映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週末の公開映画から オススメの1本! ◎
英・仏合作映画「パディントン2」

デンゼル・ワシントン

マグニフィセント・セブン

マグニフィセント・セブン(初回生産限定)(2枚組) [Blu-ray]
ローズ・クリークの町の人々は、冷酷非道な実業家ボーグに支配され、絶望的な日々を送っていた。ボーグに夫を殺されたエマは、なけなしの金で賞金稼ぎのサムを雇う。サムは、ギャンブラーのジョシュをはじめ、スナイパー、暗殺者、流れ者など、腕に覚えのあるものを集める。集まった7人は最初は金で雇われた寄せ集め集団だったが、やがて町を守るための正義の戦いに身を投じるうちに、目的は金だけではなくなっていく…。

黒澤明監督の傑作「七人の侍」と、それをリメイクした秀作「荒野の七人」を原案とした西部劇「マグニフィセント・セブン」。腕の立つ7人の強者たちが町を守るという大筋は同じだが、オリジナルに敬意を払いつつも、随所に現代的な設定が施されている。7人を雇うのは勝気な未亡人で、彼女は「望むのは正義。復讐はその手段」ときっぱりと言い切る気丈な女性だ。リーダー的存在のサムは黒人で、集められるメンバーの人種も多様である。何といってもアクションがド派手だ。圧倒的な人数の敵に対し、拳銃、ナイフ、弓矢はもちろん、創意工夫を施した武器と戦法で応戦。ハリウッド映画名物の大爆発もちゃんと用意されている。だが、アクションの比重が増えた分、人間ドラマはやや薄味になった。村人(本作では町だが…)との交流や恋愛要素はあっさりとカットされているので、一人一人の背景が見えないのは少々残念。それでもアントワーン・フークア監督は、最後に変化球を用意している。凄腕の賞金稼ぎのサムには意外な思惑が。ここで、映画は「七人の侍」からセルジオ・レオーネ監督の「ウエスタン」へと一気に傾く。黒澤映画「用心棒」との因縁があるレオーネ。「ウエスタン」と「荒野の七人」の両方に出演したC.ブロンソン。無名時代、ブロンソン主演の「狼よさらば」にチョイ役で出ていたデンゼル・ワシントン。そして、デンゼル演じるサムが仕事を引き受けボーグを狙う本当の理由。すべてがつながっていて、映画の不思議な連鎖を感じてしまった。マグニフィセント(気高い、崇高な)とは少し違う色合いを帯びるので、複雑な余韻が残るのだが、ラストに鳴り響く「荒野の七人」のテーマソングを聞けば、そんなモヤモヤは一気に吹っ飛んでしまうはず。デンゼル・ワシントンとイーサン・ホークの「トレーニング・デイ」コンビや、いい意味での軽さがあるクリス・プラットは好演だし、イ・ビョンホンも存在感をきちんと示している。西部劇初心者にもおすすめのスター映画に仕上がった。
【65点】
(原題「THE MAGNIFICENT SEVEN」)
(アメリカ/アントワーン・フークア監督/デンゼル・ワシントン、クリス・プラット、イーサン・ホーク、他)
(リスペクト度:★★★★☆)
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イコライザー

イコライザー(アンレイテッド・バージョン) (初回限定版) [Blu-ray]
昼と夜の2つの顔を使い分ける元CIAの男がロシアン・マフィアと対峙するアクション「イコライザー」。かなりムチャぶりなのだがデンゼルならば許す!

昼はホームセンターで真面目に働くマッコールは、かつてはCIAのトップエージェントだったが、今は過去と決別し、静かに暮らしている。不眠症の彼は深夜カフェで読書をするのが日課だが、そこで知り合った娼婦のテリーと他愛のない会話をかわすうちに、彼女がロシアン・マフィアから酷い仕打ちを受けていることを知る。マッコールは、かつての殺傷能力を活かしてテリーを痛めつけたマフィアを一掃するが、その“仕事”がきっかけとなり、ロシアン・マフィア最凶の殺し屋ニコライが執拗に彼を追いつめていく…。

