映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週末の公開映画から オススメの1本! ◎
チリ他合作映画「ナチュラルウーマン」

チャン・ドンゴン

泣く男

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孤独な殺し屋が自らに課したラスト・ミッションを壮絶な銃撃戦を含めて描くクライム・アクション「泣く男」。チャン・ドンゴンの凄味が効いている。

凄腕の殺し屋ゴンは。アメリカで任務を遂行中に誤って幼い少女の命を奪ってしまう。取り返しのつかない罪から、姿をくらませ酒浸りになるが、組織から新たな暗殺指令が下ることに。それは少女の母親モギョンを葬れという非情なものだった。一度は捨てた祖国の韓国に戻ってモギョンに接触するゴンだったが、娘を失って悲しみにくれる彼女を殺すことができず、ついにある決意を胸に、組織との闘いへと身を投じていく…。

イ・ジョンボム監督は「アジョシ」では、孤独な男が少女を守るために闘う姿を描いた。本作では少女を守れなかった殺し屋が贖罪にも似た壮絶な死闘を演じきる。殺し屋のゴンは、幼い頃、韓国からアメリカに渡り、砂漠で母親から捨てられた悲しい過去が。誤って幼い少女を殺めてしまったことから、封印していた自らの過去の記憶がよみがえる。育ての親でもある中国系マフィアの組織に忠実で、冷徹な殺し屋だったはずのゴンが、組織を裏切り、勝ち目のない闘いに身を投じる理由は、ゴンのやるせない記憶と、娘を失った母親モギョンの深い悲しみが呼応したためだろう。有能なファンドマネージャーでもあるモギョンの、上司や夫がからむ犯罪は、エリートや外国人が主導権を握る韓国のIT犯罪や、闇組織の中にさえ大きく横たわる学歴や格差の影を描いていて、韓国の社会事情を反映したものだ。だがそれらのミステリーはあくまでもサイドストーリー。本筋はゴンのエモーショナルなドラマの方だ。終盤の激しいアクションは、血しぶきが飛ぶすさまじいもので、封鎖された高層ビル内でたった一人で奮闘する様は、まるで「ダイ・ハード」のよう。だがその幕引きはあまりにも切ない。韓国のトップスターのチャン・ドンゴンが、ギラギラした目と絞った肉体で、主人公の心の揺れを表現し、濃厚なアクション場面の中でも圧倒的な存在感を示していた。
【65点】
(原題「No Tears for the Dead」)
(韓国/イ・ジョンボム監督/チャン・ドンゴン、キム・ミニ、キム・ヒウォン、他)
(孤独度:★★★★☆)
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マイウェイ 12,000キロの真実

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圧倒的な戦闘シーンからすさまじい生命力を浮き彫りにする「マイウェイ 12,000キロの真実」。韓国映画らしい過剰な描写と力技に圧倒される。

1928年、日本統治下の朝鮮・京城(現ソウル)。憲兵隊司令官の祖父を持つ日本人の辰雄と、朝鮮人の使用人の息子ジュンシクは、共に走ることが好きな少年だ。成長し、オリンピックを目指すライバルとなるが、ある事件をきっかけに2人は憎しみ合うようになる。やがてノモンハンの戦場で、日本軍に強制徴用されていたジュンシクは、守備隊長の辰雄と再会する…。

第二次世界大戦期、日本とソ連とドイツの軍服を着て、生き抜いた男たちがいた。荒唐無稽に思えるこの設定、実話が基だというから驚く。驚くのはそれだけではない。この映画の戦闘シーンの迫力は、ハリウッドの「プライベート・ライアン」に匹敵するほどダイナミックなのだ。日本人と韓国人二人の愛憎半ばの友情という感動のツボを、あえて薄味にしてまで、こだわり抜いたド迫力の戦闘場面はすさまじいの一言である。大量の人と物を動員し、さらにアジアからヨーロッパへ大陸を横断して撮影を敢行、圧倒的なスケールで演出したカン・ジェギュ監督は、今までのアジア映画にはない迫力を生みだしている。オダギリジョーとチャン・ドンゴンのダブル主演だが、走ることだけを信じ決してブレないジュンシクに対し、オダギリ演じる辰雄は悪役で分が悪い。だが、戦争の不条理と生死の極限状態で、信じていた国から裏切られた辰雄の心が変化する様は、逆に人間らしくも思える。対照的なジュンシクと辰雄に共通するのは、どんな状況でも生きると決めたこと。満州、ソ連、ドイツ、フランス・ノルマンディーと、どれほどの危機に瀕してもしっかり生き残る展開には苦笑するのだが、歴史の大きなうねりに翻弄されながらも、生き抜く生命があるというメッセージは力強い。サミュエル・フラーが監督した傑作「最前線物語」の中の“戦場では生き残ることがモラルだ”という名セリフが思い出される。
【65点】
(原題「My Way」)
(韓国/カン・ジェギュ監督/オダギリジョー、チャン・ドンゴン、ファン・ビンビン、他)
(スペクタクル度:★★★★☆)
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グッドモーニング・プレジデント

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公人である大統領の、私人としての顔を描きながら、やんわりと社会風刺するヒューマンドラマ。半年後に任期を終えるキム大統領は応募したロトで大金が当たるが、公約で全額寄付を宣言していたので、大いに悩む。チャ・ジウクは最年少で大統領に。男やもめの彼は、朝鮮半島をめぐる一触即発の危機と同じくらい、初恋の相手との再会に動揺する。ハン・ギョジャは韓国初の女性大統領。超多忙な妻を支える優しい夫は、ストレスから青瓦台のルールを破り、支持率低下を招いてしまう。責任をとって離婚を切り出すが…。

