映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる映画 ◎
「パッセンジャー」「キングコング 髑髏島の巨神」etc.

ジョージ・クルーニー

マネーモンスター

マネーモンスター(初回生産限定) [Blu-ray]
財テク番組「マネーモンスター」のパーソナリティ、リー・ゲイツは、巧みな話術と軽妙なパフォーマンスで、人気を得ていた。敏腕プロデューサーのパティの指示を無視して、いつも通りのアドリブで番組を進めていると、突如、銃を持った男カイルに番組をジャックされる。カイルは、番組で語られた株式情報を鵜呑みにして全財産を失っていた。カイルは、復讐のためリーを人質にとり、自分を嵌めた株式のカラクリを生放送内で明らかにしろとパティに指示するが…。

銃を手にした男による財テク番組占拠事件とその裏側の金融界の闇とからくりを暴く異色のサスペンス「マネーモンスター」。監督としての手腕も高く評価されるオスカー女優のジョディ・フォスターは、今まで家族をテーマにした作品を作ってきたが、今回はガラリと趣向を変えて、劇場型犯罪による金融サスペンスという新しいジャンルに挑んでいる。リーの軽いノリの財テク番組を信じて全財産を失ったという、いわば逆恨みに思えた犯人カイルと、次第に明らかになる株式相場の裏の犯罪が明らかになるにつれ、事態は二転三転。占拠事件の行方は映画をみて確かめてもらうとして、ジョディ監督の演出は実にクレバーだ。軽薄だが憎めないリーを好演するジョージ・クルーニー、知的でやり手のプロデューサーを静かに熱演するジュリア・ロバーツの二大スターの華やかさでグッと観客を引き付け、世界中の投資家がかたずをのんで見守る金融サスペンスを分かりやすく活写する手際の良さがいい。女性キャラの演出に光るものがあるのは、フェミニストで知られるジョディならでは。特に、次第に同情を集めつつあった犯人カイルの説得にあたるはずの恋人のブチ切れ演出には、思わずうなった。さらに、自分は人気もので、この作戦ならば事件を見守る視聴者(投資家)を動かせると踏んだリーの秘策の誤算や、韓国やアイスランドに散らばる頭脳を総動員して情報を集めるなどの同時代性も共感できる。ほぼリアルタイムで物語が進む99分の短さゆえに、終盤が少々駆け足だが、苦い結末の後に、リーとパティが互いへの信頼と感謝をみせるシークエンスに優しさがにじみ出ていた。監督ジョディ・フォスターの手腕に拍手!である。
【75点】
(原題「MONEY MONSTER」)
(アメリカ/ジョディ・フォスター監督/ジョージ・クルーニー、ジュリア・ロバーツ、ジャック・オコンネル、他)
(リアルタイム度:★★★★☆)
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ヘイル、シーザー!

ヘイル,シーザー! ブルーレイ+DVDセット [Blu-ray]
1950年代のハリウッド。大手映画会社では命運を賭けた超大作映画「ヘイル、シーザー!」が撮影されていたが、主役である世界的大スターのウィットロックが何者かに誘拐されてしまう。撮影スタジオが大混乱に陥る中、事件解決を任されたのは、スタジオの何でも屋であるエディだった。セクシーな若手女優、演技がヘタなアクション俳優、人気もののミュージカルスターらを巻き込んで、謎の犯人から要求された身代金を準備し難事件に挑んでいく…。

