映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる映画 ◎
「ワンダーウーマン」「エル」「関ケ原」「ボブという名の猫」etc.

ジョン・キューザック

ドラゴン・ブレイド

ドラゴン・ブレイド [Blu-ray]
紀元前50年、前漢時代の中国。シルクロードでは36の部族が抗争を繰り広げていた。前漢西域警備隊でその地の平和を守る司令官フォ・アンは、金貨密輸の濡れ衣で反逆者の汚名を着せられ、部下とともに西域辺境の雁門関に送られる。彼が部下と共に雁門関に流されてから数日後、将軍ルシウス率いるローマ帝国軍が現れる。ルシウスは、執政官の長男ティベリウスから命を狙われているティベリウスの弟を守っていた。フォ・アンとルシウスは、国や民族の違いを超えて友情を深め合うが、ティベリウスは中国侵略を目論んでいた…。

ジャッキー・チェンが平和を願いながら闘いに身を投じる男を演じる歴史スペクタクル・アクション「ドラゴン・ブレイド」。60歳を超えたジャッキーが、映画人生をかけて作り上げたスケールの大きい歴史劇は、ハリウッドとのコラボで、少し不思議な味わいになった。ゲームのようなタイトルがついているが、映画は、シルクロードで、2000年前に、中国とローマ帝国が戦ったという史実をモチーフにしている。戦闘シーンが見せ場ということもあり、かなり血生臭い描写も盛り込まれているのが、ジャッキー作品らしくない点だが、それだけリアルにこだわったのだろう。中国側が、カンフーに代表される個人技の武術で戦うのに対し、ローマ軍は集団の戦術に長けている。さらに土木技術などの文明の点でもローマは優れていた。しかし、常に領土拡大と征服を目指すローマ帝国に対し、フォ・アンに代表される中国は、できるだけ争いを避け平和を模索しようとする。現代の世界情勢の中の中国の立ち位置を考えると、素直に納得できない設定なのだが、そこは製作、アクション監督、主演を兼務したジャッキー・チェンの気概に免じて目をつぶるしかない。ストーリーは大味だし、フォ・アンとルシウスの友情も表層的。そんな中、悪役ティベリウスを怪演するエイドリアン・ブロディは、異様な存在感だった。名もないヒーローが歴史を作る。ジャッキー・チェンという人は、個の善性をどこまでも信じてるのだ。
【50点】
(原題「DRAGON BLADE」)
(中国・香港/ダニエル・リー監督/ジャッキー・チェン、ジョン・キューザック、エイドリアン・ブロディ、他)
(スペクタクル度:★★★★☆)
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ドラゴン・ブレイド@ぴあ映画生活

グランドピアノ 狙われた黒鍵

グランドピアノ ~狙われた黒鍵~ [Blu-ray]
演奏中に命を狙われた天才ピアニストが孤軍奮闘する異色サスペンス「グランドピアノ 狙われた黒鍵」。ツッコミどころが多すぎて、どこから手をつけていいのかわからない。

若き天才ピアニスト、トムは、5年前の演奏失敗によって、極度のステージ恐怖症に陥っていた。その彼が亡き恩師の追悼コンサートで復帰することになる。人気女優の妻エマに励まされながらステージに立ったトムだが、演奏が始まってすぐに、楽譜に「一音でも間違えたらおまえを殺す」という文字を発見し驚愕する。謎のスナイパーからレーザーポインターで命を狙われながら、5年前に失敗した難曲「ラ・シンケッテ」を弾くことになったトム。恩師が遺した世界最高級のピアノで、演奏不可能と言われるいわくつきの曲を弾きながら、トムは必死に抵抗を試みるのだが…。

