映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる映画 ◎
「ジャスティス・リーグ」「火花」「ギフテッド」「光」etc.

ナタリー・ポートマン

プラネタリウム

1930年代。アメリカ人スピュリチュアリストである姉妹、ローラとケイトは、降霊術ツアーでヨーロッパを訪れ金を稼いでいた。美しく聡明な姉ローラはショーを仕切る野心家で、霊感が強く純粋な妹ケイトは自分の世界に閉じこもる内気な少女だ。この美貌の姉妹の才能に魅了された映画プロデューサーのコルベンは、世界初となる心霊映画の撮影を持ちかける。華やかな都パリを訪れた姉妹は、映画製作に挑むが、上手く演じられないケイトに対し、ローラは女優としての才能を発揮し始める。一方、男女の区別なく火遊びを楽しむコルベンは霊感があるのはケイトだけだと見抜き、有害な電磁波を使う実験に挑んだ。信頼関係で結ばれているコルベンとケイトを目の当たりにして、ローラは激しく嫉妬するのだが…。

心霊術師の美人姉妹が、一人の映画プロデューサーとの出会いから運命を狂わせていく様を描くミステリアスなドラマ「プラネタリウム」。物語はフィクションだが、キャラクターにはモデルがいて、実在したスピリチュアリズムの先駆者、フォックス三姉妹と、フランスにトーキーを導入した伝説の映画プロデューサー、ベルナール・ナタンからインスピレーションを得たという。一見華麗に見える1930年代は戦争の足音が聞こえる不穏な時代だ。そこに、美貌の姉妹が繰り広げる神秘的な死者との交霊や、ユダヤ人映画プロデューサーの悲劇的な運命などが複雑にからみあい、物語はミステリアスで幻想的な色合いを帯びている。

上昇志向が強く野心家の姉ローラは女優になってスクリーンにその姿を焼き付け、霊感が強い妹ケイトは危険な実験によって自ら死へと近づいてしまう。姉妹の運命を狂わせるのはユダヤ人の映画プロデューサーのコルベンだが、彼もまた反ユダヤの風潮の中、組織的中傷の犠牲になっていく。愛憎が混在するこの3人が疑似家族のような関係になる展開は興味深い。姉妹の心霊術は本物か、偽物か。信じると見える霊の存在は、昼には見えないが夜になると見える星のように、あるいは、明るいと見えないが暗くなると見える映画のように、見えない世界を見せる、儚い願いなのかもしれない。ナタリー・ポートマンは「ブラック・スワン」を彷彿とさせる知性と狂気が入り混じった迫力の演技を見せ、リリー=ローズ・デップは、ピュアな少女を初々しく好演しつつ、しっかり存在感を示している。決して分かりやすい作品ではないが、才色兼備のレベッカ・ズロトヴスキ監督の非凡なセンスが感じられる独創的な映画だ。
【65点】
(原題「PLANETARIUM」)
(仏・ベルギー/レベッカ・ズロトヴスキ監督/ナタリー・ポートマン、リリー=ローズ・デップ、ルイ・ガレル、他)
(疑似家族度:★★★★☆)
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ジャッキー ファーストレディ 最後の使命

Jackie
1963年11月22日、テキサス州ダラス。ジョン・F・ケネディ大統領がパレードの最中に群衆の目の前で暗殺された。妻でファーストレディであるジャクリーン、通称ジャッキーは、最愛の夫の死を悲しむ間もなく、リンドン・ジョンソン副大統領の大統領就任式の立ち合い、葬儀の準備、ホワイトハウスからの退去などの業務に追われる。犯人への怒りにかられながら、夫が事件直後からすでに過去の人のように扱われることに憤ったジャッキーは、夫の存在と彼が築いたものを永遠に歴史に残そうと決心する…。

