映画通信シネマッシモ


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

チェン・カイコー

空海 KU-KAI 美しき王妃の謎

沙門空海唐の国にて鬼と宴す 巻ノ一 (角川文庫)
7世紀、唐の時代の中国。若き日の空海は、密教のすべてを会得しようと日本から中国に遣唐使として渡ってきた。ひょんなことから詩人の白楽天と知り合った空海は、彼と交流を深めていく。その頃、権力者が連続して命を落とす不可解な事件が唐の都で起きていた。怪事件の真相に迫ろうとする空海と白楽天は、やがて50年前に同じく唐に渡った日本人、阿倍仲麻呂の存在を知る。仲麻呂が使えた玄宗皇帝の時代、そこには国中を狂わせた絶世の美女・楊貴妃の存在があった。やがて空海と白楽天は、歴史の闇の葬られた哀しい真実へとたどり着く…。

若き日の空海が唐の都で起こった怪事件の謎を追う歴史スペクタクル「空海 KU-KAI 美しき王妃の謎」。原作は夢枕獏の小説「沙門空海唐の国にて鬼と宴す」だ。日中合作のこの超大作でメガホンを取るのは中国の巨匠チェン・カイコ―。遣唐船を原寸大で再現し、6年の歳月をかけて唐の長安をまるごと作り上げるなど、こだわりの映像が満載である。総製作費150億円というからトンデモないスケールの“アジア映画”作品で、シルクド・ソレイユにも似た極楽の宴の絢爛豪華なビジュアルは、思わず息をのむ美しさだ。

物語は史実とフィクションを巧みに組み合わせた内容でワクワクする。妖猫の呪いには、絶世の美女・楊貴妃の闇に埋もれた悲劇があるというのも、悲しいロマンがある。もっともスペクタクルで壮麗な映像に凝りすぎて、映画そのものは大味で中途半端になってしまった。中国版「陰陽師」と呼ぶには妖(あやかし)が足りず。中国版「シャーロック」と言うにはアクションが足りない。ただ空海を演じる染谷将太が意外なほど好演で、天才肌の僧侶であると同時に、ちょっとお茶目な若者でもある空海を演じて存在感を示していた。大詩人・李白を超えようとする白楽天もまた夢を追う青年。このファンタジー大作は、若者の成長物語でもあるのだ。
【65点】
(原題「空海 KU-KAI 美しき王妃の謎」)
(日本・中国/チェン・カイコー監督/染谷将太、ホアン・シュアン、阿部寛、他)
(スケール度:★★★★★)


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運命の子

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「史記」に記された有名な物語を映画化した歴史絵巻「運命の子」。愛、復讐、犠牲、葛藤が入り乱れる愛憎劇だ。

中国・春秋時代、晋の国。武官・屠岸賈(とがんこ)の策略により、趙氏は一族を皆殺しにされる。生まれたばかりの赤ん坊だけが、医師である程嬰(ていえい)に預けられ難を逃れるが、趙氏一族の根絶やしを図る屠岸賈は、赤子の命までも奪う。だがその子は、赤子を守るため差し出した、程嬰の実子だったことを屠岸賈は知らなかった。我が子と妻までも殺された程嬰は、趙氏の生き残りの子を育てることで屠岸賈への復讐を誓う…。

司馬遷の「史記」に記され、2,600年もの間、語り継がれてきた物語「趙氏孤児」は、中国では誰もが知る有名な復讐譚。雑劇、新劇、京劇など、さまざまな形式で繰り返し演じられている、今なお人気の作品だ。我が子のため命を犠牲にする母、母子の命を見逃す家臣、子と妻を殺されて復讐を誓う医師の苦悩と葛藤など、複雑な人間の心理が描かれる。程嬰は、武官・屠岸賈への復讐のために、あえて彼の門客となるが、屠岸賈は、程嬰の子・程勃(ていぼつ)が趙氏最後の生き残りだとも知らず、溺愛する。同じく、何も知らない程勃は、程嬰を父さん、屠岸賈を父上と呼んで、両方を慕う。なぜこんなややこしい復讐の手順を踏むのか。程嬰の狙いは、程勃がすべてを知り復讐を決行するとき、程勃を溺愛する屠岸賈へのダメージを大きくすることにある。そのために息子が成長するまで15年という長い時間をかけるのだから、やっぱり中国という国は何をするにしても考え方のスパンが長い。実の親、育ての親、父とも慕う身近な人物と、まさに“運命”の子といえる宿命を背負わされる遺児こそ、気の毒なのだが、この遺児の心の内をほとんど描かないのが物足りない点だ。ただ、この作品では、映画では珍しく“父性本能”に重点を置いて描いているのが面白い。悪人の屠岸賈の中にも父性愛があるとするのが、チェン・カイコー監督の新解釈だ。この映画のメッセージは、古い世代が滅び、新しい世代へと代わるとき、引き継ぐのは悪意であってはならないということなのだろう。
【65点】
(原題「趙氏孤児/SACRIFICE」)
(中国/チェン・カイコー監督/グォ・ヨウ、ワン・シュエチー、ファン・ビンビン、他)
(宿命度:★★★★★)
チケットぴあ


