映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる映画 ◎
「フィフティ・シェイズ・ダーカー」「ハクソー・リッジ」「結婚」「ありがとう、トニ・エルドマン」etc.

ハリソン・フォード

スター・ウォーズ/フォースの覚醒

スター・ウォーズ/フォースの覚醒 MovieNEX(初回限定版) [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー(クラウド対応)+MovieNEXワールド] [Blu-ray]
映画ファンのみならず、全世界を巻き込んだ一大エンタテインメントの様相を呈している「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」、エピソード7。A long time ago…で始まるテロップとおなじみの音楽が鳴り響けば、否が応でも胸が高まる。エピソード6から30年後の殺伐とした世界で、孤独なヒロインのレイと敵方の脱走兵士フィンを新キャラに、旧作の主要キャラクター、ハン・ソロ、レイア、チューバッカらがからんで、新たな物語が描かれる。ストーリーはあえて書かない(…というか明かすことは禁じられている)が、何しろ、今、現在の最高の技術を駆使して、映画史でも最も有名で人気の作品の新シリーズを紡ぐことは、決して簡単ではなかったはず。だが、「スター・ウォーズ」ファンを公言するJ・J・エイブラムス監督は見事にやってのけた。

「スター・ウォーズ」の物語のエッセンスは、善と悪の対立や、スピース・オペラ的活劇の楽しさなど。中でもドラマで重要なのは、親子関係だ。本作でももちろんそれは、悪役カイロ・レンを動揺させる要素として登場する。新ヒロインのレイにしてもいなくなってしまった家族を待っているという設定。ただ、レイの背景に関しては、まだまだ謎が多い。これは、今後、新シリーズの中で明かされていくのだろう。

一方で、悪の軍事組織(ファースト・オーダー)も、それに対抗するレジスタンス軍も、ともに探すのは、行方が分からない伝説のジェダイであるルーク・スカイウォーカー。レイやフィンにとっては、ジェダイやフォースの力は、すでに伝説としてしか認識されていない。この神話的感覚が、本作で初めて「スター・ウォーズ」に触れる若いファンの持つイメージと重なっているのがうまい。

いずれにしてもSF活劇の楽しさが十二分につまった極上のエンタテインメントだ。エピソード8と9の公開にはもう少し時間が必要だが、今からたまらなく待ち遠しい。
【85点】
(原題「STAR WARS: THE FORCE AWAKENS」)
(アメリカ/J・J・エイブラムス監督/ハリソン・フォード、キャリー・フィッシャー、アダム・ドライバー、他)
(興奮度:★★★★★)
チケットぴあ

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ←ランキング参加中です!

人気ブログランキング←この記事が気に入ったらポチッとクリックお願いします(^o^)
スター・ウォーズ/フォースの覚醒@ぴあ映画生活

アデライン、100年目の恋

アデライン、100年目の恋 [Blu-ray]
事故に遭い落雷によって老化が止まってしまったアデラインは、29歳のままずっと孤独に生きてきた。現代のサンフランシスコで、ジェニーと名前を変えて市立資料館に勤務し、老犬と共に隠れるように暮らす彼女だったが、年越しパーティーで出会った青年エリスと恋に落ちる。エリスの両親に紹介されると初対面のはずの彼の父ウィリアムが驚いて「アデライン」と呼びかける。ウィリアムとアデラインはかつて真剣に愛し合った恋人同士だった…。

不老不死になってしまった女性の数奇な運命を描くラブ・ストーリー「アデライン、100年目の恋」は、大ヒットTVシリーズの「ゴシップガール」で人気スターになったブレイク・ライヴリーが主人公を演じる。この人は、映画ではいまひとつパッとしなかったのだが、本作では実に優雅なたたずまいで不思議な運命を生きる主人公を演じていて好感度が高い。不老不死といっても生まれつきではなく、低体温症により心臓が止まったその瞬間に車に雷が落ちて蘇生、電磁圧縮作用で老化が止まるという、なんとなく納得してしまう理由がついている。科学的検証はさておき、そんな運命になってしまってはフツーの生活を到底ムリだ。世間や記録から逃れるように生きるアデラインは、時に国家から追われたりもしながら、20世紀を駆け抜ける。これがさりげなく、フェミニズムの歴史にもなっているのは、なかなか上手い演出だが、何しろあまりに美しいアデラインを世間がほっておいてはくれないのだ。真実の愛に巡りあった彼女がどういう運命を受け入れるかは映画を見てもらうとして、ブレイク・ライブラリーが着こなす、1900年代から現代までのトップファッションが美しく、映画の大きな見どころになっている。美しさと品格があるので、“あり得ない”系ファンタジー・ロマンスも、いつのまにかクラシックな恋愛物語の雰囲気を漂わせ、見入ってしまった。
【60点】
(原題「THE AGE OF ADALINE」)
(アメリカ/リー・トランド・クリーガー監督/ブレイク・ライヴリー、マイケル・ユイスマン、ハリソン・フォード、他)
(クラシック度:★★★★☆)
チケットぴあ

