映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる映画 ◎
「フィフティ・シェイズ・ダーカー」「ハクソー・リッジ」「結婚」「ありがとう、トニ・エルドマン」etc.

ジョエル・エドガートン

ラビング 愛という名前のふたり

ラビング 愛という名前のふたり [DVD]
1958年、米バージニア州では異人種間の結婚が禁じられていた。白人男性のリチャードと黒人女性のミルドレッドは、ミルドレッドの妊娠を機に法的に認められているワシントンD.C.で結婚した後、故郷バージニアに戻って暮らし始める。だが、ラビング夫婦は、突如不当に逮捕されてしまう。離婚するか、故郷を離れるかの選択を迫られた二人は一度はバージニアを離れるが、生まれ故郷で愛を貫いて暮らすため、わずかな希望を託してある行動に出る…。

20世紀半ばの米国で、異人種間の結婚を禁じる法律を変えるきっかけとなった白人と黒人の夫婦の実話を映画化した「ラビング 愛という名前のふたり」。レンガ職人のリチャードは寡黙で不器用だが、子どもの頃から一緒にいることが自然だったミルドレッドを深く愛している。黙々とレンガを積む勤勉なその姿が何よりも実直な彼の性格を雄弁に語っている。一方、美しいミルドレッドは控えめながら芯が強い。愛するもののためならば思い切った行動に出る勇気がある。そんなラビング夫妻だが、彼らは、いたって普通の人々なのである。特別な思想はなく、感情を露わにすることも少ない。ただ愛する人と一緒にいたいという素朴な願いが、やがて大きな社会的変貌のうねりを生んでいったのは、非常に興味深く示唆に富む点だ。人間としての自然な感情に、歴史が味方したと言えるだろう。演じるジョエル・エドガートン、ルース・ネッガの二人は、少ないせりふの中、表情やしぐさだけで夫婦の葛藤や深い愛情を表現していて、素晴らしい。結果的に歴史を変えた一組の夫婦の偉業を、声高なメッセージではなく、シンプルで繊細なラブストーリーとして描いたジェフ・ニコルズ監督の手腕も冴えた。公民権運動はまだ産声をあげたばかりの時代に生きたラビング夫妻は、差別や不寛容が蔓延する現代においては、灯のような存在である。英雄でも活動家でもない男女の愛が歴史を変えた。このことに誰もが感動を覚えるだろう。タイトルは、リチャードとミルドレッド夫妻の姓だが、それが“ラビング(愛)”であることが、映画を見終わった後、深い余韻となって心に残る秀作だ。
【80点】
(原題「LOVING」)
(アメリカ/ジェフ・ニコルズ監督/ジョエル・エドガートン、ルース・ネッガ、マートン・ソーカス、他)
(シンプル度:★★★★★)
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ザ・ギフト

ザ・ギフト[Blu-ray]
転居した郊外の新居で幸せな生活を送っている若い夫婦サイモンとロビン。ある日ふたりの前に、夫の同級生と名乗る男ゴードが現れる。サイモンは彼のことをすっかり忘れていたが、再会を喜んだゴードは、次々に二人に贈り物を送り始める。だが、それは次第にエスカレートし常軌を逸していった。サイモンとゴードの間には、25年前にある因縁があったのだ。やがて夫婦の周囲で異変が起こり始める…。

