ブルックリンの恋人たち [Blu-ray]
事故で意識を失った弟の足跡をたどる女性の儚い恋を描く「ブルックリンの恋人たち」。NYの街がもう一人の主人公のよう。

モロッコで博士号の取得をめざすフラニーは、母から電話で弟のヘンリーが事故で昏睡状態に陥ったとの連絡を受ける。あわてて帰国した彼女は、ヘンリーの部屋で彼の日記と自作のCDを見つける。弟とケンカ別れしたままだったことを悔いるフラニーは、日記を手がかりにヘンリーの好きだった場所を訪ね歩く。やがてフラニーは、ヘンリーの憧れのミュージシャン、ジェームズ・フォレスターと巡りあい、恋に落ちるのだが…。

女優アン・ハサウェイがはじめてプロデュースを手がけた映画は、ブルックリンを舞台にしたナイーブなラブ・ストーリーだ。監督のケイト・バーカー・フロイランドはハサウェイが出演したヒット作「プラダを着た悪魔」で監督助手を務めていた新鋭。「プラダ…」も大都会の息吹をよくとらえていたが、本作ではブルックリンを象徴するような音楽、とりわけニュー・フォーク・シーンを物語に丁寧にとり込んでいる。それらの音楽に詳しくない観客には、久し振りに帰国し、弟の回復を願いながら彼の好きだった場所を巡るフラニーの視点が案内役になってくれるはずだ。弟ヘンリーがいかに大切な存在だったかをかみしめるフラニーは、ヘンリーの意識を呼び覚ましたい一心で、彼が好きだった音楽や街の雑踏の音を録音する。私たち観客もまた、フラニーが集めた音楽や音に思わず耳を傾けてしまうが、その音は静かで儚い。ツアー中のミュージシャンのジェームズとの恋もまた、とても淡いものだ。このほのかなロマンスが、孤独な空気感を実にうまく体現している。わずか7日間の2人の恋だが、音楽を通して確かに心が通い合ったのだ。控えめで優しいジェームズを演じるのは実際にミュージシャンのジョニー・フリン。彼の音楽が哀愁があって魅力的だが、「レ・ミゼラブル」では涙ながらに熱唱していたアン・ハサウェイが、はにかみながら口ずさむ可憐な歌も味わい深い。決してドラマチックではないけれど、音楽を通して語られる恋が何だかとても新鮮で心地よい佳作だ。
【65点】
(原題「SONG ONE」)
(アメリカ/ケイト・バーカー・フロイランド監督/アン・ハサウェイ、ジョニー・フリン、メアリー・スティーンバージェン、他)
(切なさ度:★★★★☆)
チケットぴあ

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