映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる映画 ◎
「ワンダーウーマン」「エル」「関ケ原」「ボブという名の猫」etc.

スティーヴン・ソダーバーグ

シチズンフォー スノーデンの暴露

シチズンフォー スノーデンの暴露 [DVD]
イラク戦争やグアンタナモ収容所に関するドキュメンタリー作品で知られる映画監督ローラ・ポイトラスのもとに、2013年初め、シチズンフォーというコードネームの情報提供者から連絡が入る。2013年6月、香港でのインタビューに現れたのは、当時29歳のCIAの元職員エドワード・スノーデンだった。スノーデンが語ったのは、米国政府によって全国民の通信が監視されているという衝撃的な内部告発。やがてこの事実は、ポイトラスと共にスノーデンを取材したジャーナリスト、グレン・グリーンウォルドの記事によって全世界を駆け巡ることになる…。

米政府による一般国民全ての通信の監視を暴露したエドワード・スノーデンの内部告発を描く迫真のドキュメンタリー「シチズンフォー スノーデンの暴露」。第87回アカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞を受賞した衝撃作の日本公開が、こんなにも遅れてしまったことに対する不満はとりあえず置いておくとして、「これはSFではない」とのテロップではじまる本作のスリリングな展開は、ハリウッド大作のサスペンスをも凌駕するものだ。何しろ、エドワード・スノーデンが敵にまわしたのはアメリカ国家そのもの。スノーデン本人はもちろん、家族や恋人の身まで危険にさらす行為を、なぜ彼が行ったのか。香港のホテルの一室で行われたインタビューは、パソコンの設定や電話など、あらゆる情報手段に対して細心の注意を払いながらのもので、二大情報機関、CIAとNSA(国家安全保障局)の職員だったスノーデンの強固な意志が伝わってくる。スノーデンは行き過ぎた監視社会の恐怖を誰よりも肌で感じていたからこそ、この危険な告発に踏み切ったのだ。本作は世紀の告発と呼ばれた事件が始まる決定的瞬間をキャッチし、その後の一大スクープを記録した貴重な映像資料である。メールやネットの閲覧記録だけではない。クレジットカードやポイントカード、IC乗車券まで、すべての情報が監視されていた事実に、プライバシーという概念が崩れ落ちる思いがする。現在も亡命中(2016年現在、ロシア国内、場所非通知)のスノーデン本人の映像と言葉によって描かれる本作の緊張感は、本物だけが醸し出す圧倒的なスリルだった。
【75点】
(原題「CITIZENFOUR」)
(米・独/ローラ・ポイトラス監督/エドワード・スノーデン、グレン・グリーンウォルド、ウィリアム・ビニー、他)
(緊張感度:★★★★★)
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恋するリベラーチェ

恋するリベラーチェ Blu-ray
実在のピアノ・パフォーマーの過激な私生活を描く「恋するリベラーチェ」。この邦題はあまりにヒドい。

1977年、アメリカ。派手な衣装と巧みなトーク、華麗なピアノ演奏で観客を魅了する天才ピアニスト、リベラーチェは、圧倒的な人気を誇るエンターテイナーだった。ある時、平凡な青年スコットと出会い、互いに惹かれあった二人はすぐに恋愛関係となる。今まで知らなかったきらびやかな世界を知り、贅沢な生活におぼれるスコット。一方、リベラーチェは歳が離れたスコットにダイエット薬を与え、自分に似せて整形までさせるのだった。だが幸福な生活は長くは続かず、マンネリや薬物依存などが原因で二人の関係に亀裂が入る…。

