ブルーバレンタイン [DVD]ブルーバレンタイン [DVD]
壊れかけた夫婦の、やるせない現在と幸福な過去の対比がリリカルで美しい。痛ましいストーリーなのに、不思議とみずみずしさが記憶に残る。

努力して看護師の資格を取り病院で忙しく働く妻シンディと、ビールを飲みながら壁にペンキを塗るような怠惰な仕事に甘んじている夫ディーンは、結婚7年目を迎えた夫婦。娘と3人で表面上は平穏に暮らしている二人は、互いに相手に対して不満を募せているが、そのことを話し合おうとすると決まって喧嘩になる。そんな時、不注意から愛犬を死なせてしまったことから、互いへの不満が表面化してしまう…。

描かれるのはわずか24時間の出来事だ。主人公たちの気持ちの変化を、過去の出来事をフラッシュバックで説明する手法はオーソドックスなものだが、美しい思い出が指の間からこぼれ落ちるようなはかない感覚は、独特の味わいがある。シンディは別の男との間にできた娘の父親になってくれたディーンに対して負い目がある。一方、ディーンは、仕事や収入に関して妻への引け目がある。二人とも娘を深く愛してはいるのだが、日々の暮らしの小さな不満と不安が、じわじわと上がる水位のように夫婦を侵食してしまい、気付いた時には身動きできなくなってしまっている。過去の出来事が、出会いから、ぎこちない愛の告白、希望に満ちた結婚と、手持ちカメラで生き生きと自由に撮られているのに対し、現在のパートは三脚で固定したカメラで息苦しいほどの緊迫感を持ってとらえられている。夢中で愛し合った過去と、生活に押しつぶされそうな現在、そしてある決断の末に何かが始まる未来へ。一組の男女の気持ちの移ろいを、残酷で美しい時間そのものを主人公にして物語る作品だ。
【65点】
(原題「BLUE VALENTINE」)
(アメリカ/デレク・シアンフランシス監督/ライアン・ゴズリング、ミシェル・ウィリアムズ、他)
(やるせなさ度:★★★★☆)
チケットぴあ


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