映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる映画 ◎
「ザ・マミー」「君の膵臓をたべたい」「ファウンダー」etc.

ダニエル・ラドクリフ

グランド・イリュージョン 見破られたトリック

グランド・イリュージョン 見破られたトリック [Blu-ray]
リーダーのアトラスが率いるイリュージョニスト集団、フォー・フォースメンは、華麗なマジック・ショーを使って不正に搾取された金を奪い取り、世間からの喝采を浴びていた。彼らの次なるターゲットは、とあるハイテク企業。だがショーは何者かの策略で大失敗に終わる。その裏には、天才ハイテク・エンジニア、ウォルターの存在があった。巨大な陰謀の中、追い詰められていくフォー・フォースメンだったが…。

イリュージョン(マジック)を使って不正を正す義賊集団の痛快な犯罪劇「グランド・イリュージョン」の続編「グランド・イリュージョン 見破られたトリック」。ジェシー・アイゼンバーグら、主要メンバーが再集結し、新たな敵に挑む。イリュージョンはますます派手になるが、今回もまたサプライズが満載だ。ニューヨークからいきなりマカオへ移動したり、死んだはずの天才エンジニア・ウォルターが生きていたり。しかもウォルターは過去にフォー・フォースメンと因縁がある、大物と関わりがあり、トンデモないことを企んでいる様子。ミステリー仕立てなので、ストーリーの詳細は明かせないが、今回は、ド派手なマジックが行われた後に、その種明かし(計略の意図)をしっかり見せてくれるのが楽しい。イリュージョンそのものの驚きに加えて、今回は、ある人物の過去が明かされ、それにも驚愕のサプライズが用意されていて、ストーリーとしての驚きも抜かりがない。フォー・フォースメンのメンバーは、ショッキングなマジックを得意とする女性マジシャンのルーラが新メンバーに加わっている。この女性キャラがいまひとつ魅力が薄いのがちょっと残念。だがイリュージョンの仕掛けは、前作より洗練されていて、特に屋外で行う“逆さに降る雨”の映像は美麗だ。最後の最後には、心温まるドンデン返しも。チームの関係性を把握するためにも、前作を見てからの鑑賞をおすすめしたい。
【70点】
(原題「NOW YOU SEE ME 2」)
(アメリカ/ジョン・M・チュウ監督/ジェシー・アイゼンバーグ、マーク・ラファロ、ダニエル・ラドクリフ、他)
(どんでん返し度:★★★★★)
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ホーンズ 容疑者と告白の角

ホーンズ 容疑者と告白の角 ダブルホーンズ・エディション (2枚組) [Blu-ray]
恋人殺しの容疑者にされた男に不思議な角が生えるファンタジー・サスペンス「ホーンズ 容疑者と告白の角」。裏ハリポタのようで意外にも楽しめる。

愛する恋人メリンを何者かに殺害された上に、容疑者にされてしまった青年イグは、怒りと絶望の日々を送っていた。そんなある日、突如イグの頭に角が生えてくる。しかもその角は相手に本音や秘密を語らせてしまう不思議な力を秘めていた。イグはその角の力を使って、メリン殺しの真相を探ろうとするが、やがて、残酷な真実とメリンが隠していたあまりにも悲しい秘密を知ることになる…。