昼はホームセンターの正社員、夜は腐敗した警察や悪人を成敗する闇の仕事人“イコライザー”。この“必殺仕事人”のベースは80年代のTVドラマだそうだが、どうりで細部が大雑把だ。主人公のマッコールは、日本の仕事人とは違い、金銭を受け取ったり契約を交わしたりはしない。正義感と善意だけで悪人を葬るのだから、何とも欲のない話だ。ホームセンターに押し入った強盗も、売上金を巻き上げる悪徳警官も、マッコールにかかれば瞬殺で倒される。いくらなんでも強すぎ!なのだが、そんなスーパーヒーロー並の能力を納得させてしまうのが、名優デンゼル・ワシントンなのだ。実際、本作は彼の存在感だけで成り立っているようなものだが、ロシアン・マフィア最強の殺し屋ニコライは、実はマッコールと互角に戦う力量がある敵役。もう少し2人のバトルに工夫がほしかったところだ。面白さは、銃を使わず、身の回りにあるものすべてを武器に変えて敵を殺傷する主人公の殺しのテクニックにある。クライマックスは深夜のホームセンター内でのバトル。砂、鉄線、金槌、電動ドリルなど、DIYな殺しっぷりはかなりエグいので要注意だ。それにしても娼婦役を演じるクロエ・グレース・モレッツは、まだ大人の女性になる前の少女特有の、危うい色っぽさがある。ずっと素性を隠して暮らしていた主人公を正義に目覚めさせるほど、セクシーなのだ。
【60点】
(原題「THE EQUALIZER」)
(アメリカ/アントワン・フークア監督/デンゼル・ワシントン、マートン・ソーカス、クロエ・グレース・モレッツ、他)
(スーパーヒーロー度:★★★★☆)
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2ガンズ

2ガンズ(初回生産限定) [Blu-ray]
2ガンズ(初回生産限定) [Blu-ray] [Blu-ray]
互いに素性を隠した2人が強奪された資金奪還に奔走するクライム・アクション「2ガンズ」。異色のバディ・ムービーでドライなタッチがいい。

麻薬取締局(DEA)の捜査官ボビーと海軍情報部将校のマイケルは、互いの素性を知らないまま、メキシコの麻薬組織でマフィアの手先となって潜入捜査を行っていた。マフィア組織の尻尾をつかんで4000万ドル(約40億円)という大金を強奪し、晴れて互いの組織に戻れると思ったが、それがCIAの裏金だと判明。ボビーを裏切ったマイケルは金を海軍に運び込むが、上司から裏切られて金を失ってしまう。大金を失った二人はやむを得ず再び手を組むが、汚れた4000万ドルを巡って、二人は、麻薬取締局、海軍情報部、CIA、マフィアから追われることになる…。

デンゼル・ワシントンとマーク・ウォールバーグがバディを組むクライム・アクションと聞けば、映画好きならワクワクしてしまう。なぜなら、この二人、善玉も悪玉もこなせる演技派だからだ。物語は、麻薬取締局捜査官ボビーと海軍情報部将校マイケルが、互いを利用し、裏切りながらも徐々に絆を深めていく展開が見所。互いが所属する組織がともに悪に染まり、正義よりもことなかれ主義に走るというから、危険な潜入捜査をこなす二人はまったく気の毒なのだが、二人もまた裏切りや抜け駆けなど平気でやってのける。この話の登場人物たちはある意味、皆ダーティなのだ。ボビーとマイケルは、不信感マックスの状態で、生き延びるために手を組まざるをえなくなる。そこにコミカルな掛け合いを盛り込んだところがいい。バディ・ムービーは絆や信頼といった設定がセオリーのため、どこかしめっぽくなりがちなのだが、本作は、最初から信頼し合わない者同士のコンビだけに、掛け合いもドライで皮肉たっぷりなのだ。果たして汚れた大金の行方は? 二人はワルだらけの組織上層部とマフィアという絶体絶命のサバイバルを切り抜けられるのか? 一難去ってまた一難。爆破に銃撃戦に常識破りのカーアクションと、見せ場もド派手だ。原作がグラフィック・ノベルというだけあって、アクションもデフォルメされていて楽しめる。札束が舞うラストシーンでは爽快感が味わえるだろう。ワシントンとウォールバーグが、軽いタッチの役柄を楽しそうに演じている。
【60点】
(原題「2 GUNS」)
(アメリカ/バルタザル・コルマキュル監督/デンゼル・ワシントン、マーク・ウォールバーグ、ポーラ・パットン、他)
(コミカル度:★★★☆☆)
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2ガンズ@ぴあ映画生活

