映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
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(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
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◎ 今週末の公開映画から オススメの1本! ◎
チリ他合作映画「ナチュラルウーマン」

ジョゼ・サラマーゴ

複製された男

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自分にそっくりな男と出会った男性が体験する悪夢のような出来事を描く異色のミステリー「複製された男」。現実と妄想世界が混濁するストーリーの答は、一つではなさそうだ。

平凡な大学教授のアダムは、ある日、何気なく見ていた映画の中に、自分とそっくりの人間をみつけて驚く。その俳優アンソニーについて住所や電話など徹底的に調べあげたアダムは、しばらく彼を監視していたが、ついに直接彼と対面する。顔、声、体型、生年月日も体にある傷痕までも同じだと分かり、2人は激しく混乱する。なぜこんな人物が存在するのか。自分は本当にオリジナルなのか。アダムとアンソニーは、それぞれの妻と恋人を巻き込みながら、極限状態へと陥っていく…。

原作はポルトガルのノーベル文学賞作家ジョゼ・サラマーゴの小説。自分と瓜二つの人間というと、分身、ドッペルゲンガーなどがすぐに思い浮かぶ。出会うと死ぬ、この世にはそっくりな人間が3人いて…などなど、まことしやかな都市伝説もあるようだ。実際に確認された事例もあり、研究も盛んだそうが、視覚的な面白さがあり、非常に映画的な魅力的な題材でもある。本作では、瓜二つの存在と出会い、実際に対面し、互いに触れるという現実的な展開が興味深いが、劇中にさまざまな謎めいたモチーフが散りばめられていて、謎が謎を呼ぶ仕掛けだ。妊娠している妻、繰り返し登場する蜘蛛、なぜかこだわるブルーベリー…。終盤になればなるほど非現実的でシュールな映像が挿入され、観客を激しい混乱に導いていく。要するに「?」な映画なのだが、カナダの鬼才で、今、最注目のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の手にかかると、そのワケのわからなさが、自己確立という深淵なテーマ性を持って立ち上がってくる。前作「プリズナーズ」でも組んだジェイク・ギレンホールが、一人二役を意図的に曖昧に演じ分けていて、上手い。普通に解釈すれば、2人は同一人物で、意識下での分裂で、その原因はどうやら浮気で…と、生臭い答にたどりつくのだが、個人的には、カフカ的な不条理劇と思いたい。だって、ラストショットが“あれ”だもの。
【65点】
(原題「ENEMY」)
(カナダ・スペイン/ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督/ジェイク・ギレンホール、メラニー・ロラン、サラ・ガドン、他)
(シュール度:★★★★☆)
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複製された男@ぴあ映画生活

映画レビュー「ブラインドネス」

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◆プチレビュー◆
謎の病の発生により人間の本性がむき出しになる心理パニック・サスペンス。メイレレスの手腕が見事。 【90点】

 街角で若い男性が突然視力を失う。それから各地で失明者が続出し、白い闇の病“ブラインドネス”は驚異的なスピードで拡大した。発症者は強制的に療養所に隔離されるが、そこは無法地帯と化し、人々から人間性を奪っていく…。

 物語の場所や時代は特定されていない。性別、年齢、人種が異なる登場人物には名前はなく、ただ、医者、医者の妻、バーテンダー、最初に失明した男というふうに記号化されている。この物語で注目すべきテイストは、普遍性とボーダーレスな世界観だ。そんな作品にふさわしく各国の実力派俳優が集まった。日本からは伊勢谷友介と木村佳乃が重要な役で参加。高い演技力を披露し、豪華キャストの中でしっかりと存在感を示している。監督はブラジルの俊英フェルナンド・メイレレスだ。派手なアクション・ヒーローものやゾンビ系ホラーにもできるところを、深みのある人間ドラマに仕上げて見事な実力を見せる。

 その奇病が奪うのは視力だけではない。見えないことによって皮膚の下に隠れていた本性が丸見えになり、人間性を奪っていくパニック劇に背筋が凍る。療養所を支配したのは、拳銃を入手して権力を握ったグループだ。彼らは、食料と薬の代わりに金品を要求。ついには食料の対価として「女を出せ!」と言い放つ。略奪、レイプ、殺人。さながらそこは生き地獄だ。これは、見えない世界に出現した凶暴な格差社会である。このストーリーは、今までとまったく違うルールの中で生きねばならない人間の、モラルを問う寓話だ。

 だが、一人のマイノリティが無秩序な世界から人々を救う役割を担う。全員が失明しているはずの収容所の中に、一人だけ“見えている”人間が紛れ込んでいた。失明した夫を守るため、見えることを隠して病棟に入った医者の妻は、虐げられるグループでリーダーとしての責任を果たすことに。だが、視力は彼女にメリットを与えず、逆に、見えないことを共有する人々の中で孤立し、夫の裏切りにさえ遭う。見えることが強烈な孤独につながる展開は、ゾクリとするほどシニカルだ。しかも彼女の苦悩を理解してくれる人は誰もいない。

 それでも彼女を中心にしたグループが、収容所内のサバイバルをくぐりぬけ、外界に出て行くことができたのは、異種である彼女が理性と希望を失わない強さを持つ人間だからだ。外界は想像以上の荒廃ぶりだが、命の危険にさらされつつも、食料と安全が確保できる医者の自宅を目指す。閉ざされた恐怖から開かれた絶望へ。白い闇の中を行進する男女の行く末には何が待つのか。 

 見えることとはいったい何だろう。ひょっとして私たちは、何か大切なものを見失っているのではないか。一列に並び前の誰かの肩に手を置いて進む人々はあまりにも弱々しい。その中で、ふと何かにぶつかっただけで列から離れ、まったく違う方向へ一人で離れてしまう人間がいるのが象徴的だ。結んだ手を簡単に離してはいけない。離れた手で空中を模索し再び温かい肩に触れたときの喜びを、忘れてはいけないのだ。善悪の臨界点をハードな内容で描きながら、信じあうことが出来れば希望はあると物語は提示する。ラストのまぶしい光から、新しい一歩が始まると感じたならば、この映画は福音となろう。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)カオス度:★★★★☆

□2008年 日本・ブラジル・カナダ映画 原題「BLINDNESS」
□監督:フェルナンド・メイレレス
□出演:ジュリアン・ムーア、マーク・ラファロ、木村佳乃、他

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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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