映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる映画 ◎
「アトミック・ブロンド」「バリー・シール」「あゝ、荒野 後篇」「我は神なり」etc.

チョン・ウソン

アシュラ

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アンナム市の市長パク・ソンべは、立場を利用して、利権と成功のために悪の限りを尽くす悪徳市長。汚職刑事のハン・ドギョンは、そんな市長の悪事のもみ消し役を担っている。一方、市長逮捕に執念を燃やす検事のキム・チャインは、弱みを握ったドギョンを利用して市長の悪事を暴こうと画策。検事と市長の双方から追い詰められたドギョンは、窮地に陥っていく…。

登場人物全員が悪人という韓国発のノワール・バイオレンス「アシュラ」。舞台は韓国の架空の都市。主な登場人事物は、私利私欲に溺れる悪徳市長、正義を捨てた汚職刑事、市長逮捕のためならどんな悪事も厭わない検事の3人だが、脇役すらも全員悪人で、誰もが善悪の見境を失くしている。刑事のハン・ドギョンが市長の後始末と汚職に染まるのは、余命僅かな妻の治療費のためという理由があるが、ズルズルと悪事を続ける彼のモラルはすでに麻痺してしまっているのだろう。この地獄絵図のような物語の中では、妻のためなどという、もっともらしい言い訳も、ささやかな善も、あっという間に泥沼に飲み込まれていくのだ。ひとつの悪事が次なる悪事を生むこの物語、まさに悪の底なし沼で、一度足を踏み入れると抜けだすことは不可能なのである。笑う、泣く、怒る、愛するなど、すべてが過剰なのが韓国映画の大きな特徴だが、本作の暴力描写はとりわけすさまじい。ボコボコに殴られ、流血し、自分も他人も傷つけるバイオレンス描写の連打は、見ていてグッタリと疲れてしまった。主人公を演じるチョン・ウソンの表情が、物語が進むにつれて、焦燥し、歪み、狂気を帯びていくのが見所だ。壮絶すぎる本作だが、落ち着いて考えると、市長、刑事、検事と、皆、公務員。トンデモない!と思いたいが、現在の韓国の政治混迷を見ていると、この修羅の世界もまんざら絵空事ではないということか。
【65点】
(原題「ASURA: THE CITY OF MADNESS」)
(韓国/キム・ソンス監督/ファン・ジョンミン、チョン・ウソン、クァク・ドウォン、他)
(バイオレンス度:★★★★★)
チケットぴあ

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レイン・オブ・アサシン

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アジア各国のトップ・スターが競演する武侠アクション。創意工夫に満ちた戦術とカメラワークが美しい。

明朝時代の中国。手に入れれば武術界の覇権を握るという“達磨(だるま)大師のミイラ”を狙って、暗殺集団“黒石”が暗躍していた。だが、黒石の首領、転輪王が最も信頼を寄せていた最強の女刺客・細雨が、いまわしい過去と決別するため、組織に背き達磨の遺体と共に姿を消す。やがて細雨は、秘術の整形によって顔を変え、新しい名前・曽静を名乗る。都会の片隅で、配達人の阿生と結ばれ幸せに暮らしていたが、黒石は彼女の正体を見抜き、殺し屋を差し向ける…。

共同監督とはいえジョン・ウーの意向が強く反映されているであろう本作は、華麗なワイヤー・アクションとスタイリッシュな剣法によって豪華絢爛な歴史活劇となった。リアリズムよりも様式美を重視する動きの美しさは、ヒロイン・曽静が操る、高速で鞭のようにしなる剣の描写に顕著に表れて、思わずほれぼれする。緑深い竹林や薄暗い墓地、雑然とした室内と、場所が変わるごとに戦い方も変化し、曽静を狙う敵の刺客の使う武術もまたバラエティ豊かだ。武侠映画に出生の秘密はお約束だが、この映画では中国医術の秘儀の整形が使われてその出自を屈折させているのが面白い。そこには意外な人物の意外な秘密が隠されているという仕掛けだ。心優しい配達人で曽静の夫の阿生を演じるのは、韓国のトップ・スターのチョン・ウソン。このキャスティングで、彼にはただならぬ素性があるはずと容易に想像できる。予想通り、クライマックスには華麗な見せ場が用意されていた。殺し屋たちのそれぞれの思惑や黒石の首領の真の目的など、サイドストーリーが整理されておらず、終盤はバタバタした印象なのが惜しい。それでも、最後のセリフを聞くと、ジョン・ウーという人はユーモアを愛するロマンチストに違いないと思ってしまうのだ。やっぱり中国映画のアクションは美しく面白いと、改めて感じてしまうのはこういう作品を見たときである。
【60点】
(原題「REIGN OF ASSASSINS」)
(中国・香港・台湾/スー・チャオピン、ジョン・ウー監督/ミシェル・ヨー、チョン・ウソン、ワン・シュエチー、他)
(活劇度:★★★★★)



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映画レビュー「グッド・バッド・ウィアード」

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◆プチレビュー◆
満州が舞台の韓国製ウェスタンは勢いが勝負。レオーネファンとしては苦言を呈したくなる。 【60点】

 日本軍占領下の1930年代の満州。賞金ハンターのパク・ドウォン(グッド)、冷酷なギャングのパク・チャンイ(バッド)、間抜けなコソ泥のユン・テグ(ウィアード)の3人は、謎の宝の地図を巡って争奪戦を繰り広げることになる…。