幸せに暮らす夫婦がある男から執拗な贈り物を送られるサイコ・スリラー「ザ・ギフト」。オーストラリア出身でハリウッドでも活躍する俳優ジョエル・エドガートンが、監督、脚本、主演を務める作品だ。エドガートンは、短編の監督作はあるが、長編ではこれが監督デビューだそう。ストーリーや演出、特に、じわじわと真綿で絞めるようなサスペンスの恐怖演出は、なかなか見事なものだ。物語の根底にはあるのは、いじめ問題で、いじめた本人がそのことを忘れているというところが一番罪深い。だが、いじめや嘘によって深く傷付けられ人生を台無しにされた被害者は、決して忘れないし、決して許しはしないのだ。最初は、ゴードの意図が読めず不穏な空気が流れるが、彼とサイモンの因縁の過去が明らかになると、それは腑に落ちる復讐劇へと変わっていく。善と悪がクルリと入れ替わるその瞬間が、最高に怖い。精神的に追い詰められていく妻の運命が気の毒ではあるが、ゴードの最後の贈り物は、いわば究極のギフト。流血や残酷描写は使わずに、少しずつ、でも、確実に対象者を追い詰める手法は、古典的なサスペンスの趣で、この物語の結末の衝撃度を高めている。善人顔のジェイソン・ベイトマンを意外な役柄で起用するセンスをみせるかと思えば、エドガートン本人は薄気味の悪い人物を静かに怪演。俳優としてハリウッドで存在感を増しているエドガートンだが、脚本や監督業などの裏方の仕事にも力を注いでいる才人だ。今後も注目しておきたい。
【65点】
(原題「THE GIFT」)
(アメリカ/ジョエル・エドガートン監督/ジェイソン・ベイトマン、レベッカ・ホール、ジョエル・エドガートン、他)
(因果応報度:★★★★☆)
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ジェーン

ジェーン [Blu-ray]
西部の荒野で、ジェーンは、夫ハムと娘の3人で穏やかに暮らしていた。だがハムが、悪名高いビショップ一家の首領ジョン・ビショップに撃たれて重症を負う。すべてを奪い去るまで執念深く追い続けるビショップの恐ろしさを知るジェーンは、瀕死の夫と愛する娘を守ろうと決意。すがる思いで、南北戦争の英雄でかつての恋人・ダンに助けを求める。迫る敵を前に、それぞれの過去、そして人生の真実が徐々に明らかになる中、ジェーンは運命に抗い、戦うことを決める…。

西部・ニューメキシコを舞台に、夫を撃った悪漢に戦いを挑む女性を描く西部劇「ジェーン」。過去の作品を見ても、西部劇での女性の活躍は限られるが、唯一、異彩を放つキャラは有名な実在の女傑カラミティ・ジェーンだ。その人と同じ名前を持つ本作のヒロインは、家族を守るために銃を持つ。主人公を演じるナタリー・ポートマンは、製作も務めているので、本作への思い入れは強いのだろう。だが演技や演出はすべて淡々としている。というのも復讐劇やアクションよりも、二人の男性の間で心が揺れる女性のメロドラマの割合が大きいのだ。これを受け入れられるかどうかで、本作の評価が分かれるだろうし、伝統的な西部劇を期待していると肩透かしをクラうはず。だが決して簡単ではなかった当時の女性の生き方や思いをすべて背負って、最後に悪に立ち向かう姿は、ご都合主義と思いつつも、やはり胸がすく。男優陣は演技派のイイ男が揃っているが、ユアン・マクレガーは悪役としては線が細すぎてちょっとミス・キャスト。派手でかっこいい西部劇というより、フェミニズム映画の色合いが濃いので、女性ファンも抵抗なく見られるだろう。
【50点】
(原題「JANE GOT A GUN」)
(アメリカ/ギャヴィン・オコナー監督/ナタリー・ポートマン、ユアン・マクレガー、ジョエル・エドガートン、他)
(フェミニズム度:★★★★☆)
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ブラック・スキャンダル

ブラック・スキャンダル ブルーレイ&DVDセット(初回仕様/2枚組/デジタルコピー付) [Blu-ray]
1970年代のサウス・ボストン。ジェームズ・バルジャーとその弟ビリー、二人の幼なじみジョン・コノリーは、ギャング、政治家、FBI捜査官と、それぞれの道に進んでいった。コノリーは、アイルランド系マフィアのボスになったバルジャーに、FBIと協力して共通の敵であるイタリア系マフィアを撲滅させるため、敵の情報を流すように持ち掛ける。その密約は次第に歯止めが効かなくなり、バルジャーは一大犯罪帝国を築き、ビリーとコノリーもまた権力を手にしていった。彼らの関係は、やがてアメリカ史上最悪の汚職事件に発展していく…。