公衆の面前で演奏中のピアニストが命を狙われる。映画の作り手は、この設定が頭に浮かび、アイデア一発、勢いだけで作ってしまったのではなかろうか。常に実験的だったヒッチコックと、技巧派でヒッチコックへの憧れを隠さないブライアン・デ・パルマをミックスしたようなテイストだ。だが、しかし!この映画、あまりといえばあまりにも、ムチャクチャである。オーケストラと競演中のピアニストは、命を狙われていると知ると、自分の演奏がないパートで席を立ってさっさと楽屋へ直行。そこで犯人からの指示を受け、ちゃちゃっと情報を得てステージに舞い戻る。観客やオーケストラは無視なのか?!と心の中でまず突っ込む。その後も、演奏中にイヤホンマイクで犯人とケンカはするわ、自分のスマホをいじってメールは打つわで、やりたい放題だ。これだけでも十分にアリエナイが、犯人の指示に従って、曲目をあっさりと変更、またしても観客やオーケストラを無視した展開に。狙う側も狙われる側もあまりにリアリティがないので、もはやツッコむ気力も失せる。物語中盤に、犯人とその目的が分かるが、それを知るとなおさら犯人側の無計画ぶりが露呈する。低音部の黒鍵が拡張された特別なピアノ「インペリアル」や、謎の難曲「ラ・シンケッテ」という魅力的なアイテムもほとんど生きていないのだから、見ているこちらが悲しくなった。ツッコミながら見る楽しみ以外の見所は、技巧的な映像だろう。ピアノを真下から撮る凝ったアングル、オーケストラをとらえる室内俯瞰映像、長回しにイライジャ・ウッドの超クローズアップ。やはりこれはヒッチとデ・パルマへの偏愛から生まれ出た“鬼子(おにっこ)サスペンス”だ。現実味はなくてもその野心を買うことにしよう。
【30点】
(原題「GRAND PIANO」)
(スペイン・米/エウヘニオ・ミラ監督/イライジャ・ウッド、ジョン・キューザック、ケリー・ビシェ、他)
(珍作度:★★★★★)
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グランドピアノ 〜狙われた黒鍵〜@ぴあ映画生活

フローズン・グラウンド

フローズン・グラウンド [Blu-ray]
フローズン・グラウンド [Blu-ray] [Blu-ray]
連続殺人犯ロバート・ハンセンをモデルにした犯罪サスペンス「フローズン・グラウンド」。証人の勇気が犯人逮捕につながったというのが最大のメッセージだ。

アメリカ・アラスカ州アンカレッジ。17歳の娼婦シンディはモーテルの一室で拘束された姿で警官に保護される。自分をこんな目に合わせたボブ・ハンセンは殺人鬼なのだと訴えるが、模範的な市民のハンセンにはアリバイがあり、事件は娼婦と客のトラブルとして処理された。だがシンディを保護した警察官は納得できず、上司に黙って事件の調書を州警察に送付する。退職間近のアラスカ州警察巡査部長ジャック・ハルコムは、調書を見てハンセンこそ最近起こった一連の連続殺人事件の犯人と確信。ハンセンを追い詰めるが決定的な証拠がなかった。あとは唯一の生き証人であるシンディに証言を求めるしかない。だが、犯人の魔の手がシンディに迫っていた…。

1980年代に全米を震撼させた“アンカレッジ娼婦連続殺人事件”を描く実録サスペンスだ。犯人のロバート・ハンセンは、約10年間に24人以上の女性に性的暴行を働き、荒野に放って人間狩のような残虐な手段で殺害を繰り返した猟奇殺人犯。逮捕された彼は、司法取引に応じ、24件の殺人のうち17件を認め、うち4件でのみ裁かれたそうだが、それでも懲役461年を求刑され、現在もアラスカ州の矯正施設で服役中とのこと。関係者や遺族もまだ存命のこの事件を映画化した本作は、ともすれば残虐な犯罪の再現を中心にした猟奇サスペンスに傾きそうだが、映画はむしろ、わずかな糸口から手がかりをつかみ、事件を追う巡査部長の執念と、唯一の生き証人で、それまで他人から虐げられて生きてきた娼婦の女性が示した勇気によって、おぞましい事件を解決に導いた事実を中心に据えている。吹雪で視界がさえぎられる薄暗い極北の地アラスカの閉塞感が、犯人の闇、あるいは警察と目撃者の苦悩に重なって見えるため、アラスカという土地そのものが、本当の主人公のようなストーリーに思えた。近頃すっかりサスペンスの顔になりつつあるジョン・キューザックが、一見模範的な市民だがその裏側に残忍な狂気を隠し持つ犯罪者を怪演。押さえた演技がかえって不気味さを醸し出していた。それにしても実力派キャスト共演にしてはあまりに地味な作風が惜しい。それでもスコット・ウォーカー監督が、劇中に登場する写真は当時の被害者の写真を使用するなど、リアリティに徹しているのは評価したい。
【55点】
(原題「THE FROZEN GROUND」)
(アメリカ/スコット・ウォーカー監督/ニコラス・ケイジ、ジョン・キューザック、ヴァネッサ・ハジェンズ、他)
(地味度:★★★★★)
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フローズン・グラウンド@ぴあ映画生活