この韓国映画では、現実には遠い存在である大統領を、庶民的、若さ、女性という3つの要素でぐっと観客に近付けている。それぞれの悩みを聞き、何気なく彼らに助言を与える、青瓦台(韓国のホワイトハウス)のベテラン料理人の目を通して3人の人となりを描いていく手法が上手い。印象的なのは、韓国はもとより、日本やアメリカでもいまだに実現していない女性大統領を演じる“韓国の母”ことコ・ドゥシム。ちょっとコミカルながら凛々しい姿がいい。母親の影響力が強い韓国社会らしいキャラクターだ。政治とはある意味、パフォーマンスやショーのようなもの。イメージアップのため、マスコミや政敵を利用し、ときにはスタンドプレーも辞さない大統領の言動には、ちゃんと演出家が存在する。懸命に演じる政治家とともに、それらに踊らされる国民に対しても、ちょっぴり皮肉なまなざしが。3人の大統領は皆、国政を行いながら、悩みがあれば、台所で専属シェフと語らう。食べるという行為は、どんな人の心もなごませる魔法の薬のようだ。心をリフレッシュして誠実に激務に戻っていく様子は、政治への理想とも言えるファンタジーで現実感はないのだが、だからこそ楽しめるのかもしれない。韓流スターのチャン・ドンゴンが4年ぶりにスクリーンに復帰していることでも話題の1本だ。
【55点】
(原題「GOOD MORNING PRESIDENT」)
(韓国/チャン・ジン監督/チャン・ドンゴン、イ・スンジェ、コ・ドゥシム、他)
(政治ドラマ度:★☆☆☆☆)

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ブラザーフッド

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◆プチレビュー◆
美形人気スターのチャン・ドンゴンとウォンビンのファンには目の保養。こんなメロドラマで観客動員数の記録を塗り替える韓国という国の、ワケの判らぬ底力には感動すら覚える。

1950年。突如勃発した朝鮮戦争に強制徴収されたジンテとジンソクの兄弟。弟ジンソクを想う兄ジンテは、いかなる犠牲を払っても弟を故郷へ還そうと決心する。戦場での兄の豹変ぶりにジンソクは兄への不信感を募らせるが、二人の兄弟にはさらなる過酷な運命が待ち受けていた…。

韓国映画を世界中に印象付けたといっても過言じゃない作品「シュリ」は、ストーリーのおもしろさの中に、人気俳優の共演、南北分断の悲劇、サスペンスなどの要素を盛り込んだ誰もが認める娯楽作品。その「シュリ」を作ったカン・ジェギュ監督の久しぶりの監督作が本作なのだが、韓国では観客動員数の新記録を打ち立てたいう。朝鮮戦争によって運命を弄ばれる兄弟の物語は、見ている方が恥ずかしくなるほどコテコテのメロドラマだ。さすがは韓国映画!とヘンに納得してしまう。

冒頭から惜しげもなく流れる叙情的な音楽は「さぁ、泣いてくださいよ」と言わんばかり。貧しくも幸せに暮らす一家の仲の良い兄弟は、平時も戦時もベタベタと暑苦しい。口の聞けない母親、けなげで美人の兄の婚約者、いつか作ってあげたい革靴にずっと欲しかった万年筆。涙を絞るアイテムが散りばめられて、観客は逃げ場がない。

弟の将来の幸せだけを願う兄は、自分が戦場で手柄を立てて勲章をもらえれば、弟の除隊を認めるという上官の言葉を信じ、無謀に戦い続ける。韓国版「プライベート・ライアン」と呼ばれるほど迫力の戦闘シーンは確かに見応えがあるが、雨あられの銃弾の中を突っ走る兄ジンテに弾がかすりもしないリアリティの無さはどうだ。まるでマンガだとあきれるが、この兄弟の生存率と周囲の人間の死亡率は比例しているので辻褄は案外あっている。誰かの生と誰かの死は必ずリンクしていて、これはこの物語の全編を通して貫かれているルールなのだ。“涙のラスト”までその法則は守られる。

それにしてもこの弟の中身の成長のなさはなんとかならないものか。病弱な高校生だった彼が戦場でいきなり健康になるスピードとは裏腹に、なりふり構わぬ兄の頑張りの動機を聞いてもなお、兵士として人間として頼りないままだ。だからこそ守りがいがあるのかもしれないが、兄が甘やかしすぎというのが正直な感想だろう。韓国の教育問題も案外深刻なのかもしれない。兄弟愛を勘違いしたままの兄と学習能力のない弟。どちらにも肩入れ出来ずに映画を見続けるのはしんどい作業である。

韓国映画お得意のすれ違いの掟は戦場でも効果を発揮して、兄弟は悲劇的に引き裂かれることに。米ソの二大大国の代理戦争と呼ばれた朝鮮戦争は、今もなお深い傷痕を残している。同じ民族同士が戦わねばならない哀しさは、想像して余りあるものだ。泣かせのメロドラマに終わってしまったのは残念だが、あくまでも市井の庶民の目線で描いた点だけは評価できるだろうか。このベタなドラマから平和の尊さという高みにたどり着くには、かなりの集中力を要するとしても。

□2004年 韓国映画  原題「Brotherhood」
□監督:カン・ジェギュ
□出演:チャン・ドンゴン、ウォンビン、イ・ウンジュ、他

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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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