映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる映画 ◎
「アトミック・ブロンド」「バリー・シール」「あゝ、荒野 後篇」「我は神なり」etc.

ダニエル・クレイグ

007 スペクター

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ボンドは、少年時代を過ごしたスカイフォール邸で焼け残った写真を受け取り、写真に隠された謎を解こうと動きだす。メキシコで犯罪者を仕留めた後、上司のMの制止を振り切ってローマへ向かい、美しい未亡人ルチアから世界規模の犯罪組織スペクターの存在を知らされる。一方、ロンドンでは、国家安全保障局の新しいトップのマックスが、MI6の存在意義を問い始めていた。ボンドは、かつての旧敵、Mr.ホワイトの娘マドレーヌを追いながら、敵の核心へと迫っていくが、そこには自分自身との恐るべき関係が隠されていた…。

ダニエル・クレイグが4度目のジェームズ・ボンドを演じる「007 スペクター」は、前作「スカイフォール」の続編のような内容で、完結編という趣だ。いよいよクレイグのボンドも見納めか?という思いがよぎるが、それはさておき。冒頭のメキシコでの祭を背景に繰り広げるド派手なアクションがあまりに素晴らしいので、その後の展開がなんとも地味に見えてしまうのは予想外。そもそも秀作「スカイフォール」からボンドの出自にかかわる内向的なドラマなのだから、シリアスで静かな路線はやむを得ないのかもしれない。後半はほとんどボンドと敵の個人的な話に見えてくる。悪の組織スペクターの存在は、過去に登場したキャラも関係し、どこか総集編のようなイメージだが、スペクターとMI6の存続の危機をリンクさせてつなげるドラマ構成はさすがだ。2人のボンドガールは、ベルッチは出番が短すぎるし、セドゥはちょっと華がない。そこでぐっと存在感を増したのがQ。ボンドとMの2人から「彼は優秀」と明言され、いつもはオフィスに引きこもっているQが今回は外に出て活躍するのだから注目してほしい。ボンドの人間性を描きながら、不死身のアクション、美女、スパイならではのガジェットに拷問にも屈しない精神性と、荒唐無稽路線もしっかりと。伝統と革新を打ち出したところに、イギリス・カラーを見た思いだ。
【70点】
(原題「SPECTRE」)
(米・英/サム・メンデス監督/ダニエル・クレイグ、クリストフ・ヴァルツ、レイフ・ファインズ、他)
(パーソナル度:★★★★☆)
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007 スペクター@ぴあ映画生活

映画レビュー「007 スカイフォール」

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◆プチレビュー◆
007生誕50周年記念の2012年に登場したシリーズ第23作「007 スカイフォール」。悩み多き人間ボンドがここにいる。 【75点】

 ジェームズ・ボンドはイスタンブールで、世界中の諜報員のリストを奪った敵と対峙するが、上司のMの命令を受けた味方の誤射により狙撃されてしまう。死んだと思われた彼は、MI6が爆破されサイバーテロの標的になっていることを知り、現場に復帰。これらのテロ行為は、元エージェントの犯行だった…。

 荒唐無稽な娯楽作だったかつての007は、6代目ボンドのダニエル・クレイグになって以来、ハンサムで女にモテる超人的なスパイという側面以外のシリアスパートが増えている。過去の恋愛の傷は理解したが、今回は、なんとボンドの幼年期が語られる。そこまで出自を遡る理由はなぜか。

 それはボンドにとって絶対的上司であり、母親的存在でもあるMに起因する。公開前には、ボンドガールが3人になるという噂が流れたが、なるほどエキゾチックな美女2人の他に、3人目の女性がいた。その人こそボンド“ガール”ならぬボンド“マザー”のMだ。母の危機を前に、沈黙するわけにはいかない。

 MとMI6を破滅させようと企むのは、かつてのMの部下でボンド以上に優秀なエージェントだったシルヴァだ。国家を守るためなら部下を切り捨てる非情なMに見捨てられたシルヴァがMに復讐を誓うのに対し、同じく一度は切り捨てられたボンドは、憎まれ口をたたきつつも再びMに忠誠を誓う。“2人の息子”は、まるでネガとポジなのだ。イスタンブール、上海、マカオ、ロンドンと、相変わらず世界的スケールで物語は展開するが、本作の犯罪の動機は、まったくの個人的な恨みで、世界観は極めて小さい。擬似親子の愛憎というパーソナルな内面世界がテーマとして浮かび上がっている。