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ←ランキング参加中です!

人気ブログランキング←この記事が気に入ったらポチッとクリックお願いします(^o^)
アデライン、100年目の恋@ぴあ映画生活

エクスペンダブルズ3 ワールドミッション

エクスペンダブルズ3 ワールドミッション [Blu-ray]
消耗品軍団が最強の敵と対峙する人気アクションシリーズ「エクスペンダブルズ3 ワールドミッション」。ついに世代交代か?!と思ったら、まだまだ健在のオヤジ祭りだった。

最強の傭兵軍団エクスペンダブルズを率いるバーニー・ロスは、CIAの作戦担当ドラマーから、かつてバーニーと共にエクスペンダブルズを結成した仲間で、現在は悪に染まった組織の大物・ストーンバンクスを捕獲せよという命令を受ける。世界各地で攻防を繰り返すが、ストーンバンクスの強大な力を思い知らされたバーニーは、もう決して若くはない仲間たちの身を案じ、チームを解散。新たに若いメンバーを募って任務を遂行しようとするが…。

回を重ねるごとに、アクション・スターが増え、それに比例するかのように、展開がユルくなるこのシリーズだが、今回は、原点回帰とばかりにアクション度が増している。かつての仲間で最強の敵と対峙することになるバーニーらは、NY、モスクワ、ブカレスト、メキシコ、アフリカなどワールドワイドに駆け回る。さらに、肉弾戦に銃撃戦、列車暴走、ビル爆破、軍用ヘリや戦車まで登場し、やりたい放題だ。今回新たに参戦した、ハリソン・フォードは、本人のアクションはほとんどないし、メル・ギブソンにウェズリー・スナイプスは、問題アリの私生活を思わせる暴れっぷり。若手には何と女性キャラもいるのだ。リアル? そんなものは知らないとばかりの、スタローンの“荒唐無稽”愛は計り知れない。物語は若手のメンバーとベテランメンバーが協力して戦うというテッパンの作り。だが肉体勝負のアクション俳優にとって、老いというのはかなりシリアスな問題なので、この点を見据えたストーリーは、なかなかシビアともいえるのだ。もちろん、コ難しいことを考える必要は、まったくない。オヤジ・パワー全開で突っ走る娯楽作、次は誰が加わるのか?と考えるだけで楽しくなる。例によって、見終わって何も残らないが、それこそが消耗品のイイところだろう。
【60点】
(原題「EXPENDABLES3」)
(アメリカ/パトリック・ヒューズ監督/シルベスター・スタローン、ハリソン・フォード、メル・ギブソン、他)
(ますます豪華キャスト度:★★★★☆)
チケットぴあ

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ←ランキング参加中です!

人気ブログランキング←この記事が気に入ったらポチッとクリックお願いします(^o^)
エクスペンダブルズ3 ワールドミッション@ぴあ映画生活

エンダーのゲーム

エンダーのゲーム ブルーレイ+DVDセット [Blu-ray]
“セカイ系”サブカルチャーに多大な影響を与えた原作を映画化したSFドラマ「エンダーのゲーム」。高度なVFXビジュアルに圧倒されるが物語は駆け足。

近未来。昆虫型異星生命体フォーミックの襲撃により大打撃を受けた人類は、敵の再襲に備えて、世界中から優れた少年兵士たちを集めて司令官育成教育を施していた。訓練長官のグラッフ大佐は、抜群の成績を残した少年エンダーこそが戦争を終結させることができると確信し、幼いながらも総司令官として抜擢する。エンダーは少年戦士の指揮官としていつ終わるともしれない訓練を積み、ついに最終試験に臨むことになるが、そこには恐ろしい事実が隠されていた…。