フライト

フライト ブルーレイ+DVDセット [Blu-ray]フライト ブルーレイ+DVDセット [Blu-ray] [Blu-ray]
奇跡の不時着でヒーローになった男の真実の姿を描く人間ドラマ「フライト」。パニックから法廷、そして人間の心の闇と、ストーリーは意外なルートをたどる。

ベテランパイロットのウィトカーは、突然の乱気流に巻き込まれ制御不能になった飛行機を、奇跡的な操縦で緊急着陸させ、多くの乗客の命を救う。マスコミは彼を称え、一躍国民的ヒーローになるが、その後の調査で、彼の血液からアルコールが検出、さらに薬物使用の疑惑も広がる。弁護士のラングらは不都合な事実を懸命に隠そうとするが、次々に真実が暴かれ、次第にウィトカーは追いつめられていく…。

ロバート・ゼメキスが「キャスト・アウェイ」以来、実に12年ぶりに手掛けた実写映画である本作は、さまざまなジャンルで水準以上の作品を作り続けたゼメキスらしい、クロス・ジャンルの作品と言える。「フライト」という単純明快なタイトルからは、航空アクション・パニックを連想させるがそれは序盤だけの話。事故後の疑惑から事故調査委員会との攻防、公聴会へと至る展開から、息詰まる法廷サスペンスへ向かうかと思えば、それも違う。これは、一人の弱い男が抱える、心の闇を描く人間ドラマなのだ。ヒーローかと思っていた主人公は実はアルコールと薬物依存症。家庭も崩壊、心の拠り所である息子からも罵倒され、同僚には虚偽の証言まで頼む始末だ。ヒロイズムから一転、主人公への共感度がどんどん下がっていく。そんな複雑な主人公を好感度抜群のオスカー俳優、デンゼル・ワシントンが巧みに演じている。しかも、名脇役のジョン・グッドマンが演じるドラッグの売人ハーリンの存在が何ともコミカルで、極上のドラッグで正気を取り戻すウィトカーの“健康維持法”には笑いがでるほどだ。悪や弱さをどこかで肯定し、嘘八百で現実逃避してきたウィトカーが、公聴会という“フライト”でいかなる着陸を試みるのか。それは見てのお楽しみだが、どんな悪役を演じても、どうしようもなく魅力的に演じてしまうデンゼルだけに、ラストは見事に感動的だ。これが少々綺麗事に思えなくもない。だが、善と悪の境界線は曖昧で人間はどちら側にも転びうるのだ。人間の誠意、そしてアメリカの善意を信じたいと願うロバート・ゼメキスのメッセージが感じられる。
【75点】
(原題「FLIGHT」)
(アメリカ/ロバート・ゼメキス監督/デンゼル・ワシントン、ケリー・ライリー、ドン・チードル、他)
(人間ドラマ度:★★★★☆)
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デンジャラス・ラン

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新米CIAが悪党と共に逃避行を繰り広げる異色のアクション「デンジャラス・ラン」。クールな悪役を演じるデンゼル・ワシントンがさすがの存在感だ。

南アフリカ共和国。この最果ての地にあるCIAの隠れ家であるアジトに一人の男が護送されてくる。その男トビン・フロストは、元CIAの凄腕エージェントで、今は世界36ヶ国で指名手配を受けた大物犯罪者だ。彼が収容されるや否や、鉄壁の守りのはずのアジトが何者かに襲撃される。アジトの管理人である新人CIAのマットは、フロストから「おまえは自分を守る義務がある」と迫られ、やむなく彼を連れて命がけで脱出。敵の正体も目的も分からぬまま、危険すぎる男フロストを連れて逃走を続けることになる…。