 このような動機の犯罪に決着を付ける場所は、ボンドの出生の地スコットランドしかない。彼が育った屋敷スカイフォールで、Mと一緒に銃を手に戦うボンドは、体内回帰のよう。その果てに待つのは、破滅か、あるいは新しい未来か。ボンド映画の存在意義とも重なる、興味深いクライマックスが待つ。

 スタイリッシュなトム・フォードのスーツに身を包み、アストンマーチンDB5を駆る姿もサマになってきたダニエル・クレイグだが、本作では、IT時代の波や諜報員の存在意義、世代交代など、華麗ならぬ、加齢を感じさせる設定が多く、やるせない一面も。だが、オスカー監督サム・メンデスは、ミドルエイジのボンドを人間としてとらえることで、アクションとドラマを融合させた、大人のスパイ映画の香りを漂わせた。

 スモーキーボイスが魅力的なシンガー、アデルは、“スカイフォール、それは私たちの出発点”と歌う。主演俳優が交代しながら世界中のファンを魅了し続ける007という稀有なシリーズは、どうやら原点回帰を果たしたようだ。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)人間ドラマ度:★★★★☆

□2012年 米・英合作映画 □原題「SKYFALL」
□監督:サム・メンデス
□出演:ダニエル・クレイグ、ハビエル・バルデム、ジュディ・デンチ、他
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007 スカイフォール@ぴあ映画生活

ドリームハウス

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ジム・シェリダン初のサイコ・スリラー「ドリームハウス」はどんでん返しの果てに家族愛の感動が待つ佳作。主人公のヘアスタイルが時々変わることに注目。

敏腕編集者のウィルは、家族との時間を大切にするため、大手出版社を辞め、郊外に、執筆に専念できる、理想的なマイホームを手に入れる。美しい妻リビーと2人の娘たちと共に楽しい暮らしがスタートするが、破格の条件で手に入れたその家は、実は数年前に父親以外の家族が殺害されたいわくつきの物件だった。殺人事件の犯人がまだつかまっていないことを知ったウィルは、事情を知る隣家のアンの協力で独自に調査を始める。だが次々に起こる不可解な出来事と、過去の事件の真相の両方を調べるウィルがたどりついたのは、予想もしない衝撃の事実だった…。

「マイ・レフト・フット」「父の祈りを」など、良質な人間ドラマを得意とするジム・シェリダン監督が好むのは「イン・アメリカ」に登場するような幼い姉妹。本作でも、ダニエル・クレイグ、ナオミ・ワッツ、レイチェル・ワイズと、有名スターが揃っているのに、ポスターに描かれているのはそんなスター俳優ではなく、どこか悲しげな幼い姉妹なのだ。サスペンスとしてどこかチグハグな設定が気になるが、それは実はすべて後半の伏線になっているという、巧妙なこの物語には、2段階の大きな謎が仕掛けられている。詳細は明かせないが、その謎の周囲には、揺るぎない家族愛が横たわっているのだ。幽霊を見る幼い娘たち、父親が家族を惨殺したという凄惨な事件、精神を病んだ犯人、何かを知る隣家の女性に家の様子をうかがう不審な男。それらの謎は主人公ウィルが探り当てる新事実によって少しずつ溶解していく。ウィル自身に関する衝撃の事実とその先のドラマは、サイコ・スリラーというより、むしろヒューマン・ドラマと呼びたくなるものだ。夢のようなマイホームが実は悪夢のような家だったというように、この映画には常に2つの側面がある。自分が望む事実と望まない真実の両方を体験するウィルを演じ分けるダニエル・クレイグが、007のイメージとは真逆の、何の武器も持たなくても懸命に家族を守る父親を熱演。現実と妄想の狭間にありながら貫かれる家族愛が胸を打つ佳作に仕上がっている。
【65点】
(原題「DREAM HOUSE」)
(アメリカ/ジム・シェリダン監督/ダニエル・クレイグ、ナオミ・ワッツ、レイチェル・ワイズ、他)
(どんでん返し度:★★★★★)
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ドリームハウス@ぴあ映画生活