「エヴァンゲリオン」や「ガンダム」などの日本のサブカルチャーに多大な影響を与えたといわれるオースン・スコット・カードの同名ベストセラー小説の実写映画化だが、原作は1985年に出版されたそうだ。この物語の世界を映像化するには、ようやく今、技術が追いついたというところだろうか。人口調整で2人までしか子どもを設けられない中、特別な許可を受けサード(3番目)の子として生まれた主人公は、その出自からして特別な存在である。過酷な訓練でも抜群の成績を残し、誰も見たことがない戦法で戦う彼は、その優秀さゆえに周囲から孤立する孤独なエリートだ。戦争を終わらせる使命を背負った選ばれし存在のエンダーだが、実は戦うことを望んでおらず、敵とはいえ多くの生命を奪う戦争に疑問を持ち苦悩している。原作は未読なのだが、おそらくこの映画で描かれているのはダイジェスト版のように表層的なものだろう。エンダーの複雑な家庭環境や、戦うことへの葛藤を深く掘り下げるには明らかに時間が足りない。何しろ、あきれるほど気合の入ったビジュアルで、ゲーム感覚の実践訓練が繰り返し描かれ、ついにクライマックスの最終試験へとつながる展開は、駆け足にならざるを得ないのだ。幼い少年たちに重過ぎる使命を与え、彼らに世界を救えと命じる大人の姿は、理不尽な戦争を繰り返す人類の愚かさへの警鐘に思える。主人公を演じるエイサ・バターフィールドの幼い顔立ちながらクールなたたずまいがいい。ラストの彼の決意は物語はまだ終わっていないことを示し、次への期待を抱かせてくれた。
【65点】
(原題「ENDER'S GAME」)
(アメリカ/ギャヴィン・フッド監督/エイサ・バターフィールド、ハリソン・フォード、ベン・キングズレー、他)
(冒険心度:★★★★☆)
チケットぴあ

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ←ランキング参加中です!

人気ブログランキング←この記事が気に入ったらポチッとクリックお願いします(^o^)

エンダーのゲーム@ぴあ映画生活

42 世界を変えた男

42 ~世界を変えた男~ブルーレイ&DVDセット(初回限定生産)
黒人初のメジャーリーガーとなったジャッキー・ロビンソンの伝記映画「42 世界を変えた男」。主人公の尊い精神に心から感動する。

1945年、アフリカ系アメリカ人のジャッキー・ロビンソンは、ブルックリン・ドジャースの会長ブランチ・リッキーに見いだされ、契約を交わす。2年後の1947年に、ジャッキーは、メジャーリーグ史上初の黒人メジャーリーガーとしてドジャースの本拠地エベッツフィールドに立つ。だが当時は人種差別が激しく、ジャッキーはチームメイトや、他チームの選手、監督、審判はもとより、マスコミや民衆からも糾弾される。壮絶な逆風の中、会長のリッキーや妻レイチェル、黒人記者スミスらの支えで、黙々と素晴らしいプレーを続けるジャッキーの姿に、周囲は次第に心を動かされ、野球界、そして世界を変えていくことになる…。

今や日本人選手も大活躍するアメリカのメジャーリーグ。非白人系選手がのびのびとプレーできるのも、すべてはこの映画の主人公ジャッキー・ロビンソンのおかげといっても過言ではない。バスやトイレ、映画館などの公共の場で、白人と非白人が別々に分けられるという人種差別が公然と横行していた時代、野球界もまた例外ではなかったのだ。最初の、そしてただ一人の黒人選手だったジャッキーは、いやがらせやおどしなど、すさまじい差別や偏見と戦うことになる。会長のリッキーはジャッキーに「偉大なプレイヤーであると同時に紳士であれ、仕返ししない勇気を持て」と説き、ジャッキーはそれを黙々と勇気を持って実行するのだ。このじっと耐える姿が神々しく、彼の精神力の強さには感服してしまう。ついに我慢の限界に達したときでさえ、リッキー会長の言葉に再び冷静さを取り戻すシーンは、胸が熱くなるが、チームメイトがジャキーを認め、かばうシーンにはさらなる感動がこみ上げた。チャドウィック・ボーズマンが才能あふれる若きジャッキー・ロビンソンを好演するが、会長を演じるベテランのハリソン・フォードのおおらかで気高い演技が味がある。名作「L. A. コンフィデンシャル」「ミスティック・リバー」などで知られる名脚本家のブライアン・ヘルゲランドがメガホンを取るが、ジャッキー・ロビンソンの全人生をなぞるのではなく、メジャーリーグデビューから、チームメイトに認められるまでの最もディープな時期に絞って描くので、締まったドラマになっている。野球好きはもちろんのこと、何か新しいことにトライし改革を志す人には必見の1本だ。
【70点】
(原題「42」)
(アメリカ/ブライアン・ヘルゲランド監督/チャドウィック・ボーズマン、ハリソン・フォード、ニコール・ベハーリー、他)
(感動度:★★★★☆)
チケットぴあ

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ←ランキング参加中です!

