映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる映画 ◎
「ジャスティス・リーグ」「火花」「ギフテッド」「光」etc.

トム・ヒドルストン

マイティ・ソー バトルロイヤル

Thor: Ragnarok
アベンジャーズの一員であるソーの前に、最強の敵“死の女神ヘラ”が現れる。美しく邪悪なヘラの圧倒的なパワーで、ソーは自慢の武器ムジョルニアを破壊され、宇宙の果てに弾き飛ばされてしまう。遠く離れた辺境の星で囚われの身となったソーは、この地を脱出するために、闘技場で盟友ハルクと対決するハメに。やがてソーは、ハルクや、弟で宿敵ロキらと即席チームを組み、ヘラに立ち向かうことになる…。

マーベルの人気ヒーローにしてアベンジャーズの一員のマイティ・ソーを主人公にしたシリーズ第3弾「マイティ・ソー バトルロイヤル」。今回は、アベンジャーズのメンバーですら持ち上げることさえできないソーのハンマー型の武器ムジョルニアをいともたやすく破壊する、桁違いのパワーを持つ死の女神ヘラが相手だ。いろいろと訳ありの最強の敵に挑むソーは、盟友ハルクや宇宙一の裏切者で弟のロキ、女戦士ヴァルキリーと即席チームの“リベンジャーズ”を結成して戦うことになるが、このヤバすぎる4人による噛み合わない会話の応酬が本作最大の魅力だ。

ケンカしながらも結局仲がいい(?)神兄弟のソーとロキの掛け合いは、兄弟漫才のよう。そもそもロキは宿敵で前作までケンカしてませんでしたっけ??とツッコミを入れるヒマさえないくらい笑わせてくれる。ハルクとソーにいたっては、筋肉同士のボケ同士で、これまた爆笑もの。ほとんど「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」のノリなのだ。オスカー女優のケイト・ブランシェット演じるヘラの背景に北欧神話ならではの格調高さが垣間見えるものの、本作はあくまでもユーモアと遊び心に重きを置いている。最近シリアスに傾いていたマーベル映画を、怒涛のエンタメ路線で駆け抜けて見せたのは、ニュージーランド出身のタイカ・ワイティティ監督だ。思えば「シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア」の独特のユーモアは、映画ファンを大いに魅了したものだった。革命家コーグ役で出演もしている、この無名に近い俊英監督を起用したセンスが功を奏した快作である。
【75点】
(原題「THOR RAGNAROK」)
(アメリカ/タイカ・ワイティティ監督/クリス・ヘムズワース、トム・ヒドルストン、ケイト・ブランシェット、他)
(コミカル度:★★★★☆)
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キングコング:髑髏島の巨神

キングコング:髑髏島の巨神 ブルーレイ&DVDセット(初回仕様/2枚組/デジタルコピー付) [Blu-ray]
未知の生物の存在を確認するため、学者やカメラマン、軍人などで構成された調査遠征隊が、太平洋の謎の孤島、髑髏島に潜入する。そこに姿を現したのは、巨大で凶暴なキングコングだった。隊を率いるため高額で雇われた元特殊部隊のコンラッドは、ここが決して人間が足を踏み入れてはならない場所だと理解する。だが島にはコング以外にも、想像を絶する巨大で凶暴な生物が生息していた。調査隊や軍人たちがなす術もなく命を奪われていく中、コングと島の驚くべき秘密が明らかになる…。

