映画通信シネマッシモ


映画通信シネマッシモは、2018年4月をもって、終了しました。

ブログ終了にあたり、たくさんのあたたかいコメントをお寄せいただき、本当にありがとうございました。
皆さまの映画ライフに少しでもお役に立てたならこれほど嬉しいことはありません。
長い間のご愛顧に心より感謝いたします。

ジュリエット・ビノシュ

アクトレス 女たちの舞台

アクトレス ~女たちの舞台~ [Blu-ray]
大女優マリアは、有能な女性マネージャーのヴァレンティンと共に仕事に励んでいた。ある時、マリアは、自分が出演し出世作となった20年前の舞台劇のリメイクをオファーされる。だがマリアの役はかつて演じた小悪魔的な若き美女ではなく、ヒロインに振り回される中年女性の役。リメイク版の主役には、ハリウッドの新進女優ジョアンが抜擢されていた。迷ったあげく役を引き受けたマリアは、ヴァレンティンを相手に台本の読み合わせを開始するが、現実と役柄が混濁しマリアは深みにはまっていく…。

年齢を重ねた大女優が老いにおびえ焦燥する姿を描く「アクトレス 女たちの舞台」は、「クリーン」などで人間の複雑な内面を描いてきたオリヴィエ・アサイヤス監督の新作だ。俳優が新作舞台を控え、孤独と焦燥感に苛まされる…と聞くと「バードマン」を思い浮かべるが、なるほど虚実が入り混じるなど、共通項は多い。ただ、本作はスイスの山岳地帯を舞台にしているためか、不思議な開放感がある。女優の葛藤は、一般人には無縁だが、老いに対する不安は、人間、特に多くの女性は共感できるはず。マリアは、かつては人を翻弄する側だったのに、いつしか翻弄される側に。そこには残酷なまでの時の流れがある。マリアとヴァンティンが読み合わせする台本の会話は、現実と重なり、若手女優ジョアンとマリアが演じる舞台もまた現実を映す鏡のよう。二重、三重になった物語構造が、映画を深淵なものにしている。大女優を演じるビノシュの複雑な表情、若手女優を演じるモレッツの輝きと、女優陣は皆、好演だが、何と言っても達観した位置にいながら愛憎を内包するヴァレンティンを演じたクリステン・スチュワートの演技が見事に際立った。劇中に登場する、アルプスの自然現象“マローヤの蛇”とは、奇妙で美しい動きをする雲海の名称。流れるべきところを流れ、そして去っていくマローヤの蛇は、雲の中にいれば混乱してしまっても、遠くから眺めれば神秘的で美しい。主人公マリアの心情と共に、映画の大きなテーマである“時の流れ”を象徴するかのようだった。
【70点】
(原題「SILS MARIA」)
(仏・独・スイス/オリヴィエ・アサイヤス監督/ジュリエット・ビノシュ、クリステン・スチュワート、クロエ・グレース・モレッツ、他)
(葛藤度:★★★★☆)
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アクトレス〜女たちの舞台〜@ぴあ映画生活

おやすみなさいを言いたくて

おやすみなさいを言いたくて [DVD]
世界に現状を訴える女性報道カメラマンの生き様を描くヒューマン・ドラマ「おやすみなさいを言いたくて」。ヒロインを一種の戦争中毒と解釈する監督の視点がリアルだ。

レベッカは、世界各地を飛び回り、紛争地域の現状を訴える報道カメラマン。自分の仕事に情熱と誇りを持っているが、ある取材中に命を危険にさらす事故に巻き込まれ、アイルランドに住む夫と子供たちから、二度と危険な戦場には行かないと約束させられてしまう。平和な暮らしの中で、自分の仕事が愛する家族を長年苦しめていたことを知り、葛藤するのだが…。

エーリク・ポッペ監督は、自身が報道写真家として世界各地で活動していたという異色の経歴を持つ映画監督だ。本作の主人公は女性だが、おそらく監督自身の姿や思いが投影されているに違いない。冒頭、中東で自爆テロを行う女性たちを取材するレベッカの緊張感がすさまじいが、爆発に巻き込まれて瀕死になるという死と隣り合わせの危険は、報道カメラマンの過酷な現状をリアルに伝えてくれる。だが本作のテーマは、そん危険で崇高な仕事を賛美することではない。レベッカが仕事に打ち込めるのは、アイルランドに残した家族が彼女を支えているからだ。とりわけ海洋学者の夫は母親レベッカの代わりに家庭を守り子供たちの面倒も見ている。レベッカの仕事に理解を示す一方で、彼女の不在中に常に心配し心労を重ねるという犠牲を払っている。仕事か家庭か。この選択を迫られるヒロインが出す結論が、実にシビアだ。ポッペ監督自身が、レベッカを一種の戦争中毒であると解釈していることからも分かるように、彼女の選択に善悪はない。埃っぽい中東と澄んだ空気のアイルランド。命がけの毎日と平和ボケの日々。あらゆる局面で対比が効いている。印象的なタイトルは、シェークスピアの「ロミオとジュリエット」からとられている。「何千回ものおやすみを」の言葉が、家族への愛と世界への愛に引き裂かれるレベッカの姿に重なってみえる。
【70点】
(原題「A THOUSAND TIMES GOOD NIGHT」)
(ノルウェー・アイルランド・スウェーデン/エーリク・ポッペ監督/ジュリエット・ビノシュ、ニコライ・コスター=ワルドー、ラリー・マレン・ジュニア、他)
(家族愛度:★★★★☆)
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夏時間の庭