人気ブログランキング←この記事が気に入ったらポチッとクリックお願いします(^o^)

42〜世界を変えた男〜@ぴあ映画生活

カウボーイ&エイリアン

カウボーイ&エイリアン 未体験ロング・バージョン ブルーレイ+DVDセット [Blu-ray]カウボーイ&エイリアン 未体験ロング・バージョン ブルーレイ+DVDセット [Blu-ray]
クチコミを見る
ジェームズ・ボンドとインディ・ジョーンズが共に闘う、荒唐無稽な珍作「カウボーイ&エイリアン」。西部劇とSFをドッキングさせるなど、どうみてもコメディの設定なのに、ひたすらシリアスにキメようとするのが理解できない。

19世紀のアメリカ、アリゾナ州。記憶を失くした男が荒野で目覚める。自分が誰なのかも判らないこの男の手首には見たこともない奇妙な腕輪が。西部の町へたどりついた男は、その町が有力者ダラーハイドの支配下にあり、よそ者を歓迎しないことを知る。そんな時、偶然入ったバーで、出会ったばかりの美女が話しかけてきた。「あなた、何も覚えてないの?」。どうやらお尋ね者らしい彼を連邦保安官が逮捕しようとしたその時、夜空にまばゆい光を放つ未知の飛行物体が現れて、人間を襲い始める…。

原作は、伝説の同名グラフィック・ノベル。記憶喪失の男とダラーハイドには、敵対する理由もさしてないのだが、町の支配者がよそ者を極端に嫌うのは西部劇の御約束である。だが、想像を超える敵が出現した時、彼らはあっという間に味方同士になってしまう。謎の腕輪はトンデモない破壊力で、未知なる強敵に立ち向かえる武器はどうやらこれしかないのだから、手を組むしかないのだが、このあまりのお手軽な展開は、エイリアンもびっくりだろう。終いにはネイティヴアメリカンや強盗団までもが共闘する図は、まさに超党派。これほどワクワクする活劇的内容はめったにないというのに、この映画には笑いがひとかけらもないから残念でならない。「ワイルド・ワイルド・ウエスト」風に笑わせてほしかったのだが、苦虫を噛み潰したようなクレイグと、インディの軽妙さを封印されたフォードではそれも無理だ。しかもフォードは、最初は悪役のように登場するくせに、すぐにバカ息子を溺愛する好々爺のようになるだらしなさで、力が抜ける。いろいろと文句を並べてみたが、それでも19世紀の西部の町にエイリアンが襲撃し、カウボーイたちが空に向かって銃をブッ放すビジュアルは、デタラメな痛快さがある。無駄に豪華な製作陣も何やら愉快だ。謎の美女のオドロキの正体や、エイリアンの思惑など、ツッコミどころは多々あれど、見たことがないはずの開拓時代の西部と、見たことがないはずのエイリアンがドッキングすると、ハリウッドのエンタメ精神という既視感を生むのだから、映画とは本当に不思議なメディアだ。
【55点】
(原題「Cowboys & Aliens」)
(アメリカ/ジョン・ファヴロー監督/ダニエル・クレイグ、ハリソン・フォード、オリヴィア・ワイルド、他)
(荒唐無稽度:★★★★★)



にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ←ランキング参加中です!