映画史上最も有名で人気のモンスター・キャラクターのキングコングを新たな解釈で描くアドベンチャー大作「キングコング:髑髏島の巨神」。1984年生まれでまだ若いジョーダン・ヴォート=ロバーツ監督は、新しいキングコングを作るにあたってベトナム戦争映画の名作にして怪作「地獄の黙示録」を徹底的に意識している。時代はまだテクノロジーがそれほど発達していない70年代、ベトナム戦争で喪失感を抱えた軍人たち、島に突入する手段はヘリコプターの編成。ジャングルや川をつたってたどり着くのは、原住民と暮らす元軍人がいる奇妙なコミュニティーだ。トム・ヒドルストン演じる主人公の名前コンラッドは「地獄の黙示録」の原作「闇の奥」の作者と同じという念の入れようである。今にもマーロン・ブランドが暗闇からぬっと現れそうだが、そこに登場するのは、体長30メートルの巨大な“守護神”キングコングだ。本作ではコングの誕生の秘密を描き、コングは果たして人間の敵か味方かという謎が軸となる。コンラッドや他数名は、コングの存在が髑髏島のバランスを保っていることに気付くが、部下を殺されたパッカード大佐は復讐に燃え、事態は、人間とコング、そして巨大生物たちとの三つ巴の死闘になっていく。ここでさく裂するのは監督のオタク魂だ。日本のアニメやゲーム、特撮映画に多大な影響を受けたと公言するだけあって、ベトナム戦争映画、サバイバル映画から一気に怪獣映画へと舵を切り、これから続くモンスターバース(人類と怪獣たちとの闘いを描くシリーズ)への火ぶたが切って落とされるという仕掛けだ。これには、怪獣文化を有する日本人ならずとも熱くなる。コングと宿敵スカル・クローラーのガチのバトルもすごいが、弱くてちっちゃい人間の分際で(?)、コングにガンを飛ばし勝負を挑むサミュエル・L・ジャクソンの無謀な闘志に、シビレつつも笑いが出てしまった。1時間58分、大暴れで大騒ぎだが、大いに楽しませてくれるモンスター・エンターテインメント大作。ぜひスクリーンの大画面で見てほしい。
【75点】
(原題「KONG:SKULL ISLAND」)
(アメリカ/ジョーダン・ヴォート=ロバーツ監督/トム・ヒドルストン、ブリー・ラーソン、サミュエル・L・ジャクソン、他)
(サバイバル度:★★★★☆)
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アイ・ソー・ザ・ライト

アイ・ソー・ザ・ライト (初回生産限定) [Blu-ray]
1944年、アメリカのアラバマ州。カントリー歌手ハンク・ウィリアムスは、子持ちの女性オードリーと結婚し、幸せに暮らしていた。だがオードリー自身が歌手の夢を捨てきれなかったことで、家庭内に不穏な空気が流れ始める。息子が生まれたことで二人の人生は再び輝きを取り戻すものの、ハンクの人気が高まるにつれ、家族との溝はますます深まっていった。ハンクは寂しさを紛らわすために、他の女性やアルコールに逃げるように。レコード会社が求める理想のシンガー像や、夫、父親としての自分に迷いながら、歌に思いを込めるハンクだったが…。

夭折の天才シンガー、ハンク・ウィリアムスの半生を描く伝記映画「アイ・ソー・ザ・ライト」。有名なヒットソングはもちろん耳にしたことはあるが、29歳の若さで亡くなったこと、幼い頃から二分脊椎症という病気を患い、生涯、背中の痛みに苦しめられ、その痛みを緩和するために鎮痛剤を大量に使用していたことなどは、本作で初めて知った。映画は、伝説的なカントリー歌手を決して美化することなく、女好きでマザコン気味、だらしなくて寂しがり屋のくせにプライドだけは高いという、欠点だらけの人物像を赤裸々に描いている。だからこそ、彼の歌い上げる名曲のピュアな美しさが際立つのだ。伝記映画としても、音楽映画としても表層的な出来なのだが、その分、テンポよく見られるので、カントリー・ミュージックになじみのない観客も抵抗なく鑑賞できるだろう。素晴らしいのは、主人公を演じるトム・ヒドルストンだ。見る前は、南部出身のカントリー歌手を英国生まれのヒドルストンが演じるの?と首をかしげたが、見てみると、これが実にハマッている。ルックスがウィリアムス本人に似ていることもあるが、何よりもヒドルストン自身が、猛特訓して吹き替えなしで自ら歌いあげた数々の名曲の歌唱がいい。タイトルの「I SAW THE LIGHT」は、ウィリアムスが移動中の車の中で息絶え、その事を知ったファンが彼の死を悼んで唱和したことで知られている。
【60点】
(原題「I SAW THE LIGHT」)
(アメリカ/マーク・エイブラハム監督/トム・ヒドルストン、エリザベス・オルセン、ブラッドリー・ウィットフォード、他)
(なりきり度:★★★★☆)
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ハイ・ライズ

ハイ・ライズ[Blu-ray]
著名な建築家ロイヤルが設計した高層マンションは、上層階に行くほど富裕層が暮らしている近未来都市型住宅。そこに引っ越してきた医師のラングは、最上階に住むロイヤルから招待を受け、その豪華な暮らしぶりに驚く。だが高層階と下層階の間には激しいあつれきがあり、住民のワイルダーと知り合ったラングは、このマンション内で起こっている異常な事態を知ることになる。ある日、停電が起きたのを機に下層階の住民の暴動がはじまるが…。