映画レビュー「ドラゴン・タトゥーの女」

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◆プチレビュー◆
スウェーデン発の大ベストセラーをD.フィンチャーが巧みに映画化。ハリウッドらしいスタイリッシュな作品となった。 【75点】

 月刊誌「ミレニアム」で大物実業家の不正を暴きながらも、名誉毀損の裁判で有罪となったジャーナリストのミカエルに、ヴァンゲル財閥の元会長から仕事の依頼が舞い込む。それは40年前に起きた一族の娘ハリエット失踪事件の真相究明。ミカエルは天才ハッカーのリスベットと共に調査に乗り出すが…。

 女体、髑髏(どくろ)、デジタル機器、そこに流れる濃厚な黒い液体。それらが渾然一体となってエロチックにうごめく、オープニング・タイトルのCGアートが、しびれるほど魅力的だ。これから始まる陰鬱で猟奇的なストーリー
へと、観客は一気に引き込まれるだろう。

 スウェーデン映画「ミレニアム」のリメイクだが、物語の大筋を知っていても十分に楽しめる。何しろ、監督が映像派のデヴィッド・フィンチャーなのだ。凡百のリメイクではない。舞台をアメリカではなく、雪に閉ざされた北欧スウェーデンに据え置いた判断が何より正しかった。40年前に起きた謎の失踪事件には、ナチスの残党の影と数十年に及ぶ名門一族の血塗られた嗜好。さらに、リスベットが背負う過去と現在には、痩身なその体にはあまりにも重く暴力的な運命。物語はおぞましい真実を次々に露にする。

 苦虫を噛み潰したような表情のダニエル・クレイグがミカエルを好演するが、何といってもルーニー・マーラのリスベットが素晴らしい。映画には、目を覆いたくなる陵辱シーンや残酷な描写があるが、マーラはそれらに身体をはって答えた。卑劣な身元保証人の男への逆襲などは何とも胸がすく。

 失踪事件の謎は、ハリエットが残した日記から、ロシア付近で起きた未解決連続猟奇殺人事件とからみあいながら、紐解かれていく。このミステリーそのものは、原作とは異なる展開があるとはいえ、それほど目新しさはない。

 だがリスベットというかつてない造形のダーク・ヒロインの痛快な活躍が、映画を忘れられないものにした。タトゥーとピアスで身を覆っていても、中身は脆く傷つきやすい。タフで理知的、愛らしさを兼ね備えたリスベットの魅力が本作を支えているのだ。終盤には、ドラゴンのタトゥーを隠し、見事に変身したリスベットのコスプレというお楽しみも。無論それは、ミカエルの潔白を証明し、正義を敢行するための彼女なりの儀式。ラスト、少しだけ愛を知ったリスベットの、健気でいたいけなシルエットが胸を打つ。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)陰鬱度:★★★★★

□2011年 米・スウェーデン・英・独合作映画 
□原題「THE GIRL WITH THE DRAGON TATTOO」
□監督:デヴィッド・フィンチャー
□出演:ダニエル・クレイグ、ルーニー・マーラ、クリストファー・プラマー、他
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ドラゴン・タトゥーの女@ぴあ映画生活

カウボーイ&エイリアン

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ジェームズ・ボンドとインディ・ジョーンズが共に闘う、荒唐無稽な珍作「カウボーイ&エイリアン」。西部劇とSFをドッキングさせるなど、どうみてもコメディの設定なのに、ひたすらシリアスにキメようとするのが理解できない。

19世紀のアメリカ、アリゾナ州。記憶を失くした男が荒野で目覚める。自分が誰なのかも判らないこの男の手首には見たこともない奇妙な腕輪が。西部の町へたどりついた男は、その町が有力者ダラーハイドの支配下にあり、よそ者を歓迎しないことを知る。そんな時、偶然入ったバーで、出会ったばかりの美女が話しかけてきた。「あなた、何も覚えてないの?」。どうやらお尋ね者らしい彼を連邦保安官が逮捕しようとしたその時、夜空にまばゆい光を放つ未知の飛行物体が現れて、人間を襲い始める…。