いきなり角が生えた!と言われても困るのだが、主演はハリー・ポッターのダニエル・ラドクリフ。ファンタジーの世界から来た彼だからと、何となく納得してしまう自分がこわい。さらによくよく見ると、本作の原作「ホーンズ 角」の作者ジョー・ヒルは、あのスティーヴン・キングの息子。なるほど、摩訶不思議な設定にも合点がいく布陣なのだ。本作の前半はとにかくシュールで笑える。人々が、頭に角が生えたイグの姿にさしたる疑問も抱かず、頼みもしないのに次々に自分の秘めた欲望を語りだす様は、ダーク・コメディーそのものだ。中盤は、少年時代のイグと仲間たちとの友情やメリンとの初々しい恋を回想し、センチメンタルな味わいも加味する。終盤の驚きの展開は、映画を見て確かめてもらうとして、そこでは流血や死、異形への変身など、ホラー・ファンタジーのテイストが満載だ。角が生えた容姿はキリスト教圏では悪魔を連想させるが、監督のアレクサンドル・アジャはギリシャ神話に登場する半人半獣のサテュロスをイメージしたそう。告白の角という突飛なアイデアを受け入れられれば、元ハリポタのラドクリフのやさぐれ感や、狭いコミュニティに巣食う悪意、さらには思いがけない純愛まで、多彩な見どころを楽しめる作品だ。ま、珍作には違いないが。
【60点】
(原題「HORNS」)
(米・カナダ/アレクサンドル・アジャ監督/ダニエル・ラドクリフ、ジュノー・テンプル、ヘザー・グラハム、他)
(ファンタジー度:★★★★☆)
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ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館

ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館 [Blu-ray]ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館 [Blu-ray] [Blu-ray]
英国らしい格調高さが持ち味のゴシック・ホラー「ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館」。ダニエル・ラドクリフが男やもめの父親役を熱演。

19世紀のロンドン。妻を亡くした悲しみから立ち直れないでいる弁護士のアーサーは、上司の命令で田舎町クライシン・ギフォードに出張する。到着するなり、町の住民のよそ者に対する冷たい視線にさらされるが、同地に建つイールマーシュの館に向い、他界した館主の遺言書を探す仕事に取り掛かる。不気味な雰囲気が漂うその館で仕事をしていると、近くの森でこちらをみつめている黒衣の女性を目撃する。同じ頃、町の子供たちが次々に死に至るという怪事件が発生していた。やがてアーサーは館で起こったいまわしい事件を知り、自らも呪いの連鎖に巻き込まれていく…。

原作はスーザン・ヒルのベストセラー小説。ゴシック・ホラーの本家イギリス発で、製作が英国怪奇映画の老舗ハマーフィルムと聞けば、その格調高いムードは想像できよう。昨今流行の、大音響でビックリさせたり、血しぶきが舞う流血描写はほとんどなく、怪しげな気配や、過去の陰惨な事件、それ自体が主人公のような古めかしい館が、独特の“亡霊譚”の不気味な雰囲気を醸し出している。アーサーは妻の死の喪失感をぬぐえず、仕事にも身が入らないが、この冷ややかな町の死の気配に魅せられたかのように、事件の調査にのめり込んでいく。そこには、息子を奪われ自殺した母親ジェネットと、沼で溺死した幼い息子ナサニエルの悲劇があった。

妻を亡くした悲しみに耐えながら、恐ろしい呪いから懸命に息子を守ろうとするアーサーを演じるのは、ハリー・ポッターのダニエル・ラドクリフ。魔法使いの少年がいきなり疲れ切った父親役というギャップに驚くが、本作では真実を追い求めながらも、自らの意思のように死ににじり寄っていく暗いキャラクターを演じて新境地を開いている。冒頭、黒衣の女に出会って一瞬で死に魅入られる子供たちが自ら命を絶つ時の、恍惚とした表情が印象的だ。そのある種の幸福感は、ラストの意外な結末の伏線だったのだろう。この映画の結末は、悲しみを受け入れた果てのハッピーエンドかもしれない。
【65点】
(原題「THE WOMAN IN BLACK」)
(英・カナダ・スウェーデン/ジェームズ・ワトキンス監督/ダニエル・ラドクリフ、キアラン・ハインズ、ジャネット・マクティア、他)
(格調高さ度:★★★★☆)
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ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館@ぴあ映画生活

映画レビュー「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2」

ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2 ブルーレイ & DVDセット スペシャル・エディション(4枚組)[初回限定生産] [Blu-ray]ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2 ブルーレイ & DVDセット スペシャル・エディション(4枚組)[初回限定生産] [Blu-ray]
◆プチレビュー◆
いよいよ迎えたフィナーレは激しいアクションと深い人間ドラマがドッキング。スネイプの秘密は涙なくしては語れない。 【80点】