ロンドン近郊にある、フロアによって階級が分かれた高層マンションでのすさまじい階級闘争に巻き込まれた主人公の運命を描くSFミステリー「ハイ・ライズ」。原作はJ・G・バラードの同名小説だ。私は原作を未読なのだが、果たして読んでいたら理解できたのか?!と首をかしげるほど、難解な作品である。主人公が越してきた高層マンションは、スーパー、医療施設、ジム、学校まで完備した隔離されたコミュニティー。高層階に行くほど富裕層で、階級闘争が起こるという設定は、走る列車の前後で階級が分かれた、ポン・ジュノ監督の「スノーピアサー」を思い出す。夜毎繰り広げられるパーティーは、乱痴気騒ぎを通り越して、混沌と狂気のるつぼと化している。セレブたちの堕落と倫理観の欠如、偽善や欺瞞が、無秩序を象徴している。最上階に住む設計者ロイヤルは神のような存在だが、暴動の首謀者にロボトミー手術を施そうとしたことから、事態は急変していく。愛欲と暴力が渦巻くこの閉ざされた空間には、どこにも共感する要素がない。これは見る側としては、かなり疲れる。久しぶりにクラクラするのほどのカオス・ムービー(あえて、こう呼ばせてもらう)を見たが、主人公を演じるトム・ヒドルストンの存在感だけは、数多い登場人物の中でも際立っていた。70年代風のスーツをサラリと着こなすかと思えば、鍛えあげた裸体を惜しげもなく披露。歪んだタワー・マンションは、アーティスティックだが人間の存在を拒絶しているかに見える。グロテスクとスタイリッシュが混じり合う、この映画の“歪み”に呼応するかのようだった。カルト映画としてなら、見る価値は十分にある。
【40点】
(原題「HIGH RISE」)
(イギリス/ベン・ウィートリー監督/トム・ヒドルストン、ルーク・エヴァンス、ジェレミー・アイアンズ、他)
(カオス度:★★★★★)
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クリムゾン・ピーク

クリムゾン・ピーク ブルーレイ&DVDセット [Blu-ray]
20世紀初頭のアメリカ、ニューヨーク。10歳のとき、死んだ母の幽霊と遭遇して以来、イーディスは、霊を見ることができるようになる。ある日、母の亡霊から「クリムゾン・ピークに気を付けなさい」という不思議な警告を受ける。成長し作家になる夢を抱いたイーディスだったが、謎めいた英国人男性トーマスと運命的な恋に落ち、結婚。英国に移り住むことに。トーマスの姉ルシールとともに暮らすようになったその屋敷は、山頂にある広大なゴシック建築で、冬になると地表に露出した赤粘土が雪を赤く染めることから“クリムゾン・ピーク”と呼ばれていた。イーディスが新しい生活に慣れてきた頃、体を真紅に染めた亡霊たちがイーディスの前に次々に現れ、奇妙な警告をする。やがてイーディスは、屋敷と姉弟に隠された衝撃的な秘密を知ることになるのだが…。

鬼才ギレルモ・デル・トロ監督によるゴシック・ロマン「クリムゾン・ピーク」。朽ち果てた古い屋敷、いわくありげな美しい姉弟、屋敷に隠された秘密に亡霊たちの警告…と、怪奇幻想ムード満載のミステリーホラーだが、正直、怖さはほとんとない。むしろ美しさを堪能する作品だ。母親の亡霊のビジュアルが強烈すぎてビビッたのだろうか、せっかくの警告をヒロインのイーディスはまったく活かせない。母の亡霊は、大人になり本当に危機に陥った娘をサポートするかと思えばそういうわけではない。イーディスをめぐるトーマスと幼馴染の医者アランとの恋愛描写も、中途半端な印象だ。ミステリーなので謎解きの詳細は明かせないが、終盤のバトルは強引すぎるし、そもそもこの対決、必要なのか?!と首をかしげた。だがそれでもなお、この作品に引きこまれるのは、ギレルモ・デル・トロ監督ならではの美意識が画面の隅々まで行き届いていて、完璧に幻想世界を作り上げているから。さらにワシコウスカ、ヒドルストン、チャステインというキャスティングの妙が効いている。特に姉ルシールを演じるジェシカ・チャステインは、今、最もノッている女優の一人だけあって、底知れない狂気と美しさをたたえていた。物語の細部より、ダークで華麗な映像美を楽しみたい作品だ。
【60点】
(原題「CRIMSON PEAK」)
(アメリカ/ギレルモ・デル・トロ監督/ミア・ワシコウスカ、トム・ヒドルストン、ジェシカ・チャステイン、他)
(耽美度:★★★★★)
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クリムゾン・ピーク@ぴあ映画生活