黄金期のハリウッドを舞台にしたサスペンス・コメディー「ヘイル、シーザー!」は、ハリウッドが夢の工場と呼ばれ、クラシックな衣装に身を包んだ銀幕のスターたちが活躍した古き良き時代が背景だ。しかし1950年代は、映画の栄光が陰り始めた時でもある。そんな、映画界の最後のきらめきを偏愛するコーエン兄弟らしく、本作には映画へのオマージュが満載だ。大スターの誘拐事件解決に奔走する、何でも屋のエディは、スタジオを支える存在で、彼の仕事は多岐にわたる。聖書に基づく映画製作では宗教関係者を言いくるめ、お色気たっぷりの若手女優が妊娠すればその後始末をし、ゴシップ記者を煙に巻きながら、演技がドへたな俳優に激怒する監督をなだめる。まさにワーカホリックな日々が笑いを誘う。それでも、うんざりしながらも、映画と仕事を愛している様がなんとも愛おしいのだ。苦虫をかみつぶしたような顔でテキパキと雑事をこなしながら、頻繁に教会で懺悔するエディを演じる、ジョシュ・ブローリンが実に味がある。豪華キャストは誰もがハマっているが、演技がヘタでまともな発音もできないカウボーイ俳優を演じたアルデン・エーレンライクは意外な掘り出し物で嬉しい驚きだった。共産主義の脅威におびえていたこの時代は、スタジオシステム崩壊のはじまりの時でもある。脚本・脚色にこだわるコーエン兄弟らしく、脚本家の苦労に目配せした設定もいいではないか!ちなみに、往年のハリウッドの、映画会社やスターたちのアブノーマルな日々の真実を知りたければ、ケネス・アンガーの名著「ハリウッド・バビロン」を読むことをおすすめする。
【70点】
(原題「HAIL,CAESAR!」)
(アメリカ/ ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン監督/ジョシュ・ブローリン、ジョージ・クルーニー、スカーレット・ヨハンソン、他)
(映画愛度:★★★★★)
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公開が延期になる映画のこと:米映画「ミケランジェロ・プロジェクト」

ひとりごと昨日のひとりごとが「たまにはこういうのもいいかも」と好評のメールをもらったので、今日も調子にのって同じ感じで。同じく点数はなしです(笑)。

公開が延期 or 中止になる映画といえば、興収が見込めない駄作を除いては、内容に問題がある映画ということになります。例えば、予期せぬ天災や悲劇的な事件・事故などで多くの被害者が出た場合、その方たちの心情に配慮するというケース。東日本大震災の後は、地震や津波などを連想する水の惨事を扱う映画の多くは、自粛という形で公開が延期になりました。中国で起こった大地震を扱った「唐山大地震」は、その内容からとても3.11の直後には直視できないものでしたが、その後、なんとか公開にこぎつけています。

11月6日(金)から公開されている「ミケランジェロ・プロジェクト」も、そんな中止・延期の果てに公開された、いわくつきの作品。ジョージ・クルーニーが監督・製作・脚本・主演をこなす同作品は、ナチスによって奪われた美術品を、アートに携わる人々が芸術戦士となって戦って取り戻すというエンタテインメント。出演している俳優も、マット・デイモン、ケイト・ブランシェット、ビル・マーレイ、ジョン・グッドマンら超豪華キャストです。ヒットが見込めるこんな映画がなぜに延期に? 当初は編集の遅れやCG処理へのこだわり、はたまた公開時期をズラしてオスカー狙い…なんて意見もありましたっけ。

しかし、どうやらこの映画、内容そのものに問題があったみたい。「ミケランジェロ・プロジェクト」の公開中止・延期は、日本だけでなく、本国アメリカも含む海外でも同じでしたしね。美術品の返還というテーマでは、最近ではヘレン・ミレン主演の「黄金のアデーレ」がありましたが、戦争中での出来事とはいえ、現在の持ち主である国との利害関係もからむ、簡単ではない問題。ヘタすると、国際問題にも発展しかねないデリケートな素材ということ。「これはもともと自分のもの!」は、戦争の原因にもなれば、戦後のゴタゴタにもなるセリフです。すったもんだがあったおかげで、映画そのものを単純明快に楽しめなかったのは、ちょっと残念でした。エンタメ作品なのに〜(泣)。