殺しのナンバー

スパイ・コード 殺しのナンバー [Blu-ray]
極秘指令を発信する“乱数放送”を扱った異色サスペンス「殺しのナンバー」。地味な内容だが、素材の面白さと静かなリアリズムがある。

CIAの敏腕エージェントのエマーソンは任務中に目撃者を消すことをためらったミスのため、イングランド東部の人里離れたCIAナンバーズ・ステーション(乱数放送局)に左遷される。そこでの任務は、暗号作成のエキスパートで送信係の女性キャサリンを護衛すること。仕事は平凡だが、心に傷を負ったエマーソンは、キャサリンの温かな人柄に触れ、次第に人間らしさを取り戻していく。だが、ある日、70年間事件など起こらなかった放送局が、謎の武装集団に襲撃された上、世界中の重要な諜報員を暗殺するという偽の指令が送られてしまう事件が発生。間一髪で襲撃を逃れた二人は、なんとかその指令を取り消そうと奔走するが、CIA本部からの指令は、内部事情を知りすぎたキャサリンを抹殺せよという非情なものだった…。

乱数放送とは、特定の時間に謎の数字や文字を送る放送で、各国の諜報機関などがエージェントに指令を暗号化して送信するもの。公共電波をシレッと使って、暗殺、テロ、クーデターなどのトンデモない極秘指令が送られているというからビックリだが、無論、どの国もその存在を認めることはない。乱数放送は、世界のスパイ活動の必須ツールだが、映画にするとなると、機械の前で暗号をコツコツと操るという、ビジュアル的にきわめて地味な作りになる。そんな本作では、謎の武装集団の目的がわからず、困惑する主人公が危機を乗り越えていくプロセスがスリリングだが、描かれるのは、組織の非情な体質だ。敏腕エージェントといえども、歳をとれば使い捨て。サラリーマン社会でのリストラは、スパイの世界では死を意味するのだから、たまらない。非情な掟への憤りは、武装集団の犯人の動機から、そしてキャサリン暗殺を指令したCIA幹部の決断を聞いた主人公からもにじみ出る。すっかりサスペンスの顔と化したジョン・キューザックが、今回も、暗いキャラクターで静かに熱演。派手な立ち回りやワイヤー・アクションではなく、あくまでもリアルに徹した銃撃戦や、イングランドのド田舎の旧アメリカ軍基地内に隠された乱数放送局があるというのも妙にリアルだ。何より、どの国も認めないが実際は「日本人拉致事件」や「大韓航空機爆破事件」の金賢姫元工作員への指令にも使われたと言われる乱数放送を本格的に扱った素材の面白がある。華やかさはないが、なかなか渋いサスペンスだった。
【55点】
(原題「THE NUMBERS STATION」)
(イギリス/カスパー・バーフォード監督/ジョン・キューザック、マリン・アッカーマン、リーアム・カニンガム、他)
(地味度:★★★★★)
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殺しのナンバー@ぴあ映画生活

