアクションができるとは!という嬉しい驚きを提供してくれた前作が予想以上のヒットとなり、調子に乗ってしまった(?)この続編は、荒唐無稽な演出もキレ味も、大胆にスケールアップしている。アメリカのステイツマンにビックスターを揃えながら、無駄使いに等しい軽い扱いをするのは、第3作を見越してのことだろうか。その分、光っているのは50年代カルチャーに傾倒する麻薬王ポピーを演じるジュリアン・ムーアの怪演だ。エレガントなサイコパスという矛盾がブラックな笑いを誘ってくれる。

まるで古き良き時代の「007」シリーズを見ているかのような破天荒な展開ながら、カーチェイスや雪山でのハードなアクションなど、スペクタクルシーンの迫力には目を見張る。指名手配で母国に戻れないポピーがカンボジアのジャングルの奥地に作ったカラフルな50年代風のポピー・ランド、そこに囚われている大スター、エルトン・ジョン(本人役)が、せりふはほぼファックのみなのに、意外に大活躍するなど、狂気に近い遊び心がいっぱいで、前作で死んだはずのハリーのビックリの扱いにも驚かなくなる。しかし今回一番グッときたのは、マーク・ストロング演じるマーリンが歌う「カントリー・ロード」だ。最近なぜか映画の中でよく使われるこのカントリー・ソングのテーマは、故郷への愛。命懸けの戦いの中で腹の底から歌いあげる名曲の切なさに、思わず涙ぐんでしまった。型破りでハチャメチャな中に、愛する場所から遠く離れた人々のノスタルジーを織り込んだ点がニクい。なかなかスミに置けない続編だ。
【70点】
(原題「KINGSMAN: THE GOLDEN CIRCLE」)
(イギリス/マシュー・ヴォーン監督/コリン・ファース、ジュリアン・ムーア、タロン・エガートン、他)
(悪ノリ度:★★★★☆)


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ハンズ・オブ・ラヴ 手のひらの勇気

ハンズ・オブ・ラヴ 手のひらの勇気 [DVD]
ニュージャージー州オーシャン郡。20年以上仕事一筋に生きるベテランの女性刑事ローレルは、ステイシーという若い女性と出会う。年齢も環境も違う二人は惹かれあい、郊外の家を購入して一緒に暮らすようになる。だが、幸せな生活は長くは続かず、ローレルにガンが見つかり、余命半年と宣告される。ローレルは自分が死んだ後も、愛するステイシーが思い出がつまったこの家で暮らせるように、遺族年金を残そうとするが、同性のパートナーには法的にそれが認められなかった。病気が進行する中、ローレルは、自分たちの権利を訴えて法制度改正を求める活動をはじめるが…。

同性のパートナーに遺族年金を残すため法制度や世間の偏見に挑んだ女性の実話「ハンズ・オブ・ラヴ 手のひらの勇気」。本作はドラマ仕立てだが、ベースになっているのは、第80回アカデミー賞短編ドキュメンタリー映画賞を受賞した「フリーヘルド」だ。女性刑事ローレルは、ずっと同性愛者であることを隠してきた。オーシャン郡が保守的な土地柄で、これまた保守的な男性社会である警察組織で、生き残っていくために、やむを得なかった。彼女に好意を持つ相棒のデーンにも打ち明けていない。そのことで自分への信頼を疑うデーンに、ローレルが言う「あなたは、白人で、男性で、ストレート。私とはスタート地点が違う」という言葉が、彼女が置かれた立場の弱さを物語る。女性というだけですでにハンデなのに、さらにLGBT(性的少数者)では、どれほど勤勉で優秀でも、仕事でまっとうな評価は得られないのだ。それでもローレルは戦う。ガンで憔悴しきった彼女の訴えは、次第に影響力を増すが、彼女自身は単に遺族年金を恋人に残すという平等を求めただけ。だが周囲の人々、ゲイの権利を主張する活動家たちによって、社会的ムーブメントになっていく。この時のローレルとステイシーのとまどいがリアルだ。もしもローレルが健康なら、彼女たちはできるだけ静かな人生を送ることが望みだったのかもしれない。LGBTの権利は、先人たちのひとつひとつの努力と勇気と犠牲によって積み重ねられてきたのだ。当たり前のことを当たり前に要求することの難しさが、ローレルとステイシーのカップルの姿から痛いほど伝わってくる。演技派のジュリアン・ムーアは安定の名演、若手のエレン・ペイジはボーイッシュなステイシーを繊細な演技で好演している。終盤、病が悪化し声が出なくなったローレルに代わり、ステイシーが法廷でスピーチするシーンが感動的である。本作はLGBTの映画であると同時にフェミニズムの映画でもあるが、不当に奪われた権利を守るために戦った勇気ある人々の実話として、男女を問わず見てほしい。
【65点】
(原題「FREEHELD」)
(アメリカ/ピーター・ソレット監督/ジュリアン・ムーア、エレン・ペイジ、マイケル・シャノン、他)
(勇気度:★★★★☆)
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アリスのままで