ジョン・F・ケネディ元大統領暗殺直後の妻ジャクリーン・ケネディの行動と心の葛藤を描く異色の伝記ドラマ「ジャッキー ファーストレディ 最後の使命」。JFKを描く映画や、JFK暗殺事件を扱った映画は数多いが、本作は、アメリカ史上最も有名なファーストレディ、ジャッキーに焦点を当て、JFKが歴史的な偉人として記憶されたのは、暗殺直後のジャッキーの才覚があったからだというスタンスで描いていて、その解釈は非常に興味深いものだ。裕福な家庭に生まれ、フランス留学や、新聞社で記者として働くなど、知性派のジャッキーは、同時に美術品を好み、流行を左右するファッションアイコンでもあった、才色兼備の女性である。目の前で最愛の夫を殺されるという悲劇の中で、ほぼ本能的にJFK伝説をプロデュースした手腕は、確かになかなかのものだ。犯人のしたことを世界中に見せるため血のついた服を着続ける。安全を考慮する周囲の意見を制して堂々とカメラの前に姿を現す。政府やケネディ家の意向に反してまで、自分が最もふさわしいと考える葬儀のスタイルにこだわる。それらすべてはJFKを過去の人にさせないという強い意志があったからだ。実際は、桁外れの浪費癖や、リンカーン大統領(JFKと同じく暗殺されている)の葬儀スタイルを模倣するなど、俗っぽさも多大にあるのだが、ケネディ伝説を後世に残すためにとった葬儀のイメージ戦略は、見事に成功したのだから、やはりジャッキーという女性は非凡な人物だったと言わざるを得ない。何よりもジャッキーを演じたナタリー・ポートマンのなりきぎぶりが素晴らしい。クローズアップが非常に多いが、人々の前で見せる毅然とした顔と、ホワイトハウス内で一人でいるときの脆く不安な表情など、せりふがなくてもしっかりと物語る丁寧な演技は見事である。稀有な運命を背負ったファーストレディの喪失感を静かに熱演したポートマンの気品が最大の見所だ。
【75点】
(原題「JACKIE」)
(米・チリ・仏/パブロ・ラライン監督/ナタリー・ポートマン、ピーター・サースガード、グレタ・ガーウィグ、他)
(歴史秘話度:★★★☆☆)
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ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命|映画情報のぴあ映画生活

聖杯たちの騎士

Knight of Cups [Blu-ray]
ハリウッドで脚本家として成功したリックは、華やかで享楽的なセレブの暮らしを送りながらも、心の奥では常に虚しさを感じていた。そんな彼の脳裏に、かつて出会った6人の女性の記憶が蘇る。美しい彼女たちに導かれるように、リックは過去と対峙し、内面に抱えた孤独と向き合っていく…。

ハリウッドで成功した男の心の旅を静かなモノローグと流麗な映像で描く「聖杯たちの騎士」。タロットカートの“聖杯の騎士”にちなみ、物語は章立てで展開する。富と名声を得て享楽的な日々を過ごしながら、崩壊した家族や失った愛を思い、自分はどこで人生を間違ってしまったのか、本当に求めるものとは…と自問しながらさ迷う物語は、テレンス・マリック版の「甘い生活」のようだ。説明らしい説明はほとんどないが、まるで夢のような映像で描かれる抒情詩に、いつしか引きこまれる。ケイト・ブランシェット、ナタリー・ポートマンら、実力派女優が演じる6人の美女は、主人公リックを時に優しく包み、時に見放し、時に導く存在だ。だがリックの思いは満たされることはない。物質的な豊かさで満足できないのと同じように、一人の女性の愛では彼の心は決して満たされないのだ。日本庭園で不要なものは持たずシンプルな生き方を学んでも、教会で苦難は神が与えた愛だと諭されても、それは答えではない。聖杯のタロットカードが正位置と逆位置ではまったく意味が異なり無限の解釈が可能なのと同じように、リックが求める人生の真実もまた、明確な答えはなく、何かを求めてさ迷う心の旅こそが真実となるのだろう。大都会の喧噪、華やかなパーティ、荒々しい荒野、寄せては返す波と包み込むような海と空。撮影監督エマニュエル・ルベツキの、神業の境地に達したカメラワークに酔いしれる至福の映像体験だ。
【70点】
(原題「KNIGHT OF CUPS」)
(アメリカ/テレンス・マリック監督/クリスチャン・ベイル、ケイト・ブランシェット、ナタリー・ポートマン、他)
(映像美度:★★★★★)
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ジェーン