原作者のロバート・M・エドゼル氏は、映画「ミケランジェロ・プロジェクト」の原作になった「ナチ略奪美術品を救え 特殊部隊『モニュメンツ・メン』の戦争」の著者。ハリウッドで映画化となると「ミケランジェロ・プロジェクト」が注目をあび、本当はそっとしておきたい問題にマスコミが群がる…なんてことも懸念されたんでしょうね。日本だって、戦時中に略奪して返してない美術品があるだろうし、それはおそらく過去の戦争に参加したどんな国も同じ事情なはず。この映画の場合、一種の政治的圧力だったのかもしれませんが、とにもかくにも(小規模ながら…)公開にこぎつけたのは、映画ファンとしては喜ばしいことと言えるでしょう。

(出演:ジョージ・クルーニー、マット・デイモン、ケイト・ブランシェット、他)
(2013年/アメリカ/監督・製作・脚本: ジョージ・クルーニー/原題「THE MONUMENTS MEN」)

ミケランジェロ・プロジェクト [Blu-ray]
ジョージ・クルーニー
松竹
2016-04-06


ナチ略奪美術品を救え─特殊部隊「モニュメンツ・メン」の戦争
ロバート M エドゼル
白水社
2010-12-21

この原作者、TV「世界一受けたい授業」に出てたそうです。
歴史のお勉強になる本!

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トゥモローランド

トゥモローランド MovieNEX [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー(クラウド対応)+MovieNEXワールド] [Blu-ray]
不思議なピンバッジによって未知の世界の扉を開いた少女の冒険を描くSFファンタジー「トゥモローランド」。一見、子供向けだが、実は大人にこそ見てほしい。

17歳のケイシーは、ある日、荷物の中に見慣れないピンバッジを見つける。それに触った途端、ケイシーは、たちまち未知なる世界へと入り込んでしまうが、すぐにバッテリー切れで見慣れた現実世界に戻ってしまう。なんとかもう一度夢の世界に戻ろうとするケイシーの前に、ピンバッジを彼女の荷物に紛れ込ませたと言う、謎の美少女アテナが現れ、迷い込んだ夢の世界“トゥモローランド”に戻りたければ、フランク・ウォーカーという男を訪ねるように助言する。アテナが人類の未来を託した人間こそが、ケイシーとフランクだった…。

本作は、ウォルト・ディズニーの生前の夢と、ディズニー社の倉庫に残っていた資料をもとに、作り上げた壮大な冒険譚。謎のピンバッジが、パラレルワールドへの扉を開くという設定は、なるほどワクワクさせられる。貧富の差も戦争もなく誰もが幸福に暮らせる世界は、空飛ぶ車や宇宙旅行など、子どもの頃に思い描いた未来都市そのもの。レトロ・モダンな雰囲気を醸し出すビジュアルは何だか微笑ましい。現実世界と虚構世界を行き来する間にも数々の冒険が仕込まれていて、飽きさせない。だが、現実には、理想郷はどこにもなく、人々は愚かな争いを繰り返し、未来は決してバラ色ではないことを、かつての天才発明少年、今では引きこもりの中年男であるフランクは知っているのだ。フランクの諦念とケイシーの希望の相乗効果で、冒険は成立している。本作は、決して分かりやすくはないし、パラレルワールドの誕生やその仕組みもはっきりしない。つまりこれは単純明快な子供向けSF映画ではなく、私たちはどこで道を誤ってしまったのか?これから先、どうすればいいのか?と自問できる大人にこそ必要な、夢物語なのだ。ブリット・ロバートソン、ラフィー・キャシディら次世代スターの少女たちのポジティブな明るさと、ジョージ・クルーニー演じる中年ヒーローの頑張りが、未来をあきらめないディズニー映画の精神を物語っている。
【70点】
(原題「TOMORROWLAND」)
(アメリカ/ブラッド・バード監督/ジョージ・クルーニー、ブリット・ロバートソン、ヒュー・ローリー、他)
(大人向け度:★★★★☆)
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ゼロ・グラビティ

ゼロ・グラビティ ブルーレイ&DVDセット(初回限定生産)2枚組 [Blu-ray]
無重力空間でサバイバルする男女の運命を描く秀作SFサスペンス「ゼロ・グラビティ」。絶対に3Dで見るべき作品だ。