コレクター

コレクター [DVD]
実際に起きた監禁・猟奇殺人事件をベースにしたサイコ・サスペンス「コレクター」。終盤の大どんでん返しはちょっと唐突すぎる。

NY州バッファロー市警の刑事マイクと相棒の女性刑事ケイシーは“娼婦連続失踪事件”を3年も追っていた。毎年目撃者の少ない冬季に起こるその事件の新たな被害者は、マイクの17歳になる娘アビー。派手な服装とメイクで娼婦と間違われたのだ。犯人は、ある恐るべき目的のため、女性たちを誘拐、自宅の地下室に軟禁していた。誘拐犯罪は48時間以内に解決しないと生存率が極めて低くなる。愛娘を取り戻すため、刑事生命を賭け、すさまじい執念で犯人に迫るマイクだったが…。

原題は「THE FACTORY」。劇中で警官が言う“赤ん坊製造工場”を指している。この物語は1980年代にアメリカを震撼させた実在の猟奇殺人事件がベースで、通称“ゲイリー・ハイドニック事件”と呼ばれている。犯人はもともと宗教に傾倒し、「多くの女たちに自分の子供を生ませ大家族を作る」という異常な動機で女性を誘拐・軟禁。思い通りにならないと、強姦、虐待、殺人、果てはカニバリズムに至ったというからすさまじい。本作では宗教色は排除され、主人公の愛娘への愛情と、自分を“パパ”と呼ばせて女性を支配下に置いた犯人の子供への執着の方に重点が置かれている。病院から妊娠に関わるさまざまな薬を盗んで投与したり、毎年、目撃者がいない冬季のみ犯罪を実行するという“ゆうちょうな”犯罪は、設定そのものに少々無理があるが、サイコ・サスペンスならではの異常性を十分に感じさせるものだ。若い頃はロマンチック・コメディのイメージが強かったジョン・キューザックだが、最近はすっかりサスペンスの顔になりつつある。本作では、暗い執念で鬼気迫る演技を見せているが、ついに犯人を追い詰めたその時、思わず「えっ?!」の展開に。意外すぎるその人物が、急に過去を語りあっけにとられてしまった。作品としてはすこぶる地味。ただラストは妙に気になるもので、その先の物語が知りたくなる。
【50点】
(原題「THE FACTORY」)
(アメリカ/モーガン・オニール監督/ジョン・キューザック、ジェニファー・カーペンター、ダラス・ロバーツ、他)
(サイコ度:★★★★☆)
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コレクター@ぴあ映画生活

推理作家ポー 最期の5日間

推理作家ポー 最期の5日間 ブルーレイ+DVDセット [Blu-ray]推理作家ポー 最期の5日間 ブルーレイ+DVDセット [Blu-ray]
推理作家エドガー・アラン・ポーと模倣犯による壮絶な戦いを描いたミステリー「推理作家ポー 最期の5日間」。東欧ロケが独特のダークな雰囲気を醸し出している。

1849年、米国・ボルチモア。作家エドガー・アラン・ポーの小説に酷似した猟奇殺人事件が起こる。刑事のフィールズは、高名だが、酒に溺れ、すさんだ生活を送るポーを、当初、容疑者とみなすが、やがて次々に彼の小説を真似た事件が発生。ポーは事件解明のために捜査に加わることに。そんなポーをあざ笑うかのように、謎の犯人は、ポーの婚約者のエミリーを誘拐し、ポーに頭脳ゲームを仕掛けてくる…。