日本ではあまり知られていないが、リベラーチェと言えば50〜70年代後半まで人気・実力共にトップのピアノ・パフォーマー。世界で一番稼ぐエンターテイナー、世界が恋したピアニストという言葉も、決して誇張ではない。ド派手な衣装とステージ・パフォーマンス、クラシックをポップスやジャズ風にアレンジする独自の演奏スタイルで大人気となり、後のエルヴィス・プレスリーやエルトン・ジョンにも多大な影響を与えたという。そんな華麗な表の顔とは対照的に、彼の私生活は、生涯、同性愛者であることをひた隠すというやるせないものだ。同性愛が、罪、あるいは病気とみなされた時代ということもあるが、アメリカの保守的なショービズ界においては、隠さざるをえなかったのだろう。本作は、そんなリベラーチェの最愛の恋人スコット・ソーソンとの愛憎を描いているが、恋人を自分好みに作り変えるその嗜好は、いびつなナルシスト。だがスコットもまた未体験のゴージャスな暮らしと、親代わりのようなリベラーチェに“同化する”ことを望んでいるようにも見える。ステージや私生活を過剰なまでに飾り立てたリベラーチェが、母親が死んだ時「これでやっと自由になれる」とつぶやいたのが印象的だった。この一瞬だけがリベラーチェの素顔だったように思える。何だか軽いラブコメのような邦題がついているが、原題の意味はリベラーチェのトレードマークである燭台にちなんだ「枝付き燭台の影で」。異色の名ピアニストの光と影を描いた本作は、米TV界の権威ある賞・エミー賞でも多くの賞を受賞した。異様なメイクと衣装で怪演するマイケル・ダグラスとマット・デイモンの熱演もさることながら、顔の肉を頭の後ろまで強引に引っぱるという苦行に耐えて演じる整形外科医のロブ・ロウの役者魂には、頭が下がる。
【65点】
(原題「BEHIND THE CANDELABRA」)
(アメリカ/スティーヴン・ソダーバーグ監督/マイケル・ダグラス、マット・デイモン、ダン・エクロイド、他)
(虚飾度:★★★★☆)
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エージェント・マロリー

エージェント・マロリー [Blu-ray]エージェント・マロリー [Blu-ray]
女子総合格闘技界の女王ジーナ・カラーノをヒロインに大抜擢した「エージェント・マロリー」。本物ならではの肉弾戦はさすが。

並外れた戦闘能力と、知性、美貌を兼ね備えたマロリー・ケインは、スパイ業界にその名を轟かせるフリーランスの凄腕エージェントだ。民間軍事企業のトップで元恋人でもあるケネスから依頼を受け、バルセロナで人質救出作戦を遂行した後、新たなミッションのためダブリンへと旅立つ。だがそこでマロリーは、殺人の濡れ衣を着せられ、国際的な指名手配犯に仕立てられてしまう…。

超凄腕の女スパイを主人公にしたスパイ・アクションだが、組織に裏切られ罠にハメられたスパイが巨悪に立ち向かうという手垢のついたプロットを、名匠スティーヴン・ソダーバーグは、ジーナ・カラーノという新しい“素材”を得たことで、フレッシュな感覚で演出している。ジーナ・カラーノは、アメリカの総合格闘技界の女王で、バツグンの身体能力と美貌を兼ね備えたスターだ。演技経験ゼロの彼女を、ユアン・マクレガー、マイケル・ファスベンダー、アントニオ・バンデラス、チャニング・テイタムといった実力派スターが脇からガッチリと支えているのだが、そんな人気俳優たちをジーナが、演技とはいえ、片っ端からやっつけるのだから痛快だ。物語は、時系列をバラバラにした、ソダーバーグお得意のスタイリッシュな語り口で描かれる。アメリカの田舎町で同僚スパイをたたきのめし、偶然居合わせた青年を人質まがいの道連れにして、彼にそれまでの経緯を語ることで徐々に彼女が置かれた状況と、黒幕の影が見えてくる仕掛けだ。私はこのジーナ・カラーノという人を本作で初めて見たが、なるほど魅力的。劇中、別のスパイと夫婦を装ってドレスアップする場面の美しさ、一転してそのスパイと死闘を繰り広げる激しさ、凛々しさ。格闘技の専門的な技は知らなくても、その肉弾戦のスピードと美しさにはしばし見惚れるはずだ。どんな苦境に陥っても戦い続けるタフなヒロインは、映画では多く見かけるが、これほどの“本物”は初めて。ジーナありきの企画だし、アート系のソダーバーグ作品好きにはちょっととまどう作品かもしれない。だが、こうやって観客が予想しない作品を繰り出してくるあたり、いかにもソダーバーグらしい。
【55点】
(原題「HAYWIRE」)
(アメリカ/スティーヴン・ソダーバーグ監督/ジーナ・カラーノ、マイケル・ファスベンダー、ユアン・マクレガー、他)
(本物アクション度:★★★★★)
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コンテイジョン