原作は、伝説の同名グラフィック・ノベル。記憶喪失の男とダラーハイドには、敵対する理由もさしてないのだが、町の支配者がよそ者を極端に嫌うのは西部劇の御約束である。だが、想像を超える敵が出現した時、彼らはあっという間に味方同士になってしまう。謎の腕輪はトンデモない破壊力で、未知なる強敵に立ち向かえる武器はどうやらこれしかないのだから、手を組むしかないのだが、このあまりのお手軽な展開は、エイリアンもびっくりだろう。終いにはネイティヴアメリカンや強盗団までもが共闘する図は、まさに超党派。これほどワクワクする活劇的内容はめったにないというのに、この映画には笑いがひとかけらもないから残念でならない。「ワイルド・ワイルド・ウエスト」風に笑わせてほしかったのだが、苦虫を噛み潰したようなクレイグと、インディの軽妙さを封印されたフォードではそれも無理だ。しかもフォードは、最初は悪役のように登場するくせに、すぐにバカ息子を溺愛する好々爺のようになるだらしなさで、力が抜ける。いろいろと文句を並べてみたが、それでも19世紀の西部の町にエイリアンが襲撃し、カウボーイたちが空に向かって銃をブッ放すビジュアルは、デタラメな痛快さがある。無駄に豪華な製作陣も何やら愉快だ。謎の美女のオドロキの正体や、エイリアンの思惑など、ツッコミどころは多々あれど、見たことがないはずの開拓時代の西部と、見たことがないはずのエイリアンがドッキングすると、ハリウッドのエンタメ精神という既視感を生むのだから、映画とは本当に不思議なメディアだ。
【55点】
(原題「Cowboys & Aliens」)
(アメリカ/ジョン・ファヴロー監督/ダニエル・クレイグ、ハリソン・フォード、オリヴィア・ワイルド、他)
(荒唐無稽度:★★★★★)



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カウボーイ&エイリアン@ぴあ映画生活

ディファイアンス

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第二次大戦中に多くの同胞を救ったユダヤ人兄弟の感動の実話だ。1941年、ナチスによる虐殺を逃れてベラルーシの森に逃げ込んだビエルスキ兄弟を頼って多くのユダヤ人が集まるが、寒さと飢えで極限状態に陥る。共同体のリーダーは、時に非情さが必要。強さと弱さを併せ持つ主人公トゥヴィアを演じるクレイグが素晴らしい。陰鬱な物語の中、三男の結婚式のシーンは、ひと時の美しい夢のようで心に残る。映画の出来は悪くない。ただ、現在のガザ地区でのイスラエルの暴挙を思うと、この物語の中で虐げられるユダヤ人に単純に感情移入できないのは私だけではないだろう。
【70点】
(原題「DEFIANCE」)
(アメリカ/エドワード・ズウィック監督/ダニエル・クレイグ、リーヴ・シュレイバー、ジェイミー・ベル、他)
(複雑な心境度:★★★★☆)

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映画レビュー「007/慰めの報酬」

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◆プチレビュー◆
シリーズ初の続編はボンドの心の葛藤がテーマ。007に何を求めるかで評価が変わる。 【70点】

 愛した女性ヴェスパーの裏切りと死に傷ついたジェームズ・ボンドは、彼女の死に係わる悪の組織の存在を知ることに。それは南米の某国政府の転覆と天然資源の独占をもくろむ世界支配の陰謀だった…。

 最も愛されているスパイ映画007シリーズの第22弾だが、今回は、大きく3つの面で従来のボンド映画と異なる。まず続編であること。「カジノ・ロワイヤル」終了の1時間後から物語は始まるが、前作の説明はほとんどなく、かなり不親切な作りだ。2本で1本の映画とばかりに、1時間46分を疾走する。

 次に、「チョコレート」のマーク・フォスターを監督に、「クラッシュ」のポール・ハギスを脚本に据え、人間ドラマに磐石の態勢をとりながら、シリーズで最もアクション要素が強い作品になっていること。何しろそのバトルは、ジェイソン・ボーンも真っ青なほど激しい。カーチェイスはもちろん、ビルからビルに飛び移る肉体重視の格闘や、ボートや戦闘機での追跡まで、陸・海・空とバラエティに富んだアクションで、観客のボルテージを上げまくる。愛に傷つき任務に悩むボンドは、自分をいたぶるかのように闘っている。

 3番目はボンド映画お約束の美女とのからみだ。この作品では2人のボンド・ガールが登場するが、メインは、元ボリビアの諜報員で、殺された家族の復讐に燃える美女カミーユ。ボンドと行動を共にするのだが、彼女とは同志のような絆で結ばれている。平たく言えば“寝ない”のだ!劇中の彼女は、従来のセクシーなだけのボンド・ガールとは違って、まるで彼の心を写す鏡のように思える。愛したヴェスパーの復讐と任務の間で葛藤するという物語の性質上、女とイチャつくわけにはいかないが、こんなに硬派なボンドは初めてだ。