ジェーン [Blu-ray]
西部の荒野で、ジェーンは、夫ハムと娘の3人で穏やかに暮らしていた。だがハムが、悪名高いビショップ一家の首領ジョン・ビショップに撃たれて重症を負う。すべてを奪い去るまで執念深く追い続けるビショップの恐ろしさを知るジェーンは、瀕死の夫と愛する娘を守ろうと決意。すがる思いで、南北戦争の英雄でかつての恋人・ダンに助けを求める。迫る敵を前に、それぞれの過去、そして人生の真実が徐々に明らかになる中、ジェーンは運命に抗い、戦うことを決める…。

西部・ニューメキシコを舞台に、夫を撃った悪漢に戦いを挑む女性を描く西部劇「ジェーン」。過去の作品を見ても、西部劇での女性の活躍は限られるが、唯一、異彩を放つキャラは有名な実在の女傑カラミティ・ジェーンだ。その人と同じ名前を持つ本作のヒロインは、家族を守るために銃を持つ。主人公を演じるナタリー・ポートマンは、製作も務めているので、本作への思い入れは強いのだろう。だが演技や演出はすべて淡々としている。というのも復讐劇やアクションよりも、二人の男性の間で心が揺れる女性のメロドラマの割合が大きいのだ。これを受け入れられるかどうかで、本作の評価が分かれるだろうし、伝統的な西部劇を期待していると肩透かしをクラうはず。だが決して簡単ではなかった当時の女性の生き方や思いをすべて背負って、最後に悪に立ち向かう姿は、ご都合主義と思いつつも、やはり胸がすく。男優陣は演技派のイイ男が揃っているが、ユアン・マクレガーは悪役としては線が細すぎてちょっとミス・キャスト。派手でかっこいい西部劇というより、フェミニズム映画の色合いが濃いので、女性ファンも抵抗なく見られるだろう。
【50点】
(原題「JANE GOT A GUN」)
(アメリカ/ギャヴィン・オコナー監督/ナタリー・ポートマン、ユアン・マクレガー、ジョエル・エドガートン、他)
(フェミニズム度:★★★★☆)
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ジェーン|映画情報のぴあ映画生活

マイティ・ソー ダーク・ワールド

マイティ・ソー/ダーク・ワールドMovieNEXプラス3Dスチールブック:オンライン予約数量限定商品 [ブルーレイ3D+ブルーレイ+DVD+デジタルコピー(クラウド対応)+MovieNEXワールド] [Blu-ray]
北欧神話の神の子・ソーの戦いを描く人気アメコミ・シリーズの続編「マイティ・ソー ダーク・ワールド」。もはや主役はロキになりつつある。

アベンジャーズの激闘から1年。ソーは自分の世界アスガルドに戻るが、恋人ジェーンが住むロンドンで謎の重力異常が起こる。ジェーンは調査に当たるが、宇宙滅亡を導く鍵となる“ダーク・エルフ”のパワーを自らの身体に宿してしまう。愛するジェーンを救うため、ソーは彼女をアスガルドに連れていくが、ジェーンのパワーを狙う邪悪なダーク・エルフによってソーの家族や故郷までもが絶対絶命の危機となる。ソーはこの窮地に、アベンジャーズの宿敵だった弟ロキに助けを求めることになるのだが…。

「アベンジャーズ」のメンバーにはそれぞれ葛藤があるが、神の子ソーの抱える問題は兄弟の確執という古典的なものだ。本作では、太古の魔族ダーク・エルフと闘うため、宿敵であり、血のつながらない弟ロキと共闘することに。まさかの超党派の戦いなのだが、ロキは本当に信用できるのかというサスペンス的要素をはらみながら、ド派手なVFXでアスガルドとロンドンを破壊しまくる。このすさまじいブチ壊し描写はもはやあっけにとられて見るしかない。それはさておき、続編である本作を楽しむためには、前作の鑑賞は必至だが、それよりもアベンジャーズ・プロジェクトという壮大なドラマを堪能するためにも、この兄弟の物語は押さえておきたいところである。それにしても、トム・ヒドルストン演じるロキ、完全に主役を食う存在感と活躍ぶりだ。何をしでかすかわからない危険なキャラのロキの活躍が本作の軸となっているので、彼の壮絶な運命にはロキファンは心をわしづかみにされるはずだ。命をかけた戦いというわりには全体的に軽い作りなのが気にはなるが、見ている間は十分に楽しめる。エンドロールの後に重要なワンシーンがあるので、最後まで席を立たずに見届けてほしい。
【55点】
(原題「THOR: THE DARK WORLD」)
(アメリカ/アラン・テイラー監督/クリス・ヘムズワース、ナタリー・ポートマン、トム・ヒドルストン、他)
(破壊度:★★★★☆)
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マイティ・ソー/ダーク・ワールド@ぴあ映画生活