マイティ・ソー ダーク・ワールド

マイティ・ソー/ダーク・ワールドMovieNEXプラス3Dスチールブック:オンライン予約数量限定商品 [ブルーレイ3D+ブルーレイ+DVD+デジタルコピー(クラウド対応)+MovieNEXワールド] [Blu-ray]
北欧神話の神の子・ソーの戦いを描く人気アメコミ・シリーズの続編「マイティ・ソー ダーク・ワールド」。もはや主役はロキになりつつある。

アベンジャーズの激闘から1年。ソーは自分の世界アスガルドに戻るが、恋人ジェーンが住むロンドンで謎の重力異常が起こる。ジェーンは調査に当たるが、宇宙滅亡を導く鍵となる“ダーク・エルフ”のパワーを自らの身体に宿してしまう。愛するジェーンを救うため、ソーは彼女をアスガルドに連れていくが、ジェーンのパワーを狙う邪悪なダーク・エルフによってソーの家族や故郷までもが絶対絶命の危機となる。ソーはこの窮地に、アベンジャーズの宿敵だった弟ロキに助けを求めることになるのだが…。

「アベンジャーズ」のメンバーにはそれぞれ葛藤があるが、神の子ソーの抱える問題は兄弟の確執という古典的なものだ。本作では、太古の魔族ダーク・エルフと闘うため、宿敵であり、血のつながらない弟ロキと共闘することに。まさかの超党派の戦いなのだが、ロキは本当に信用できるのかというサスペンス的要素をはらみながら、ド派手なVFXでアスガルドとロンドンを破壊しまくる。このすさまじいブチ壊し描写はもはやあっけにとられて見るしかない。それはさておき、続編である本作を楽しむためには、前作の鑑賞は必至だが、それよりもアベンジャーズ・プロジェクトという壮大なドラマを堪能するためにも、この兄弟の物語は押さえておきたいところである。それにしても、トム・ヒドルストン演じるロキ、完全に主役を食う存在感と活躍ぶりだ。何をしでかすかわからない危険なキャラのロキの活躍が本作の軸となっているので、彼の壮絶な運命にはロキファンは心をわしづかみにされるはずだ。命をかけた戦いというわりには全体的に軽い作りなのが気にはなるが、見ている間は十分に楽しめる。エンドロールの後に重要なワンシーンがあるので、最後まで席を立たずに見届けてほしい。
【55点】
(原題「THOR: THE DARK WORLD」)
(アメリカ/アラン・テイラー監督/クリス・ヘムズワース、ナタリー・ポートマン、トム・ヒドルストン、他)
(破壊度:★★★★☆)
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マイティ・ソー/ダーク・ワールド@ぴあ映画生活

オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ



21世紀を生きる吸血鬼の男女の奇妙なラブ・ストーリー「オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ」。音楽を重要な脇役にするあたり、ジャームッシュらしい。

アメリカ・デトロイトの寂れた屋敷に隠れるように暮らすアダムは、表舞台には姿を現さないが、どんな弦楽器も引きこなすカリスマ・ミュージシャン。実はアダムは何世紀も生き続けている吸血鬼で、純粋な血液を病院からひそかに調達して生きている。その一方で、堕落し蛮行を繰り返す人間たちに眉をひそめていた。ある時、何世紀も恋人として愛し合ってきた同じ吸血鬼の恋人のイヴがモロッコのタンジールからアダムに会いにやってくる。甘い時間を過ごす二人だったが、そこにイヴの妹で型破りな性格のエヴァが現れたことから、彼らの運命が狂いはじめる…。

