映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
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(点数は100点が、★は5つが満点)
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◎ 今週末の公開映画から オススメの1本! ◎
チリ他合作映画「ナチュラルウーマン」

ジョー・ライト

PAN ネバーランド、夢のはじまり

PAN~ネバーランド、夢のはじまり~ ブルーレイ&DVDセット(初回仕様/2枚組/デジタルコピー付) [Blu-ray]
ロンドンの孤児院で暮らすピーターは、いつか母親が迎えにきてくれると信じていた。ある時、地下室で母からの手紙をみつけたピーターは母に会いたい思いを募らせる。ある夜、現れた空飛ぶ海賊船にさらわれ、ネバーランドへと旅立つことに。そこには、妖精や人魚、若き日のフック船長や戦うプリンセス、タイガー・リリーらがいた。だが母を探すピーターの前に冷酷な海賊・黒ひげがたちはだかる。ピーターは自分自身さえ知らなかった出生の秘密を知ることになるのだが…。

ディズニーアニメで有名なピーター・パンの前日譚を描くファンタジー「PAN ネバーランド、夢のはじまり」は、ピーターパンがいかにして生まれたか、その出生の秘密や成長(ずっと子供なのだが…)を描く。誕生秘話は、なるほど興味をそそるが、児童文学、しかもファンタジーを、「つぐない」のジョー・ライトが監督するというのが何より興味深い。戦時下のロンドンでいきなり始まる英国空軍と海賊船とのバトルなど、導入部からかなりテンションが高い作りだ。映像も美しくクオリティが高い。だが、宣伝の方向が“あの“ハリー・ポッターのワーナー・ブラザースがおくる…”というキャッチコピーなので、どうしてもハリポタと比べたり類似点を見たりしてしまうのは、かえってマイナスでは?と思わないでもない。過去の伝説を、木目や水紋で語る演出などは、神秘的なネバーランドにふさわしい幻想的でオリジナリティーあふれる場面だ。キャラはどれも見事に立っていて、特にヒュー・ジャックマンが怪演する黒ひげは、怖いようなコミカルなような絶妙な味わいがあるのはさすが。それにしてもピーターと宿敵フック船長が共に戦うコンビだったとは。この後、2人にいったい何があったのか?と気になってしかたがない。ということで続編に期待!だ。
【70点】
(原題「PAN」)
(アメリカ/ジョー・ライト監督/ヒュー・ジャックマン、ギャレット・ヘドランド、ルーニー・マーラ、他)
(幻想的度:★★★★☆)
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PAN 〜ネバーランド、夢のはじまり〜@ぴあ映画生活

アンナ・カレーニナ

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ロシア文学の古典をオリジナリティあふれる演出で映画化した「アンナ・カレーニナ」。人生を文字通りの舞台にたとえた演出が見事だ。

19世紀末のロシア。政府高官の妻で美貌のアンナ・カレーニナはサンクトベテルブルク社交界の華だ。兄夫婦のいさかいを仲裁するためにモスクワへと向かった彼女は、青年将校ヴロンスキーと出会い、互いに惹かれあう。最初は平常心を保とうとしたアンナだったが舞踏会で彼と再開し、禁断の恋に落ちる。夫カレーニンへの愛はなく、欺瞞に満ちた社交界にも未練はないアンナは、家庭を捨て、ヴロンスキーとの愛に溺れるが、それは同時に破滅への道でもあった…。

原作は言うまでもなくロシアの文豪トルストイの恋愛小説の金字塔。映画では、かつてグレタ・ガルボやヴィヴィアン・リー、ソフィー・マルソーなどの名だたる美女がヒロインを演じてきた。つまり万人がよく知る素材で、ストーリー展開に驚きは少ない。よく言えば古典、悪く言えば手垢のついた物語をどう面白く、新しく見せるのか。この難題に、ジョー・ライト監督は“舞台のような人生”という鮮やかな演出で答えてみせた。オペラ劇場、舞踏会場、競馬場まで内部に納める巨大な劇場セットにまず驚く。さらに、真実の恋に生きるアンナが動くその背景で、世間体や表層的な道徳観念に縛られる周囲はピタリと動きを止めるという、独創的な演出には、ハッとさせられた。さらに絢爛豪華な衣装や美術はこれ以上ないほど贅沢なもの。特にキーラ・ナイトレイが身にまとうドレスの数々にはため息が出てしまう。衣装や美術もまた、登場人物たちのキャラクターや状況を語る重要な役割を果たしているのだ。愛のない結婚生活を送っていたヒロインの初めての恋は、不倫という不道徳のため、当然のように破滅へと至る。だが偽りのない人生をまっとうするアンナの美しさは、悲劇的な恋だからこそ際立って見えるのだ。古典文学を実験精神あふれる演出で再構築したジョー・ライトの才気に感心させられる、個性的な文芸ロマンで、一見の価値がある。
【70点】
(原題「ANNA KARENINA」)
(イギリス/ジョー・ライト監督/キーラ・ナイトレイ、ジュード・ロウ、アーロン・テイラー=ジョンソン、他)
(絢爛豪華度:★★★★★)
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アンナ・カレーニナ@ぴあ映画生活

ハンナ

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愛らしい少女が恐るべきリーサル・ウェポンという設定は魅力的。キャストはいいのだが、根本的な設定があいまいでディテールが甘い。

フィンランドの山奥で、元CIAの父親から徹底した戦闘能力や語学、教養を叩き込まれた少女ハンナ。16歳になった彼女はついに父の元を離れ、初めて外の世界へと旅立つ。彼女の目的は、父の同僚であったCIA捜査官マリッサを殺すことだったが、強敵マリッサはハンナが行く先々で追っ手を差し向ける…。

「つぐない」のジョー・ライト監督が、バイオレンス・アクションを撮る。文芸ものが得意な監督なので、かなり意外なのだが、本作は全編にグリム童話への目配せがあり、広義での文学系と言えなくもない。ハンナの出生にはある衝撃的な秘密があり、それは科学と軍事力をからませた恐ろしい企てのなれの果てだ。だが、ハンナを助け育てる父親の立ち位置がはっきりしない。闘わせたいのか、守りたいのか、いったいハンナにどうなってほしいのかが、あいまいなのだ。一方で、芸達者なケイト・ブランシェット演じる悪役マリッサは、なかなか強烈なキャラで“悪い魔女”のイメージをしっかり連想させて面白い。流血しながらの歯磨きには、思わず笑いさえ出る。ハンナとマリッサは、まるで相似形のように似ていて、もしや二人には血のつながりが…と勝手に想像をふくらませたが、その“凡庸な”予想はあっさりとはずれ、童話の世界そのもののような場所でクライマックスを迎える。その対決は、さしずめ、森ガールVS悪い魔女で、妙にハラハラさせられた。ハンナが心臓を狙うことに固執するのが興味深い。童話とは本来残酷なものだということをふと思い起こさせる。
【55点】
(原題「HANNA」)
(アメリカ/ジョー・ライト監督/シアーシャ・ローナン、エリック・バナ、ケイト・ブランシェット、他)
(アクション度:★★★☆☆)



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ハンナ@ぴあ映画生活
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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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