 「愛してる」だの「死んでも君を守る」だのと言いながら、男女共に涙を流し、四六時中“泣き”が入るのが韓国映画。メロドラマのイメージが強く、敬遠している映画ファンも多いと思うが、そんな先入観を拭い去ってくれるのがこの韓国製ウェスタンだ。キムチ・ウェスタンとでも呼びたい本作は、名匠セルジオ・レオーネのマカロニ・ウェスタン「続・夕陽のガンマン」(1966)にインスパイアされたという。タイプの違う3人の男の宝探しという点はもちろん、随所の描写が酷似しているが、ムチャクチャ感は本作の方がずっと上だ。

 事の発端は日本軍が極秘にしたという宝の地図。その宝の正体は謎のまま、人種のるつぼで混沌極める満州を舞台に、ギャングとコソ泥、日本軍と抗日組織、馬賊までもが地図を奪い合う。そこにクールな賞金ハンターがからみ、ド派手な列車強盗や銃撃戦が繰り広げられるという寸法だ。果たして宝にたどり着けるのか。そしてその宝とは。日本軍や満州の描写はかなりいいかげんだが、そこは無国籍アクション。固いことを言うまい。映画は、活劇に徹し、美人揃いの韓国有名女優さえ物語から締め出すほど、男たちが暴れまくる。

 だが、しかし。設定がムチャクチャなのはいいとしても、こうまで物語の流れにメリハリを欠くのはいかがなものか。メロドラマにせよアクションにせよ、万事が過剰なのが韓国映画の特徴だが、本作も全編これクライマックスといわんばかりに騒がしい。この映画が「続・夕陽のガンマン」の“リメイクもどき”であることはこの際不問だ。レオーネ自身、「荒野の用心棒」で黒澤映画を盗作したと訴えられた経緯を踏まえると、パクリというのも狙ったようで面白い。だが、せっかく抜群の手本があるのだから、騒々しいだけでなく、ドラマに気を配ってほしかったと思うのは、大のセルジオ・レオーネファンの私だけではないはずだ。コソ泥のユン・テグの正体など、宝探しとは別の話。ラストの決闘の場面はそっくりでも、そこに至る道筋が説得力に欠けては何もならない。

 それでも、リアル嗜好のアクションが大迫力なので退屈とは無縁だ。全方向地平線の満州は、中国のゴビ砂漠での過酷なロケのたまもので、素晴らしい舞台装置となった。馬やバイクで縦横無尽に暴れる韓流スターの姿は、見ていてスカッとする。特にチョン・ウソンがいい。全力疾走で馬を駆りながら、ウィンチェスター銃をぶっ放す様は、イケメンのウソンならではの絵になる構図だ。

 「続・夕陽のガンマン」の伊語原題は「Il Buono, il brutto, il cattivo(いい奴、悪い奴、汚い奴)」。“汚い”とはいったいどんな行為なのかを考えさせるところに深みがあった。韓流ウェスタンの快作はその域には至らなかったが、まずは韓国映画のイメージを打ち破った、スケールの大きな痛快エンタメ活劇の誕生に拍手をおくるべきだろう。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)トンデモ度:★★★★☆

□2008年 韓国映画 原題「The good,The Bad,The Weird」
□監督:キム・ジウン
□出演:イ・ビョンホン、チョン・ウソン、ソン・ガンホ、他

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デイジー

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◆プチレビュー◆
全編オランダロケの成果で、色彩の美しさは見所。だが、これが「インファナル・アフェア」のA.ラウの作品か?!ラストのアクション場面はさすがだが、切れ味はまるでない。

オランダ・アムステルダム。新進の画家であるヘヨンは、匿名でデイジーの花を贈ってくれる、まだ見ぬ人に恋していた。ある日、広場で似顔絵を描くヘヨンの前に偶然に、デイジーの花を持ったジョンウが客として現れる。彼こそ運命の人と確信するヘヨンだったが、実はジョンウはインターポールの刑事。そして彼が追う殺し屋こそ、デイジーの花の本当の贈り主パクウィだった…。

アンドリュー・ラウ監督と聞けばサスペンス・アクションを思い浮かべるが、そこはやはり韓国映画、極めてラブ・ストーリーの要素が強い作品になった。異国の地で巡り合った男女3人の運命を描くが、ロマンチックな設定をたっぷり盛り込んだ結果、切れ味は失われてしまっている。

一番の欠点はキャラが立っていないこと。特に凄腕の殺し屋であるはずのパクウィの性格付けがユルい。せっかくルックスの良いチョン・ウソンを起用するのに、なぜもっとクールに徹しないのだろうか。いくら一目惚れした女性のためとはいえ、潜伏先の田舎で橋など作っている場合か?おまけに、ずっと影から見守るはずがあっさりと姿を現してしまうとは。元気キャラが似合うチョン・ジヒョンも、こう控えめな性格では魅力は半減だ。そんな中、光るのはイ・ソンジェ。彼は善悪両方の人物を演じ分けられる性格俳優だが、劇中で心に傷を受けて悩む姿は誠実で好感が持てる。

ストーリーの展開に、オランダにロケする必要性などほとんど感じないが、スケールの大きさとゴージャス感はさすがだ。また、絵画の国オランダ独特の光が絶妙で、映像は光り輝き美しい。韓国、香港、オランダ。日本からは音楽で梅林茂が参加している。アジア映画のスケールはますます大きくなっているのだ。

□2006年 韓国映画 英語原題「DAISY」
□監督:アンドリュー・ラウ
□出演:チョン・ウソン、チョン・ジヒョン、イ・ソンジェ、他

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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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