アリスのままで [Blu-ray]
若年性アルツハイマー病を発症した女性とその家族の葛藤を描く「アリスのままで」。オスカーを射止めたジュリアン・ムーア渾身の演技に目を見張る。

50歳のアリスは名門大学で教鞭を取る言語学者。ある日、物忘れがひどくなり病院を訪れると、若年性アルツハイマー病と診断されてしまう。やがては家族のことも自分が誰であるかも忘れてしまう病気におびえながら、アリスは家族の支えでなんとか暮らしていくが…。

本作は、いわゆる難病ものではあるが、ベタついたお涙頂戴映画などではない。それはヒロインと家族をシビアな視線でみつめているからだ。知的でウィットに富んだ女性アリスは、自分が自分でなくなる病気の恐怖と共に、その病が子供たちに遺伝してしまうことで大きな罪悪感を感じる。最初は小さな物忘れから次第にエスカレートしていく描写も非常に丁寧で、ジュリアン・ムーアの名演も手伝い、若年性アルツハイマー病という病気の性質がしっかり理解できるはずだ。やがてすべてを忘れる自分にビデオメッセージを残すが、症状がかなり進行したアリスがそれを見るシークエンスは、緊張感が漂う。だがこの映画が他の難病ものとはひと味違うのは、インテリ一家のそれぞれのアリスへの接し方にある。医師である夫や優等生タイプの長女がどこか逃げ腰なのに対し、一家では落ちこぼれの次女リディアは母親の病と正面から向き合い、しっかりと支えていく。母と娘という関係性以上に女性として人間として関わっていこうとする毅然とした姿勢が印象的で、クリステン・スチュワートの自然体の演技がムーアに負けずに素晴らしい。例え記憶は薄れても、アリスがアリスであった事実は決して消えることはない。高齢化社会、老い、記憶。いつかは自分や家族にも…と身につまされる観客も多いかもしれない。アイデンティティーと尊厳を、静かなタッチで描く良作だ。
【80点】
(原題「STILL ALICE」)
(アメリカ/リチャード・グラツァー、ワッシュ・ウェストモアランド監督/ジュリアン・ムーア、アレック・ボールドウィン、クリステン・スチュワート、他)
(女性映画度:★★★★☆)
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アリスのままで@ぴあ映画生活

フライト・ゲーム

フライト・ゲーム (初回限定特典/デジタル・コピー付) [Blu-ray]
トラウマ持ちの航空保安官がハイジャックに立ち向かうサスペンス・アクション「フライト・ゲーム」。戦うオヤジといえばリーアム・ニーソンだ!

NYからロンドンへと向かう旅客機に乗った連邦保安官ビルは、突如、1億5千万ドルを指定口座に送金しなければ20分ごとに1人ずつ機内の誰かを殺すという、凶悪な犯行予告のメールを受け取る。半信半疑のビルだったが、予告通り犠牲者が出たことで、ビルは乗客を一人一人調べながら、犯人の特定に奔走。だが犯人が指定した口座がビルの名義だったことから、地上の保安局からはビル自身が犯人との疑いをかけられてしまう…。

遥か上空の航空機内は逃げ場がない閉鎖空間。正体不明のテロリストに命運を握られた上、自分が犯人にされてしまう大ピンチ。絶対絶命の危機でいきなり強くなるキャラといえば、近年アクション俳優として覚醒している演技派リーアム・ニーソンの十八番である。だが、今回はただ強いだけではない。過去の不幸な出来事から、アル中で精神状態が不安定という、今までにない弱さがあるのが新鮮だ。146人の乗客乗員は誰もが怪しい。偶然、隣に座った女性で唯一の味方のジェンが、もしや彼女が犯人かも…という疑心暗鬼系のロマンス対象であるところもお約束通りだ。ジリジリと追いつめられるような緊迫感が漂う前半、航空機内という密室ながら銃撃戦や爆発という派手なアクションがさく裂する後半と、メリハリもある。特に、狭い場所での格闘戦は、まるで傷みが伝わるかのよう。主人公が犯人である可能性は最後までひっぱるというサービスも忘れない。なかなか姿を現さないテロリストにシビレが切れた頃、意外な犯人が現われる。犯行の動機にはちょっぴり拍子抜けしてしまったが、二転三転するスピード感たっぷりの演出と、後味のいいラストで、意外にも楽しめる密室型サスペンスに仕上がっていた。
【60点】
(原題「NON-STOP」)
(アメリカ/ジャウマ・コレット=セラ監督/リーアム・ニーソン、ジュリアン・ムーア、ミシェル・ドッカリー、他)
(ハラハラ度:★★★★☆)
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フライト・ゲーム@ぴあ映画生活

