映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
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(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる映画 ◎
「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」「ユダヤ人を救った動物園」etc.

ナ・ホンジン

哭声/コクソン



警察官のジョングが妻子と暮らすのどかな田舎の村に、得体のしれないよそ者が住み着く。山の中に住むその男が何者かは誰も知らなかった。男について様々な噂が飛び交う中、村人が自身の家族を惨殺する事件が多発する。犯人の村人たちには、虚ろな目と湿疹でただれた肌をして、言葉を発することもできない放心状態で現場にいるという共通点があった。ジョングは事件の捜査を担当するが、ある日、自分の幼い娘ヒョジンに同じ湿疹をみつける。ジョングは娘を救うためによそ者を追い詰めるが、そのことがさらなる混乱を招いていく…。

平和な村で起る連続猟奇殺人事件が予想もできない事態を招く骨太なサスペンス・スリラー「哭声/コクソン」。上映時間156分の長尺だが、まったく長さを感じない。映画は、閉塞的なコミュニティーで発生した事件を巡るサスペンスで始まり、噂と疑心暗鬼の心理劇へ向かう。その後、血まみれの惨殺事件は猟奇殺人あるいはゾンビものに変化。さらに祈祷師の登場でエクソシストばりのオカルトへと舵を切る。時折挿入されるドライな笑いも絶妙だ。もはやジャンルという枠からは完全に離脱しつつ、根底には映画冒頭で引用される聖書の言葉の通り“信じるとはどういうことなのか”という命題を常につきつける。「あなたが見ているものは、本当に真実か?」。この言葉があまりに不穏に響くのは、よそ者を怪演する日本のベテラン俳優・國村隼の狂気の熱演によるところが大きい。山中を転げまわり、滝に打たれ、異様な儀式に身を投じる。決して若くはないこの演技派の、身体をはったアクションと役者魂に感動を覚えるだろう。ナ・ホンジン監督は「チェイサー」や「哀しき獣」でも凄惨な暴力や不条理を通して、非情な現実を描いてきたが、本作での底知れない不気味さはもはや別次元だ。結末はぜひ劇場で確かめてほしいが、得体の知れない恐怖に背筋が凍る。祈祷シーンのワンカットでの長回し、ポツンと街灯がついた村道の光と影の対比など、映像的にも見所が多い。観る者をわしづかみにする超ド級の怪作だ。
【75点】
(原題「THE WAILING」)
(韓国/ナ・ホンジン監督/クァク・ドウォン、ファン・ジョンミン、國村隼、他)
(疑心暗鬼度:★★★★☆)
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哭声/コクソン|映画情報のぴあ映画生活

哀しき獣

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スピード感あふれるコリアン・ノワールの秀作「哀しき獣」。激しいカーチェイスはハリウッドも凌駕する迫力だ。

グナムは中国領の延辺朝鮮族自治州のタクシー運転手。多額の借金を背負った上、妻は韓国に出稼ぎに行ったきり音信不通。孤独でどん底の生活を送っていた。そんな時、殺人請負業者のミョンが、韓国に行って、ある男を殺せば借金を帳消しにしてやると取引を持ちかける。グナムは悩んだ末にその危険な仕事を引き受けるが、韓国に密入国した彼を待ち受けていたのは、深奥な闇の世界だった…。

「チェイサー」のナ・ホンジン監督の新作は、前作以上の情け容赦ない内容だ。韓国映画らしい過激なフィルム・ノワールだが、スピード感たっぷりの活劇として、140分の長尺をグイグイ引っ張っていく。何しろ、グナムが韓国で見る闇社会の地獄は、ハンパではなく、グナム自身が獣のように生きねばならないのだ。事の発端である大学教授殺害がいったい何のためだったのかという謎はむしろ脇に追いやられてしまっている感があるが、罠にハメられたグナムを追うミョンの無軌道な狂気と、動物的な生存本能で逃げまくるグナムとの死闘は、元の殺人の存在さえ忘れさせる。50台以上の車両を使ったカーチェイスや、ナタや鈍器を多用した激しい暴力描写でスクリーンはスプラッタ状態に。この過激で過剰なバイオレンスシーンがあるからこそ、ラストの哀切と静寂が効いてくる。アクションシーンの“動”と、妻の肌の温もりを思う“静”の対比も見事。何より、ハ・ジョンウとキム・ユンスクの“チェイサー”コンビの荒々しい面構えがいい。主人公のグナムが密航船で越えるのが黄海。この海の名前が原題で、邦題は全く違うのだが、これが、久しぶりに上手い邦題で、見終わるとそのセンスに唸る。
【80点】
(原題「黄海/The Yellow Sea」)
(韓国/ナ・ホンジン監督/ハ・ジョンウ、キム・ユンスク、チョ・ソンハ、他)
(ノワール度:★★★★★)
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哀しき獣 THE YELLOW SEA@ぴあ映画生活

チェイサー

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怖いほど閉塞感を感じるクライム・サスペンスの秀作だ。韓国で実際に起こった猟奇殺人事件をベースにしているこの物語は、元刑事でデリヘルを経営するジュンホが、良心のかけらもない猟奇殺人鬼を追い続ける追走劇。詰めが甘い警察、頼りにならない法律、犯人の底知れぬ心の闇と、どれをとっても脚本に無駄がない。

韓国映画特有の過剰な暴力描写にはマイるが、犯人に翻弄される主人公の焦燥がヒリヒリするほど伝わってきて目が離せない。囚われた女性が携帯に残した伝言が、恨みごとではなく「この仕事はもう辞める。怖くてたまらない」と絶望感に満ちているのが、安易なヒューマニズムを拒否し、悪意に満ちた社会の闇の存在を感じさせる。こんな秀作でデビューする映画人がいるのだから、韓国映画のポテンシャルの高さは疑いのないところだ。
【75点】
(原題「追撃者/THE CHASER」)
(韓国/ナ・ホンジン監督/キム・ユンソク、ハ・ジョンウ、ソ・ヨンヒ、他)
(犯人が憎い!度:★★★★★)

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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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