ギャング、FBI、政治家が手を組むという米犯罪史上最悪のスキャンダルを描く実録犯罪映画「ブラック・スキャンダル」。マフィアのボスであるジェームズ・“ホワイティ”・バルジャーは伝説的なギャングで、ビンラディンに次いでFBIの最重要指名手配犯だった人物だ。何しろFBIとの密約に守られているので、白昼堂々と人を殺しても一切おとがめなしとは。一体どこまで腐りきった関係なんだとあきれるばかり。それはコノリーの言葉を借りれば「貧しい街で生まれ育った仲間の絆と忠誠心」ということになるが、本作ではギャング映画にありがちな、幼少期のノスタルジックな描写は、いっさい排除している。実話をもとにしたギャング映画など、手垢がついたジャンルだが、このドライな演出が実に潔い。スコット・クーパー監督は本作が監督3作目だが、彼の作品ではいつも俳優が最高の演技をみせるのは、監督自身が俳優出身で、演技者に寄り添って演出しているからに違いない。とりわけ、薄い頭髪のオールバック姿で非情なマフィアを演じるジョニー・デップの圧倒的な存在感ときたら!デップの怪演の前では、カンパーバッチやエドガートンら、演技巧者たちさえ影が薄いほどだ。支配欲や冷酷さを持ちながら、家族を溺愛するなど矛盾したバルジャーという男は、常に光と闇を内包しながら肥大化してきたアメリカ社会そのものに思える。
【85点】
(原題「BLACK MASS」)
(アメリカ/スコット・クーパー監督/ジョニー・デップ、ジョエル・エドガートン、ベネディクト・カンバーバッチ、他)
(バイオレンス度:★★★★☆)
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エクソダス:神と王

旧約聖書の出エジプトを描くアドベンチャー大作「エクソダス:神と王」。聖書の独自解釈が興味深い。

紀元前1300年。最強王国エジプトで、王家の養子として育ったモーゼは、兄弟同然の固い絆で結ばれていたはずのエジプト王ラムセスに反旗を翻す。自分がヘブライ人だと知ったモーゼは、虐げられていた40万のヘブライの民を率いて、新天地を求め、エジプトを脱出する苦難に満ちた旅に出るが、彼らをラムセスの大軍が襲撃。紅海に追いつめられ絶対絶命と覚悟したとき、信じられないことが起こる…。

リドリー・スコットの久々の新作は、過去にも映画化された旧約聖書の出エジプトをテーマにしたスぺクタクル史劇。映像派のスコット監督らしく、壮大な冒険活劇として、また災いや奇跡がてんこもりのディザスター・ムービーとして見どころ満載な力作だ。もちろん昨今の聖書ものにならって、監督独自の解釈で描かれる描写には、驚きや疑問もあるだろう。例えばかつてチャールトン・ヘストンが威風堂々と渡った紅海も劇的には割れてくれないし、ラムセス王と決別するときのモーゼの残念そうな表情や、何かと意見してくる神(意外な姿をしている)に対しても、モーゼは単純には信じてないばかりか、神に対して特に恐れや敬いも感じられないのだ。しかし、それは神の方も同じで、モーゼを選んではみたものの、彼を全面的に信頼してはいない。だが、だからこそ、契約的な取引で事を成すわけで、人は変わるが石に記した戒律は変わらないというセリフに帰結するわけだ。宗教的な解釈はさておき、映像的に注目なのは、エジプトを襲う災いの数々だ。ナイル川が真紅に染まる様子や、イナゴの群れに人食いワニ、王さえも逃れられない疫病など、多分にB級ホラー的な内容なのだが、格調と迫力で活写する特殊効果に思わず目を見張る。消化不良のような終わり方が少々気になるが、現在もまだ人々は苦難の旅の途中ということかもしれない。亡き弟トニー・スコットに捧げられた作品であることも付け加えておきたい。
【65点】
(原題「EXODUS:GODS AND KINGS」)
(米・英・スペイン/リドリー・スコット監督/クリスチャン・ベール、ジョエル・エドガートン、ベン・キングスレー、他)
(スペクタクル度:★★★★☆)
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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
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新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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