人気ブログランキング←この記事が気に入ったらポチッとクリックお願いします(^o^)

カウボーイ&エイリアン@ぴあ映画生活

恋とニュースのつくり方

恋とニュースのつくり方 [DVD]恋とニュースのつくり方 [DVD]
アメリカのTV業界は日本のそれと比べて数倍も厳しい世界のようだが、これはそんな華やかな世界での活躍を夢見る多くの女性へ向けたポジティブな応援映画だ。ほとんどファンタジーに近いのだが、主演のレイチェル・マクアダムスの好感度の高さが映画を救っている。ローカル局をクビになったプロデューサーのベッキーは、憧れのNYで朝番組のプロデューサーに採用される。だがその番組は局から見放された超低視聴率番組。ベッキーは番組を立て直すべく、大御所キャスターのマイクを口説き落とすことに成功する。同僚のアダムと恋に落ち、多忙ながら充実した日々が始まったかに思えた矢先、上司から視聴率を上げないと番組は打ちきると通告されてしまう…。

TV業界を描いた作品は、シリアスな社会派ドラマと、コメディ・タッチのものに2分される。本作は明らかに後者。プライドばかり高い伝説のアンカーマンのマイクのわがままや、元ミスコン女王のベテラン女性パーソナリティのコリーンのお局様的ふるまい、お騒がせなスタッフたちとのやりとりでてんてこまいしながらも、持ち前の明るさとポジティヴ思考で道を切り開くベッキーはエネルギーの塊のようだ。同僚で皆の憧れの的のアダムとの恋愛が、物語上、毒にも薬にもならない内容なのが少々惜しいが、ベッキーときたら、尋常ではないほどワーカホリックで、アダムと甘い時間を過ごしていても、自分の番組のことが頭から離れない仕事人間なのだ。これでは、恋愛が二の次になるのはやむを得ない。そんな彼女が、トラブルを乗り越えてやがて番組を立て直し、スタッフ・チームと絆を深める後半の展開は、まさにウェルメイド。類型的ではあるが、あくまでも自分が手掛ける番組を愛する仕事人間としての彼女をカラリと描いた結末は、ヘタに説教めいたところがない分、すがすがしい。もっともトントン拍子に物事が運ぶところは、シビアなTV業界のおとぎ話に過ぎないが。しかしハリソン・フォードはずいぶん老けた。苦虫を噛み潰したような、気難しい役がお似合いなのだが、大スターの彼はカメオ出演程度におさえて、恋人アダムとのパートをふくらませるなり、ベッキーが悩みを相談できる友人を登場させるなどすれば、より親近感を持てるドラマになっただろう。テンションが高く一途なヒロインは驚くほど打たれ強い。頭が良くて美人であることも必要だが、決してメゲないことこそアメリカで成功する必須条件なのだと実感した。
【55点】
(原題「MORNING GLORY」)
(アメリカ/ロジャー・ミッシェル監督/レイチェル・マクアダムス、ハリソン・フォード、ダイアン・キートン、他)
(前向き度:★★★★☆)

人気ブログランキン  グ←この記事が気に入ったらポチッとクリックお願いします(^o^)

小さな命が呼ぶとき

小さな命が呼ぶとき [DVD]小さな命が呼ぶとき [DVD]
いわゆる難病ものの実話だが、子供の命を救うという目的のため、数々の障害をクリアしていく主人公の現実主義に感服する。エリート・ビジネスマンのジョンには、筋力が低下していく難病・ポンペ病に冒された2人の幼い子供がいた。平均寿命9年といわれるこの病に治療薬はない。あきらめきれないジョンは、ポンペ病の権威のストーンヒル博士の研究に着目。やがて二人は共同で製薬会社を立ち上げるが、彼らの前には多くの困難が待ち受けていた…。

難病の子供の治療薬がないと知ってもあきらめず、新薬を作ろうとするその姿は、同じく実話の映画化「ロレンツォのオイル/命の詩」を彷彿とさせる。ジョン・クラウリーのすごいところは、自分で薬こそ作らないものの、製薬会社を立ち上げた後の柔軟なスタンスにある。自分の待遇や経済的な不利益などいっさい目もくれず、薬の開発のためならどんな犠牲もいとわない。会社はすぐに大手製薬会社に買収され、そこでのジョンの待遇は博士の添え物というプライドを傷つけられるもの。だが、彼はその冷遇に耐えながら自分ができるプロモーションなどで上層部の意識改革をやってのける。ずっと一緒に頑張ってきた頑固者の博士と袂を分かつのも、なんとしても子供を救いたい一心だ。彼の懸命な思いが、頭は硬いが根は優しい博士に伝わったからこそ、起死回生のアイデアが生まれてくる。利益やメンツばかり優先する製薬会社の役員に見事な方法で“三行半”を叩きつける場面は、胸がすく思いだった。

