映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
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(点数は100点が、★は5つが満点)
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◎ 今週末の公開映画から オススメの1本! ◎
英・仏合作映画「パディントン2」

ジュリエット・ルイス

HICK-ルリ13歳の旅

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家出少女が旅の中でさまざまな出来事に遭遇するロードムービー「HICK-ルリ13歳の旅」。作品の出来はよくないが、クロエ・グレース・モレッツのファンにはお勧め。

アメリカ中西部ネブラスカの農村地帯に住む13歳のルリは、両親が立て続けに蒸発し一人取り残されてしまう。友達もいない孤独なルリは、こんな生活はもうイヤ!とばかり、夢のラスベガスを目指してヒッチハイクの旅に出た。まずは、足が悪い、流れ者の青年エディと出会い、車に乗せてもらう。最初は優しかったエディだが、彼の態度が少しずつ変化し、不安になったルリは口論の末に車を降りることに。次に出会ったセクシーな女性グレンダは、ルリを何かと気にかけてくれるが、グレンダの恋人の家でエディと再会すると、状況は一変する…。

今のハリウッドで最も期待の若手女優がクロエ・グレース・モレッツである。どこか影があり、いびつなキャラクターを演じさせたら天下一品の彼女が今回演じるのは、いなか者(HICK)の家出少女だ。ろくでなしの両親から見捨てられ、誕生日パーティでもらった本物の銃をバッグにしのばせて旅に出る。ロードムービーのセオリーで旅の途中で出会うさまざまな人々や出来事で大きく成長し…と言いたいところだが、そうはならないのだ。牧歌的なロードムービーとしてスタートし、淡い恋になりそうでならない出会いを経て、サイコ・スリラーもどきの物語へと、コロコロと変わるのだから、目がテンになる。ルリとかかわる青年エディは実はトンデモない正体を隠しているのだが、グレンダとの過去のからみもあって、悲劇的な結末を迎えることに。この物語の原作者アンドレア・ポーテスの体験に基づいているそうなので、文句も言いにくいが、映画として、話があまりにまとまりがない。ルリの内面を深く描くこともなく、時折挿入されるスケッチも活かし切れず、彼女の変化も感じられない。せめて回想形式ならば成長や変化、人生への影響が実感できたのだが。ジュリエット・ルイスやアレック・ボールドウィンなど、意外なほど豪華キャストが揃うが、結局は、少女として女優として成長途中のクロエ嬢の魅力だけで持っているような作品だ。これでいいの?!のラストも含め、13歳の日々がやがて人生の大きな分岐点になる時がいずれ来るのだという未来の暗示なのだろう。「運命に逆らってやる」「私には無限の可能性がある」と強く信じるその前向きさに、アメリカ特有の自立精神を見るしかない。
【40点】
(原題「HICK」)
(アメリカ/デリック・マルティーニ監督/クロエ・グレース・モレッツ、エディ・レッドメイン、ジュリエット・ルイス、他)
(成長途中度:★★★★☆)
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映画レビュー「ローラーガールズ・ダイアリー」

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◆プチレビュー◆
ワイルドなローラーゲームの躍動感とエンタテインメント性にビックリ!エレン・ペイジが好演だ。 【70点】

 テキサスの田舎町に住む17歳のブリスは、母親のために美人コンテストに出場しては落胆する自分自身に飽き飽きしていた。そんなある日、年齢も境遇もさまざまな女性たちが行なう“ローラーゲーム”に心を奪われる…。

 ドリュー・バリモアが「E.T.」で天才子役として名を馳せてから、どれほどの年月が経っただろう。その後の彼女はスターのお決まりで、ドラッグやアルコールなど、あらゆる悪癖を経験したが、10代にしてしっかりと蘇った。更正する強さを持ったドリューは、単に名門芸能一家に生まれたという運だけでなく、賢さとしたたかさを持った現代女性だ。既に製作は数多く手掛けている彼女が、念願の初監督に挑んだのが本作。選んだ題材が彼女らしく、青春スポ根エンタメと女の子の心の成長物語を組み合わせた明るい物語は、好感度が高い。

 ローラーゲームとは、ローラースケートとアゴ紐付きのヘルメットを付けた選手たちが集団になって狭いトラックを猛スピードで駆け抜けて得点を競う、アメリカ発祥のチームスポーツ。ワイルドなプレーや、セクシーな衣装、個性的なリンク名など、興行としての色合いが濃い。平凡な少女ブリスは、母親が女の幸せと信じて疑わない美人コンテスト優勝ではなく、流血も辞さず激しくぶつかり合うローラーゲームの中に自分の居場所を見い出して行く。

 トラックを一周回るたびに成長していくブリスは、生傷の絶えない日々の中で、年上のチームメートと友情を育み、ライバルチーム打倒に闘志を燃やすガッツ溢れる女の子へと変わっていく。バンドマンの青年との恋にもしっかりと自己主張するブリスの変化が微笑ましいが、引っ込み思案だった彼女に情熱をもたらすのはあくまでもローラーゲームだ。だが、家族に内緒にしていたチーム参加と、年齢を偽ったウソがばれてしまい、事態は思わぬ方向へ進んでいく。

 それにしてもエレン・ペイジはなんて魅力的な女優だろう。彼女は今まで風変わりで強気な女の子を演じてきたが、内向的で繊細な、いわば真逆な役を演じた本作では、丁寧な役作りが光った。母親の夢を壊すまいと必死なブリスは、たくましく変化しながらも、周囲を傷つけたくないと願う優しい女の子。そんなナイーヴなヒロインを“ジュノ”が演じているから面白い。ペイジの素直な演技が、ブリスのママを演じるオスカー女優マーシャ・ゲイ・ハーデンの名演と絶妙に絡み合う。自らの挫折感からブリスに幸福の価値観を押し付ける母親が、最後に娘にみせる愛情にはグッとくる。こんな母娘だから、ブリスが母のことを書いたスピーチ原稿に、本物の愛情を感じて感動してしまうのだ。

 70年代に人気だったローラーゲームは実は今も盛んで、この競技の中心地ロサンゼルスでは、女の子に特に大人気だそう。世界中に400以上のアマチュア・ローラーダービーリーグが存在することも始めて知った。過激なパフォーマンスで個性を主張する彼女たちは、誰よりもタフで美しい。この物語は、予想さえしなかった場所で輝いていくヒロインを通して描く、元気印の女性賛歌だ。転んで出来た青アザが、誇らしげな勲章に見える。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)自分探し度:★★★★★

□2009年 アメリカ映画 原題「WHIP IT」
□監督:ドリュー・バリモア
□出演:エレン・ペイジ、マーシャ・ゲイ・ハーデン、ジュリエット・ルイス、他

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ダーウィン・アワード

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予想外の面白さの佳作。血が苦手な天才プロファイラーが保険調査員になり、バカな死に方をした人々を訪ねる物語だ。意外にもサスペンスフルな展開やメリハリの効いたギャグ、むやみに豪華なキャストとお楽しみがてんこ盛り。保険制度への皮肉も効いている。ダーウィン賞とは、最も愚かな死に方を競うという、米国に実際にある賞。おバカ描写に笑いつつ、いつしかホロリ。この映画、なかなかヤルな。
【70点】
(原題「THE DARWIN AWARDS」)
(アメリカ/フィン・タイラー監督/ジョセフ・ファインズ、ウィノナ・ライダー、ジュリエット・ルイス、他)
(文学ネタ度:★★★★☆)

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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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