映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる映画 ◎
「パッセンジャー」「キングコング 髑髏島の巨神」etc.

テレンス・マリック

ボヤージュ・オブ・タイム



ビッグバンによって宇宙が誕生し、惑星が生まれて変化を遂げていく中で、生命が宿り育まれてきた。自然科学から見たその年代記を映像でたどりながら、過去、現在、未来への命の歩みの本質にせまっていく…。

巨匠テレンス・マリック監督が、宇宙創生から生命の歩みを描く映像叙事詩「ボヤージュ・オブ・タイム」。宇宙、惑星、生命の誕生、地球の変化、人間の営み。それらが魅惑的な映像で綴られる本作では、オスカー女優ケイト・ブランシェットが語りを担当している。もはやマリックはストーリーを語ることは放棄しているようだが、「ツリー・オブ・ライフ」の冒頭で描いた宇宙や、恐竜や太古の植物などが存在する地球の形成を、より深く、より壮大に、より美しい映像でつきつめたのが本作だ。人間もところどころに登場し、現代社会の病巣をちらりと見せたりもするが、人間は宇宙空間の中では砂の一粒にも満たない大きさ。人間が映像の中心になることは決してない。革新的な映像技術が用いられているが、正直なところ、流麗な映像が連綿と続き、ブランシェットの低い美声を聞いているうちに、抗いがたい眠気に誘われる。だが決して不快ではなく心地よさを感じるものだ。ずっとずっとこの映像に身を委ねていたいというのが本音だが、何事にも終わりがくる。誕生、愛、そして死。そこに人間がどう関わっていくべきなのか。マリックの40年の映画人生の集大成であるこの映画はそれを問いかけているような気がしてならない。
【65点】
(原題「VOYAGE OF TIME」)
(仏・独・米/テレンス・マリック監督/(ナレーション)ケイト・ブランシェット)
(体感型映画度:★★★★★)
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聖杯たちの騎士

Knight of Cups [Blu-ray]
ハリウッドで脚本家として成功したリックは、華やかで享楽的なセレブの暮らしを送りながらも、心の奥では常に虚しさを感じていた。そんな彼の脳裏に、かつて出会った6人の女性の記憶が蘇る。美しい彼女たちに導かれるように、リックは過去と対峙し、内面に抱えた孤独と向き合っていく…。

ハリウッドで成功した男の心の旅を静かなモノローグと流麗な映像で描く「聖杯たちの騎士」。タロットカートの“聖杯の騎士”にちなみ、物語は章立てで展開する。富と名声を得て享楽的な日々を過ごしながら、崩壊した家族や失った愛を思い、自分はどこで人生を間違ってしまったのか、本当に求めるものとは…と自問しながらさ迷う物語は、テレンス・マリック版の「甘い生活」のようだ。説明らしい説明はほとんどないが、まるで夢のような映像で描かれる抒情詩に、いつしか引きこまれる。ケイト・ブランシェット、ナタリー・ポートマンら、実力派女優が演じる6人の美女は、主人公リックを時に優しく包み、時に見放し、時に導く存在だ。だがリックの思いは満たされることはない。物質的な豊かさで満足できないのと同じように、一人の女性の愛では彼の心は決して満たされないのだ。日本庭園で不要なものは持たずシンプルな生き方を学んでも、教会で苦難は神が与えた愛だと諭されても、それは答えではない。聖杯のタロットカードが正位置と逆位置ではまったく意味が異なり無限の解釈が可能なのと同じように、リックが求める人生の真実もまた、明確な答えはなく、何かを求めてさ迷う心の旅こそが真実となるのだろう。大都会の喧噪、華やかなパーティ、荒々しい荒野、寄せては返す波と包み込むような海と空。撮影監督エマニュエル・ルベツキの、神業の境地に達したカメラワークに酔いしれる至福の映像体験だ。
【70点】
(原題「KNIGHT OF CUPS」)
(アメリカ/テレンス・マリック監督/クリスチャン・ベイル、ケイト・ブランシェット、ナタリー・ポートマン、他)
(映像美度:★★★★★)
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トゥ・ザ・ワンダー