 結論を言おう。今回のボンドはひたすらシリアスである。6代目ボンドのダニエル・クレイグは、トム・フォードのスーツのおかげか男っぷりも2割は上がっているし、アクションもキレがある。愛する女性を失って復讐心を抑えることが出来るのか。そして007としての自分を信じ、上司Mの信頼を取り戻して、本物のシークレット・エージェントになることが出来るのか。葛藤を抱える演技も合格だろう。劇中、ほとんど笑顔を見せず、ボンドがボンドになる瞬間“ビギニング”をクールにキメてみせた。

 歴代のボンドで誰が最高かという議論は常にある。元祖のコネリーから、1〜2本のみ登場のレーゼンビーやダルトン、軽さが持ち味のムーアやブロスナンらがジェームズ・ボンドを演じてきたが、このキャスティングは、シリアス系とユーモラス系に大別できよう。ボンドに求めるものがシリアスならば、この「慰めの報酬」は限りなく満足する。遊びや快楽を求めるならこれはもはやボンド映画ではない。だが繰り返す。「カジノ・ロワイヤル」と「慰めの報酬」の2本は、すべての007の前日譚だ。タキシード姿でマティーニを飲み、美女を助けて世界を救う男は、極限の悲しみを乗り越えて、最高にスタイリッシュなスパイになったのだ。荒唐無稽なテイストは、ひとまずお預け。それは本作で自分自身を見出したボンドの今後のためにとっておけばいい。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)アクション度:★★★★★

□2008年 イギリス・アメリカ合作映画 原題「QUANTUM OF SOLACE」
□監督:マーク・フォースター
□出演:ダニエル・クレイグ、オルガ・キュリレンコ、マチュー・アマルリック、他


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007/慰めの報酬@ぴあ映画生活

ライラの冒険 黄金の羅針盤

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このファンタジーの特徴は、主人公が女の子で、しかも生意気で嘘つきということ。パラレルワールドに住む少女ライラが、世界を救うために冒険の旅に出る。視覚効果が素晴らしく、自然と人工物を調和させたセンスがいい。常に寄り添う守護精霊のダイモンも効果的だ。白くまたちの集団はまさに圧巻。物語は3部作になる予定で、今回は少しあわただしいが、次への期待は高まった。それにしてもニコール、美しすぎる!人間離れしてないか?
【70点】
(原題「HIS DARK MATERIALS: THE GOLDEN COMPASS」)
(アメリカ/クリス・ワイツ監督/ダコタ・ブルー・リチャーズ、ニコール・キッドマン、ダニエル・クレイグ、他)
(不敵なヒロイン度:★★★★☆)


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インベージョン

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何度もリメイクされた手垢のついた作品を、なぜ今、作るのか?との疑問がわく凡作SF。ハリウッドのネタ不足はかなり深刻だが、この作品はあまりに創意工夫がない。睡眠中に感染する謎の病原体の恐怖を描くが、21世紀の今、映像化するというのに、ラストのあっけなさは唖然。人格をのっとられた人々は無表情になる設定だが、感染したフリをしたニコールの美しい人形のような顔付きが印象的だ。
【40点】
(原題「THE INVASION」)
(アメリカ/オリバー・ヒルシュビーゲル監督/ニコール・キッドマン、ダニエル・クレイグ、他)
(母は強し度:★★★★☆)

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ルネッサンス

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クールでおしゃれな映像が独創的なSFアニメーション。誘拐事件の裏側の巨大な陰謀を追うサスペンスだ。アヌシー国際映画祭でグランプリも納得のフィルム・ノワールで、近未来のパリの情景が魅力的。声優陣も豪華だ。ただ、バリバリにコントラストが効いた映像が鮮烈すぎて眼が疲れるのが難点。
【70点】
(原題「RENAISSANCE」)
(仏・英・ルクセンブルク/クリスチャン・ヴォルクマン監督/(声)ダニエル・クレイグ、ジョナサン・プライス、イアン・ホルム、他)
(スタイリッシュ度:★★★★☆)

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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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