ジョンの行動には、ある意味、自分の子さえ助かればいいとのエゴイズムもあっただろう。だが、ジョンと博士の二人三脚の頑張りは、極めて極私的な目標が、結果として普遍的な利益へとつながる好例に思える。子供たちの明るい笑顔が印象的で、難病や車椅子生活にいじけることなく、かけっこしたりパーティを楽しんだり、生を謳歌している姿がいい。時に生意気なセリフを吐くところも逆に可愛い。絶対にあきらめず自分のことは自分でなんとかする“自立自助”こそが、アメリカ人の最も尊い精神だ。いい意味でアメリカらしい物語である。
【60点】
(原題「EXTRAORDINARY MEASURES」)
(アメリカ/トム・ヴォーン監督/ハリソン・フォード、ブレンダン・フレイザー、ケリー・ラッセル、他)
(ネバーギブアップ度:★★★★★)


にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ←ランキング参加中です!


人気ブログランキン  グ←この記事が気に入ったらポチッとクリックお願いします(^o^)
小さな命が呼ぶとき@ぴあ映画生活

正義のゆくえ I.C.E.特別捜査官

正義のゆくえ I.C.E.特別捜査官 [DVD]正義のゆくえ I.C.E.特別捜査官 [DVD]
9.11以降、米国の移民を描く作品には強い問題意識がある。そこには自由の国であるための不自由があり、移民で構成された国ゆえの苦悩が見えるかのようだ。LA移民局のベテラン捜査官マックスは、不法滞在の移民たちを取り締まる立場だが、彼らの境遇に同情的だった。そんな中、マックスの同僚で、イラン系アメリカ人ハミードの妹が殺され、遺品の中から偽造グリーンカードが見つかる。同僚がからむ秘密を感じたマックスは、独自に捜査を始める。

アメリカの移民制度は複雑で、分かりにくい。近年ではテロを恐れるあまり不寛容に陥ったアメリカを危惧する作品が多いが、この映画で描かれるのは、グリーンカードを手にしてアメリカに留まる者も、強制的に出国させられる者も、実態は紙一重だという危うさだ。不法就労者、女優志願、永住権を望む一家、孤児などの事情が描かれるが、今のアメリカは彼らに対して固く扉を閉ざした状態で、偶然開いたわずかな隙間から中に入るしか方法はない。中でも9.11テロの首謀者についてレポートを書いたイスラム教徒の少女がたどる運命は、考えさせられる。危険人物とみなされれば、個人や家族の幸せは国が考える正義の前で無残に踏み潰されていく。それを象徴するのが、国境という見えない線なのだ。ハリソン・フォードはすっかり老け込んでしまったが、正義と職務の間で苦悩する主人公を誠実に演じている。
【70点】
(原題「CROSSING OVER」)
(アメリカ/ウェイン・クラマー監督/ハリソン・フォード、アシュレイ・ジャッド、ジム・スタージェス、他)
(社会派度:★★★★☆)

人気ブログランキング←この記事が気に入ったらポチッとクリックお願いします(^o^)

映画レビュー「インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国」

インディ・ジョーンズ/ クリスタル・スカルの王国 スペシャルコレクターズ・エディション 【2枚組】
◆プチレビュー◆
これぞ冒険活劇ムービー。19年ぶりの最新作には懐かしい顔と新しい顔が見えて、サービス満点だ。
【65点】

 冷戦時代の1957年、考古学者にして冒険家のインディアナ・ジョーンズ博士は、生意気な若者マットと共に、伝説の古代秘宝“クリスタル・スカル”を求めて南米に旅立つ。だが、ソ連の非情な工作員もその宝を狙っていて…。

 有名なテーマソングを聞くだけで胸が躍るというファンは多いはず。もちろん私も劇中に“インディは蛇が大の苦手”のような旧作のお約束を発見しては、懐かしいなぁとノスタルジーに浸っていた。だが、某サイトで「インディ・ジョーンズってディズニー・ランドのアトラクションだと思ってました。映画だったんですね」(中学生女子)との書き込みを見てしまい、激しくショックを受けている。年をとるってこういうことなのか。なんだか寂しい気がしてきた。