トゥ・ザ・ワンダー [Blu-ray]
移ろいゆく愛の悲しさを息を呑む美しい映像で綴る「トゥ・ザ・ワンダー」。基本はメロドラマなのにマリックの手にかかると芸術的な叙事詩に変わるから不思議だ。

アメリカ人エンジニアのニールは旅先のフランスで、シングルマザーのマリーナと出会い、恋に落ちる。深く愛し合う二人はマリーナの娘タチアナと共に、アメリカのオクラホマで暮らし始めるが、慣れない土地での寂しさからマリーナは情緒不安定になり、やがて二人の心は離れていく。マリーナが娘を連れてフランスへ戻った後、ニールは幼馴染のジェーンと再会し、関係を深めていく。一方、マリーナの相談相手だったカトリック教会の神父クインターナは、救いを求める人々に布教を行っていたが、神への信仰で苦悩を深めていた。やがて、マリーナが、フランスでも生活が破綻したと知ったニールは、責任感からマリーナと結婚を決意。ジェーンは彼の元を去っていく。愛について深く考える彼らは、やがてそれぞれの結論を迫られることになる…。

フランスのモン・サン・ミッシェルのブルーグレーに煙った風景、オクラホマの乾いた大地と豊かな自然景観、信仰に悩む神父が祈りを捧げるほの暗い室内。すべての映像が一枚の絵画のように美しい。生きる伝説と言われ、世界中の俳優が出演を渇望する巨匠テレンス・マリックは、不確かな愛や移ろう心を、豪華スター共演で詩的に描き出した。マリック作品といえば、静かで印象的なナレーションによって物語が進行するスタイルが特徴だが、本作のナレーションは語り部というより、祈りのよう。この人だけを生涯愛し続けようと誓っても、永遠と思われたその愛は、一時も同じ形ではとどまらない。「なぜ愛は冷めるのか」という解けない命題を登場人物それぞれが深く思考するのだが、英語、フランス語、スペイン語と異なった言語で心象風景が語られるように、彼らの心は苦悩し乖離していく。男女が出会い、離れていくストーリーはメロドラマ以外の何者でもないが、本作には信仰という視点があるため、愛がもたらす喜びと悲しみ、さらに真実の愛の意味を探求する哲学に思えてくる。ベン・アフレックやハビエル・バルデムがいつもと違う静謐なイメージで好演しているが、オルガ・キュリレンコの起用は少し意外。マリック作品のヒロインといえば、はかなげで影が薄く、それでいて聖なる女性のイメージなのだが、キュリレンコの内に秘めた激情が、物語に先読み不能のサスペンスを与えていた。格調高いクラシックのメロディーと、名カメラマンのエマニュエル・ルベツキの美技を堪能したい。
【65点】
(原題「To the Wonder」)
(アメリカ/テレンス・マリック監督/ベン・アフレック、オルガ・キュリレンコ、レイチェル・マクアダムス、他)
(映像美度:★★★★☆)
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トゥ・ザ・ワンダー@ぴあ映画生活

映画レビュー「ツリー・オブ・ライフ」

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◆プチレビュー◆
伝説の監督テレンス・マリックの世界観が炸裂する映像詩。家族とその存在意義を地球の起源まで遡って問いかける。 【70点】

 1950年代のテキサス。オブライエン家の両親と3人の兄弟は、慎ましくも幸せに暮らしていた。だが、長男ジャックは、力こそすべてと考え世俗的な成功を求める厳格な父と、自然を愛し子供たちに精一杯の愛情を注ぐ優しい母の狭間で葛藤し、次第に父への反感を募らせていく。やがて大人になり“成功”したジャックは、深い喪失感の中で、少年時代に思いを巡らせるのだが…。