 宿敵ヴォルデモートを倒す手掛かり“分霊箱”を探すために、ホグワーツ魔法学校に戻ったハリー、ロン、ハーマイオニー。闇の勢力との最終決戦が目前に迫る中、ハリーは愛するものを守るため悲壮な決意を固めるが…。

 選ばれし魔法使いハリー・ポッターの物語の映画化が始まったのは、2001年。10年目を迎えて、世界中を席巻した人気ファンタジーがついに最終章を迎える。主人公ハリーの背負う宿命の重さから、シリーズ後半はマイナス・オーラ全開の展開で、大いにストレスがたまったものだ。だがそれもこれも、最終章の大爆発に向けてのV字曲線だったのだ。すべての謎に答えが用意された壮大なフィナーレは、ファンを感嘆させるだろう。

 浅からぬ因縁を感じるハリーとヴォルデモート。なぜハリーにはヴォルデモートの心の声が聞こえるのか。理由は、分霊箱を破壊していくプロセスの中で明かされる。それはハリー自身、予想もしないおぞましいものだが、運命に対峙する準備を整えたハリーは逃げたりはしない。シリーズは登場人物たちの実年齢と寄り添い進んできたため、ハリーの心の成長に胸が熱くなる。

 同時に、ハリーの宿命を悲哀と共に見守っていた人物の願いも知ることに。その人こそ、謎めいた存在スネイプだ。ダンブルドア校長の命を奪い、ヴォルデモートにひれ伏す彼の真意とは? 最終章でハリーは“憂いの篩”によってスネイプの記憶を見る。ここで観客は、この長い長いファンタジーが、崇高な愛の物語だったことを知るのである。これには思わず涙した。

 ワクワクするような学園生活の場だったホグワーツ魔法学校は、命懸けの戦いの場へと変貌。迫力のアクションシーンは、シリーズ初の3Dで描かれる。最終決戦の果てに目にするのは、本物の勇気と真摯な愛。10年間続いたシリーズを支えてきた、スタッフ・キャストの努力と作品への愛情に、惜しみない拍手を送りたい。もちろん映画の“魔法”がもたらしてくれた興奮に対しても。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)壮絶度:★★★★★

□2011年 英・米合作映画
 原題「HARRY POTTER AND THE DEATHLY HALLOWS: PART II」
□監督:デイビッド・イェーツ
□出演:ダニエル・ラドクリフ、ルパート・グリント、エマ・ワトソン、他
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ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2@ぴあ映画生活

ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2 【DVD】

ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2 【DVD】
価格:2,235円(税込、送料別)

映画レビュー「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1」

ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1 (1枚組) [DVD]ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1 (1枚組) [DVD]
◆プチレビュー◆
物語も画面もひたすら暗く、まるでホラー映画。ハリーら3人の真の友情が試される。 【60点】

 17歳になり、魔法学校の最終学年7年生になったハリー。親友のロンとハーマイオニーと共に、宿敵ヴォルデモート卿の不死と抹殺の鍵である“分霊箱”を探す旅に出る。助けや導きは何一つない彼らに、次々と襲いかかる過酷な試練。ついに3人を引き裂く闇の力に屈してロンが離れていくが…。

 長い長いシリーズも第7作で遂に完結!…と言いたいところだが、クライマックスの「死の秘宝」は前・後編2部作で描かれ、本作はまずはPART1。もともとは3D映画になる予定が「完璧な状態でないなら3Dにしたくない!」との理由で2Dとして公開の運びとなった。物語には、魔法や学校生活でのワクワク感はなく、代わりにあるのは流血や拷問なのだから、ほとんどホラー映画だ。