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老いと孤独。家族の崩壊。この物語の穏やかな喪失感は、どこか小津映画を思わせる。パリ郊外の瀟洒な一軒家に住んだ母の死後、家と美術品コレクションを処分することになり、3人の兄妹はそれぞれの思いで人生に向き合うことに。

緑あふれる家と庭はすべてが絵画的。それに対し、時代の流れやグローバリズム、遺産分割など、子供たちの現実は決して甘くない。結局残るのは物ではなく共に過ごした時間をいつくしむ心なのだ。美は思い出の中にあるというアイロニカルな視点が仏映画らしい。ちょっぴり問題児で現代っ子の孫娘が、祖母と暮らした家や絵がなくなることに対して悲しむラストが秀逸だ。未来の象徴である彼女の心が本当の財産なのだとこの映画は告げている。オルセー美術館20周年企画の美しい小品だ。
【65点】
(原題「L'Heure d'ete」)
(フランス/オリヴィエ・アサイヤス監督/ジュリエット・ビノシュ、シャルル・ベルリング、ジェレミー・レニエ、他)
(喪失感度:★★★☆☆)

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PARIS パリ

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外国人が描くパリは憧れに満ちているが、フランス映画のそれはいつもどこかメランコリックだ。余命わずかな青年ピエールの目を通して、パリに暮らす様々な人々の人生模様を描いていく。すべてが何気ないエピソードばかりだが、そのひとつひとつを愛おしく描く手腕がさすが。パリの名所もチラリと映るが、印象に残るのは名もない通りの石畳や小さなパン屋などありふれた風景だ。いつもコミカルなクラピッシュ作品と違って、難病や移民問題などにも触れるが、シリアスな内容にはせず、あくまでスケッチ風に流したことでパリという都市そのものが主役になった。浅い人間描写を魅力に変えるところがクラピッシュらしい。人生を愛そう。これが映画のメッセージだ。
【65点】
(原題「PARIS」)
(フランス/セドリック・クラピッシュ監督/ジュリエット・ビノシュ、ロマン・デュリス、ファブリス・ルキーニ、他)
(切なさ度:★★★★☆)

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こわれゆく世界の中で

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妻子ある男性がボスニア難民の女性と出会い人生を見つめ直すことに。ペンとビノシュが好対象の女性を演じて上手い。真の愛情や人間同士の絆とは何かを問う大人の映画だが、恋愛以外にも深刻な要素を含むので良さが伝わりにくい。邦題が判りにくいのも惜しい。
【60点】
(原題「BREAKING AND ENTERING」)
(アメリカ/アンソニー・ミンゲラ監督/ジュード・ロウ、ジュリエット・ビノシュ、ロビン・ライト・ペン、他)
(不安誘発度:★★★★☆)

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ショコラ

ショコラ【廉価2500円版】
この映画の重要な食べ物はチョコレート。タイトルもそのまま、チョコレートを意味する「ショコラ」となっている。

フランスの田舎街で、小さなチョコレート屋を開いた女性ヴィアンヌ。彼女が売る不思議なチョコレートが、因習に閉ざされた村の人々を幸せに導いていく、あたたかいファンタジーだ。ジュリエット・ビノシュ、ジョニー・デップ、レナ・オリン、アルフレッド・モリーナ、ジュディ・デンチなど、国際的な豪華キャストが贅沢だ。

主人公ヴィアンヌは客との会話から好みを探り、また、彼らに何が必要かを考えて、絶妙のチョコレートを選んで薦める。また、彼女が作るチョコレートはどれも独特の味付けがなされているのだが、特に驚くのは、唐辛子を入れたチョコレート。ホット・チョコレートにチリ・ペッパーを入れたりする。映画の中では、これが「愛の妙薬」として効果を発揮した。

チョコレートは、かつての高級品カカオを使うことから、中世の欧州では上流階級の特権的食べ物だった。手軽に庶民の口に入るようになった今でも、生活を、時には人生を、少しだけ幸せにしてくれる不思議な味は変わらない。

チョコレートは、映画の中で、可愛くて華やかな、また重要な小道具として登場することが多い。映画「フォレスト・ガンプ」では“人生はチョコレートの箱のよう。開けて食べてみないと中身はわからない”という名セリフがあった。他に「チャーリーとチョコレート工場」もチェックしたい。

(2000年/アメリカ/ラッセ・ハルストレム監督/原題「Chocolat」)

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