映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる映画 ◎
「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」「ユダヤ人を救った動物園」etc.

トラン・アン・ユン

エタニティ 永遠の花たちへ



19世紀末のフランス。上流階級の令嬢で、17歳のヴァランティーヌは、親が決めたジュールとの婚約を一度は破棄するが、彼の熱心な求愛に心を動かされ結婚する。二人は、深い絆で結ばれた夫婦となるが、病気や戦争で子どもが亡くなる悲劇に見舞われる。ジュールも亡くなり失意のヴァランティーヌだったが、残った息子アンリが幼なじみのマチルドと結婚し、孫が生まれたことが彼女に再び喜びをもたらした。マチルドの従妹のガブリエルと彼女の夫も頻繁に家を訪れ、大家族のような、穏やかな幸せな日々が続く。だがヴァランティーヌと家族たちの運命には、思いがけない形で転機が訪れる…。

花と緑に囲まれたフランスの美しい大邸宅を舞台に、ある富豪の一家の3人の女性たちの人生を描く大河ドラマ「エタニティ 永遠の花たちへ」。アリス・フェルネの原作小説をベースに「青いパパイヤの香り」「夏至」などの名匠トラン・アン・ユン監督が、圧倒的な映像美で描く物語だ。テーマは、生と死が永遠(エタニティ)に繰り返され、受け継がれていくこと。命の連鎖を支える時間の存在を、美しいものとしてとらえて、受け入れていくことだろう。

オドレイ・トトゥ、メラニー・ロラン、ベレニス・ベジョという仏映画界を代表する人気女優の贅沢な競演は見所のひとつだ。19世紀から20世紀にかけての上流社会の優雅な暮らしぶりや、衣装や家具調度品が美しく、思わず見惚れてしまう。だが、あまりにもストーリーが平坦でメリハリがない。戦死や病死、時に修道院に入って俗世から離れるなど、家族に降りかかる悲劇が何度か描かれるが、女性たちは悲しみを胸に秘めながら静かに乗り越えていくといった描写だ。そもそも、3世代の女性を描くという触れ込みなのに、よくよく見れば、母、娘、孫ではなく、母、息子の嫁、その嫁の従妹という3人の関係性が微妙に不自然だったりする。そんな「?」もあるにはあるが、トラン・アン・ユン作品を支えてきた名撮影監督マーク・リー・ピンビンの、しびれるような映像美に酔いしれ、しばし別世界へと誘われれば、心地よい陶酔感を味わえるだろう。監督の妻トラン・ヌー・イェン・ケーの、しみいるような美声のナレーションが、これまた独特の優美なムードを醸し出している。
【55点】
(原題「ETERNITY」)
(仏・ベルギー/トラン・アン・ユン監督/オドレイ・トトゥ、メラニー・ロラン、ベレニス・ベジョ、他)
(映像美度:★★★★★)
チケットぴあ

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ノルウェイの森

ノルウェイの森 (松山ケンイチ 出演) [DVD]ノルウェイの森 (松山ケンイチ 出演) [DVD]
有名すぎる文学作品を映像化することのハードルの高さを改めて感じる映画だ。果たしてこの作品を村上春樹ファンがどう見るかが気になるが、小説と映画は別モノと割り切るべきだろう。高校時代の親友キズキを突然の自殺で喪った主人公のワタナベ。彼は誰も知らない新しい土地で生活するため東京の大学へ進学する。ある日、キズキの恋人だった直子と再会、共に喪失感を抱える二人は頻繁に会い、心を通わせる。だが直子は次第に精神を病み、京都の療養所に入ってしまう。ワタナベは、直子を愛しながら、大学で出会った緑にも同時に惹かれていくのだが…。

原作は1987年に刊行され今も世界中で読まれている大ベストセラー。ハルキスト(村上春樹の熱烈なファン)ではない私でも、この作品の特別な立ち位置は理解しているつもりだ。改めて感じるのは、村上春樹の小説の、軽さと深みが絶妙にブレンドされたセリフは文字で読むからこそ素晴らしいということ。独特のニュアンスが立ち上ってくる言葉を、そのまま声に出してセリフにした途端にどうしようもない違和感を感じてしまうのは、私だけではないはずだ。キャスティングの評価には諸説あるようだが、映画のスペシャル感から、主人公の松山ケンイチは良しとしたい。問題は、ルックスは可愛らしいがあまりに演技がヘタクソな、緑役の水原希子。そんな彼女に長ゼリフは酷というものだ。ストーリーは、大切な人を永遠に喪う悲劇、深く愛しながら分かり合えない哀しみ、そして、それでも前を向かねばならない人間を描くものだ。登場人物は皆、複雑な思いを抱えながら生きている。愛と性、強さと脆さ、生と死。映画にはさまざまな対比がある。どれほどの絶望を垣間見ても、その対極にあるのは、再び人を愛することの素晴らしさなのだ。この映画の最大の個性は、ベトナム系フランス人で、映像美でならすトラン・アン・ユン監督がメガホンをとっているということ。個人的には、村上春樹の世界には、もっとドライな空気がふさわしいように思うのだが、それはさておき、トラン・アン・ユンらしいしっとりとした美しい映像は堪能させてもらった。撮影は名手リー・ピンピン。深い森を思わせる物語に、日本の四季の移ろいをとらえたビジュアルの美しさが加わり、繊細な余韻を残している。
【50点】
(原題「Norwegian Wood」)
(日本/トラン・アン・ユン監督/松山ケンイチ、菊地凛子、水原希子、他)
(映像美度:★★★★☆)

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ノルウェイの森@ぴあ映画生活

夏至

夏至 特別版
ベトナムのハノイに住む3姉妹の日常を、淡々とした語り口で描く物語は、詩的で美しい映像にうっとりさせられる映画だ。

母親の命日に集まった、スオン、カイン、リエンの3姉妹はとても仲の良い姉妹。不倫、妊娠、淡い恋など、3姉妹はそれぞれ秘密を抱えているが、普通ならメロドラマになりそうな素材も、ゆったりとした時間の流れの中で溶けるように秘密をにじませ、緩やかな解放と調和へと導く。

長女スオンはカフェの女主人。夫の愛人の存在に気付きつつも自分も若い青年と逢引を重ねている。3姉妹でこの長女のスオンだけが、ベトナムの民族衣装アオザイを身に着けている。アオザイとは、正装に用いられる民族衣装で、ベトナム語で「長い着物」の意味。チャイナカラーで長い着丈だが、深いスリットがあって歩きやすいデザインだ。このアオザイには、クワンと呼ばれる白い長ズボンを合わせる。どちらも涼しげな薄い生地で細身に仕立てられるので、ベトナム女性には体型を維持した美しい人が多い。このアオザイは実は男性用もあるそうだが、結婚式などの特別の時にのみ着用するらしい。長女のスオンだけがアオザイを着る設定は、彼女がまだ古風な部分を持つ人物であるという表れだ。

映画で印象的なのは、濃い緑の陰影と、少ないセリフを補う表情の豊かさだ。スタイリッシュでみずみずしい映像にしばし酔いしれる。在仏の監督トラン・アン・ユンは、はるかなあこがれを込めて母国ベトナムを美しく描こうとするようだ。リアリズムよりも癒しの時間を味わえる。

(2000年/フランス・ベトナム/トラン・アン・ユン監督/仏語原題「A la Vertical de L'ete」)

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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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