 ダーク・ホラーであると同時に、本作はロード・ムービーでもある。ヴォルデモート卿の策略により、逃亡生活を余儀なくされたハリーたちは、寒々とした荒野や暗い森をさまよう。光など届かない世界に見えるが、そこにポツンと灯がともるテントの存在は、ハリーたちが残された唯一の希望である証だ。そんな彼らが知るのは、今は亡きダンブルドア校長の秘められた過去と、校長が3人に託した遺品が導く古い物語だ。ほとんど忘れられていた伝説「死の秘宝」のストーリーが、アジアンテイストの影絵のような映像で語られ、とても美しい。語られる3つの宝は、すべてが死にまつわるアイテムである。

 だが、もはや子供ではないハリーには、死は必ずや対峙しなくてはならない運命と同じ意味を持っている。強大な闇の力に立ち向かう責任も覚悟もあるハリーだが、それでも大切な仲間の絆が揺らぐのは何よりつらい。分霊箱のロケットが持つ邪悪な力がもたらす亀裂は、思春期特有の嫉妬心や劣等感を突く巧妙なもので、3人それぞれの心のわだかまりにもリアリティがある。余談だが、今回はハリーとハーマイオニーのセクシーなキスシーンがあるのが“事件”だ。ちょっとドキドキするが、同時にこんなに大人になって…と、しみじみとしてしまうのは、この物語をずっと大切に見守ってきたせいだろう。

 第4作「炎のゴブレット」で初めての犠牲者が出て以来、物語は命懸けの戦いの様相を呈している。今回もまたしかり。もの言わぬ心の友で、いつもハリーを見守ってくれた白フクロウのヘドウィグが懸命にハリーを守る場面は胸が張り裂けそうだし、屋敷しもべ妖精ドビーの運命も涙なくしては語れない。

 そんな本作の中にも、ほんの少しだがコミカルな要素がある。ヴォルデモートの追っ手からハリーを安全に逃がすため、不死鳥の騎士団の面々が魔法でハリーに変身し、なんと7人のハリーが登場する。主演のダニエル・ラドクリフ自身が一人7役で演じるこのシークエンスには、思わず吹き出してしまうセリフも。何しろ見た目はハリーだが中身は別人というそのギャップが可笑しい。

 夜明け前は最も暗い。何だかシリーズの5作目以降ずっと、暗い、暗いと言い続けているような気がするが、ハリーの過酷な運命は言うまでもなく、友情も愛情も不確かな本作の暗さはシリーズ屈指だ。シリアスというより悲壮、悲壮というより残酷。そんな殺伐とした空気が全体を覆っている。しかし、より激しい展開とカタルシスが待つであろうPART2への前奏曲が本作。目をそらすわけにはいかないのだ。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)ダーク度:★★★★★

□2010年 米・英合作映画 原題「HARRY POTTER AND THE DEATHLY HALLOWS:PART1」
□監督:デイビッド・イェーツ
□出演:ダニエル・ラドクリフ、ルパート・グリント、エマ・ワトソン、他


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ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1@ぴあ映画生活

映画レビュー「ハリー・ポッターと謎のプリンス」

ハリー・ポッターと謎のプリンス (1枚組) [DVD]ハリー・ポッターと謎のプリンス (1枚組) [DVD]
◆プチレビュー◆
シリーズ第6作は、想像を絶する悲劇とユルい青春恋愛模様が錯綜。マニアックな1本になった。 【65点】

 闇の帝王ヴォルデモート卿が復活し、その力が強まる中、ハリーとダンブルドア校長は、敵の過去の秘密を探り、それを手がかりに魔法界と人間界を守ろうとする。校長の旧友のスラグホーンをホグワーツの教授として迎えるが…。

 公開が延びてヤキモキしたファンが多かったことだろう。やっとお目見えした大人気ファンタジー第6作だが、本作は、過去のハリ・ポタシリーズとは決定的に異なる点がある。それは、小説が完結し、多くのファンが物語の結末を知った上で映画を楽しむであろうということだ。長尺の原作の映画化は、省略部分をどうさばくかが腕の見せ所なのだが、全体像を把握したデヴィッド・イェーツ監督は、少なくとも迷いなく演出できたことだろう。

