バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡) [Blu-ray]
元ヒーロー役者が現実と虚構の間で追いつめられていく様を描く「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」。奇抜な映像と役者の演技合戦、ひねった映画批判と見どころ満載の傑作。

かつてスーパーヒーロー映画「バードマン」で大成功したものの、今では落ち目の初老の俳優リーガン。彼は再起を賭け、自ら主演と演出を兼ねた舞台「愛について語るときに我々の語ること」に挑んでいた。だが共演者マイクの才能や、長く疎遠だった娘サムとの溝がリーガンを精神的に追いつめていく。舞台の役柄に自らを重ね、分身ともいえる“バードマン”から煽られたリーガンは窮地に陥るが…。

泣く子も黙るオスカー受賞作だが、アカデミー好みの社会派映画や偉人の伝記ものではなく、いわばダーク・ファンタジーだ。ショービジネス界の舞台裏と聞けば、特殊な世界観を想像するかもしれないが、ストーリーの根っこにあるのは、家族との絆を取り戻し、もう一度愛されたいという普遍的な願い。案外オーソドックスな作品といえる。主人公リーガンの人生再起のチャレンジに何かとツッコミを入れるのは、主人公の“超自我”であるバードマン。幻想的かつ豪快な姿で現れ、トラブル続きでボロボロのリーガンにきわどいジョークや皮肉を囁きながら、人間の本質を鋭く突く。ヒーロー映画ばかりを量産するハリウッド批判のセリフもあるが、この映画に出演するマイケル・キートン、エドワード・ノートン、エマ・ストーンらは皆、スーパーヒーロー映画の出演経験が。これまた皮肉が効いたキャスティングではないか。中でも自身の俳優人生がシンクロしたような役を、怪演に近い名演で演じるキートンは、文句なしに素晴らしい。冒頭からふわりと宙に浮き、終盤にはまさかのダイナミックな飛行アクションを披露してくれる。過去の自分が現在の自分を挑発する虚構と、映画人を忌み嫌う演劇批評家という現実がせめぎあう中、物語と舞台の行く末は、誰もが予想しない結末へ。演劇版「ブラック・スワン」に黒い笑いを加味した悪夢映画である本作は、間違いなくイニャリトゥ監督の最高傑作と断言できる。名カメラマン、エマニュエル・ルベツキによる全編ワンカット風の長回しによる超絶映像と、それにかぶる即興演奏のドラムにもシビれた。ハリウッド映画への批判の裏側に、映画愛が満ちているのが何より好ましい。
【95点】
(原題「BIRDMAN OR (THE UNEXPECTED VIRTUE OF IGNORANCE)」)
(アメリカ/アレハンドロ・G・イニャリトゥ監督/マイケル・キートン、ザック・ガリフィナーキス、エドワード・ノートン、他)
(臨場感度:★★★★☆)
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