水曜日のエミリア

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不器用だが自分に正直に生きるヒロインの姿が好ましい佳作。ナタリー・ポートマンが複雑なキャラクターを静かに熱演している。

駆け出しの弁護士のエミリアは妻子ある上司ジャックと恋に落ちる。二人は結婚するが、エミリアには略奪女というレッテルが貼られてしまう。一方で、生まれたばかりの赤ん坊イザベルを突然死で亡くすという悲劇に見舞われ、深く傷付きながらも懸命に乗り越えようとするエミリアだったが、夫の連れ子で8歳のウィリアムはなかなか彼女に懐かない。前妻のキャロリンからは子育てについて文句を言われ、ついにはジャックとの間にも深い溝が出来ていく。実はエミリアには赤ん坊の死について秘密があった…。

離婚や再婚による再出発を描く映画は、70年代以降、アメリカで増え続けた。互いに歩み寄らねば新しい家族にはなれないことを学ぶには、大人も子供も等しく試練を受けねばならない。この映画の主人公エミリアは、美人でエリートで気が強い。彼女は継子で8歳のウィリアムから好かれていないことを知っているが、決して媚びたりせず、亡くなったイザベルのベビー用品をネットで売ろうというウィリアムの心ない言葉に率直に怒りをあらわにする。これだけで、この主人公が不器用で融通が効かない性格なのだと分かる。タイトルの水曜日とは、週のうち半分を一緒に過ごさねばならないウィリアムを学校に迎えに行く日で、エミリアにとっては少し気が重い日だ。仲良くしたいのに、方法が分からない。それは夫のジャックに対しても同じで、とうとうジャックから「君は愛する者に厳しすぎる」と言われてしまう。だが、それにはある理由があって…。家族間の葛藤やすれ違い、そして和解が描かれるが、この映画の秀逸なところは、ヒロインを安易に変化させないところだ。それは引いては、人間の欠点を許すという寛容にもつながっているように思う。欠点があっても、あくまでも自分自身であり続けるエミリアだからこそ、周囲は彼女の長所に初めて気付き、歩み寄って分かり合うことができたのだろう。秘密を抱えて傷付いたヒロインを、微妙な表情の変化で演じたナタリー・ポートマンの上手さが光る1本だ。
【65点】
(原題「LOVE AND OTHER IMPOSSIBLE PURSUITS THE OTHER WOMAN」)
(アメリカ/ドン・ルース監督/ナタリー・ポートマン、スコット・コーエン、チャーリー・ターハン、他)
(等身大度:★★★★☆)
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水曜日のエミリア@ぴあ映画生活

映画レビュー「ブラック・スワン」

ブラック・スワン (ナタリー・ポートマン 主演) [DVD]ブラック・スワン (ナタリー・ポートマン 主演) [DVD]
◆プチレビュー◆
バレリーナの狂気を描く心理劇はまるでサイコ・ホラー。ナタリー・ポートマンの入魂の演技が最高だ。 【85点】

 幼い頃からバレエ一筋に励んできた生真面目なニナは「白鳥の湖」の主役に抜擢されて喜ぶ。だが、純真で汚れのない白鳥は踊れても、狡猾でセクシーな黒鳥の踊りがつかめずに悩む。奔放で妖艶な新人バレリーナのリリーの存在もあり、ニナは次第に精神的に追いつめられていく…。

 これは心の迷宮に迷い込む物語だ。プリマに抜擢された内気なニナは、プレッシャーから狂気をはらんでいき、やがて悪の化身である黒鳥そのものになっていく。物語の途中では、皮膚や指先から血を流し、足首をねじるなど、痛い描写も満載。黒鳥とは、実はニナの深層心理だ。その証拠に、ニナは自分の分身さえ見てしまう。こうなるとほとんどホラー映画である。