 本作はクライマックスの序章と位置付けられるが、フィナーレのカタルシスを意識してか、とにかくダークで悲劇的だ。ポイントは2つ。まず、ヴォルデモート卿の過去が明らかになること。トム・リドルという名で登場する、並外れた魔力を持った宿敵の、孤独で不幸な少年時代が明かされる。彼が邪悪な力を身に付けた秘密を知るのが、新キャラのスラグホーン教授だ。名優ジム・ブロードベント演じるこの教師は、魔法薬学が専門。虚栄心が強く、魔法界一の有名人ハリーを教え子とすることに執着する。ということは、飛び抜けて優秀な生徒だったトムとも深い関係があるということだ。それを察するダンブルドア校長は、ハリーを教授に近付けると同時に、決戦に備え徹底的に個人授業を施す。以前のハリーなら、悩んだりイジケたりしていただろうが、もう彼に迷いはない。ハリーの覚悟が、作品全体の悲壮感を際立せる要因でもある。

 そして終盤に待ち受ける、ハリーとホグワーツにとって、まさかの悲劇的な出来事が本作の山場。ハリー・ポッターはこれまでも大切な人を次々に失ってきたが、ヴォルデモートと闘うためとはいえ、あまりに大きなこの犠牲は、ホグワーツを打ちのめす。さらに今回はハリーの周辺に不穏な“謎のプリンス”の存在が。もはやホグワーツは安全な場所ではない。猜疑心、陰謀、死。ホラー映画かと見紛う暗い映像と展開に、気持ちが萎えてしまいそうだ。

 だが、決して陰鬱なムードばかりではない。青春真っ只中のティーンエイジャーの周囲には、どんな非常事態でも、恋の嵐は吹き荒れる。ユルい恋愛バトルが繰り広げられるが、コトをややこしくするのが、魔法学校ならではのアイテム“惚れ薬”だ。ハリーはロンの妹ジニーに惹かれ、ロンは節操のない恋愛モードに突入。そんなロンを見つめるハーマイオニーの恋心は報われるのか。ロマンスの花が咲き乱れる“ホグワーツ青春白書”で気分転換しつつ、打倒ヴォルデモートの作戦を練る。緩急という意味ではシリーズ屈指だろう。

 さて、いよいよ次回は最終章。決戦は目前だ。といっても「死の秘宝」は2部構成で公開予定なので、私たちはあと2回ハリーに会える。この物語の主人公は、いつまでも子供ではいられない。だが、自分が“選ばれし者”である自覚と決意は十分にある。クライマックスへのカウントダウンは始まった。悲劇を決して無駄にしないと誓って見守りたい。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)シリアス度:★★★★☆

□2009年 アメリカ映画 原題「HARRY POTTER AND THE HALF BLOOD PRINCE」
□監督:デヴィッド・イェーツ
□出演:ダニエル・ラドクリフ、ルパート・グリント、エマ・ワトソン、他

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ディセンバー・ボーイズ

ディセンバー・ボーイズ [DVD]ディセンバー・ボーイズ [DVD]
ハリポタ以外の役を演じるダニエル・ラドクリフが新鮮な小品。オーストラリアの孤児院の少年4人の心の成長を描く映画は、ちょっとほろ苦くノスタルジックだ。ラドクリフの役は幸せをあきらめかけた年長の少年という難役。女の子との初体験場面はあくまであっさりしているものの、随所で繊細な表情を見せる彼の演技は見所だ。ただ孤児という設定にハリーがダブり、イメージチェンジするには作品の印象が薄い。
【55点】
(原題「DECEMBER BOYS」)
(アメリカ/ロッド・ハーディー監督/ダニエル・ラドクリフ、クリスチャン・バイアーズ、リー・コーミー、他)
(恋愛度:★★★☆☆)

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映画レビュー「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」

ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団(1枚組)ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団(1枚組)
◆プチレビュー◆
シリーズ第5弾のハリーは仲間との絆は強めるが、終止イジイジと葛藤していて活躍は少なめ。イメルダ・スタウントンが上手すぎて怖い。 【65点】