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運命の子@ぴあ映画生活

花の生涯〜梅蘭芳(メイランファン)〜

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伝説の女形で、京劇一筋に生きた梅蘭芳(メイランファン)の半生を描く伝記映画だ。天才的な京劇役者・梅蘭芳は伝統を重んじる京劇の世界に新しい作風と思想を取り入れるが、やがて時代の波に飲み込まれていく。華麗な映像は堪能できるが、登場人物の描き方が表層的で感情移入できない。だが、芸風を変えていく部分は、師匠を葬った先で大成する芸術の宿命が描かれていて興味深いものだ。同じチェン・カイコー監督の傑作「さらば、わが愛/覇王別姫(はおうべっき)」の濃密な完成度には遠く及ばないが、芸の改革や海外公演など、実在のスターの功績は改めて確認できる。
【55点】
(原題「MEI LANFANG」)
(中国/チェン・カイコー監督/レオン・ライ、チャン・ツィイー、スン・ホンレイ、他)
(華麗度:★★★★☆)

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北京ヴァイオリン

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◆プチレビュー◆
演奏は、劇中にも登場する、気鋭の中国人ヴァイオリニストのリー・チュアンユンが担当している。演奏はどれも素晴らしく思わず涙ぐんだ。

一組の父子が田舎から北京に出てくる。母親の形見のヴァイオリンを弾く少年チュンに天賦の才能があると知った父リウは、なんとか彼を世に出そうと、コンクール出場のために北京に移り住むことにしたのだ。しかし、大都会の音楽界では金がモノをいい、その上、少年は今まで経験したことのない競争社会にさらされて、とまどってしまう…。

ハリウッドに進出した「キリング・ミー・ソフトリー」で思いっきり官能映画を撮ってみたら、ズッコケてしまったカイコー監督。中国では禁じられている激しい性描写も、いざやってみたら案外つまらなかったのか、はたまた、やっぱり故郷はいいと思ったのか、久しぶりに中国で作った映画は、大作の印象が強いカイコー監督にしては可愛らしい小品の感動作だ。やっぱり故国が舞台の映画には“らしさ”がある。

田舎の人は純朴で都会人の心は汚れている。基本的にこの構図の上に成り立つ物語だが、大都会で金がモノを言うのは本当のようだ。劇中にも金銭のやりとりの描写が多い。息子の才能を信じて、著名な教授の個人指導を仰ぐため、身を粉にして働く父親と、少年らしく時々女性への関心も見せながら、ヴァイオリンに精進する息子。実はこの親子には出生の秘密が隠されている。お人よしの父親役のリウ・ペイチーは「秋菊の物語」等の名優で、繊細な演技を見せるが、息子チュン役の少年は音楽学校の生徒で演技経験は無いため、心理描写に物足りなさを感じるのが気になるところだ。

全編を豪華絢爛なクラシックの名曲で飾り、ときにはポップスやジャズも使う。それぞれにキャラクターや場面に合わせた効果的な用い方で感心するが、印象的なのは、監督自身が演じているユイ教授に合わせて流れる曲だ。富も名声も得てクラシック界に君臨する彼のバックには、プッチーニのオペラ「トゥーランドット」で華やかさを演出。一方、その彼自身が音楽を志した最初のきっかけとなる思い出を語る時には、ヴィヴァルディの「四季」が流れ、自分も昔は音楽そのものに憧れていたという遠い想いが溢れ、郷愁を誘う。

数々の苦労を乗り越え、成功は目の前までやってくる。セオリー通りの展開かと思いきや、意外な形のラストで驚かされた。凍てつく北京駅でのチュンの渾身の演奏は、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲ニ長調。難易度も高くドラマチックな名曲で観客の胸を熱くすることは間違いない。さらに、この駅での演奏と平行して、父子の秘められた過去がモノクロームの映像で語られ、感動は頂点に達する。明るいハイタッチも結論ではなく、今後の展開は観客の解釈に委ねます、と言うことだ。

カイコー監督は文革の嵐を経験し、物質的豊かさの大切さと虚しさの両方を知っている。ただでさえ人間関係が希薄な今の世の中で、こんなに濃密な親子関係が存在するのだろうか?と疑問に思いつつも、親子に係る人々が金品以上の価値観を教えられ、少しずつ変わっていくのが嬉しい。現代中国の功利主義を批判しながら、音楽という最強の武器で観客を感動させる。メロドラマと判っていながら、やっぱり泣かされてしまった。

□2002年 中国映画 英語原題「Together」
□監督:チェン・カイコー
□出演:タン・ユン、リウ・ペイチー、ワン・チーウェン、他

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