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新種のウィルスの恐怖を豪華キャストで描く群像ドラマ「コンテイジョン」。素っ気なく地味な演出が、逆に、ひたひたと迫り来る恐怖を感じさせる。

ミッチの妻のベスは、香港出張からアメリカに帰国した直後、原因不明の疾病で急死する。同じ頃、香港、ロンドン、東京でも人々が謎の死を遂げる。接触感染により、数日で命を落とすという非常に強い新種のウィルスが発生していたのだ。アメリカ疾病予防センター(CDC)と世界保健機構(WHO)はワクチンの開発を急ぐが、フリーランスのジャーナリスト・アランがブログ上で発信した不確かな情報により、人々はパニック状態に陥ってしまう…。

地球規模で広がるウィルス感染の恐怖は、現実にも、エボラ出血熱やサーズなどがあり、決して絵空事ではない。この映画で描かれるのは、そんなパンデミックが起こったときの、さまざまな立場の人間がみせる非常事態への接し方と、人間の脆さ、そしてわずかに残る誠意だ。マット・デイモンやマリオン・コティヤール、ケイト・ウィンスレットなど、国際的な豪華スターが競演するが、映画は華やかさとは無縁。むしろ、淡々と進む不気味な演出に、スターが出演していることを忘れてしまいそうになる。何しろ、映画冒頭で、オスカー女優のグウィネス・パルトロウがあっさりと死ぬ。しかも原因を探るため、病院で頭部を開いて脳を見せるというショッキングなシーンまであって、これから起こるただ事ではない事態を予感させる。とはいえ、グロテスクな感染の描写は少なく、むしろパンデミックにおびえる人々の心理を描くのに時間を割く。本物のウィルスも恐ろしいが、情報という名の“ウィルス”の感染力の激しさも同じくらい怖いのだ。最後に明かされるウィルス発信源の謎と、映画冒頭のベスのシークエンスがつながる時、冷ややかな戦慄が走る。派手さはないが、ドライな演出にリアリティを込めた、ソダーバーグらしいパニック・スリラーだ。
【60点】
(原題「CONTAGION」)
(アメリカ/スティーヴン・ソダーバーグ監督/マリオン・コティヤール、マット・デイモン、ローレンス・フィッシュバーン、他)
(リアリティ度:★★★★☆)
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Bubble/バブル

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個性派監督ソダーバーグの原点を見るような低予算のインディペンデント映画で、孤独な人間に潜む狂気が冷徹な視点で描かれる。オハイオ州の小さな人形工場に務めるマーサとカイルは何となく友情で結ばれていた。カイルは、工場に新しく入ったシングルマザーのローズと親密になるが、それを知ったマーサは動揺する。ゆるく恒常的だった関係が壊れ始めた中、殺人事件が起こり、彼らの日常は崩壊していくのだが…。

名もない田舎町のシケた風景。単調な仕事と生活。何の取り柄もないような登場人物。そんな匿名性が根底にあるからこそ、終盤に起こる殺人事件と空虚な日常がくっきりと対比する。中年女性のマーサは病気の父の看病と工場の仕事だけが日常。若い青年であるカイルはと言えば、生きる目標もなく母親と同居して暮らしている。この2人の友情が惰性的で危ういものであることは誰の目にも明らかなのだが、マーサがこの偽りの“親友”に依存し執着しているという現実がリアルで怖い。2人の間に割って入る形のローズのキャラも一筋縄ではいかず、盗癖があったり、他人を利用したり、元恋人とモメていたりと、不審なことだらけだ。そんな3人に降りかかる殺人事件は、人間の心の底に巣食う孤独を浮き彫りにする形で解決を見る。一方で、殺人という悲劇をさらりと通過して、またしても淡々とした日常が続く郊外の町独特の起伏のない生活に、冷やりとした空気を感じた。スティーヴン・ソダーバーグが監督、撮影、編集まで担当。プロの俳優を使わず、撮影はキャストの自宅という徹底した実験的手法で作られている。インディーズ精神に貫かれたスタイルが緊張感を生む結果となった。
【60点】
(原題「Bubble」)
(アメリカ/スティーヴン・ソダーバーグ監督/デビー・ドーブライナー、ダスティン・アシュレイ、ミスティ・ウィルキンス、他)
(リアル度:★★★★☆)