ドン・ジョン

ドン・ジョン [DVD]
超モテ男がタイプの違う2人の女性と出会い真実の愛を知るラブ・コメディ「ドン・ジョン」。ポルノ大好きという一見扇情的な設定だが実は純愛ものだった。

鍛えた肉体と甘いルックスで女性に不自由はしないプレイボーイのジョンは、家族を愛し、教会にもきちんと通う平凡な男。だが、実はジョンは、現実の女性に満足できず、完璧な快楽を求めて、日夜、パソコンでポルノ鑑賞に熱中する日々を送っている。最高にセクシーな美女バーバラと出会って真剣に付き合い始めるものの、やっぱりポルノ鑑賞は止められない。一方のバーバラも、映画のようなロマンスに憧れジョンに理想の男性像を押しつけるばかり。そんなある日、ジョンはワケありな年上女性のエスターと出会い、新たな価値観に気付いていく…。

人気、実力ともに注目の俳優ジョゼフ・ゴードン=レヴィットが初監督し、自ら主演を務めるこの映画、ポルノ大好きという思わずドン引きしたくなる設定だが、それで見逃すにはあまりに惜しい示唆に富んだ作品だ。タイトルのドン・ジョンとは、日夜クラブに繰り出しセクシーな美女をナンパしては一夜限りの関係を繰り返すジョンを、遊び仲間が伝説のプレイボーイのドン・ファンにちなんで呼ぶ名称である。女性に不自由しないはずのジョンだが、パソコンの中のポルノこそ理想と考え、教会で“婚前交渉”と“自慰”を懺悔し続けている。こんな歪んだ主人公が恋愛によっていったいどう変わっていくのかと興味津々になるはずだ。だが自分本位なのはジョンだけではなく、恋人のバーバラもロマンス中毒で自分の理想をジョンに押しつける。リアルから逃避し、大人になりきれない二人が上手くいくはずもないのだが、それを気付かせるのが、飾らない性格で人生の機微を知る中年女性のエスターだ。互いに相手の本当の姿に埋没することで初めて現実から理想へと近付ける。こんな深い愛の心理を語るのに、ポルノを小道具に使うとは“新人監督”ゴードン=レビットのセンスはなかなか鋭い。しかもコミカルかつアイロニカルに描いていくからテンポもすこぶる良い。ポルノはあくまでも脇役で、これは自分本位な男が、真剣に他者と関わることで、本当に豊かな人間関係を築くことを知る成長物語なのだ。完璧な美女をスカーレット・ヨハンソン、ジョンの恋愛指南役の年上女性をジュリアン・ムーアというキャスティングも効いている。何より、優しい風貌で草食系男子のイメージだったジョゼフ・ゴードン=レヴィットが、自らのイメージを真逆の肉食系に変えてみせた荒業が見事だった。
【70点】
(原題「DON JON」)
(アメリカ/ジョゼフ・ゴードン=レヴィット監督/ジョゼフ・ゴードン=レヴィット、スカーレット・ヨハンソン、ジュリアン・ムーア、他)
(恋愛指南度:★★★★☆)
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ドン・ジョン@ぴあ映画生活

メイジーの瞳

メイジーの瞳 [Blu-ray]
6歳の少女メイジーの視点で大人の世界を描く「メイジーの瞳」。大人の身勝手に黙って耐える少女の姿が痛々しい。

NYに住む6歳のメイジーは、両親の離婚で、美術ディーラーの父ビールとロック歌手の母スザンナの家を10日ごとに行き来している。やがて父はベビーシッターだったマーゴと、母は心優しいバーテンダーの若者リンカーンと再婚するが、両親は自分のことに忙しく、それぞれのパートナーにメイジーの世話を押し付けるようになる。メイジーはマーゴやリンカーンと過ごす時間が長くなるが、ある日、スザンナが突然ツアーに出てしまい、メイジーは夜の街に置き去りにされてしまう…。