メディカル・エンジニアのライアン・ストーン博士とベテラン宇宙飛行士マット・コワルスキーは、地表から600キロメートルも離れた宇宙空間のシャトル船外でミッションを遂行していた。だが、スペースシャトルが大破するという想定外の事故が発生し、彼らは、無重力空間(ゼロ・グラビティ)に放り出されてしまう。広大な宇宙で2人をつなぐのは1本のロープだけ。地球との交信手段も断たれ、酸素の残量はわずか。この絶望的状況で彼らは懸命に生還する方法を探っていく…。

宇宙空間から地球を見たことがある人間はまだまだ少ないはず。この映画ではそれを完璧に体験できる。しかも極限状態のサバイバルの擬似体験付きだ。こう書くと軽いノリのアトラクション・ムービーに思えるかもしれないが、本作は、圧倒的な映像と深い人間ドラマ、迫り来る臨場感が一体化した稀有な作品である。冒頭に描かれる宇宙から見た青い地球が素晴らしいが、この美を見る宇宙は、人間が生存できない温度で、気圧も酸素もない、無音の死の空間だ。ベテラン宇宙飛行士マットはおしゃべりで冗談好きだが、どんな極限状態でも冷静さを失わず、メディカル・エンンジニアのライアンをサポートする。宇宙での経験がほとんどない彼女を励ますマットと、彼の的確な指示と機転によって少しずつ冷静さを取り戻すライアン。登場人物は2人のみだが、マットの精神力やライアンのつらい過去を織り交ぜた会話劇としても見応え十分だ。その一方で、圧倒的な映像はまさに革新的で、宇宙ゴミの襲来の激しさと、その後に訪れる静寂の対比など、実写とCG、ワイヤーを使って作る浮遊空間を組み合わせて宇宙を再現したアルフォンソ・キュアロン監督のセンスには驚かされた。諦念の思いに苛まされたライアンが次第に生きる意欲を取り戻すプロセスは、崇高ですらある。ほとんどが宇宙服を来て素顔をさらさず、体を使っての演技も制限される中、熱演をみせたブロックとクルーニーのオスカー俳優2人の演技も絶品。存分に“遊泳する”ためにも、絶対に3Dで見てほしい作品で、映画好きなら見逃し厳禁の傑作だ。
【95点】
(原題「GRAVITY」)
(アメリカ/アルフォンソ・キュアロン監督/サンドラ・ブロック、ジョージ・クルーニー)
(宇宙体感度:★★★★★)
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映画レビュー「ファミリー・ツリー」

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◆プチレビュー◆
ジョージ・クルーニーが絶妙の演技をみせる「ファミリー・ツリー」。ほろ苦いドラマだが後味はさわやかだ。 【80点】

 ハワイ・オアフ島に住む弁護士マット・キングは、妻と二人の娘と順調な人生を送っていた。だが妻がボートの事故で昏睡状態になった上に、浮気していて、離婚を考えていたことが発覚する。そのことを、長女や友人夫妻までもが知っていたことに愕然とするマット。ともあれ妻の浮気相手に会う決心をするが…。

 洒脱でさっそうとしたナイスガイ。あるいは社会悪に立ち向かう正義漢。はたまたコミカルでクセのある変わり者。ジョージ・クルーニーは変幻自在に役を生きる。そんな彼が父親を演じるのは初めてではないが、今回の役は、実に情けない。妻に浮気され、思春期の長女からは信用されず、文無しの従兄弟たちからは金銭面でのみ頼られている中年男なのだ。

 なんともピリッとしない主人公マットだが、彼が置かれた状況はすこぶるやっかいである。妻の生命維持装置をはずすべきかという決断と、先祖代々の土地を売却すべきかという難題を同時に抱えることになったのだ。マットは、生まれて初めて、自分の人生に正面から向き合うことになる。