 気を取り直して、映画の話を。50年代は米ソ対立の真っ只中で、とりわけ科学技術や宇宙開発の分野での競争は熾烈だ。物語は、宇宙人の遺物を回収したという1947年のロズウェルUFO事件を思わせる出来事を発端に展開し、核実験やマッカーシズムなどの設定が妙に生々しい。不穏な政治の臭いがするアメリカを離れたインディの冒険の舞台は、伝説の古代文明が眠る南米だ。

 ちなみにクリスタル・スカルとは水晶の髑髏(どくろ)。とてつもない力を秘める実在の宝物である。物語では、超常現象をあっさり信じるあたりがロマンチックでいかにも50年代だが、強大なパワーを巡って米ソがしのぎを削るというプロットは説得力がある。実際この時代には、宇宙や超能力に関するワケのわからぬ噂が飛びかい、玉石混合のSF映画が山ほど作られた。

 正体が分からない宝と共産主義という分かりやすい敵。妙なバランスで進むド派手な冒険の道連れには、新旧の顔が入り混じる。懐かしさと新鮮さの二つがシリーズものの大原則だ。かつての恋人マリオンと再会し驚きの事実を知るが、動揺などするヒマはない。水陸共用の軍用車での激しいカーチェイス、殺人アリとの死闘、滝を3度も転落、と大忙しだ。と言っても、かすり傷一つ負わないインディ御大である。悪役のケイト・ブランシェットが、几帳面で冷徹なソ連の軍人イリーナを怪演するのに対し、時には法や倫理も無視して突っ走るインディのやんちゃな姿が痛快だ。少し老いたとはいえ、ハリソン・フォードの動きには覇気がある。やっぱりこのシリーズの唯一無二の主役はこの人だ。

 インディは武道の達人でもなければ、特別な秘密兵器もない異色のヒーロー。武器は豊富な知識と出たとこ勝負の冒険心だけだ。その意味で、今回の宝探しのクライマックスは実に彼らしい。しかもスピルバーグ的だ。勢いが全てのジェットコースター・ムービーに、いちいちツッコミは入れたくないが、どうしてもひとつだけ。核爆発を避けるには、まずは冷蔵庫に入って放射能をやりすごし、その後は身体を石鹸でゴシゴシ洗って、ハイ、おしまい!だ。う〜む、この脳天気。さすがはテーマパークのアトラクションになるだけはある。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)大らか度:★★★★★

□2008年 アメリカ映画 
原題「INDIANA JONES AND THE KINGDOM OF THE CRYSTAL SKULL」
□監督:スティーブン・スピルバーグ
□出演:ハリソン・フォード、シャイア・ラブーフ、ケイト・ブランシェット、他

人気ブログランキング用バナー

←この記事が気に入ったら、ポチッとクリックしてもらえると嬉しいです\(^o^)/

シネマッシモにようこそ
◇ シネマッシモについて ◇

このブログが気に入ったら、ポチッとクリックお願いします♪
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ

映画レビュー用BRバナー
インフォメーション


映画ライター渡まち子が運営するセカンド・ブログ「映画の中に猫がいる」もよろしく!【猫目線】で語る映画評で、のんびり、まったり運営中です(笑)。 猫好きの方、映画好きの方、ぜひ遊びにきてください。相互リンクも募集中!
こちらからどうぞ!
おすすめ情報
作品検索はこちら
Google
WWW を検索
このブログ内を検索
コメント(承認済)
映画レビュー(長文)索引

    
    
    
    
    
    
    
  
    

A−Z
0−9
カテゴリ
お仕事受注
映画評やコラムの執筆、講演など、映画に関する仕事を承ります。連絡はメールでお気軽にどうぞ。

 メールはこちらから↓
cinemassimo555★jcom.home.ne.jp
(★を@に変更して下さい)

執筆やラジオ出演など、メールと電話で対応可能な場合は、全国から仕事を受注していますので、まずはお問合せください。
プロフィール
プロフィール more
◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
震災には負けない!
リンクシェア・ジャパン 東北地方太平洋沖地震 義援金プロジェクト

犬・猫の総合情報サイト『PEPPY(ペピイ)』

icon icon
おすすめ情報
おすすめ情報

twitterやってます!
おすすめ情報

楽天市場
おすすめ情報

Archives
相互リンクについて
相互リンクについて

  ↑ 必ずお読みください。
いいね!もよろしく♪
Facebookをご利用の皆さん、このブログが気に入ったら、ぜひ「いいね!」ボタンをポチッと押してください。 渡まち子の励みになります!
タグクラウド
  • ライブドアブログ