原作は、19世紀から20世紀初頭に活躍した作家ヘンリー・ジェイムズの小説。ジェイムズといえば「鳩の翼」や「ある貴婦人の肖像」など、映画化された作品も多いが、本作は設定を現代のNYに置き換えているのが目を引く。6歳のメイジーを演じるのは撮影当時本当に6歳だった新星オナタ・アプリールちゃんで、彼女の可愛らしさ、けなげさが大きな魅力になっているのは間違いない。両親は共にメイジーを愛してはいるが、自分のことで精一杯。それぞれのパートナーも彼らの身勝手に我慢の限界を超えて出て行ってしまう。無責任な大人たちのいざこざやわがままを、じっとみつめて耐える6歳の少女が、一番大人に見えて仕方がない。メイジーは聞き分けが良く、我慢強いが、それでも時折寂しげな表情を見せるのが痛ましい。都会で生きる子供の常で世慣れてはいるが、決してスレてはいない彼女こそ、人生でもっとも大切なもの“愛”をストレートに理解しているのだ。大人を気遣い、優しさを求めるメイジーは、やがて血のつながりを超えた家族の形を選ぶことになる。これは、現代を生きる子供の視点から問題提起し、離婚が珍しくなくなった現代社会の家族のあり方を模索しながら、大人も子供も傷つきながら希望を見出す物語なのだ。家族の問題をシビアに扱いながらも、ガーリーなファッションや光あふれる映像で、どこか優しさが漂うドラマに仕上がっている。
【65点】
(原題「WHAT MAISIE KNEW」)
(アメリカ/スコット・マクギー、デイヴィッド・シーゲル監督/ジュリアン・ムーア、アレキサンダー・スカルスガルド、オナタ・アプリール、他)
(けなげ度:★★★★☆)
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メイジーの瞳@ぴあ映画生活

キャリー

キャリー 2枚組ブルーレイ&DVD (初回生産限定)
いじめられっ子の復讐劇を描いた傑作ホラーのリメイク「キャリー」。オカルト・ホラーというより青春映画の様相。

高校生のキャリーは地味で内気な女の子。学校ではいじめられ、家では狂信的な母親に支配されて、不幸な毎日を送っていた。実は彼女は、激しい興奮状態に陥ると物を動かせる念動力という超能力を秘めていたが、母親はそれを悪魔の仕業と決め付けていた。ある日、同級生からのいじめ事件をきっかけに、女生徒のあこがれの的であるトミーとプロムのパーティに出席することになる。母親の反対を押し切り、手作りのドレスに身を包んだキャリーは幸福を感じるが、その裏では、キャリーに対する残酷ないたずらが計画されていた。全身に真っ赤な血を浴びたキャリーは怒りが頂点に達し、パーティ会場と町は、壮絶な惨劇へと向かうのだった…。

70年代のオカルトホラーブームの中でも大ヒットを記録した映画「キャリー」は、ブランアン・デ・パルマ監督による傑作ホラーだ。それを今、蘇らせる試みは、いじめというあまりにも現代的なテーマを考えると必至の出来事かもしれない。過去作との比較は避けられないが、デ・パルマ版のキャリー役シシー・スペイセクが、オドオドと鬱屈していて見ているこちらまでイライラさせられるほどのキャラだったのに対し、モレッツ版キャリーは、どうみても可愛く健康的。なぜこの子がいじめられっ子に?この子ならプロムに誘ってもよさそうなのでは? と疑問に思うほど愛らしい。ヒロインのルックスの良さはさておき、今回のキャリーは現代っ子らしく積極的だ。自分の持つ力におびえるだけでなく、ネットで超能力について詳細に調べ、図書館で本を読破し、同じような能力の仲間がいることを突き止めるという行動力が目を引く。もっともそれを活かす応用力はないので、やっぱりいじめられてしまうのだが。怖さや陰湿さではデ・パルマ版には及ばないものの、スクール・カーストの最下部に位置する若者の一発逆転の復讐劇である青春映画としてみると、爽快感さえ感じてしまう。他者とは違う自分を肯定し暴走はするもののやられっぱなしではないキャリーは、間違いなく21世紀の女の子なのだ。オリジナルを知る映画ファンには、母親に突き刺さる刃物や頭から浴びせられる豚の血など、繰り返されるモチーフを確認できる。さて、ラスト、公開当時、劇場内を阿鼻叫喚で包んだという有名なあのショックシーンは用意されているのか? それは見てのお楽しみだ。
【60点】
(原題「CARRIE」)
(アメリカ/キンバリー・ピアース監督/クロエ・グレース・モレッツ、ジュリアン・ムーア、ジュディー・グリア、他)
(現代性度:★★★★☆)
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キャリー@ぴあ映画生活