 順調な人生を送ってきたかに見えて、家庭は妻にまかせっきり、子供たちとまともに会話したことさえなかったマットは、本当は大切なことに目をそむけて生きてきた。予期せぬ形で転機を迎えることにはなったが、彼は、人生、家族、命の意味を子供たちと共に、不器用に、でも本気で考える。私たち観客もまた、そんなマットに寄り添いながら、彼が出す答えを見守ることになる。

 監督のアレクサンダー・ペインは、寡作ながら上質の作品を送り出す職人肌の監督だ。「サイドウェイ」以来の7年ぶりの監督作となる本作でも、ハワイの独特の風土や歴史を存分に生かした。家族の絆を見直すプロセスを、土地を手放すことが祖先から子孫へのつながりを断ち切ることになると気付く主人公の心の変化に重ねる手腕は見事だ。

 最悪と思った出来事が、意外な形で主人公の人生をリロードし、導いていく。タイトルのファミリー・ツリーとは、大地に根を張り、受け継がれる家族の系譜を指している。ラスト、父娘がソファに座ってTVを見るシーンで、皆がひとつのハワイアン・キルトを足元にかけている場面がとてもいい。それは入院時の母にかけてあげていたキルトだ。誰もが欠点を持ち、誰もが完全には正しくない。互いを補いあう家族だからこそ、それでいい。映画全編をそっと包み込む、柔らかなハワイアン・ミュージックがそう告げている。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)ペーソス度:★★★★★

□2011年 アメリカ映画 □原題「THE DESCENDANTS」
□監督:アレクサンダー・ペイン
□出演:ジョージ・クルーニー、シャイリーン・ウッドリー、アマラ・ミラー、他
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スーパー・チューズデー 正義を売った日

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アメリカの大統領選の駆引きと人間模様を描く「スーパー・チューズデー 正義を売った日」。腹黒さと信頼が入り乱れる、硬派な政治ドラマだ。

スティーヴン・マイヤーズは、マイク・モリス知事の大統領選挙キャンペーンチームで広報官をつとめる若き野心家だ。戦略担当として手腕を発揮する彼は、今後の選挙戦において重要な拠点となるオハイオ州での予備選討論会の後、対立陣営から密会を持ちかけられる。一方で、同じチームの女性インターンのモリーと親しくなる。この二つの出来事が、やがて選挙戦を揺るがす事態へ発展し、スティーヴン、モリス、ベテランの参謀ポールらを予想不可能な運命へと巻き込んでいく…。

ハリウッドのトップスターのジョージ・クルーニーが、監督・出演・制作を務めた、スリリングな政治サスペンスだ。スーパー・チューズデーとは、民主、共和両党の候補者を選ぶ各州の選挙が集中する日のこと。アメリカのみならず、世界中が注目する米国大統領選では、スキャンダルやネガティヴ・キャンペーン、有力者の取り込みなど、情報操作や心理戦は当たり前。そんな駆け引きと裏切りが横行する中では、正義や忠誠心の意味は刻々と変化し、原型をとどめない。主人公は、大統領候補のクルーニーではなく、モリス陣営のナンバー2を演じるライアン・ゴズリングだ。政治に理想を求めていた主人公が、非情ともいえる策略家になっていく様と、その中でみせる彼なりの正義。一度はワナにはまり絶対絶命になるものの、モリスの決定的なスキャンダルを握ってからのゴズリングの変貌ぶりは見事だ。物語は、権謀術数を操らなければ生き残れない権力の構図を浮き彫りにする。終盤、モリスとスティーヴンが暗がりで対話するシークエンスは、武器を持たない殺し合いにも似て緊張感たっぷりだ。政策や人格などは二の次。保身のためならどんな手も使う政治の世界を、スリルたっぷりの娯楽作で批判してみせるクルーニーの手腕が冴える。フィリップ・シーモア・ホフマンやポール・ジアマッティら、脇を固めるくせ者俳優の使い方も上手い。原作は、実際に選挙キャンペーンで働いていたボー・ウィリモンによる戯曲「ファラガット・ノース」。アメリカの政治とは、裏切りやスキャンダルも含めて“ショー”なのだ。主役になるには清濁併せ持つタフな精神力が必要ということだろう。
【70点】
(原題「THE IDES OF MARCH」)
(アメリカ/ジョージ・クルーニー監督/ライアン・ゴズリング、ジョージ・クルーニー、フィリップ・シーモア・ホフマン、他)
(情報操作度:★★★★☆)
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スーパー・チューズデー 〜正義を売った日〜@ぴあ映画生活