オフビートな作風が魅力のジム・ジャームッシュの新作は、吸血鬼映画。昨今流行のファンタジーやアクションものとは一線を画す、アンニュイなラブ・ストーリーだ。何世紀も生きている吸血鬼の恋人同士の名前がアダムとイヴとは随分と古典的だが、アダムが天才ミュージシャンという設定がいかにも音楽好きのジャームッシュらしい。夜のドライブではジャック・ホワイトの生家、元ミシガン劇場の跡地などを巡ってみせる。財政破綻して寂れたデトロイトの夜景は不思議なほど魅力的だ。だが街の荒廃が自己破壊的な人間の姿に重なり、高潔な吸血鬼がそれを嘆くという構図や、吸血鬼が人間をゾンビと呼ぶなど、随処にシニカルな視点がうかがえる。アダムとイヴがあたりかまわず人間を襲って血を吸ったりせず、病院で調達する“上物の血液”しか飲まないのは、人間を軽蔑しているからなのだ。イヴの妹で少々問題児のエヴァは運命を転がすトリックスターで、彼女の登場でアダムとイヴは、デトロイトを離れざるをえなくなる。だが頼りにしていた、キットこと異端の作家クリストファー・マーロウは、汚染された血をうっかり飲んで死に至る。この世はもはや吸血鬼が生きるにはあまりにも汚れた世界なのか。しかし衰弱していく恋人たちが選択する道は、原初的な欲望に立ち返るものだ。原点回帰こそ生きる活路ということだろうか。吸血鬼カップルを演じるのは、不健康な美しさが持ち味のトム・ヒドルストンとティルダ・スウィントン。知的で獰猛、エレガントでスタイリッシュな吸血鬼役は、あまりにもハマッていた。
【65点】
(原題「ONLY LOVERS LEFT ALIVE」)
(米・英・独/ジム・ジャームッシュ監督/トム・ヒドルストン、ティルダ・スウィントン、ミア・ワシコウスカ、他)
(シニカル度:★★★★☆)
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21世紀を生きる吸血鬼の男女の奇妙なラブ・ストーリー「オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ」。音楽を重要な脇役にするあたり、ジャームッシュらしい。 アメリカ・デトロイトの寂れた屋敷に隠れるように暮らすアダムは、表舞台には姿を現さないが、どんな弦楽器も引きこなすカリスマ・ミュージシャン。実はアダムは何世紀も生き続けている吸血鬼で、純粋な血液を病院からひそかに調達して生きている。その一方で、堕落し蛮行を繰り返す人間たちに眉をひそめていた。ある時、何世紀も恋人として愛し合ってきた同じ吸血鬼の恋人のイヴがモロッコのタンジールからアダムに会いにやってくる。甘い時間を過ごす二人だったが、そこにイヴの妹で型破りな性格のエヴァが現れたことから、彼らの運命が狂いはじめる…。 オフビートな作風が魅力のジム・ジャームッシュの新作は、吸血鬼映画。昨今流行のファンタジーやアクションものとは一線を画す、アンニュイなラブ・ストーリーだ。何世紀も生きている吸血鬼の恋人同士の名前がアダムとイヴとは随分と古典的だが、アダムが天才ミュージシャンという設定がいかにも音楽好きのジャームッシュらしい。夜のドライブではジャック・ホワイトの生家、元ミシガン劇場の跡地などを巡ってみせる。財政破綻して寂れたデトロイトの夜景は不思議なほど魅力的だ。だが街の荒廃が自己破壊的な人間の姿に重なり、高潔な吸血鬼がそれを嘆くという構図や、吸血鬼が人間をゾンビと呼ぶなど、随処にシニカルな視点がうかがえる。アダムとイヴがあたりかまわず人間を襲って血を吸ったりせず、病院で調達する“上物の血液”しか飲まないのは、人間を軽蔑しているからなのだ。イヴの妹で少々問題児のエヴァは運命を転がすトリックスターで、彼女の登場でアダムとイヴは、デトロイトを離れざるをえなくなる。だが頼りにしていた、キットこと異端の作家クリストファー・マーロウは、汚染された血をうっかり飲んで死に至る。この世はもはや吸血鬼が生きるにはあまりにも汚れた世界なのか。しかし衰弱していく恋人たちが選択する道は、原初的な欲望に立ち返るものだ。原点回帰こそ生きる欲望ということだろうか。吸血鬼カップルを演じるのは、不健康な美しさが持ち味のトム・ヒドルストンとティルダ・スウィントン。知的で獰猛。エレガントでスタイリッシュな吸血鬼役は、あまりにもハマッていた。【65点】(原題「ONLY LOVERS LEFT ALIVE」)(米・英・独/ジム・ジャームッシュ監督/トム・ヒドルストン、ティルダ・スウィントン、ミア・ワシコウスカ、他)(シニカル度:★★★★☆)
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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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