物語の裏側にあるのは、権力の腐敗構造。これ事態は目新しいものではない。だが映画に頻繁に登場するエリート集団CIAに、窓際のような閑職があって、そこでくすぶる人間が多くいることを盛り込み、それを上手く物語に活かしたところがこの映画の新しさだ。ボーン・シリーズのスタッフが揃っているだけに、街中を逃げ回るスピーディな映像は緊迫感たっぷり。カーチェイスも迫力満点だ。名優のデンゼル・ワシントンはオスカーを受賞した「トレーニング・デイ」もそうだが、悪役をやらせるととびきり上手い。しかも彼が演じる悪役には、人を惹きつけてやまない魅力を醸し出す。本作で演じる大物犯罪者トビン・フロストは国家機密を売りさばく超・危険人物だが、むろんそんなことに手を染めるにはワケがある。新米のマットを殺すことなど赤子の手をひねるようなものなのに、そうしないのは、“プロしか殺さない”をモットーにするフロストがマットを半人前としか思っていないこと以上に、国家や裏組織の闇を知り尽くしたフロストには、マットの正義を守る心が見えたのかもしれない。騙し騙されながらの逃走の最中に、フロストは何気なくマットの“教育係”の役目も果たしている。クライマックスには、さらなる裏切りと驚愕の事実が。迫り来る敵も怖いが、一緒に逃げる相手はそれ以上に恐ろしい。逃亡劇という手垢のついたジャンルを、そんなユニークなバディ・ムービーの設定で転がしてみせたのはスウェーデン人監督のダニエル・エスピノーサだ。キャスティングの良さと、たたみかけるアクション、スリリングな逆転からクールなラストまで、手堅い演出で楽しませてくれた。
【65点】
(原題「SAFE HOUSE」)
(アメリカ/ダニエル・エスピノーサ監督/デンゼル・ワシントン、ライアン・レイノルズ、ベラ・ファーミガ、他)
(緊迫感度:★★★★☆)
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アンストッパブル

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無人列車の大暴走という、思わずアドレナリンが全開しそうな展開は、何と実話がもとだというから驚く。物語はパニック・アクションだが、主人公が長年真面目に働いてきた名もない労働者で、彼の勇気が実を結ぶ展開は、結果は判っていても胸がすく。ペンシルバニア州のとある操車場に停車中の最新式貨物列車777号が、無人のまま暴走を始める。積荷は大量の化学薬品とディーゼル燃料。このまま加速して走り続けると市街地の急カーブで転覆し大惨事となる。それを阻止すべく覚悟を決めた鉄道マンが、勤続28年のベテラン機関士のフランクと、初めてフランクとコンビを組んだ若い新人車掌のウィルだった…。

一人はリストラされることが決まっているベテラン、一人はそんなベテランを切ることで採用された新人。この2人は本来対立する構図にあるのだが、映画はリストラ問題には深くは言及せず、目の前の非常事態に立ち向かう鉄道マンのプライドを全面に出している。兄のリドリー・スコットの相棒がラッセル・クロウなら、弟トニーの相棒はデンゼル・ワシントン。マッチョなヒーローではなく、生活感があり、大切な家族を守るために奮闘するというリアルな役柄がピタリとハマる。列車が無人のまま暴走する原因は、整備ミスと不注意、そして判断ミス。多くの乗客の命を預かる鉄道に携わるものにあるまじき、軽い仕事ぶりに腹がたつが、人命より会社の損失を優先する鉄道会社上層部の不誠実な態度の方がより怒りを覚える。何しろ、日本でも悲惨な鉄道事故は実際に起こっていて、その原因のひとつは、鉄道会社の利益優先の経営方針だったのだから。物語はさまざまな方法で列車を止めようと試みるフランクとウィルの八面六臂の活躍を活写。そこまでするか?!の無謀な作戦も含めて、手に汗握る展開だ。残念なのは、フランクとウィルの家庭のトラブルがチラリと描かれるが、これがあまり効果的ではなく、かえってスピード感を削いでしまったこと。しかし、2人をサポートする操車場長コニーを演じるロザリオ・ドーソンと、デンゼルたち2人の場面の切り替えが、アクション映画に人間性をプラスする効果を与えていた。それにしても、こんな恐ろしいことが実際にあったとは。乗客がいたらどれほどの惨事だったかと思うとゾッとする。
【60点】
(原題「UNSTOPPABLE」)
(アメリカ/トニー・スコット監督/デンゼル・ワシントン、クリス・パイン、ロザリオ・ドーソン、他)
(ドキドキ度:★★★★☆)