ファンタスティック Mr.FOX

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こだわりのストップモーション・アニメ「ファンタスティック Mr.FOX」は、シュールなユーモアといい、パペットの独特の動きといい、稀に見る傑作。狐が主人公だが人間社会をそのまま映す鏡のようだ。

盗みの天才Mr.FOXは、妻のMrs.FOXの妊娠をきっかけに泥棒稼業から足を洗い、新聞記者として地道に働いている。親子3人仲睦まじく暮らしていたが、丘の家を購入し、近所に住む、裕福で意地悪な人間の農場主3人の暮らしぶりをみて、昔の泥棒魂と野生の本能が目覚めてしまう。農場から家畜を盗むことに快感を覚えるMr.FOXだったが、とうとう人間たちの怒りを買って争いが勃発してしまう…。

原作は「チャーリーとチョコレート工場」のロアルド・ダール。文学以外にも映画の脚本も手がける才人だが、児童文学の作品には大人のファンが多い。ダールの持ち味である“奇妙な味”は本作の原作「すばらしき父さん狐」でも健在。主要なキャラクターは動物たちだが、これは動物社会を人間社会に見立てた寓話だ。

監督のウェス・アンダーソンは代表作の「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」同様、家族をテーマに描いている。平穏な日々に飽き足らず、野生の本能と泥棒稼業、何よりスリルに熱い血をたぎらせるMr.FOX。貧乏な穴ぐら生活を嫌う夫に対し、妻のMrs.FOXは「狐が穴の中で暮らすには理由があるのよ」と諭す。そんなMrs.FOXも、いざという時には凛々しい姿を見せてくれるのだから嬉しい。夫婦愛の他にも、父親に認めてほしい息子の屈折や、穴に住む仲間のアナグマ、フクロネズミらとの関係性など、物語は実に練られている。もちろん終盤には、手に汗握る大アクションも用意されていて、キツネVS農場主のバトルが楽しめる。

CGや3Dが全盛のこの時代に、あえて手作りにこだわり、ストップモーションで1秒間に24コマ撮りという時間と労力を注いだその理由は、構想10年というアンダーソン監督の情熱に他ならない。ジョージ・クルーニーやメリル・ストリープ、ビル・マーレイらの名優たちがそれに見事に答えた。凝りに凝ったセットや衣装も素晴らしい。本能に逆らわず生きる。シンプルにして重要なテーマが胸を打つ、とびきり贅沢なアニメーションだ。

(出演:(声)ジョージ・クルーニー、メリル・ストリープ、ジェイソン・シュワルツマン、他)
(2009年/米・英/ウェス・アンダーソン監督/原題「FANTASTIC MR.FOX」)
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ラスト・ターゲット

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寡黙な殺し屋をシリアスに演じるジョージ・クルーニーが新鮮。メジャーな観光スポットではないイタリアの渋い風景も見所だ。

孤独な殺し屋ジャックはスウェーデンで休暇中に何者かに襲われる。“組織”の連絡係パヴェルの指示でイタリアの山岳地帯の町に身を潜めることに。米国人カメラマンを名乗り静かに暮らしながらも、地元の娼婦・クララと恋に落ちたジャックは、組織からの依頼である狙撃銃の製作の仕事を最後に引退を決意する。だが彼には謎の暗殺者が忍び寄っていた…。