ホグワーツ魔法学校の5年生になったハリー。闇の帝王ヴォルデモートの復活を信じない魔法省との対立により学校全体に危機が迫る。ヴォルデモートに対抗すべく集まった“不死鳥の騎士団”と、ハリーの指導の元に結成された“ダンブルドア軍団”は、壮絶な戦いを迎えようとしていた…。

シリーズ第5作は、随分と大人びて暗くなった。前作でついに仲間が死に、悲劇へと加速したが、今回のハリー・ポッターは完全に“悩みモード”である。悪夢にうなされ、仲間のことも信じられず一人イジイジするハリー君。おまけに今回は、ハリーのあまりに過酷な運命が明らかになる。闇の帝王とハリーには恐ろしい絆があったのだ。そういう展開なので、必然的に内面の葛藤の比率が高く、爽快感は非常に低い。

映画が大人びた理由は他にもある。今までの悪役は見るからに“悪いヤツ”。見た目はワルでも実は善人というパターンはあったが、新キャラである、魔法省からのお目付け役アンブリッジ先生はちょっと違う。全身ピンクの服に身を包み、終始ニコやかで人当たりはいいが、中身はどっこい腹黒い。現実にもよくいるこのタイプ、世の中で最もつきあうのがやっかいな輩だ。さらに、かけがえのない愛するものを失う悲しみも。ハリーは重荷を背負いながら、大人として乗り越えていかねばならない。彼はもう子供ではいられないのだ。

戦いの興奮や魔法のワクワク度は低めだが、その代わりドキドキ感はハリーのキス・シーンで味わってもらいたい。これが一番の見所というのも寂しい気がするが、ただいま思春期まっさかりの主人公と、この物語そのものが、ターニングポイントにさしかかっているのだ。そんな中、老体に鞭打って目をみはる頑張りを見せるのがダンブルドア校長先生。訳あってハリーにつれない態度を取ったりするが、本当はちゃんと彼のことを見守っている。ヴォルデモートに勝つために、友情や愛の力をハリーに示唆するのも校長先生だ。内面重視の本作はややパンチ不足だが、物語的には“ため”の時期。ひと呼吸おいて次のステージでの爆発を期待したい。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)中だるみ度:★★★★☆

□2006年 アメリカ映画
□原題「HARRY POTTER AND THE ORDER OF PHOENIX」
□監督:デイビッド・イェーツ
□出演:ダニエル・ラドクリフ、ルパート・グリント、エマ・ワトソン

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ハリー・ポッターと炎のゴブレット

ハリー・ポッターと炎のゴブレット [DVD]ハリー・ポッターと炎のゴブレット [DVD]
◆プチレビュー◆
おしゃれなフランスチーム、マッチョなブルガリアチームなど、キャラの設定もメリハリがあって楽しい。今回の目玉はもしやハリーの入浴シーン?!マートルに迫られアセる姿はファンには必見だ。

ハリー・ポッターは魔法学校の4年生に。今年は100年ぶりに三大魔法学校対抗試合が行われる。それに伴い、学校の代表選手を選ぶが、立候補した覚えのないハリーの名前がそこにあった。親友ロンとも気まずくなったハリーだったが…。

このシリーズは回を重ねるごとに暗くなる。本作は初めて英国人監督を起用し、全編にイギリスらしさを漂わせ、まるでゴシック・ホラーのようだ。冒頭から大迫力のクィディッチW杯の華麗な映像で魅了し、舞踏会では正装姿を見せるハリー達。そして邪悪な“闇の帝王”が遂に登場する。見せ場の連続で2時間37分はあっという間だ。

第4作は魔法版の青春映画といっていい趣。ハリー、ハーマイオニー、ロンは皆、お年頃で、それぞれの淡い恋が微笑ましい。しかも、恋の行方は結構ややこしいのだ。その分、対抗試合に出場する新キャラの描き方はあっさりとしたものになっていて、もっと活躍してほしいところだが、長尺のシリーズではそうもいかない。