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アンストッパブル@ぴあ映画生活

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ザ・ウォーカー

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文明が崩壊し、荒廃した世界で、一冊の本を運ぶ孤独な男の物語には、ラストに驚きが隠されている。すべてを失った近未来。イーライはこの世に一冊だけ残る本を運んでいる。彼自身、その旅の目的や到着地を知らないのだが、ひたすら西へと向かうことだけを手がかりに旅を続けているのだ。本に近づくものは容赦なく殺すイーライ。そんな中、その本を狙う独裁者カーネギーが現われ、イーライの前に立ちはだかる…。

セピア色という美しい形容より、すすけて黒ずんだディストピアのような映像が、この世界がいかに絶望的なものかを物語る。物語の最大の謎は、本の中身は何か?ということだが、おそらく映画を見始めればすぐに予想がつくはずだ。独裁者カーネギーの「その本の言葉を使えば、全人類を操ることができる」とのセリフから、それは世界一のベストセラーの“あの宗教本”だと分かる。人は信仰の名のもとに戦いを繰り返してきたが、すべてを失ったその世界でさえ、まだ宗教の威力は衰えていないようだ。イーライは彼を助ける女性ソラーラと共に旅をすることになるが、そこには想像を絶する苦難が待ち受けている。荒野で繰り広げられるマカロニ・ウェスタン風の激突もあれば、マトリックスばりのスタイリッシュなアクションも。常に黒いサングラスで無表情のデンゼル・ワシントンの圧倒的な存在感とともに、緊張感を持続させる演出が素晴らしい。そして最後の最後に明かされるその本の秘密。「おぉ、そうきたか!」と思わず驚いた。ヒントは、カーネギーの愛人で盲目の美女クローディアとの、不思議なほど穏やかな出会いの中に隠されている。使命、犠牲、信念。イーライという名前には実は深い意味が。暗く絶望的な世界で孤独な使命をまっとうする主人公には神々しさが漂っていた。スタイリッシュなビジュアルが堪能できる、異色SF黙示録映画である。
【65点】
(原題「THE BOOK OF ELI」)
(アメリカ/アレン・ヒューズ、アルバート・ヒューズ監督/デンゼル・ワシントン、ゲイリー・オールドマン、ミラ・クニス、他)
(アクション度:★★★★☆)

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サブウェイ123 激突

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名作サスペンス「サブウェイ・パニック」を、トニー・スコット監督がリメイク。デンゼル・ワシントンとジョン・トラヴォルタという2大スターの競演が魅力的だ。ガーバーはNY地下鉄運行司令部で働いている平凡な地下鉄職員。1台の電車が緊急停車し、1両だけ切り離されたのを知って無線連絡すると、ライダーと名乗る男が19名の人質をとり地下鉄をジャックしたことを知る。1000万ドルをNY市長に用意させるよう要求する犯人グループは、なぜかガーバーを交渉役に指名する。残り時間は59分。身代金は届くのか。人質の救出は。そして犯人の真意とは?

大都会のハイテク交通網の盲点をつく犯罪劇だが、主人公を、警官から、平凡だが地下鉄のことならエキスパートの指令係にしたのが上手い。よき家庭人であるガーバーだからこそ、交渉役に指名された“ある秘密”が納得できるし、最後に牛乳を片手に歩く姿にも共感できる。だが、物語に21世紀らしさがあまり活かせていないのは疑問。身代金をわざわざ人に運ばせる場面はハラハラする見せ場だが、落ち着いて考えればオンラインで指定口座に振り込ませればいいだけの話だ。ライダーの真意とは別に、何か仕掛けを仕込んでほしかった。とは言え、スコット監督得意のスタイリッシュなカット割で、抜群のスピード感を醸し出している。タイトルの123とは、ペラム発1時23分の電車のこと。真剣勝負の頭脳戦を描くサスペンスは、ハリウッド映画には珍しく、華やかな女優抜きで、硬派な質感を感じさせる1本になった。
【65点】
(原題「THE TAKING OF PELHAM 123」)
(アメリカ/トニー・スコット監督/デンゼル・ワシントン、ジョン・トラヴォルタ、ジョン・タトゥーロ、他)
(ハイテク活用度:★★☆☆☆)