 人間を大自然の中の一部としてとらえるのは、寡作の映像作家テレンス・マリックの一貫したヴィジョンだ。本作では、家族や信仰、あるいは生と死の意味を、地球や生命の誕生という宇宙的な空間にまで遡って、検証しようと試みる。この実験的なスタイルに唐突感は否めないものの、圧倒的な映像美に包まれれば、いつしかマリックの心象風景に同化していく自分がいた。

 物語の軸となるのは、父と息子の葛藤という、アメリカ映画が繰り返し取り上げてきた深いテーマだ。そこに、ジャックが抱える、父親の音楽の才能と母親の優しい感受性を受け継いだ弟への複雑な感情が混じる。その弟の早すぎた死は、ジャックに生涯消えない絶望感をもたらすのだが、中年期になった彼の記憶の海では、父も母も弟たちも穏やかに存在していた。その場所こそ、過去から未来へと命の絆を受け継ぐ“約束の地”なのだ。

 悩み、迷いながら生きていくしかない人間を見つめるカメラワークは、まさに神の視点。ブラッド・ピットとショーン・ペンという2大スターを得た本作は、決して分かりやすい物語ではない。キューブリックの「2001年宇宙の旅」にも似て、哲学的な物語とめくるめく映像美の間に、生きるとは何かという問いが封じ込められている。混迷する現代に生きる観客それぞれの心の中に浮かび上がってくるのは、その問いの答えではなく、より良い人間でありたいという祈りなのかもしれない。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)映像美度:★★★★☆

□2011年 アメリカ映画 原題「THE TREE OF LIFE」
□監督:テレンス・マリック
□出演:ブラッド・ピット、ショーン・ペン、ジェシカ・チャスティン、他


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ツリー・オブ・ライフ@ぴあ映画生活

ニュー・ワールド

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◆プチレビュー◆
しびれるほど美しい映像だけでも見る価値がある。コリン・ファレルは一見マリック映画にそぐわないように見えるが、意外にも似合っていた。

17世紀の新大陸アメリカ。イギリス人の冒険家ジョン・スミスは、ネイティブ・アメリカンの王の娘ポカホンタスと出会い、恋に落ちる。しかし、イギリス人開拓者と原住民たちの間に争いが起こり、二人は引き裂かれてしまう…。

ゆったりと流れるような音楽と神秘的に美しい映像。さらに瞑想のようなヴォイス・オーバーが静かにかぶる。心地よすぎて眠気さえ誘う映像美だが、描かれる物語は悲劇的なものだ。かつてディズニーでも描かれたポカホンタスの恋と冒険の物語とは、全く異なる映画になっている。

スミスとポカホンタスの恋は破れ、彼女はやがて英国人貴族のジョン・ロルフの穏やかな愛情を受け入れる。英国に招かれ国王に謁見するが、帰国途中で病に倒れる。自然の一部のようだったポカホンタスが、徐々に文明化する姿は、進歩というより喪失感の方が強い。のびやかに走る姿はコルセットで締め付けられた服に変わり、王に謁見する時の悲しげな表情は、全てをあきらめたかのようだ。

極端なロー・アングルでとらえた人物の向こうには、美しい樹木と木漏れ日の映像。水面を滑る船、蛇行しながら奥地へ消える川。自然は人間の行いや全ての物事を見守るように存在している。テレンス・マリックは寡作の監督だが、送り出す作品はどれも質が高い。開拓者たちは平和に暮らす原住民の穏やかな暮らしを奪った。現在のアメリカはポカホンタスの自由と命の犠牲の上に成り立っているというのがマリック監督の解釈だろう。

□2005年 アメリカ映画  原題「THE NEW WORLD」
□監督:テレンス・マリック
□出演:コリン・ファレル、クオリアンカ・キルヒャー、クリスチャン・ベール、他

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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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