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ガールフレンド・エクスペリエンス

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大都会NYで暮らす高級エスコート嬢の日々を、ドキュメンタリータッチで綴る異色作だ。スタイリッシュな映像で、ヒロインの繊細な感情を浮き彫りにしていく。2008年のNY。22歳のチェルシーは、エリートを相手に本物の恋人と過ごすような時間を提供して大金を稼いでいる。常に自分を磨きビジネスもコントロールするチェルシーは、自分の仕事を理解する恋人のクリスとの関係も良好だ。だがある時、心惹かれる男性客が現れて特別な感情を持ってしまう…。

高級エスコート、いわゆるエリート専門のコールガールとは、なるほど大都会でしか成り立たない職業だ。ヒロインは、セックスだけでなく恋人としての役割をもこなしていることから、充実した癒しの時間を売っているとも言える。コールガールという職業は後ろに犯罪組織がいて搾取するイメージだが、彼女はネットを使ってセルフコントロールしている。この世界最古の職業も、時代に即して変化しているということか。ジムやエステで身体を美しく整え、高級な服や下着で身を飾るなど、自分への投資を惜しまないチェルシーは、裕福な暮らしはしているが、仕事に真剣に取り組み、浮ついたところがまったくない。だがこの仕事の一番の特徴は、他人からいかに必要とされるかということ。そのため、チェルシーが頼るのは、占いにも似た人格学という不確実なものというのが面白い。検索エンジンでのヒットや、ネット上での誹謗中傷、リーマンショック後の不景気を愚痴る顧客など、時代の空気を巧みにすくい取っている。すさまじい不況を経験した都会では、コールガールという非合法な職業のヒロインも、プライベート・ジェットに乗るエリートも、等しく確かな未来などなく、目の前の現実を生きるしかないとするスタンスがクールだ。ソダーバーグはエンタテインメントと作家性の間を行き来しているが、本作はいわば「セックスと嘘とビデオテープ」の時代に回帰した作品。実験映画のような作風だが、デジタルのシネマカメラ・RED ONEで撮られた超高解像度の映像と、現役ポルノ女優のサーシャ・グレイを一般映画で起用するという賭けが当たり、アーティスティックな作品になった。
【60点】
(原題「THE GIRLFRIEND EXPERIENCE」)
(アメリカ /スティーヴン・ソダーバーグ監督/サーシャ・グレイ、クリス・サントス、マーク・ジェイコブスン、クリス・サントス、他)
(淡々度:★★★★☆)

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インフォーマント!

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あれ、フィリップ・シーモア・ホフマン?と思ったら、役作りのために10キロ以上増量したマット・デイモンと分かってびっくり。だがデイモンの“オヤジ化”以上に、主人公のハチャメチャ度はショッキングだった。1992年、イリノイ州。マーク・ウィテカーは、33歳にして大手穀物商社で申し分のない年俸で重役をまかされる、将来を嘱望された優秀な社員である。だがそんな彼が、自社を、国際カルテルを結んでいるといきなり内部告発した。それを受けたFBIは捜査を開始するが、ウィテカーの供述は二転三転。彼の舌一枚で、捜査は大混乱に陥っていく。

正義のため内部告発を断行した英雄かと思ったら、一転して自分も不正にかかわる容疑者に。FBIや会社の重役たちを翻弄しながら、当の本人はまったく悪気がない。全編に流れるとぼけたリズムの音楽が雄弁に語るように、この男、タチが悪いのに憎めないキャラなのだ。それは映画の中の作りごとだから…と思いたいところだが、企業内部告発者(インフォーマント)による、奇々怪々の物語は、実話をもとにしているだけに、笑うに笑えない。内部告発をすることで自分を英雄化し、スパイよろしく盗聴器や隠しマイクを付けるかと思えば、その裏側でリベートを受け取る不正行為を繰り返すこの主人公、もしや多重人格者で病気なのかと疑いたくなる。だが、彼自身はケロリとしたもので、虚実が混在した話を次々に供述するうちに、周囲の方がノイローゼ気味になってしまう有様だ。デイモンが本来持つ、世間知らずでおっとり型の秀才というイメージが、この主人公にぴったりフィットして、ナイス・キャスティングである。