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映画レビュー「アメリカン・ギャングスター」

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◆プチレビュー◆
実在の麻薬王と熱血刑事を描いた実録犯罪劇。ワシントンとクロウの骨太の演技は見応えたっぷりだ。 【75点】

 70年代のNYハーレム。フランクはベトナム戦争を利用して麻薬ビジネスを拡大、暗黒街の陰のボスとして君臨する。目立たず行動し、決して尻尾をつかませない彼に目を付けたのは、腐敗した警察組織で奮闘する刑事リッチーだった…。

 暗黒街でのし上がるキレ者と、不器用なやさぐれ刑事(デカ)。この構図で思い浮かぶのは「イヤー・オブ・ザ・ドラゴン」だ。マイケル・チミノが怒りと私怨の壮絶な暴力を描いてみせたのに対し、リドリー・スコットのこの実録映画は、派手な撃ち合いやアクションとは無縁。追う男と追われる男は、2時間37分の上映時間の終盤近くまで顔さえ合わせない。だが、時にその静けさが凄みとなる。

 物語の軸のフランクは、いわば暗黒街のニューカマーだ。まず黒人であること、次に、産地直送で麻薬を密輸し“良心的な値段”で売る新しいビジネスを築いたこと。私生活では表立つようなマネはせず、豊かだが地味な暮らしぶりだ。明らかに従来のマフィアとは価値観が異なる。一方、無骨な刑事リッチーは、正義感は強いものの生活はだらしがなく、家庭は壊滅、女癖も悪い。汚職が当たり前の警察組織に嫌気がさしており、弁護士を目指している。法曹界が清いわけではないが、米国の警察組織の桁違いの腐敗ぶりは「セルピコ」でも描かれている通りだ。ギャングと刑事。立場も性格も真逆だが、二人とも古い体制を壊し、現状打破を目指す点が共通している。

 コインの裏と表のような男二人の世界が、ゆっくりとひとつに交わる構成が緊張感を醸し出して、映画の世界に引き込まれてしまう。スコット監督得意のスタイリッシュな映像は封印されているが、おかげで登場人物の生き様が見事に際立った。特にフランクという男の強烈なカリスマ性は魅力的でさえある。それは、彼を演じるワシントンの上品なたたずまいが、悪の向こうに美しさをにじませるからに他ならない。本来は善人の役が似合う美形黒人スターは、どんな役でも観客の感情移入を誘ってしまうのだ。実在の人物を演じてそれは顕著になる。

 そんなワシントンが演じるフランク・ルーカスは、実はこの作品にアドバイザーとして名を連ねている。殺人を重ね、監獄にいるべき男が、映画制作に携わるとはどういうワケなのか? その答えは、ラストのテロップで明かされるので、映画を見て確かめてほしい。終盤、リッチーがフランクを追い詰め物語はクライマックスに。だが、この実話の高ぶりは二人のその後の行く末にこそあるのだ。遂に対決となるその時、スクリーンには賛美歌アメイジング・グレースがドラマチックに流れだす。この曲は葬儀で頻繁に使われる一方で、寿ぎの場でも歌われる、懺悔と許しの曲だ。アメリカの犯罪の系譜は、勧善懲悪で語れるほど単純ではない。フランクとリッチーはともに変革者で、清濁併せ持って生き抜く術を知っている。この人間像はそのまま国家の姿にも当てはまる。この国の矛盾は個の矛盾を映すものだ。正義と同様、悪のエッセンスも貪欲に利用して生きるアメリカのしたたかさを見る思いがする。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)男の美学度:★★★★☆

□2007年 アメリカ映画 原題「AMERICAN GANGSTER」
□監督:リドリー・スコット
□出演:デンゼル・ワシントン、ラッセル・クロウ、キューバ・グッディング・Jr、他

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デジャヴ

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タイトルは既視感の意味。SF心理劇というより、ハイテク・アクション映画の趣。過去にもどる未完成の装置を使って船舶爆破事故を防ごうとする。タイム・パラドックスものにありがちな物語のほころびはあるが、趣向を凝らしたカーチェイスが見もの。
【70点】
(原題「DEJA VU」)
(アメリカ/トニー・スコット監督/デンゼル・ワシントン、ポーラ・パットン、ジム・カヴィーゼル、他)
(ド派手度:★★★★☆)

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プロフィール
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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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