作家、詩人、評論家としても有名なエドガー・アラン・ポーは、世界初の推理作家と呼ばれる。映画化された作品も多く、特にロジャー・コーマンの一連の作品群や、仏・伊の3人の巨匠が監督したオムニバス映画「世にも怪奇な物語」は、忘れ難い。本作は、ポーの40年という短い生涯の最期の5日間を、事実とフィクションを織り交ぜながらスリリングに描くものだ。ポーの小説の中から数々のセリフや設定を引用し、事件もまたポーの小説をトレースしていく。凄惨な流血シーンが多く、終始、暗くうっ屈した雰囲気が漂うが、それを助長するのが、独特の暗い雰囲気を持つ東欧ロケだ。古い街並み、寒々とした自然は、ブダペストやベオグラードで撮られた映像で、怪奇・幻想小説を得意としたポーを題材とする本作にふさわしいルックを作っている。棺桶の中で息も絶え絶えの美女、自分の著書を汚された作家の意地、模倣犯ならではの愛像入り混じる心情。それらすべてがからみあい、ラストのどんでん返しへとつながる仕掛けだ。ポーは“素人探偵”として奔走するが、そのほとんどは後手に回り、頭脳戦は何とも分が悪いし、模倣犯の犯人像に魅力がないのは残念。しかし、愛する人のために命を賭けるという設定は、作り手のロマンチシズムの表れと見た。実際に瀕死の状態で発見されたポーの最期は今も謎のまま。だが、映画では、模倣犯が一人でやるには手が込みすぎた事件の最後を、本職の刑事のフィールズが、出来すぎの推理で締めくくってくれる。カタルシスは少ないが、ポー文学のファンは、散りばめられた数々の“ポー的”意匠を楽しめる作品になっている。
【55点】
(原題「THE RAVEN」)
(米・ハンガリー・スペイン/ジェームズ・マクティーグ監督/ジョン・キューザック、ルーク・エヴァンス、アリス・イヴ、他)
(流血度:★★★★☆)
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推理作家ポー 最期の5日間@ぴあ映画生活

シャンハイ

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40年代の上海の猥雑な空気が伝わってくるような映像が魅力的。だが、サスペンスとラブストーリー、どちらも中途半端になってしまった。

欧米各国や日本の思惑が入り乱れる1941年の中国・上海で、米国諜報部員コナーが殺される。コナーの親友ポールが、諜報部員であることを隠しながら事件を調べると、日本軍の大佐タナカ、姿を消したコナーの恋人スミコ、中国裏社会のドン、アンソニー、そして彼の美しき妻アンナらが捜査線上に浮かび上がる…。

魔都と呼ばれた上海は、いつの時代も危険な魅力に満ちている。無国籍なその場所には、多くのスパイや革命家が存在し、この物語で描かれるような出来事も、おそらく起こっただろう。だが映画は実話ではなく、殺人事件や反日運動が複雑にからみあって、意外な展開から開戦へと結びつくフィクションだ。米、独、中国、日本と多国籍のスターが集結しているのも、いかにも雰囲気を盛り上げて、ゴージャスである。だが、歴史サスペンスとしては物足りず、ラブストーリーというには互いを思う情熱が伝わってこない。器は大きいが話は極めてパーソナルなこの映画、では何を楽しみに見ればいいかというと、やはり豪華スターの競演ということになる。主役のジョン・キューザックは薄味だが、男たちが命がけで守る女性を演じるコン・リーは、年齢を重ねても美しくミステリアスだ。チョウ・ユンファもさすがの貫禄。だがここは2人の日本人キャストに注目したい。アヘン中毒で終始ボロボロのスミコを演じる菊地凛子は、相変わらずのカメレオン俳優ぶり。そして堂々の存在感をみせる渡辺謙は、もはや世界の大スターのオーラが漂う。ワールドワイドに活躍する日本人俳優を含め、役者の魅力を楽しむ娯楽大作だ。
【60点】
(原題「SHANGHAI」)
(アメリカ・中国/ミカエル・ハフストーム監督/ジョン・キューザック、コン・リー、チョウ・ユンファ、菊地凛子、渡辺謙、他)
(豪華キャスト度:★★★★☆)



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シャンハイ@ぴあ映画生活

2012

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破壊の限りをつくす大スペクタクル映像の連打に、唖然とさせられる。ディザスター・ムービーの第一人者であるローランド・エメリッヒ監督は、ついに地球をまるごとブッ壊してしまった。2012年に地球は滅亡するというマヤの予言が現実になったことを知った米政府は、人類を存続させるべく各国首相と連携して極秘プロジェクトを開始する。売れない作家のジャクソンは、偶然そのことを知り、愛する家族を守ろうと、政府が選ばれた人々だけを救済するために作った巨大船を目指す。だが、すでに世界各地で大災害が起こり始めていた…。