企業の不正というシリアスな問題を内包しながら、マンガのようなドタバタ劇が同時進行する不思議。これが大国アメリカの、理解不能なまでにポジティブな底力だろうか。アンチ・ヒーローによって、企業犯罪に関する法律は強化されたというから、とりあえず存在意義はあったわけだ。ブラックな笑いに満ちたトンデモナイこの実話、個人的には、史上稀にみるチクリ屋の人生を、もっとデフォルメして笑い倒してほしかったとの不満はある。だが、社会問題を扱って鋭さを発揮するソダーバーグのダークコメディは、苦笑を誘うくらいがちょうどいいのだ。
【65点】
(原題「THE INFORMANT」)
(アメリカ/スティーヴン・ソダーバーグ監督/マット・デイモン、スコット・バグラ、ジョエル・マクヘイル、他)
(ブラック度:★★★★☆)

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チェ 39歳 別れの手紙

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信念を持って戦うゲバラの姿に胸が熱くなる2部作の後編。困難を乗り越えてキューバ革命を達成する前編が希望に満ちていたのに比べ、死へと向かう本作はあまりに悲痛だ。1965年、ゲバラは変装してボリビアに潜入、独裁政権を倒すべくゲリラ活動を開始するが、彼の理想は厳しい現実に打ち砕かれていく。革命運動に挫折し、処刑されるという史実を知っていても、映画の緊張感はまったく失われていない。前作同様、余計な説明はいっさいないが、農民たちと笑顔で接する彼の姿は、自由と平等の実現を信じたゲバラの思いを写すようだ。既成の映画文法に迎合せず、たとえ難解になろうと自分のスタイルで撮り上げたソダーバーグに拍手を贈りたい。
【75点】
(原題「Guerrilla」)
(スペイン・仏・米/スティーヴン・ソダーバーグ監督/ベニチオ・デル・トロ、ジュリア・オーモンド、ロドリゴ・サントロ、他)
(悲壮感度:★★★★☆)

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チェ 28歳の革命

チェ ダブルパック (「28歳の革命」&「39歳別れの手紙」) [DVD]チェ ダブルパック (「28歳の革命」&「39歳別れの手紙」) [DVD]
連続しない人生の一部分を二部作で構成する個性的な伝記映画だ。カリスマ的な革命家チェ・ゲバラの半生を描くが、今回はカストロと出会いキューバ革命を成功に導く、最も“生きた”瞬間を描く。25kgも減量して熱演するベニチオ・デル・トロが素晴らしく、まるでゲバラに生き写しだ。ただし革命が起こる前の状況説明がほとんどなく、NYの国連での名演説やインタビューの場面を断片的に挿入する演出は、決して分かりやすいとは言えない。この作品を十分に味わうには、50年代の国際情勢など多くの予備知識を必要とする。つまり観客に積極的に参加を促す映画なのだ。ただ、時には犠牲や厳しい粛清も強いるゲリラ戦が奇跡的に成功する実態は、興味深い。世界中で、無条件にカッコいいと思われているゲバラ。叙情的な演出はいっさい省き、行動のみを追うこの映画は、その謎を解き明かす正しい入り口になりそうだ。
【70点】
(原題「THE ARGENTINE」)
(アメリカ/スティーヴン・ソダーバーグ監督/ベニチオ・デル・トロ、カタリーナ・サンディノ・モレノ、ロドリゴ・サントロ、他)
(分かりやすさ度:★★☆☆☆)

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さらば、ベルリン

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「カサブランカ」や「第三の男」を彷彿とさせるミステリーは、見応えはあるが、過去の作品への敬意だけでは才人ソダーバーグの才能が泣く。戦後のベルリンを訪れた主人公はかつての恋人と再会するが彼女には大きな秘密があった。クルーニー、ブランシェットの実力派が中心だが、小悪党を演じるトビー・マグワイアがおもしろい味を出している。40年代のフィルム・ノワールを徹底的に意識したモノクロ映像が美しい。
【65点】
(原題「THE GOOD GERMAN」)
(アメリカ/スティーヴン・ソダーバーグ監督/ジョージ・クルーニー、ケイト・ブランシェット、トビー・マグワイア、他)
(ノスタルジー度:★★★★☆)

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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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