 自分を支配する母親、過剰な要求をする芸術監督、主役の座を脅かす新人。何より役への苦悩。これらすべてに追いつめられるニナと同様に、観客も、現実と妄想の境界を見失う。スタジオや楽屋にある鏡が、無数のニナを具現化していく演出が効果的で素晴らしい。クライマックスの舞台では、文字通り、黒鳥と化すニナに、見ているこちらも鳥肌がたった。

 作品を支えるのは何と言っても9キロも減量し過酷なバレエのトレーニングに耐えて熱演したナタリー・ポートマンの存在だろう。たとえ汚れ役を演じてもどこか優等生のようなイメージだった彼女だからこそ、ニナ役がピタリとハマッた。オスカー受賞も納得の熱演で、本作が、この小柄な美人女優の代表作になるのは間違いない。

 同時にこの映画は、個性派監督アロノフスキーの代表作にもなろう。何かに取り憑かれ、ついに自分を見失う展開は、初期作品「パイ」や「レクイエム・フォー・ドリーム」と同じ軌道にある。そこに、役者の魅力を最大限に引き出した「レスラー」の演出力が加わったのが「ブラック・スワン」の迷宮世界なのだ。一歩間違えば陳腐になる心理サスペンスを、見事なエンタメ作品として仕上げたダーレン・アロノフスキー。今、最も目が離せない監督の一人である。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)狂気度:★★★★★

□2010年 アメリカ映画 原題「BLACK SWAN」
□監督:ダーレン・アロノフスキー
□出演:ナタリー・ポートマン、ヴァンサン・カッセル、ミラ・クニス、他




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ブラック・スワン@ぴあ映画生活

抱きたいカンケイ

抱きたいカンケイ スペシャル・エディション  [DVD]抱きたいカンケイ スペシャル・エディション [DVD]
契約社会のアメリカらしいラブコメディーだが、働く女性のライフスタイルの多様性を感じる作品だった。とはいえ、内容は軽い恋愛もの。お約束のハッピーエンドで安心できる。

多忙な医師のエマは、ある日、勢いで、長年の男友達であるアダムと愛もないのにベッドを共にしてしまう。恋愛不信に陥っていたアダムと、煩わしい恋のかけひきなど無用と考えるエマは、必要な時だけメールで相手を呼び出し、嫉妬や束縛など一切ナシのセックス・フレンドになろうと提案する。情熱的で刺激的な体だけの関係はストレスとは無縁で、最初はうまくいっていた。だがやがて二人には微妙な感情の変化が芽生えてくる…。

肉欲を堂々と肯定し、人との関わりをドライに割り切る現代人。体と心の両方をコントロールしているつもりでも、人間の感情はそう単純にはいかないものだ。ともに過ごす親密な時間が価値観と心情の両方を揺さぶってくる。本作では、金銭がからまない肉体関係が、やはり恋愛は煩わしいことも含めて特定の相手と強く影響しあうものなのだという、オーソドックスな答えを導きだす。どこか優等生的なイメージのナタリー・ポートマンが、知的だが不器用な美女を好演すれば、どうしても相手に優しくしてしまう、人のいい青年を演じるアシュトン・カッチャーも適役。自ら決めたルールに振り回された挙句、愛情に気付く瞬間に、観客は「最初から素直になればいいものを…」と思いながらも、回り道した恋人たちにエールを送りたくなるだろう。
【50点】
(原題「NO STRINGS ATTACHED」)
(アメリカ/アイヴァン・ライトマン監督/ナタリー・ポートマン、アシュトン・カッチャー、ケヴィン・クライン、他)
(割り切り度:★★★☆☆)
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抱きたいカンケイ@ぴあ映画生活

マイ・ブラザー

マイ・ブラザー [DVD]マイ・ブラザー [DVD]
戦争がもたらす癒えない傷と、兵士を支える家族という普遍的なテーマを扱う人間ドラマである。米軍海兵隊の大尉サムは学生時代から優秀な青年だ。一方、サムの弟のトミーは問題ばかりおこし、今も刑務所に服役中。だが兄弟はとても仲が良かった。弟の出所と入れ替わるように兄はアフガニスタンに旅立つが、ある時、サムの訃報が妻グレースのもとに届く。絶望の淵に沈むグレースと二人の幼い娘たちを支えたのは、厄介者だったはずのトミーだった。グレースとトミーの距離が確実に縮まったその時、死んだはずのサムが生還する。グレースは喜ぶが、戻ってきたサムは驚くほど別人になっていた…。

