映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


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◎ 今週の気になる映画 ◎
「ワイルド・スピード ICEBREAKE」「無限の住人」「帝一の国」etc.

トレインスポッティング

「T2」前に「トレインスポッティング」で予習を!

ひとりごと「T2 トレインスポッティング」が公開されるに当たり、久しぶりに「トレインスポッティング」を再見しました。
ウン、やっぱり面白い!

「トレインスポッティング」は、1996年製作のイギリス映画。スタイリッシュな映像と音楽で90年代を代表する青春映画のヒット作となりました。

トレインスポッティング [Blu-ray]
ユアン・マクレガー
角川書店
2011-11-25




それにしても、ユアン・マクレガーが若い!まさかこのジャンキーを演じたスキンヘッドの若者が、ハリウッド超大作「スター・ウォーズ」でオビ・ワン・ケノービを演じることになろうとは、夢にも思いませんでした。マクレガーは、イギリスでもハリウッドでもコンスタントに映画出演し、今や演技派として英国を代表する俳優です(ちなみに、もうすぐ公開の「美女と野獣」にも出演してます)。

そして今やオスカー監督のダニー・ボイル監督の感性の豊かさと鋭さに、改めて敬服です。90年代という、何だか輪郭がはっきりしない(?)時代の空気を、こんなにもポップに切り取った作品はなかなかお目にかかれません。オレンジ色を印象的に使ったメインポスターもおしゃれでした。映画関係だけでなく、女性誌も含めた雑誌で特集が沢山組まれ、サントラも大ヒットしましたっけ。

トレインスポッティング
サントラ
EMIミュージック・ジャパン
1996-05-22

←イギー・ポップ、ニュー・オーダー、アンダーワールドと聴きどころ満載


物語はといえば、不況にあえぐスコットランド・エジンバラでウダウダしているジャンキーの若者たちの日常生活を描くもの。彼らは、ヘロイン中毒、アルコール中毒、喧嘩中毒…と、もうどうしようもない奴らばかりで、犯罪といっても窃盗、詐欺、万引きといった小悪党レベル。ドラッグ断ちを決意し、何とかまっとうに生きていこうとしても、仲間と状況と運命(?)がそれを許さない。ハチャメチャな彼らの日常の中には、死という悲しみや刹那的な愛があって…。そんな彼らが選ぶ未来とは? といった内容です。英国の映画というと、何らかの形で階級闘争が必ず盛り込まれていますが、本作は、決してしめっぽくも説教臭くもないところが何よりも秀逸。社会の底辺で生きる若者たちの、陽気で悲惨という矛盾だらけの青春模様と、現実と幻覚の間にあるほとばしる生命力を、疾走感あふれる映像で活写しています。

初めてみたときはただファッショナブルな青春映画という印象しかなかったけれど、改めてみると、決してそれだけではありません。自分の未来は自分で選ぶ。たとえそれがどんな選択でも、それは自分が決めたこと。このテーマは今見ても普遍的でブレてません。

「T2  トレインスポッティング」は、単体で見ても楽しめる作品ですが、やはりここは前作「トレインスポッティング」を予習してから見てほしい。名作です、是非!


トレインスポッティング〔新版〕 (ハヤカワ文庫NV)
アーヴィン・ウェルシュ
早川書房
2015-08-21

←原作はこちら。ブッカー賞を受賞してます。


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T2 トレインスポッティング

T2 トレインスポッティング -オリジナル・サウンド・トラック
麻薬の売買でつかんだ大金を仲間たちと山分けせずに逃亡したレントンは、20年ぶりにオランダから故郷のスコットランド・エジンバラに舞い戻る。実家では、母親はすでに亡くなり、父親が一人で暮らしていた。悪友たちのその後が気になったレントンは彼らを訪ねる。表向きはパブを経営しながら、売春、ゆすりを稼業とするシック・ボーイ。家族に愛想を尽かされ、孤独に絶望しているジャンキーのスパッド。刑務所に服役中のベグビーは、脱走を画策中。モノ分かりの良い大人になれずに荒んだ人生を送る彼らは20年の時を経て再会するが…。

90年代のポップ・カルチャーをけん引し社会現象を巻き起こした映画「トレインスポッティング」の20年後を描く続編「T2 トレインスポッティング」。監督のダニー・ボイルは今やオスカー監督の名匠。再集結した主要キャストたちも、それぞれ年齢を重ね、ユアン・マクレガーにいたっては「スター・ウォーズ」に出演するほどの大スターになった。一方、物語の中の4人は、誰一人大人になりきれず、悪あがきばかりしている。だが彼らにはそれが似つかわしい。実際、20年という時は、彼ら4人にも観客にも等しく流れた時間であって、そこには変わってしまったものと変わらないものがあって、当然なのだ。両方をきちんと描いてこそ、続編を作る意味があるのである。大金を持ち逃げしたレントンは皆の恨みを買ってはいるが、それでも何かと理由をつけ、仲間とつるんで遊ぶ姿は、シック・ボーイの恋人ベロニカがやきもちをやくほど。このブルガリア娘のベロニカが絶妙にからむストーリーが巧みで、今の時代の空気をしっかりとつかみとっている。ダニー・ボイルの音楽センスや映像センスも冴えわたり、レントンたちが年をくって冴えないオッサンになってしまっても、それなりのスピードでの疾走感を維持してくれているのが、微笑ましい。まっとうではない金を持っていても幸せにはなれなかった。何とかして事業を始めて変わろうとしても、世の中はそう甘くなかった。社会の底辺で生きるクズどもはぶざまにもがくばかり。それでも人は生きていかねばならないのだ。ほろ苦くて懐かしい同窓会に出席したような気分である。
【70点】
(原題「T2 TRAINSPOTTING」)
(イギリス/ダニー・ボイル監督/ユアン・マクレガー、ユエン・ブレムナー、ロバート・カーライル、他)
(疾走感度:★★★★☆)
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新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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