映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週末の公開映画から オススメの1本! ◎
チリ他合作映画「ナチュラルウーマン」

ティム・ロビンス

あなたになら言える秘密のこと

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孤独な女性ハンナが、海で孤立する油田で新しい出会いを経験する。映像はないがセリフだけで語られるハンナの秘密があまりにもスゴいので血の気が引く思いがした。重い映画だが後味は決して悪くない。いい意味で期待を裏切られた1本。
【70点】
(英語原題「The Secret Life of Words」)
(スペイン/イサベル・コイシェ監督/サラ・ポーリー、ティム・ロビンス、ハビエル・カマラ、ジュリー・クリスティ、他)
(秘密を知って驚き度:★★★★☆)

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映画レビュー「輝く夜明けに向かって」

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◆プチレビュー◆
人種差別によりテロリストを生む構造と、自由のためにテロリストになる人間。世界の暴力行為の根は複雑で深い。解決策より不安感をあおる映画だと思う。 【50点】

1980年代の南アフリカ。そこでは、少数の白人による過酷なアパルトヘイト(人種隔離政策)が大多数の黒人たちの尊厳を奪っていた。パトリックは黒人としては豊かな暮らしの中で平穏に生きていたが、ある日、テロ対策班の大佐ニックから、工場爆破事件の犯人として無実の罪をきせられる…。

近年、アフリカを舞台にした映画が多い。もちろん昔からあるが、貧困、飢餓、内戦、環境破壊と止まるところを知らないアフリカの社会問題の源に、欧米が明らかに荷担していることを知らしめるため、映画人が声をあげているのだ。南アのアパルトヘイトは、現在は終結しているが、世界の人種差別問題に終わりは見えない。

無実の罪から、自分や家族が拷問されたことが、平穏な人生を送っていたパトリックを激変させる。彼は自由を勝ち取るために、急進派組織のアフリカ民族会議に身を投じた。政府側から見れば「テロリスト」、民衆側からは「自由の戦士」。この二つは紙一重なのだ。主人公を英雄として扱うのではなく、矛盾をはらみ欠点を持つ人間として描いたことが、テロ行為と自由の戦いの境界線の複雑さと重なって上手かった。

テロ対策班のニック・フォスを演じたティム・ロビンスは、実際はリベラル派として知られる俳優だ。この冷酷な役は、さぞ抵抗があったに違いない。だがそこは実力派俳優。人種差別を祖国の崩壊の阻止と考える誤った愛国者として、奥深く演じている。ニックのやり方は明らかに間違っている。だが彼は、アパルトヘイト政策の限界とその終焉を心の中で悟っていた。ニック・フォスという怪物は、あきらめを内包しながら職務を全うし、そして滅びていく男なのだ。「祖国と自由のために戦う」という大義名分の、多面的な恐ろしさを見せられる作品である。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)社会派度:★★★★☆

□2006年 アメリカ・フランス合作映画 原題「Catch a Fire」
□監督:フィリップ・ノイス
□出演:ティム・ロビンス、デレク・ルーク、ボニー・ヘナ、他

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ミスティック・リバー

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◆プチレビュー◆
悪役が似合うK.ベーコンを刑事役に据えたのがおもしろい。巧みな演出は素晴らしいが、何しろ後味が悪いのが難点。

小さな食料品店を営むジミーの娘が惨殺される。事件をきっかけに、幼なじみの3人の男が25年ぶりに再会することに。ジミーは被害者の父、デイブは容疑者、さらにショーンは刑事として。彼らは、幼い頃、路上で見知らぬ男たちに声をかけられ、デイブ一人が連れ去られて性的暴行を受けるという過去を共有していた…。

クリント・イーストウッドが監督した作品は、これで24本目。そんなにあったのかと正直驚いているが、彼が“出演しない”作品となると、本作を含めて4本しかない。圧倒的に自分が出演してしまう俳優監督で、その最高峰はオスカーにも輝いた「許されざる者」だ。一方、彼が出ない作品としては、本作が間違いなく最上のものになるだろうと確信する。

少年期の性的暴行に直接的な描写はない。ショーン・ペン演じるジミーが犯罪の世界に身を置いていた過去もストレートには描かれない。暴力を直に描写しないことで、かえって残虐性を際立たせる老練な演出だ。ミステリーの形をとってはいるが、イーストウッド監督は、犯人探しよりも3人の男たちの人間ドラマに焦点をあてている。彼らの心の奥に付けられた古い傷跡が新たな悲劇を生みだすのがやりきれない。

マッチョでアクション派スターのイーストウッドだが、彼の出演作で評価が高いものを見ると善悪を併せ持つキャラクターが多いことに気付く。勧善懲悪を好むアメリカ映画の中では異色なのだ。それは、彼がセルジオ・レオーネ監督により俳優として飛躍したことと無関係ではない。このイタリア人の寡作監督は、常に悪の中の善、善の中の悪を描き続けた。イーストウッドのスター性と、暗くよどんだ複雑な物語。アンバランスさもこの映画の大きな魅力だ。

意外な犯人と、新たに生まれた悲劇の衝撃。悲痛な思いがラストにじわりと広がり、消せない染みとなる。そこで観客ははじめて、脇役かと思われていた二人の女性、家族思いのジミーの妻と、脆い精神を持つデイブの妻が重要な役割であることを発見するだろう。男性中心のイーストウッド作品で、新しい試みのようで目を引いた。3人の男性キャストは、いずれも実力派揃い。それぞれの役を取り替えても、興味深いものになりそうだ。この映画の完成度は、深い人間ドラマと共に、キャストのアンサンブルの勝利でもある。

□2003年 アメリカ映画  原題「Mystic River」
□監督:クリント・イーストウッド
□出演:ショーン・ペン、ティム・ロビンス、ケビン・ベーコン、他

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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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