原作はマーティン・ブースの小説「暗闇の蝶」。どこかおちゃめな役を得意とするクルーニーは、今回はひたすら渋い。暗殺者が主人公だが、ド派手なアクションや騒々しい銃撃戦とは無縁。たった一人で潜伏し、黙々と銃を組み立て、それを依頼者に渡すときも警戒を怠らない。まさしくジャックは“職人”だ。銃製作のディティールは尋常ではなく凝っていて、これがラストの伏線になっている。主人公が引退を決意するのは、もはや自分は若くないと悟ったからなのだが、共に生きようとする女性が少々若すぎやしないか。大スターのクルーニーに配慮したのかもしれないが、ここは人生をよく知る、少しくだびれた感じの中年女性の方がびったりくる。ともあれ裏社会から足を洗うと決意した凄腕暗殺者を組織が放っておくはずはない。彼の本当の“最後の仕事”とは、また、その標的(ラスト・ターゲット)とは…という謎が、クライマックスに明かされる。城壁の街カステル・デル・モンテのロケーションが美しく、世界的な写真家であるアントン・コービン監督の自然光を使った映像が印象的だ。
【60点】
(原題「THE AMERICAN」)
(アメリカ/アントン・コービン監督/ジョージ・クルーニー、ヴィオランテ・プラシド、テクラ・ルーテン、他)
(抑性度:★★★★☆)
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価格:2,953円(税込、送料別)

ヤギと男と男と壁と

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マジですか?!思わず確認したくなるのは、米軍に実在したという超能力部隊のお話。米ソにはスーパーナチュラルな力を軍事力として利用するため、研究を重ねてきた歴史があることは知られているが、こんなにも根が明るくノホホンとされては、戦争そのものがバカバカしくみえてくる。2003年、地方紙の記者であるボブは、離婚の痛手から立ち直るべく、スクープを求めてイラク戦争の取材に赴く。偶然クウェートで知り合ったリンという男が、以前取材した、米軍の超能力特殊部隊“新地球軍”所属の軍人と知り、イラクに行くというリンに同行することに。道中、リンは、80年代に設立された超能力部隊の驚くべき歴史を語り始める…。

コメディ・タッチの娯楽作だが、原作はジョン・ロンスンのノンフィクション「実録・アメリカ超能力部隊」。れっきとした実話がベースなのだが、いったいどこまでが本気…、いや、本当なのかと首をかしげたくなる。なにしろ、壁を突き抜け、見つめるだけでヤギを絶命させるパワーを持つ超能力プロジェクトの名前は“ジェダイ計画”だ。この話の語り部が「スター・ウォーズ」で若きオビ・ワン・ケノービーを演じたユアン・マクレガーなのだから、これだけで掴みは成功といえよう。超能力の師であるジェフ・ブリッジスや、隊員のジョージ・クルーニー、ケビン・スペイシーという並み居るオスカー俳優が、楽しげに演じているおかげで、物語はリズミカルかつ軽妙なテイストで進む。彼らの必殺技は、キラキラ眼力。そもそも、この力、超能力というより、ベトナム戦争時のカルチャー・ムーブメントである、ラブ・アンド・ピースのヒッピー文化に近いのだ。自称エスパーのリンのやることはどこまでもアホらしく効力などないのだが、たまにはまぐれ当たりも。どうだい、信じてみたくなっただろ?と言わんばかりのクルーニーの眼力が、ボブの人生を少しだけ優しい方向へと向かわせる。地球上から争いごとをなくすための超能力部隊の奮闘がコミカルかつアイロイニカルに描かれるが、結局は、最新テクノロジーも怪しげな超能力も、すべては戦争に使われてしまうという、シニカルなメッセージも透けて見えた。演技達者がズラリと揃うが、なぜか女っけはなし。ちょっと不思議である。
【60点】
(原題「THE MEN WHO STARE AT GOATS」)
(アメリカ・イギリス/グラント・ヘスロヴ監督/ジョージ・クルーニー、ジェフ・ブリッジス、ユアン・マクレガー、他)
(実践的度:★☆☆☆☆)


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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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