優しかったサムの身にいったい何が起こったのか。その謎がストーリーを引っ張るが、本作はリメイクなので、オリジナルのデンマーク映画「ある愛の風景」を既見の人は、戦場でサムに起きた衝撃的な事件を分かった上で見ることになる。だがそれでもなお、この物語が胸を打つのは、今も兵士を戦場に送り続けるアメリカの現実があるからだ。本作はオリジナルよりも、すさまじい体験を経たサムと家族が、本当の絆を見出すホームドラマの要素に重点を置いている。疎遠だった弟が不在の兄の“存在”を通して、父の愛を知り、義姉へのほのかな想いを募らせるのは責められないことだ。映画は、戦争や戦場を直接的に描かないことで、悲劇はどんな人間にも起こりうると感じさせる。と同時に、どれほどのダメージからも生まれ出る希望があり、必ず帰る場所があるのだと、ジム・シェリダンは訴えているのだ。ハリウッドの若手実力派俳優が演じることで、兵士のPTSDと戦場の狂気、兵士だけでなく銃後の家族にまで波及する悲劇を改めて多くの人々が知るだろう。抑圧された狂気を演じるトビー・マグワイアが上手さを見せるが、ナタリー・ポートマンの硬質な表情は、いつ訃報を聞くかもしれないとおびえながら気丈に家庭を守る兵士の妻役にフィットしていた。
【60点】
(原題「BROTHERS」)
(アメリカ/ジム・シェリダン監督/トビー・マグワイア、ジェイク・ギレンホール、ナタリー・ポートマン、他)
(反戦映画度:★★★★☆)

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ニューヨーク,アイラブユー

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「パリ、ジュテーム」のNY版であるアンサンブル・ムービーは、豪華キャストと気の利いたオチがおしゃれだ。大勢の人々が暮らし、夢を追う大都会ニューヨーク。そこには無数の出会いが生まれる。すれ違いの恋、痛みを伴う愛、忘れられない恋に永遠に続く愛。さまざまな物語を、世界各国から集まった監督たちが独創的なタッチで描いていく。

さまざまな愛の形を描くスケッチブックのような群像劇だが、舞台となるセントラルパークやブルックリン、チャイナタウンなど、ちょっとしたNY観光気分が味わえる。いかにもNYというところは、ユダヤ、中国、インドなど多くの人種が登場すること。夢と成功というイメージのNYを、人とのつながりを何よりの宝物として描くところに、9.11以降の意識の変化が見てとれる。タクシーで移動しながら撮影するビデオアーティストを媒介とし、物語同士が自然につながっていく構成になっているのが上手い。

日本からは岩井俊二監督が参加していて、これがなかなかの好編なのがうれしい。アニメ映画に音楽を付ける若い作曲家のデイビッドは、顔も知らない監督アシスタントの女性カミーユと電話で話すうちに、彼女と不思議な絆を育んでいく。携帯電話やパソコンなどテクノロジーに手助けされた出会いが、やがて本当の愛へと変わる予感を感じさせ、新鮮だった。2人がドアを開けて出会う瞬間が何とも素晴らしい。女性の心を盗んでしまうスリの青年や、ホテルのボーイと元オペラ歌手の時を超えた不思議な愛など、さまざまなパターンの愛の物語から、きっとお気に入りの1本がみつかるはずだ。ただ、アンサンブル・ムービーの欠点は物足りなさが漂うことと出来栄えにばらつきがあること。何よりこのテの企画そのものが最近氾濫しずぎている気がする。それでも、豪華キャスト、豪華監督がごく短い時間で知恵を絞る小品を見るのは楽しい。NYの空気を感じながら、短編小説を味わう感覚で、気軽に楽しみたい。
【65点】
(原題「NEW YORK,I LOVE YOU」)
(アメリカ/ファティ・アキン、イヴァン・アタル、アレン・ヒューズ、岩井俊二、ジョシュア・マーストン、シェカール・カプール、ミーラー・ナーイル、ナタリー・ポートマン、ブレット・ラトナー、チアン・ウェン監督/オーランド・ブルーム、クリスティーナ・リッチ、ナタリー・ポートマン、他)
(豪華キャスト度:★★★★★)

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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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