2012年といえば、もう目の前。キリスト教をはじめ多くの宗教で終末思想は語られるが、世界の終焉を驚愕の映像でこうまでリアルにシミュレーションされては、神も仏もない私でも不安になる。それほど、このディザスター映画のCGはすさまじい。地震、火山噴火、津波。どれも現実のニュースを賑わせる災害ばかりだからなおさらだ。だが、これらすべてが巨大化し一度に押し寄せる超・非常事態で、助かる資格を持つのは、政府の要人や王族、特別な才能の知識人に、大金持ちといったセレブだけ。地球滅亡をぎりぎりまで秘密にした米政府は、一般庶民には愛する人に別れを告げる時間さえ与えない。

助けられる条件を何一つ満たさないジャクソンだが、そこは映画の主人公、手に汗握るジェットコースター級の恐怖を間一髪でかわしながらしっかり生きのびる。大味な物語とは対照的に、大災害のデジタル映像は臨場感たっぷりでハイレベルだ。大都市LAが崩れ落ち、溶岩流がハワイを包み、ヒマラヤを大津波が襲う映像は、まさに圧巻。人類を救うために巨大でハイテクの方舟(はこぶね)を作るという発想と、主人公の息子の名前がノアであるなど、極めて分かり易い描写があるが、その分かり易さは、方舟を中国で作らせるのに、中国人は乗船させないという点でも発揮される。皮肉をしっかり効かせたあげく、ケロリとハッピーエンドで終わるのだが、すさまじい映像で圧倒された観客は、突っ込みを入れる体力が奪われ、ただ脱力するのみ。とってつけたような人間ドラマはこの際、ワキに置いて、ただひたすら破壊の映像を体感しよう。…というより、それより他になす術はないのである。
【55点】
(原題「2012」)
(アメリカ/ローランド・エメリッヒ監督/ジョン・キューザック、キウェテル・イジョフォー、タンディ・ニュートン、他)
(驚愕映像度:★★★★★)

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1408号室

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妄想系スリラーだが、自分の心の深淵を見る場所というテーマがスティーヴン・キングらしい。娘の死から立ち直れないオカルト作家のマイクは、NYのホテルを取材。客が次々に自殺を遂げることで有名な謎の1408号室に、支配人の警告を振り切って宿泊する。幽霊を信じないマイクだが、呪われた部屋は恐怖の超常現象で彼を襲う。忌まわしい場所になった理由が不明なことと、支配人の扱いが中途半端なのが気になるところ。だが、残酷描写を多用しない演出が洗練されている。特に、絵画が動き、そこから水が溢れる場面は、創意工夫に満ちたビジュアルで洒落ていた。
【65点】
(原題「1408」)
(アメリカ/ミカエル・ハフストローム監督/ジョン・キューザック、サミュエル・L、ジャクソン、他)
(流血度:★☆☆☆☆)

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さよなら。いつかわかること

さよなら。いつかわかること
イラク戦争を新しい視点から扱った意欲作。戦争で、父ではなく、母親を亡くした家族の再生の物語だ。考えれば女性兵士もいるわけでこういうケースもありなのだ。父娘のロード・ムービーにしたことで心の変化が繊細に感じ取れる。好青年のイメージのキューザックが体重増加して静かな熱演。亡き妻の声を求めて留守電を聞き、語りかける姿が切ない。自作以外に初めて曲を提供したイーストウッドの美しいメロディが物語に寄り添って、涙を誘う。
【65点】
(原題「GRACE IS GONE」)
(アメリカ/ジェームズ・C・ストラウス監督/ジョン・キューザック、シェラン・オキーフ、グレイシー・ベドナルジク、他)
(反戦度:★★★☆☆)

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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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