ラブ・アゲイン

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冴えない中年男の自分改造計画が思いがけない波紋を呼ぶ「ラブ・アゲイン」。ウェルメイドなラブ・コメディだが、意外な人間関係で“世間は狭い”と判らせる。

真面目を絵に描いたような中年男キャルは、ある日突然、妻のエミリーから離婚を切り出される。仕事も家庭も順調だと思っていたキャルは、妻の浮気に大ショック。一人寂しく地元のバーで飲んでいたところを、プレイボーイのジェイコブと知り合う。キャルは、妻への未練を断ち切るべく、若いジェイコブからファッションや女性との接し方などを教えてもらい、新しい人生を歩もうとするが…。

妻の浮気といえば夫には大事件だが、この主人公の怒りは、妻や浮気相手への怒りよりも、情けない自分に矛先が向く。それはキャルが、波風とは無縁だったぬるま湯のような人生を、心のどこかで反省している証拠だ。だが、高校時代の恋人だった妻しか愛したことがない彼には、女性への免疫力はない代わりに、誰よりも深く妻を愛する純情がある。そんなキャルが、ジェイコブの導きで次々に女性にモテまくり、おしゃれな男に変貌するのは、男性側には都合がよすぎる展開なのだが、そうそう世の中が甘くないことは、マリサ・トメイ演じるセクシーな女性教師との“縁”で、しっかりクギをさして、判らせるという仕掛けだ。個人的に、キャルとエミリーの仲よりも気になったのは、キャルの13歳の息子ロビーと、ベビー・シッターのジェシカとの歳の差カップル(?)の恋の行方。ジェシカは実はキャルに恋していたりするのだが、登場人物が一同に会して、ドタバタ劇がなんとか収まった後に、ジェシカがキャルに小さなプレゼントをする場面が、なかなかニクい。とことん男性目線の物語だが、将来のイケダンへの“教育”も抜かりはないのだ。アメリカでは大人気のコメディ俳優スティーブ・カレルの魅力ありきの作品だが、おいしいところを持って行ったのは、どんな役もひょうひょうとした軽さで演じる隠れ演技派ライアン・ゴズリング。この俳優が今、超売れっ子である理由がよく判る。
【60点】
(原題「CRAZY STUPID LOVE」)
(アメリカ/グレン・フィカーラ、ジョン・レクア監督/スティーヴ・カレル、ライアン・ゴズリング、ジュリアン・ムーア、他)
(ハートウォーミング度:★★★★☆)
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ラブ・アゲイン@ぴあ映画生活

クロエ

クロエ [DVD]クロエ [DVD]
この官能サスペンスは、キャスティングが絶妙。話そのものは陳腐でさえあるのに、品格を失わないのはジュリアン・ムーアの演技力のおかげだ。

産婦人科医キャサリンと、大学教授のデビッドは長年連れ添った夫婦。息子と3人で平穏に暮らしているが、夫の携帯電話に女性の写真をみつけたことから、キャサリンは夫の浮気を疑い始め、精神状態が不安定になる。偶然出会った美しい娼婦のクロエに、夫を誘惑させ、その模様を詳細に報告するよう頼むが、そのことは、キャサリンを後戻りできない危険な世界へと導いていくのだった…。

この映画の元ネタはフランス映画の「恍惚」。ファニー・アルダンとエマニュエル・ベアールが演じた危うい関係を、今度はハリウッドの実力派女優ジュリアン・ムーアと、売れっ子若手女優アマンダ・セイフライドが演じている。リメイクだと知らなくても、この物語の“真相”はうすうす分かるだろう。サスペンスや官能という点では弱いのだが、スタイリッシュな映像を撮るカナダの鬼才アトム・エゴヤンは、鏡を効果的に使って美しい心理ドラマとして仕上げている。欲求不満の人妻の夢をかなえる娼婦という単純な構図ではなく、やがて自我と愛に目覚める女の執念がクライマックスで炸裂。その後の、平穏な家族を見て、安易なハリウッド的収束かとがっかりしかけたが、最後の最後にジュリアン・ムーアが後ろ姿を見せたとき、秘めた愛情が垣間見えて物語に含みを持たせた。見開いた瞳が印象的なアマンダは意外にも好演だが、やはりジュリアン・ムーアの存在感でもっている作品だろう。
【55点】
(原題「CHLOE」)
(加・仏・米/アトム・エゴヤン監督/ジュリアン・ムーア、リーアム・ニーソン、アマンダ・セイフライド、他)
(官能度:★★★☆☆)
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