炎のゴブレットに導かれたハリーの運命は、遂に邪悪なヴォルデモート卿の復活へとたどり着く。終盤の展開は極めて悲劇的だ。素晴らしい映像も手伝って映画はいよいよ子供より大人のものへとダークに変貌していく。ハリー・ポッターは、もはや子供ではいられないのだ。

□2005年 アメリカ映画 原題「Harry Potter and the Goblet of Fire」
□監督:マイク・ニューウェル
□出演:ダニエル・ラドクリフ、エマ・ワトソン、レイフ・ファインズ、他

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ハリー・ポッターとアズカバンの囚人

ハリー・ポッターとアズカバンの囚人 [DVD]ハリー・ポッターとアズカバンの囚人 [DVD]
◆プチレビュー◆
原作が大ベストセラーであるため、主役3人以外の描写はほんの挨拶程度という不親切さ。ポッタリアン(ハリ・ポタの大ファン)の感想は、はたして?!ますます長くなる原作に忠実な映画化が、今後とても心配。

ホグワーツ魔法学校の3年生に進級し、13歳になったハリー・ポッターは、アズカバン刑務所から脱獄したシリウス・ブラックから命を狙われる。物語の鍵を握る新しいキャラクターとともに、いよいよ両親の死の謎と向き合うことになるのだが…。

世界的な大人気シリーズの第3弾だが、今回は2つの大きな変化がある。まず故リチャード・ハリスに変わってマイケル・ガンボンがダンブルドア校長役に。もう一つは監督がアルフォンソ・キュアロンに交代したこと。前2作のクリス・コロンバスはプロデューサーとして参加し、ファンが目を光らせる本作の製作をサポートしている。

ハリー、ハーマイオニー、ロンの3人は心身ともに成長していた。冒頭からハリーは叔父夫婦に敵意をむき出しにし、優等生のハーマイオニーは、授業中に席を無断で立ったり、宿敵ドラコにパンチをくらわせたりとキレまくりだ。明らかに彼らは反抗期なのである。一方でハーマイオニーとロンの間にチラリと恋愛感情が芽生えたりする可愛いひとこまも。見た目も随分大人っぽくなった子役たちはティーンエイジャーの入り口に立っているのだ。

本作が前2作と最も異なるのは、全体を覆うダークな雰囲気。夜の場面の多さと荒れる気象状況だけではない。物語自体が暗いのは最初から主人公の命が狙われているせいだ。嵐や雪の中で戦うハリー。死神犬グリムや半鳥半馬ヒッポグリフなどの、ファンタジーに不可欠なクリーチャーたちも、不気味で奇怪だ。特に印象的だったのは、魂を吸い取る吸魂鬼ディメンターの描写。黒い煙のような浮遊物で、不気味に空を舞う姿は恐ろしくも美しい。魔法の村ホグスミートといい、ビジュアル・センスの素晴らしさは今回も注目だ。

物語のキーとなるのはタイム・スリップ。囚人シリウスと向き合うためにハリーは時間を操作するが、ユニークなのは過去の自分の行動に現在の自分が立ち会うということ。その場には二人のハリーが存在することになる。普通子供は前だけを見て生きているもの。過去に立ち戻り、自分の行いを検証して人生を反省とは。こんなマネをするのは、年月を踏み越えて生きている人間だけ。第3章は大人への入り口なのだ。

数多くの恐怖と対峙することを強いる本作。ディメンターが、相手の辛い記憶を探り出しそれを糧にするという発想が秀逸だ。非常にメンタルな部分に作用するところが深い。ファンタジーにありがちな見た目のおもしろさに加えて精神面での新しさを醸しだしている。劇中でダンブルドア校長が言う「暗闇のなかでも幸せを見つけることができる。灯りをともすことさえ忘れなければ」というセリフが、今回の冒険物語を象徴しているようだ。

□2004年 アメリカ映画  原題「Harry Potter and the Prisoner of Azkaban」
□監督:アルフォンソ・キュアロン
□出演:ダニエル・ラドクリフ、エマ・ワトソン、ルパート・グリント、他

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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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